離婚したいと思ったら準備すべきこと!離婚に強い弁護士が解説

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚すると、これまでと生活状況が大きく変化します。

そのため、離婚後の生活に不安を感じていらっしゃる方が多いかと思います。

このようなお悩みを抱えた方は、離婚に関する知識を身につけることが重要です。

このページでは、他の人達はどんなときに離婚するのか、離婚するとどんな影響があるのか、離婚する前に準備すべきことや離婚の進め方などについて、離婚問題にくわしい弁護士が解説しています。

離婚を検討されている方はぜひ参考になさってください。

どんなときに離婚するの?

離婚したい理由ランキング

現在、離婚について検討されている方は、他の人達はどのような理由で離婚に踏み切っているのか気になっていらっしゃるのではないでしょうか。

下表は、当事務所に離婚相談でお越しになられた方々の統計データをまとめたものとなります(ランキングトップ10を抽出しています。)。

女性側

順位 離婚理由 総数に対する割合
1位 性格の不一致 35%
2位 精神的虐待 27.8%
3位 異性関係(相手) 19.9%
4位 その他 16.3%
5位 性的不調和 10.5%

 

男性側

 

順位 離婚理由 総数に対する割合
1位 性格の不一致 36%
2位 精神的虐待 10.3%
3位 異性関係(自分) 9.5%
その他 9.5%
5位 両親との不和 8.3%

このデータによれば、離婚の理由は様々ですが、男女ともに性格の不一致がトップであることがわかります。

「不倫などの深刻な状況ではなくても、離婚に踏み切る方が意外に多い」と感じるのではないでしょうか。

離婚理由のランキングについて詳しくはこちらもご覧ください。

 

裁判所が離婚を認めるケース

日本では、相手が同意してくれれば、裁判所を通すことなく離婚することができます

これを協議離婚といいます。

しかし、相手が離婚に応じてくれない場合、最終的には裁判所に判断してもらうことが必要となります。

離婚を検討するとき、「仮に裁判になった場合に離婚できるのか」をおさえておくべきです。

裁判所が離婚を認めるのは、以下の5つのいずれかに該当する場合に限られます(民法770条1項)。

裁判所が離婚を認める5つケース
  1. 1.配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. 5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

引用元:民法|e−GOV法令検索

ワンポイント:婚姻を継続し難い重大な事由とは?

これは夫婦関係が破綻し、回復の見込みがないことを意味します。

他の4つと比べて、抽象的な表現となっています。

離婚の理由は様々であり、それらをすべて法律に規定することは困難です。

そのため、1.から4.が当てはまらないような事案でも、カバーできるように規定されたものです。

もっとも、あくまで他に匹敵するほどの、重大な理由がある必要があります。

例えば、相手から暴力をふるわれて大ケガをした、相手が重大な犯罪を犯した、などが考えられます。

また、別居期間が長期間に及んでいるようなケースも、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあてはまります。

そして、ここでいう「長期間」は個々の事案ごとに異なります。

筆者の経験上、結婚期間が短いなどの場合を除くと通常は3年程度が必要と思われます。

 

 

どのように離婚を進めていけばいい?

次に、離婚を決意したときどのように進めていけばよいかを解説しましょう。

離婚の手続きの流れ

離婚は基本的には以下の流れで進めていくことをおすすめしています。

離婚を成立させるための手続としては、離婚協議、離婚調停、離婚裁判があります。

離婚協議は裁判所を通さずに当事者間で離婚の条件を話し合うという手続です。

離婚調停は裁判所での話し合いとなります。

離婚裁判は話し合いではなく、裁判官に離婚について判断してもらうという手続です。

 

何から始めればいいの?

