離婚調停とは?【失敗しないポイントを弁護士が解説】

  

この記事でわかること

  • 離婚調停の手続きの流れと期間
  • 離婚調停のやり方と費用
  • 離婚調停のメリットやデメリット
  • 離婚調停を有利にすすめるポイント

離婚調停は今後の人生を大きく変えるかもしれない大切な手続です。

ここでは、離婚相談年間700件を超える法律事務所の弁護士が離婚調停に必要な知識や失敗しないためのポイントについて解説いたします。

 

 

離婚調停とは

調停とは、当事者間の紛争について、裁判所(調停委員会)の仲介によって、当事者が互いに譲歩し合い、合意による解決を目指す手続です。

つまり、裁判所での話し合いです。

家庭裁判所での調停手続では、離婚そのものだけでなく、離婚後の子どもの親権者を誰にするか、親権者とならない親と子との面会交流をどうするか、養育費、離婚に際しての財産分与や年金分割の割合、慰謝料についてどうするかといった財産に関する問題も一緒に話し合うことができます。

 

 

離婚調停の流れ

① 申立てから第1回まで

調停を申し立てると、1か月後くらいに第1回目の話し合いが行われます。

この話し合いの期日については、弁護士が代理人についている場合、事前に代理人の事務所に裁判所から連絡があり、日時を調整します。

第1回期日の日時が決まると、裁判所から相手方に調停期日の日時等が記載された通知書が送付されます。

② 第1回期日

まず、申立人の方から言い分を聴きます。

次に、相手方と交代して相手方から言い分を聴きます。

調停はこのようにして、相互に言い分を聴く運用がなされており、言い分を聴く際は、相手方は同席しません。

したがって、離婚調停では、当事者同士が顔を合わせることは、成立のときをのぞくとほとんどありません。

1回あたりの所要時間は、2時間程度と考えてよいでしょう。ただし、裁判所によって時間は若干異なります。

なお、平成25年1月1日に施行された家事手続法により、双方当事者の立会いが増える運用がされています。

具体的には、各調停期日の冒頭と終わりに、申立人と相手方を調停室へ呼び入れ、調停員の前で立ち会わせ、手続の説明や、次回期日までの当事者双方の課題を整理して説明することなどがなされています。

もっともこれらについては、対面を避けたい理由を説明することで、同席を免除してもらえます。

③ 第1回期日以降

第1回目で調停が成立することはほとんどありません

そのため、次回期日が決められ、また出頭することになります。

次回期日は、通常、1か月ほど後に指定されますが、裁判所の諸事情で2か月ほど後に指定されることも多くあります。

内容は、第1回目と同じで、当事者の言い分を相互に聴きながら、可能であれば調整していくというものです。

調停の回数は、ケース・バイ・ケースですが、平均的には3回~5回程度です。

 

④ 調停の終了

離婚調停は、当事者間の合意がまとまれば成立しますが、合意に達しなければ不成立となります。

また、場合によっては、申立人が調停を取り下げるという形で終了することもあります。

成立する場合、調停調書が作成されます。

この調停調書には、合意事項が記載されており、法的な拘束力があります。

例えば、養育費、慰謝料や財産分与のなどの合意内容について、義務者が合意のとおりに義務を履行してくれない場合、この調停調書に基づき強制執行も可能となります。

 

 

離婚調停にかかる時間、期間

離婚調停は、お役所(裁判所)での手続きですので、平日の日中に行われます。

1回あたりの時間は、概ね2時間程度ですが、話し合いの状況次第で、これよりも短くなることも、長くなることもあります。

離婚調停の開催時間は裁判所によって異なりますが、多くの場合、午前中に一コマ(例えば9時から12時までの間など)、午後に一コマ(13時から16時までの間など)が多いです。都市部で件数が多い裁判所では午後二コマ(13時から15時と15時から17時など)の場合もあります。

調停期日は、上記のとおり、1ヶ月から2か月に1回程度開催され、3回から5回程度が平均と思われます。

司法統計によれば、家事調停の既済事件の平均審理期間は6.3か月と発表されています。
また、全家事調停の既済事件約13万件のうち、6ヶ月から1年以内のものが約3万3000件、1年から2年以内のものが約1万2000件、2年を超えるものが1400件程度となっています。

