離婚の準備とは?|ケース別に弁護士が徹底解説【チェックリスト付】
離婚の準備とは、離婚した場合の様々な条件(親権、養育費、慰謝料など)について、正しい情報を集めることや、住居を確保することなどをいいます。
離婚すると、これまでとは生活が大きく変わります。
そのため「いったい何から準備すればよいのかわからない」という方がほとんどではないでしょうか。
離婚する際に準備すべきことはたくさんあります。
しかし、①適切に離婚するための準備、②離婚後の生活のための準備、③離婚に対する精神的な準備にわけて検討することで、今あなたが実施すべきことについて、すっきりと整理することができるでしょう。
ここでは、離婚問題について経験豊富な弁護士が後悔しないための離婚準備について、ケース別に、わかりやすく解説いたします。
ぜひ、ご参考になさってください。
離婚するのに準備が必要なの?
このページをご覧の方の中には、離婚する前に準備が必要なのか、疑問を感じている方もいらっしゃるかと思います。
また、何となく準備した方がいい、と感じていても、その必要性を正しく認識している方はとても少ないです。
結論から申し上げると、離婚の準備は極めて重要です。
当法律事務所の離婚専門チームは多くの離婚相談を受けており、離婚問題の問い合わせ件数は累計で1万件を超えております。
多くの離婚事案を解決する中で、常に実感していることは「準備をしていたケース」と「準備していなかったケース」では、結果に大きな差が生じているということです。
「準備をしていたケース」は依頼者が望む結果を得られる可能性が高くなります。
これに対して、「準備していなかったケース」は不本意な結果に終わる可能性が高くなります。
そのため、離婚を検討されている方は、できるだけ初期の段階(離婚を相手に切り出す前の早い段階)から離婚専門の弁護士へのご相談をお勧めしています。
離婚問題に精通した弁護士であれば、離婚というゴールに向けて、具体的に何をすればよいかを助言し、離婚準備に漏れがないようにサポートしてくれるでしょう。
適切に離婚するための準備
適切に離婚をするための準備とは、一言でいうと「離婚の可否」や「離婚条件」についての正しい情報を知ることです。
例えば、相手が協議離婚に応じてくれない場合に裁判所が離婚を認めてくれるのか、慰謝料はいくらが適正なのか、などの情報(見通し)を知っておくことは、適切に離婚するために重要となります。
もっとも、適切に離婚をするための正しい情報は、具体的な状況によって異なります。
そこで、以下、状況別に解説いたします。
ご自身のご状況に当てはまるものをご確認ください。
子供がいない場合の離婚準備について
子供がいないご家庭について、検討事項をチェックリスト形式でまとめると下表のようになります。
項目 | 検討すべき場合 | 相談窓口・備考 |
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弁護士 詳しい解説はこちら |
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結婚後に蓄えた財産がある場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
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弁護士 詳しい解説はこちら |
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厚生年金に加入していた場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
子供もがいる場合の離婚準備について
子供がいるご家庭において離婚を検討されている場合、検討事項をチェックリスト形式でまとめると下表のようになります。
項目 | 検討すべき場合 | 相談窓口・備考 |
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親権について争いとなる可能性がある場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
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子供と親権を持たない側との定期的な交流方法を知りたい場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
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養育費の適正額を知りたい場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
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結婚後に蓄えた財産がある場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
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弁護士 詳しい解説はこちら |
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厚生年金に加入していた場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
離婚準備として証拠を集める
離婚事案では、上述した様々な離婚条件を決めていかなければなりません。
そのとき、相手から虚偽の主張をされると証明できずに適切な離婚給付を受けることができないケースが見受けられます。
例えば、相手に財産分与を求める場合、相手から当該財産の存在を否定されると、財産分与を受けることができなくなる可能性があります。
そのため、財産分与においては、夫婦の財産を漏れなく調査しておくことが重要となります。
下表は離婚条件ごとの典型的な証拠をまとめたものです。
ご参考にされてください。
離婚条件 | 証拠となり得るもの |
---|---|
親権 | 監護の実績の証明資料(母子手帳、育児日記、写真など) |
養育費 | 収入の証明資料(サラリーマンの場合は源泉徴収票、自営業の場合は確定申告書の控え等、所得・課税証明書など) |
慰謝料(不貞行為) | 相手方の不貞行為の証明資料(調査会社の報告書、メールのやり取り、SNSの書き込み、録音データなど) |
慰謝料(暴力) | 診断書、日記、写真(負傷の部位)、警察への被害届など |