通常は、いきなり「離婚裁判」を起こすことができず、先に「離婚調停」を行う必要があります。

これを調停前置主義(ちょうていぜんちしゅぎ)といいます。

また「離婚協議」は必ず実施しなければならないものではありません。

離婚協議を経ずに「離婚調停」を申し立てることは可能です。

しかし、当事務所では、可能なかぎり協議離婚での解決をおすすめします

「離婚調停」と「離婚裁判」は、いずれも裁判所を通じて、手続をすすめることになるため、通常はとても時間がかかります。

すなわち、離婚調停は半年から1年程度、長くなると数年を要するケースもあります。

また、離婚裁判は1年を超えることがほとんどです。

このような長期間にわたって、紛争状態が続くと、精神的に強い人でも大変な苦労を強いられます。

また、時間や労力がかかるため、弁護士に依頼した場合、協議離婚の依頼と比べて費用が高くなってしまう場合が多いでしょう。

したがって、まずは協議離婚から始めることをおすすめします。

これらの簡単な特長とメリットやデメリットをまとめると下表のとおりとなります。

協議離婚(当事者同士の話し合い)
メリット デメリット
  • 柔軟な解決の可能性がある
  • スピード解決の可能性
  • 負担が少ない
  • 相手が応じないと合意できない
  • 冷静な話し合いが難しい
調停離婚(裁判所での話し合い)
メリット デメリット
  • 相手と直接顔を合わせる必要がない
  • 柔軟な解決の可能性がある
  • 時間がかかる
  • 負担が大きい
  • 相手が応じないと成立しない
裁判離婚(裁判所による命令)
メリット デメリット
  • 相手が応じなくても決着がつく
  • 柔軟性がない(※)
  • 時間がかかる
  • 負担が大きい

※一般的な傾向であり事案によって異なります

 

 

離婚の影響とは?メリットやデメリットは?

離婚を考えたとき「これまでと何が変わるのか?」と不安に感じている方が多いです。

そこで、この項目では離婚のメリットやデメリットを明確にしたいと思います。

離婚のメリット 離婚のデメリット
  • 相手が原因となっている悩みから解放される
  • 新しい生活を始められる
  • 冷め切った夫婦関係からの脱出できる
  • 新しい恋愛ができる
  • 経済的な安定を得づらくなる
  • 働く必要性が高くなる
  • 世間体が悪くなる
  • 孤独になる
  • 親権を取れない可能性

※執筆者の経験にもとづく主観的なものであり、具体的な状況によって異なります

以下、くわしく見てみましょう。

離婚の4つのメリット

①相手が原因となっている悩みから解放される

離婚することにより、不倫問題、DV、浪費、親族との不和、相手の親の介護などから解放されることになります。

②新しい生活を始められる

離婚をすれば家事や相手の世話から解放され、相手の顔色をうかがうこともなくなります。

これまでできなかった趣味に挑戦したり、旅行したりすることができるようになるでしょう。

③冷め切った夫婦関係からの脱出できる

長い結婚生活の中で夫婦関係が冷め切っているというケースは珍しくはありません。

離婚によりそのような状態から脱出しのびのびと暮らすことができます。

④新しい恋愛ができる

離婚をすれば新しい恋愛や再婚をすることもできます。

 

離婚の5つのデメリット

①経済的な安定を得づらくなる

このデメリットは女性に多い傾向です。

すなわち、女性については、ご自身が専業主婦やパートタイマーで、家計は夫が支えている(支えていた)という方も多いと思われます。

離婚すると夫の経済力に頼ることはできなくなるため、自身に充分な収入や資産がないと経済的に不安定になるというデメリットがあります。

②働く必要性が高くなる

これまで専業主婦だった方は、離婚後は夫の経済力に頼れなくなるため、自分で収入を得る必要性が高くなります。

③世間体が悪くなる

最近では離婚は決して珍しいものではなくなってきているものの、離婚により世間体が悪くなることを気にする方もいらっしゃいます。

④孤独になる

これは男性に多い傾向です。

すなわち、男性の場合は、これまで仕事を中心に生活や人間関係を構築してきたという方も多いと思われます。

離婚後の一人暮らしと定年退職が重なると、一層孤独になってしまうケースもあります。

⑤親権を取れない可能性

子供がいる場合、離婚の際に親権者を決めなければなりません。

したがって、親権を取得できない可能性があります。

 

 

離婚するときに準備すべきこと

以下では、離婚するときに準備しておくべき内容について、解説します。

離婚するときに準備すべきこと

①財産分与、慰謝料などの離婚条件について考える

離婚後の生活を安定したものとするためにも、財産分与でしっかりと財産を確保することが大切です。

結婚後に夫婦で築いた財産は、原則として、双方で均等に分けることになります。

これは、妻が専業主婦であったとしても変わりありません。

夫婦の財産を全部洗い出して、ご自分の分を確保するようにしてください。

慰謝料も、数十万円から数百万円と多額になりますので、離婚後の生活のために大切です。

慰謝料が得られそうな事情(不貞行為、DV、精神的虐待など)があれば、しっかりと証拠を集め、慰謝料を勝ち取れるようにしましょう

財産分与、慰謝料等について合意した内容は、離婚協議書にまとめましょう。

 