引用元:2019年司法統計|最高裁判所

家事調停事件の中には、離婚事件以外のものも含まれています。

筆者の個人的な感覚では、離婚事件で2年を超えることはあまり経験がありませんが、1年を超える事案は珍しくありません。

 

 

離婚調停の手続きについて

管轄

管轄とは、簡単に言えば、全国各地にある裁判所のうち、どこの裁判所で調停や訴訟などの手続を行えるかという問題です。

離婚調停については、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所となります。

例えば、夫婦が別居していて、相手方が福岡県、自分が東京都に住んでいるとします。この場合、自分の方から離婚調停を申し立てるとしたら、管轄は福岡の家庭裁判所となります。

夫婦が合意をすることで東京の家庭裁判所や中間の家庭裁判所(例えば、大阪など)などを管轄とすることもできます。

 

必要書類

調停を申し立てるには、次の書類が必要となります。

必要書類
  • 当事務所は、離婚調停申立書のサンプル・雛形をホームページ上に掲載しており、無料で閲覧やダウンロードが可能です。
  • ・夫婦の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • ・(年金分割割合についての申立てが含まれている場合)年金分割のための情報通知書(各年金制度ごとに必要となります。)(*)
  • (*) 情報通知書の請求手続については、離婚専門弁護士や年金事務所(厚生年金の場合)又は各共済年金制度の窓口にお問い合わせください。情報通知書は、発行日から1年以内のものが必要になります。

 

離婚調停にかかる費用

弁護士に依頼しない場合

離婚調停を弁護士に依頼されない場合、裁判所に収める費用として下記の実費がかかります。

項目 金額 注意点
離婚調停の申立手数料 1200円 婚姻費用の調停を別に申し立てる場合は別途1200円
切手代(郵券といいます。) 1000円程度 裁判所によって異なる。
調停調書謄本 1000円程度 調停成立時のみに必要。裁判所によって異なる。

 

弁護士に依頼する場合

弁護士に調停を依頼される場合、上記の実費に加えて、弁護士に支払う着手金や成功報酬が必要となります。

着手金とは、ご依頼時に支払う費用で、成功報酬は終了時に出来高に応じて支払う費用となります。

具体的な金額については、法律事務所によって異なるため、相談時にお見積りを出してもらうようにすると良いでしょう。

 

離婚調停のメリットとデメリット

離婚調停のメリット

離婚調停のメリットとしては、離婚裁判と比べて、話し合いによる柔軟な解決ができる可能性があるという点が挙げられます。

すなわち、離婚裁判では通らない請求でも、相手が応じてくれれば合意が成立します。

例えば、不倫をした有責配偶者の離婚請求の場合、裁判では離婚が認められないケースがほとんどです。

しかし、離婚調停では、相手が離婚に応じてくれれば離婚を成立させることができます。

 

離婚調停の3つのデメリット

離婚調停には、以下のようなデメリットが考えられます。

デメリット① 時間がかかる

離婚調停の最大のデメリットは、解決までに長期間を要するということです。

期間については、弁護士のスタンスや事案の内容にもよりますが、上述のとおり、半年以上は覚悟しておいた方がよいでしょう。

財産分与や親権等でもめた場合は、1年以上かかる場合もあります。

しかも、調停は平日の日中しか開催されませんので、仕事をされている方は、調停の期日に仕事を休まなければなりません。

また、離婚事案は、通常、強い精神的ストレスが伴います。すなわち、離婚調停中は、当事者双方がそれぞれの言い分を主張し合います。

相手の一方的な主張には虚偽の内容が混在していることがあります。そして、こちら側を強く非難する内容のものもあります。

さらに、離婚調停は、「最終的にどのような結果となるのか不明」という不安定な状態におかれることとなります。

このような状況が長期間にわたって継続すると、精神衛生上よくありません。

 

デメリット② 適切な解決とならない可能性がある

調停委員会の委員について、裁判所の説明では、「一般市民の良識を反映させるため、社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。具体的には、原則として40歳以上70歳未満の人で、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士、建築士などの専門家のほか、地域社会に密着して幅広く活動してきた人など、社会の各分野から選ばれています。」とされています。