財産分与 | 預貯金(通帳のコピーや金融機関からの郵便物)、不動産(固定資産の納税通知書、査定書)、住宅ローン(返済計画表)、保険(保険証券)、有価証券(証書) |
婚姻費用 | 収入の証明資料(サラリーマンの場合は源泉徴収票、自営業の場合は確定申告書の控え等) |
何が重要な資料となるかは、個別具体的な状況に応じて異なります。
そのため参考程度にとどめ、詳しくは離婚専門の弁護士にご相談されてください。
離婚後の生活のための準備
次に、離婚後に不安を感じることなく生活していくための準備事項について解説します。
離婚前に別居をする場合
離婚前に別居をするケースの場合は、上記に加えて、下表の内容も検討されてください。
項目 | 検討すべき場合 | 相談窓口・備考 |
---|---|---|
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配偶者よりも収入が少ない場合、子連れで別居する場合など | 弁護士 詳しい解説はこちら |
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別居する側である場合 | 不動産会社など |
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別居する側で、現在と異なる市区町村へ引っ越しをするとき | 役場 |
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別居する側で、同一市町村内へ引っ越しをするとき | 役場 |
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引越し先へ郵便物を転送してもらいたいとき | 郵便局 詳しい解説はこちら |
女性の離婚準備
離婚後の生活に不安がある場合
収入が少ない方の場合、離婚後の生活に不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
特に、専業主婦やパートタイマーの女性の場合、このような不安を感じている方が多い傾向です。
離婚後の生活に不安があれば、様々な公的扶助の内容について、押さえておくことが重要となります。
公的扶助としては、児童扶養手当、児童手当、就学援助などがあります。
項目 | 検討すべき場合 | 相談窓口・備考 |
---|---|---|
|
離婚後の生活に不安を感じている方 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
専業主婦の場合
現在専業主婦である方の場合、上記に加えて、就職についても検討するとよいでしょう。
項目 | 検討すべき場合 | 相談窓口・備考 |
---|---|---|
|
離婚を期に就職を考えている場合 | ハローワークなど |
男性の離婚準備
男性の場合、女性よりも収入が多く家計を支えていたり、自分名義の財産の方が多かったりすることが多いと思われます。
それを踏まえ、男性の場合は次のような準備をしておくようにしましょう。
項目 | 検討すべき場合 | 相談窓口・備考 |
---|---|---|
自宅をどうするか | 自宅がある場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
財産分与がどうなるか | 預貯金、不動産、自動車、保険、株などの資産がある場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
年金分割のシミュレーション | 妻よりも収入が多い場合 | 弁護士 詳しい解説はこちら |
別居中の生活費(婚姻費用)の支払い | 離婚前に別居する場合で妻よりも収入が多い場合など | 弁護士 詳しい解説はこちら |
40代、50代の方の場合
離婚を検討されている方で、40代、50代の方については、結婚してからの期間が長年に及んでいる場合が多いです。
このような年代層の場合、特に、財産分与と年金分割が大きな影響を及ぼします。
財産分与については、相手の財産を漏れなく調査し、適切に評価することが重要です。
例えば、退職金制度がある会社に相手が勤めている場合、退職までまだ何年も期間があったとしても、退職金の見込額を財産分与の対象とできる可能性があります。
このような判断は、離婚問題の専門家でないと難しいため、離婚に精通した弁護士へのご相談をお勧めいたします。
離婚に対する精神的な準備
再度の話し合いを検討する
相手に離婚を切り出すと、もう後には戻れないかもしれません。
そのため、「離婚」という言葉は、一時の感情に流されて口にすべきではありません。
適切に離婚するための準備を終えたら、最後に「夫婦関係の修復」について、話し合ってみられてはいかがでしょうか。
DVや精神的虐待があるようなケースでは難しいかもしれませんが、性格の不一致が離婚の理由という場合、再度の話し合いで改善する場合もあります。
「離婚することになってもよい」との覚悟をもった上で話をすると、その覚悟が相手方に伝わり、相手方も自分の態度を真摯に反省してくれることもあり得ます。
そして、「雨降って地固まる」の言葉通り、良い夫婦関係を取り戻せる場合もあるでしょう。
もし話し合いがうまくいかなければ、そのときは準備した通りに離婚に向かって進んでいけばよいのです。
相手の性格や状況にもよりますが、離婚の準備をした上で、そのことは言わずに、最後の話し合いをすることも、検討してみても良いと思います。
心のケア
離婚問題に直面すると、精神的にもつらく感じることがあります。
そのような場合は、決して無理をせずに専門家のカウンセリングを受けて見られてはいかがでしょうか。
離婚専門の法律事務所の中には、法律相談だけでなく、カウンセリングについてもサポートしている事務所もあります。
精神的な面で不安なことがあれば、法律相談の際にカウンセリングについてもお尋ねされると良いでしょう。
まとめ
以上、離婚準備について、ケース別にくわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。
離婚準備として検討すべき事項はとても多く、適切に判断するためには専門的な知識や経験が必要となる場合があります。
また、具体的に何をすべきかは状況によっても異なります。
そのため、離婚を検討されている方は、離婚問題に強い弁護士への早い段階でのご相談をお勧めいたします。
この記事が離婚問題でお困りの方にとってお役に立てば幸いです。
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