②子供がいる場合に考えておくべきこと

親権者を決める

子供がいる場合、離婚届を提出する際に、親権者を決めなければなりません。

子供がどちらの親と暮らすのが幸せかを考えて、決める必要があります。

自分が親権を得たいと考えている場合、子供を手放さないということがとても重要です。

調停、裁判などに進んで家庭裁判所が親権者を決める場合、これまで子供を世話してきた状況(監護状況)が考慮されますので、離れて暮らしてしまうと、親権を取ることが難しくなるからです。

別居するときは、相手方と話し合った上で子供を連れて行き、逆に相手方が家を出る場合は、子供を連れて行かせないようにしましょう

 

養育費

子供がいる場合、子供を育てるためのお金(養育費)が必要となります。

養育費を支払う側(通常は父親側)にしても、養育費の適正額を知っておくことはとても重要です。

養育費は一度合意すると、途中での変更が難しいため、無理な金額を支払う約束をしないようにすべきだからです。

子どもの生活にもかかわることなので、養育費の金額、支払方法、多額の医療費や学費が発生した場合の分担についても、しっかり考えておきましょう。

 

公的扶助について

離婚してひとり親になった場合、いくつかの公的扶助を受けられる可能性があります。

1. 児童扶養手当(母子手当)

児童扶養手当は、離婚後の母子家庭の生活を支える手当です。

子供が18歳に到達して最初の3月31日(年度末)まで(子供が特別児童扶養手当を受給できる程度の障害にある場合、20歳に到達するまで)の間、受給可能です。

離婚が成立していなくても、相手方配偶者から引き続き1年以上遺棄されている場合は、受給することができます。

また、裁判所からのDV保護命令が出た場合も受給できます

児童扶養手当については、離婚後住む予定の自治体の制度を確認してください。

参考:東京都|児童扶養手当

2. 児童手当

児童手当は、離婚の有無に関係なく、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方に支給されます。

子供の数、年齢により、月1万円から1万5000円が支給されます(ただし、所得制限があります。)。

参考:東京都|児童手当

3. 特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、身体や精神に障害のある20歳未満の児童について、支給されます。

児童扶養手当とは別の目的で支給されるものですので、同時に受給することが可能です。

支給額は、月52,400円(1級)又は34,900円(2級)です(所得制限があります。)。

参考:特別児童扶養手当について|厚生労働省

4. 就学援助

就学援助とは、経済的理由によって、就学困難と認められる児童等に対して、市町村が学用品費、給食費、通学費などを援助する制度です。

 

自治体ごとに条件や内容が異なりますので、詳しくは、住む予定の自治体にお問い合わせください。

参考:東京都|就学援助

5. 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

母子父子寡婦福祉資金とは、母子家庭等の経済的自立と、その扶養する20歳未満の子供の福祉の増進を図るため、原則無利子で、各種資金の貸付を受けられる制度です。

借り入れの条件等について、くわしくは最寄りの役場へお問い合わせください。

そのほかにも、税の減免、医療費助成などがあります。

更に、それぞれの市町村で独自のひとり親への支援制度を作っている場合もありますから、一度窓口に行って相談されるとよいと思います。

具体的な金額等の詳細は、以下のページをご覧ください。

 

面会交流

両親が離婚した後でも、子供には、離れて暮らす親と面会し、交流する権利があります。

子供にとってマイナスになる場合(子供に暴力をふるう、連れ去りのおそれがあるなど)でなければ、原則として面会交流を拒むことはできません

頻度、連絡方法、場所、ルール(プレゼントについて、祖父母との面会など)などについて、できるだけ具体的に離婚前に話し合っておくと、離婚後もスムーズに面会交流が実施できるでしょう

子供が成長してくると面会交流のあり方も変わってくるので、そうした場合の話し合いの方法も決められるとよいでしょう。

子供と相手方だけで会わせるのが不安であったり、相手方と面会交流のことで直接連絡したり顔を合わせたりすることに抵抗がある場合もあるでしょう。

そうした場合に、面会交流について、きめ細やかにサポートしてくれる弁護士もいますので、必要であればご相談なさってみてください。

 