確かに、調停委員の方の中には、人格的に優れ、良識を持った方もいらっしゃいます。

しかし、家事事件の調停委員のほとんどの方は、弁護士ではない一般の方であり、法律の専門家ではありません。

前述したように、調停員会は、裁判官を含む3名で組織されますが、裁判官は調停が成立するときしかお目にかかれません。

つまり、調停は素人の方が進行させているようなものなのです。

また、調停委員の方々は、できれば、和解を成立させようとするので、基本的には、申立人の主張と相手方の主張の中間点に落ち着かせようとする傾向があります。

例えば、申立人が慰謝料として300万円を請求し、相手方が100万円と主張していれば、200万円での解決を進めるなどです。

したがって、自分の主張が法的にいくら正しくとも、調停ではそれが認められない可能性があります。

 

デメリット③ 弁護士費用が割高になってしまう

離婚調停は時間、労力がかかる手続です。

そのため、調停手続を弁護士にご依頼された場合、どうしても弁護士費用が割高になってしまいます。

上記のメリットとデメリットをまとめると、下表のとおりとなります。

 

メリット デメリット
柔軟な解決の可能性がある
  1. ① 時間がかかる
  2. ② 適切な解決とならない可能性がある
  3. ③ 弁護士費用が割高となる

 

デメリットへの対応策

上記のようなデメリットを考えると、いきなり離婚調停を申し立てるよりも、まずは裁判所を通さず、協議による解決を試して見られた方がよいでしょう。

ただ、協議による解決は、離婚に関する専門知識がないと、損をしてしまう可能性があります。

また、相手が離婚に応じない場合や親権、養育費、財産分与、慰謝料などの条件面で合意できない場合も考えられます。

そのため、当事務所では「弁護士による代理交渉」による解決をお勧めしています。

これは、離婚専門の弁護士が依頼者に代わって相手と直接交渉するという方法です。

離婚調停と異なり、短期間で解決できる可能性があり、弁護士費用も大幅に抑えることができます。

また、交渉による解決ですので、調停のように柔軟な解決も可能です。

さらに、離婚専門の弁護士が対応するため適切な条件での解決も可能です。

すなわち、調停と同じメリットをもちながら、調停のデメリットを回避できます。

以上から、代理交渉で解決できない場合に、次善の策として離婚調停の申し立てを検討されるとよいでしょう。

 

 