転校、転園など

離婚に伴って転居する場合、子供の転校・転園の手続が必要です。

未就学児については、保育園・幼稚園を探す必要があります。

ひとり親家庭であれば保育園へ入園しやすい場合がありますが、地域や時期によっては、待機児童が多く、すぐに入園できない場合もありますので、事前に確認しましょう。

また、就職していないと入園できない場合もありますので、専業主婦の方は、就職の準備も進めましょう

小学生であれば、長期休みや放課後の預け先が必要な場合もあります。

ご近所の方や実家の両親が頼れると頼もしいですが、そうはいかない場合もあります。

学童保育所やファミリーサポートなどの有無を、事前に調べておきましょう。

 

③離婚後の戸籍を考える

離婚後の戸籍をどうするかについては、以下の3つの選択肢があります。

 

1. 婚姻前の姓に戻り、自分を戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る。

離婚届を提出する時に、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄で、「新しい戸籍をつくる」をチェックし、新戸籍地を記載すれば、新しい戸籍を作ることができます。

しかし、子どもは、そのままでは、新しい戸籍に移ってはくれません。

新戸籍ができたら、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申立てをします。

そして、許可の審判を得て、市町村役場で子供の入籍手続をすると、子どもが自分の戸籍に入ります。

この手続は親権者でなければできませんので、ご注意ください。

 

2. 婚姻中の姓を継続して使用し、自分を戸籍筆頭者とした新しい戸籍を作る。

婚姻中の姓を継続使用したい場合は、離婚後3か月以内に、本籍地の市町村役場に「氏の継続使用届」を出す必要があります。

この届出をし忘れると、居住地の家庭裁判所に氏の変更許可の申立てをすることが必要になります。

ただし、許可が得られない場合もあるので、注意が必要です。

名乗っている姓は結婚時と変わらなくても、戸籍自体は、1と同様に、配偶者とは別れた新戸籍となります。

そのため、子どもを新戸籍に移すには、1と同じく、子の氏の変更許可の申立て、入籍手続が必要です。

 

3. 婚姻前の戸籍と姓に戻る。

結婚前の状態に戻り、両親の戸籍に戻ることになります。

この戸籍には、自分の子供(両親からみると孫)は入ることができません。

自分と子供を同じ戸籍に入れたい場合には、改めて分籍の手続をし、自分を筆頭者とする戸籍を作る必要があります。

新戸籍ができたら、1の場合と同じく、子の氏の変更許可の申立て、入籍手続をします。

以上をまとめると、以下の表のようになります。

婚姻前の姓に戻り、新戸籍を作る 婚姻中の氏を使い、新戸籍を作る 婚姻前の戸籍に戻る
新戸籍作成の有無 ×(新戸籍を作るには分籍が必要)
離婚後の姓 旧姓 結婚後の姓 旧姓
子供と同じ戸籍に入るための手続 子の氏の変更許可申立て
入籍手続
子の氏の変更許可申立て
入籍手続
分籍
子の氏の変更許可申立て
入籍手続

 

④新たに住む場所を考える

離婚して現在の住居を出る場合、新たに住む場所を確保する必要があります。

1.  実家

実家に帰ることができるのであれば、一般的には、それが経済的にも生活面でも一番負担が少ない方法といえます。

長期的に同居することが難しい場合でも、一時的に身を寄せることができるだけでも助かります。

離婚専門の弁護士の中には、住宅等の法的な問題以外についても、親身に相談に乗ってくれる方がいるかと思いますので、一度相談されてはいかがでしょうか。

 

2. 賃貸住宅

実家に頼れない場合、賃貸住宅を探すことになるでしょう。

賃貸住宅に入る場合、引っ越し費用に加え、敷金、礼金、家具の購入費用などの初期費用がかかります。

場合によっては、最初に数十万円が必要となることもあります。

仕事がなかったり収入が低かったりすると、賃貸住宅を借りにくい場合があります。

ただ、これは物件によりけりですので、色々な物件について調べてみて、入居できそうなところを探してみましょう。

保証人が必要となることもありますが、保証会社に料金を払って保証人になってもらえる場合もありますので、不動産会社で聞いてみましょう。

 

3. 公営住宅

公営住宅などに入居できる場合もあります。

一般的に家賃が安く、ひとり親世帯が優先的に入居できる場合もありますので、お住いの自治体の公営住宅について調べてみるのもよいでしょう。

 

4. シェルター

DVなどがあり早急に別居したい場合、民間団体が運営しているシェルターに避難することもできるかもしれません。

地域の相談窓口や警察に相談してみましょう。

 