失敗しない離婚調停の10のポイント

離婚調停で失敗しないようにするためには、押さえておくべき10のポイントがあります。

大別すると、スピード解決のポイント、離婚条件で損をしないためのポイント、離婚調停で負担を減らすためのポイント、離婚調停を有利に進めるためのポイントです。

以下、項目ごとに解説いたします。

スピード解決のポイント

離婚調停は、上記のとおり、解決までに時間を要する傾向にあります。

そのため、少しでも早く離婚調停を成立させることが、再出発するために重要となります。

そこで、以下、スピード解決のポイントについてご紹介します。

POINT① 証明資料を早期に提出する

離婚調停の本質的な内容は、「話し合うこと」にあります。

すなわち、離婚裁判の場合、裁判所に判断してもらう(判決を出してもらう)ために訴えを提起しますが、離婚調停では、どちらが正しいか否かを確定することはありません。

離婚は夫婦の問題であることから、裁判所が判決という一刀両断的な結論を出すよりも、可能であれば、話し合いで解決した方が穏当であろうという考え方に基づくものです。

したがって、離婚調停においては、話し合いに主眼が置かれるべきです。

しかし、実際の離婚調停では、話し合いよりも、資料の準備に長時間がかかっている状況が散見されます。

例えば、収入の資料(源泉徴収票・所得証明書など)や財産目録(基準日における財産の内訳と額が記載されたもの)及びその証明資料などです。

収入の資料は養育費や婚姻費用の適正額を算定するために必要となります。

また、財産目録及びその証明資料は、財産分与の対象となる財産を確定するために必要となります。

養育費は財産分与等の離婚条件を話し合うためには、その前提として、収入の資料や財産目録が必要です。

これらが揃っていなければ、養育費や財産分与を話し合うことはできません。

そのため、離婚調停においては、これらの争点に応じた資料の開示を速やかに行う必要があります。

離婚調停の期日において、まだ資料が提出されていない場合、「次回までに収入資料の開示をお願いします。」などと調停委員を通じて相手に伝えてもらうようにしましょう。

また、こちら側も積極的に資料の開示を行うべきです。

自分は開示せず、相手にだけ開示を求めても、開示してくれない可能性があるからです。

遅かれ早かれ開示しなければならない資料については、第1回の期日前に裁判所と相手方に送付するなどしておけば、第1回期日において、調停委員に対して「こちらは既に開示しているので、相手にも速やかに開示するように伝えてください。」と伝えることが可能です。

こちら側としては、すべてオープンにしており、誠実に調停手続に参加している姿勢が伝わる可能性があります。

 

POINT② 主張は期日前に書面で提出する

離婚調停においては、当事者双方がそれぞれの言い分を主張しながら、手続きが進んでいきます。

離婚裁判の場合、主張書面(裁判では「準備書面」といいます。)については、通常の場合、期日の約1週間前に提出する運用がなされています。

そして、裁判の期日までに、裁判官はもちろん、相手の代理人弁護士もその提出された主張書面に目を通しておき、期日に臨むというのが基本です。

このような運用がなされているのは、裁判を効率的に進行させるためです。

すなわち、言い分については、事前に書面で作成して、提出しておくことで、裁判所や相手に検討する時間を与えることができます。そして、その言い分を踏まえて、次回反論したり、協議することが可能となります。

離婚調停の場合、この「事前の提出」や「書面作成」というのは義務化されておらず、期日の当日に口頭で主張しても構いません。

しかし、スピード解決を考えるのであれば、離婚裁判と同様に、できるだけ事前に、かつ、書面で主張内容を提出しておくべきです。

特に、分析や検討するために時間を要する内容については、早ければ早いほど良いでしょう。

例えば、財産分与が争点となっている事案において、特有財産があるという主張を行うとします。

財産分与は、原則として、基準日における夫婦双方の名義の財産が対象となりますが、特有財産については、その対象から外れます。

特有財産としては様々なものがありますが、例えば、親から遺産相続を受けた場合、当該遺産は財産分与の対象とはなりません。

離婚調停の期日において、次の主張を行ったとします。

具体例 親から遺産相続を受けた場合の主張

「預貯金500万円のうち、100万円は遺産なので特有財産となる。」


この場合、その期日では、通常、話し合いにはなりません。

なぜなら、相手としては、あなたの口頭でなされた主張を鵜呑みにはできないからです。本当に預貯金が500万円なのか、また、500万円あったとして、100万円の遺産相続があったのかを確認し、妥当性を検討する時間が必要となるからです。

これに対して、早い段階で、財産目録を提出し、その証明資料(預貯金の残高を示す通帳の写しや遺産分割協議書などの資料)を提出しておくと、相手は事前に確認し、かつ、検討することが可能となります。

そうすることで、離婚調停の期日においては、相手から「財産分与として、200万円を請求したい。相手の言い分のとおり、相手の財産は400万円だとすると、その2分の1はもらう権利がある。」などの具体的な要求がなされるでしょう。

また、こちらとしても、相手の要求に対して「200万円は高額なので150万円であれば応じる」などの意見を述べることができます。

このように、離婚調停の期日前に、双方が言い分や根拠を確認できれば、その言い分を前提として、話し合うことが可能となるのです。

したがって、スピード解決のために、主張については、可能であれば事前に、かつ、書面の方が良いといえます。

 

POINT③ 親権争いは早期に調査官をつける

離婚調停において、親権についての争いが激しい場合、家裁調査官が関与し、子供の意向調査や監護状況の調査を行う可能性が高いと思われます。

調査官の調査が実施された場合、親権についての意見等が記載された調査報告書が作成されるのが通常です。

調査報告書に記載されている調査官の意見は、離婚裁判においても影響力を持つと考えられます。

そのため、調査報告書を見て、一方が親権を諦めることで、親権についての協議がまとまる可能性があります。

なお、調査報告書の親権への影響の度合いについて、くわしくはこちらのページをご覧ください。

したがって、親権の争いがある事案においては、調査報告書が早い段階で作成されることによって早期解決の可能性があるといえます。

しかし、調査報告書はすぐには作成できません。調査官が選任され、調査報告書が出来あがるまでの期間は概ね3ケ月から6ヶ月ほどを要すると思われます。

そのため、親権の争いがある事案では、早い段階で(第1回の期日など)、調査官の選任を希望するとよいでしょう。

調停委員会は、すべての事案に調査官をつけることはありません。

調査の必要性がある事案に限って調査官をつけるため、離婚調停の初期段階において、調停委員会の方から調査官をつけることは稀です。

そのため、当事者の方から積極的に調査の必要性について意見を述べた方がよいと思われます。

 

 

離婚条件で損をしないためのポイント

POINT④ 適切な離婚条件についての見通しを立てる

離婚調停では、離婚の他に、様々な離婚条件を話し合います。

一つ一つの離婚条件に応じる前提として、その条件が適切であることについて理解できなければなりません。

そのため、離婚条件について適切な見通しを立てることが重要となります。

検討すべき離婚条件は、子供の有無や夫婦の状況によって異なりますが、離婚、親権、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割、婚姻費用の8つの項目を検討すれば、一通り網羅できるでしょう。

以下、各項目ごとのポイントについて解説いたします。

 

① 離婚が認められるか否か

離婚については、あなたが離婚を望んでいる(相手は離婚に消極的)、相手が離婚を望んでいる(あなたは離婚に消極的)、双方とも離婚を望んでいる、の3つのパターンが考えられます。

このうち、双方とも離婚を望んでいる場合であれば、特に問題はありません。

しかし、あなたが離婚を望んでいる場合と、相手が離婚を望んでいる場合については、仮に、離婚調停が不成立となって離婚裁判となったとき、裁判所が離婚を認めてくれるか否かについて検討しておくべきです。

なぜならば、例えば、あなたが離婚を望んでいる場合で、離婚裁判となったときに離婚が認められない事案の場合、離婚調停が不成立となることは、「離婚できない」ことを意味します。

その場合、離婚調停では、離婚条件に関して相手に有利な条件を提示してでも、離婚調停を成立させたほうがよいといえるでしょう。

逆に、相手が離婚を望んでいる場合で、離婚裁判では離婚判決が認められない事案であれば、離婚調停において、こちら側に多少有利な条件を提示してもよいと思われます。

このように、離婚裁判において離婚が認められるか否かは、離婚調停における交渉の優位性に影響してきます。

したがって、離婚が認められるか否かについてはよく検討しておくべきです。

では、どのような場合に離婚が認められるのでしょうか。詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

② 親権はどうなるか

親権とは、わかりやすくいえば、子供と一緒に生活したり、子供の財産を管理したりできる権利をいいます。

日本においては、共同親権が認められておらず、離婚の際に、夫婦のいずれか一方を親権者としなければなりません。

親権について、具体的な判断基準や親権と勝ち取る方法についてこちらのページに詳しく解説いしています。

 

③ 面会交流

面会交流とは、子供を監護していない親(非監護親といいます。)が定期的に子供と面会することをいいます。

面会交流について方法が制限される場合、実施時の注意点などについて当事務所では詳しい解説ページを掲載しています。

 

④ 養育費はいくらが適切か

養育費とは、非監護親が監護親に対して支払うもので、子供の生活のための費用をいいます。

養育費については、親の生活水準と同等の生活水準を子供が維持するために必要な費用と考えられており、具体的には、親の収入の状況と子供の数によって、基本的な養育費の額が決まります。

当事務所では、養育費の収入の調査方法や養育費の計算方法について、ホームページで解説しておりますので、確認されたい方はこちらのページをご覧ください。

養育費シミュレーター

 

⑤ 財産分与

財産分与とは、結婚してから夫婦で築いてきた財産を離婚の際に分ける制度のことをいいます。

財産分与について、調査方法、基礎知識、問題点等について詳しくはこちらをご覧ください。

⑥ 慰謝料の有無と額

離婚慰謝料とは、相手の有責行為によってやむを得ず離婚となった場合の精神的苦痛に対する賠償金をいいます。

離婚の慰謝料においてポイントとなるのは、慰謝料が発生するか否かという問題と、仮に慰謝料が発生したとして適正額(相場)がいくらかという問題です。離婚の慰謝料について、算定要素や諸問題について詳しくはこちらをご覧ください。

 

⑦ 年金分割はどうなるか

年金分割とは、離婚する際、夫婦が加入していた厚生年金(かつての共済年金を含む。)の保険料給付実績のうち、報酬比例部分について、多い方(多くは夫)から少ない方(多くは妻)へ分割する制度です。詳しくはこちらをご覧ください。

合わせて読みたい
年金分割とは?

 

⑧ 婚姻費用はいくらが適正か

婚姻費用とは、生活するために必要な費用のことをいいます。婚姻費用は、通常は収入が少ない側(多くは妻側)が収入が多い側(多くは夫側)に対して請求します。

婚姻費用が問題となるのは、離婚を決意して別居したときが多いです。また、別居していなくても、家庭内別居の場合に請求する場合もあります。婚姻費用についてくわしくはこちらをご覧ください。

合わせて読みたい
婚姻費用の計算方法

 

POINT⑤ 離婚調停の条項は吟味する

離婚調停において、当事者間である程度、合意内容がまとまると、最終的には調停条項が作成されます。

調停条項には、離婚の他に、上記で解説した親権、面会交流、養育費等の諸条件が記載されています。

調停条項は、裁判所が案を作成することも多いのですが、相手に代理人弁護士がついている場合、相手が作成することもあります。

したがって、いずれの場合も、調停条項は内容の適否について吟味すべきです。

なぜならば、離婚調停は、成立すると、その合意内容を覆すのは困難だからです。

特に、財産分与や慰謝料などが条項に記載されている場合、こちら側に不利になっていないか注意してください。

また、面会交流については、実施方法等が適切かも確認すべきです。

弁護士をつけずにご自身だけで離婚調停を進める場合、記載内容の意味がわからないこともあると思われます。

そのような場合は、調停委員に対して質問するなどして疑問点を解消した上で、合意すべきです。

 

 

離婚調停で負担を減らすためのポイント

離婚調停は、協議離婚と比べると、当事者の負担が重くなりやすいというデメリットがあります。

しかし、以下のテクニックを使うと、負担を減らすことが可能です。

POINT⑥ 電話会議を活用する

離婚調停の管轄は、上記のとおり、相手方の住所地が管轄となります。

したがって、例えば、本人が福岡に居住していても、相手が北海道に居住している場合、離婚調停のために、北海道の家裁まで出向かなければなりません。

しかし、2013年に家事手続法が改正され、当事者が遠方に住んでいて調停等を行う家庭裁判所まで出向くことが困難な場合、電話会議によって、調停に参加できるようになりました(家事事件手続法258条1項、54条)。

もっとも、電話会議での参加の可否は、裁判所が決定するので、必ず実施できるとは限りませんが、利用が認められた場合、遠方に住んでいる当事者の方は、お近くの裁判所に出向くことで、参加できます。

なお、弁護士に依頼されている場合、その弁護士の法律事務所の電話を使って調停に参加できます。

そのため、当事務所では、電話会議を積極的に活用しています。

なお、離婚調停の場合、電話会議を利用する場合であっても、離婚が成立する場合、基本的には当事者本人が裁判所へ出頭することが求められています。

したがって、すべての期日を電話会議とすることはできません。

 

POINT⑦ 開始の時間差をつける

離婚調停は、1期日あたりの所要時間が2時間から3時間程度を要するため、拘束される時間が長いというデメリットがあります。

しかし、離婚調停の開始時間に差を設けることで、拘束時間を短縮できる可能性があります。

すなわち、離婚調停は、基本的に当事者双方から話を聞くことはありません(※)。

※第1回期日においては、手続きの流れの説明のため同席の可否について調停委員から質問されることがあります。

まず、一方から話を聞いて、次に交代して話を聞くということの繰り返しです。

したがって、当事者双方を同じ開始時刻に呼び出す必要性は低いといえます。

そのため、当事務所では、第1回の期日から、30分程度の時間差をつけてもらうよう家裁に上申しています。

このような方法によって無駄な拘束時間を短縮しています。

 

POINT⑧ DV事案の要領

DV事案は、被害者が加害者である配偶者との接触に強い抵抗感があるため被害者に対する適切な配慮が必要な事案です。

家裁もDV事案には配慮してくれるので、事前にDV事案であることや配慮してほしいことを伝えることで、負担が大幅に減少できるでしょう。

例えば、DV事案で配慮を要請する内容として、次のものがあげられます。

DV事案で配慮を要請する具体例
待合室の配慮

通常の待合室とは異なる待合室を準備してくれます。
例えば、福岡家裁の場合、通常待合室は3階にありますが、DV被害者の方は別階に待合室を準備してくれます。
また、通常当事者が調停室へ移動しますが、調停委員が別階の待合室まで移動してくれます。

遭遇しないための配慮

家裁への出頭時間に差を設けてもらうなどで、相手と遭遇しないように配慮を要請できます。
例えば、相手の出頭時間を10時、被害者側の出頭時間を10時30分とすると、家裁の駐車場や1階ロビーで遭遇しないようにできます。

同席免除の要請

離婚調停では、第1回期日の際の手続きの説明や、離婚成立の場合の調停条項の確認は、同じ調停室での同席したまま実施します。
DV事案の場合、調停委員に申し出ることで、同席せずに実施することが可能となります。

 

 

離婚調停を有利に進めるためのポイント

POINT⑨ 調停委員を味方につけたほうが良い?

離婚の相談においては、よく「調停委員を味方にした方がいいですか?」という質問を受けます。

確かに、調停委員は、ケースによっては一定の影響力があると思いますが、それよりもご自身の言い分を主張することの方が大切だと思われます。

調停委員は職務として立会しているのですから、遠慮する必要などありません。

また、離婚調停における調停委員は、上記のとおり、法律の専門家ではないため間違ったことを伝えることがあります。

例えば、財産分与が争点となっている事案で、ある家裁において、調停委員が「自宅の評価は固定資産税の評価額だ」と断言しました。

弁護士が同席していたので、時価によるべきだと反論しましたが、それでも「固定資産税の評価額」の1点張りです。

最終的には裁判官に入ってもらい、間違いを正しましたが、このようなことは決して珍しくありません。

また、離婚調停は、話し合う場であって、どちらが正しいという判断をする場ではありません。調停委員も判断権を持っているわけではありません。

したがって、調停委員には、敬意を持って接するべきですが、「見方につけよう」など考えず、主張すべきことは主張した方が良いと考えます。

 

POINT⑩ 養育費の権利者側は婚姻費用を早期に確定する

養育費と婚姻費用の違いは上表のとおりです。

上表からは婚姻費用は、あくまで一時的なものであって、それほど重要ではないようにも思えます。

しかし、婚姻費用は養育費やその他の離婚条件に影響を及ぼす可能性があるため、妥協せず、適正額を主張すべきです。また、生活に影響を及ぼすため、婚姻費用は早期に確定すべきです。

例えば、婚姻費用の適正額が月額10万円、養育費の適正額が月額7万円だったとします。

婚姻費用について、早期に確定させていれば、養育費については適正額を支払ってもらいやすくなります。

相手としては、毎月10万円を支払うぐらいであれば、月額7万円の方が安くなるため適正額で合意した方が得策だからです。

なお、婚姻費用については、離婚調停とは別に、婚姻費用分担調停の申立てが可能です。

婚姻費用の権利者側(婚姻費用をもらう側)は、離婚調停を申立てる際、同時に申し立てればよいでしょう。

婚姻費用の調停申立書については、当事務所のホームページから無料でダウンロードが可能です。

 

まとめ

以上、離婚調停について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚調停にはデメリットも多いので、まずは弁護士による代理交渉をお勧めいたします。

離婚調停を行う場合、後悔しないためには、手続の概要、流れ、失敗しないポイントを把握して、適切に進めていくべきです。

このページは、離婚調停について豊富な経験がある弁護士が執筆しているので、他のサイトと比較して情報量は多いと思われます。

しかし、離婚調停は、具体的な状況によって、取るべき戦略が異なります。

解説については、あくまで参考程度として、くわしくは離婚専門の弁護士へ相談されることをお勧めします。

この記事が離婚問題でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 

 

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