⑤修復の可能性を考える

離婚の準備を整えたら、最後に、もう一度夫婦関係を修復できないか話し合うのもよいでしょう。

DVや精神的虐待があるようなケースでは難しいかもしれませんが、性格の不一致が離婚したい理由、という場合には、再度の話し合いで改善する場合もあります。

「離婚することになってもよい」との覚悟をもった上で話をすると、その覚悟が相手方に伝わり、相手方も自分の態度を真摯に反省してくれることもあり得ます。

そうして、「雨降って地固まる」の言葉通り、良い夫婦関係を取り戻せる場合もあるでしょう。

もし話し合いがうまくいかなければ、そのときは準備した通りに離婚に向かって進んでいけばよいのです。

相手方の性格や状況にもよりますが、離婚の準備をした上で、そのことは言わずに、最後の話し合いをすることも、検討してみても良いと思います。

 

 

離婚をする前にしてはいけないこと

離婚する前にしてはいけないことがいくつかあります。

例を挙げると、以下のようなことがあります。

1. 適切な条件を調べずに離婚する

離婚においては親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割などの適切な条件を検討すべきです。

これらの諸条件を調べずに、焦って離婚届けを提出したり、離婚協議書・公正証書等にサインをすると、後から取り消しができず、取り返しのつかないことになるおそれがあります。

離婚する前に、できるだけ離婚専門の弁護士に相談するようにしましょう。

 

2. 証拠を集めずに行動する

例えば、不倫の事案では、不貞行為の証拠がない状況で、相手に不倫を問い詰めると、後から慰謝料を請求できなくなるおそれがあります。

仮に裁判なった場合、立証責任は被害者(不倫をされた側)になるので、相手が不倫を認めない場合、慰謝料が認めてもらえないだけでなく、離婚判決も棄却される可能性があります。

不倫だけでなく、様々な面で証拠は重要となるため、行動する前に、離婚専門の弁護士にご相談されることを強くお勧めいたします。

 

3. 不利な状況で別居する

離婚では、正式に離婚が成立する前に、別居を先にされる方がとても多いです。

しかし、よく考えずに別居すると、後から不利な立場になってしまうことがあります。

例えば、親権の取得を希望する場合に、子供をおいて自分だけ別居すると、親権で争ったときに負けてしまうかもしれません。

状況しだいではありますが、別居の前に、離婚専門の弁護士に相談し、不利になることがないかを確認されることをお勧めいたします。

上記の他に、離婚する前にしてはならないことについてはこちらをご覧ください。

 

 

離婚をスムーズに進める5つのポイント

離婚は上で解説したように大きな影響が考えられます。

したがって、離婚すると決めた場合、まず準備をしましょう

準備を十分にしたかどうかによって、離婚条件の結果にも、その後の人生にも大きな違いが出てきます。

どのように準備するか、以下でご説明します。

①離婚専門の弁護士に相談する

離婚を決めたら、離婚を切り出す前に、離婚を専門とする弁護士に相談しましょう。

それぞれの人の状況に応じて、どのように離婚準備をしたらよいかについて、アドバイスをしてくれることでしょう。

 

②別居を検討する

離婚する前に別居するかどうかも、検討する必要があります。

DVやモラハラのある事案では、早急に加害者と別居して物理的な距離を確保する必要がある場合もあります。

しかし、別居はタイミングを誤ると困ったことになる可能性があります。

親権や財産分与の基準時、立証活動などに影響があるのです。

また、別居に際し、預貯金を引き出していくかどうかも、検討すべき点です。

特に、相手方名義の貯金を引き出すと、相手方も感情的になって話し合いがこじれてしまう可能性があります。

そのため、別居するか否かを考える際には、離婚問題に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

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③離婚の成否、金銭的な問題等を検討する

上で解説したように、離婚に際しては下記について検討しておくことが必要です。

  • 相手方が離婚を拒否して裁判となっても離婚が認められそうか
  • 財産分与、慰謝料、養育費、年金分割はどうするか
  • 公的扶助を受けることができるか
  • 子供の親権者、面会交流、戸籍はどうするかなど

 

④証拠、資料の収集をする

財産分与や親権、慰謝料、養育費に関連する証拠や資料の収集も大切な準備です。

できる限り離婚を切り出す前に、もれなくそろえるようにしましょう。

 

⑤離婚協議書を作成する

離婚の条件がまとまったら、離婚協議書を作成しましょう

離婚について話し合う前でも、離婚協議書の案をあらかじめ作成しておくと、話し合いが必要な点の見落としを防ぐことができます。

離婚協議書の案を作成するときは、当事務所で公開しているひな形や自動作成機を参照してもよいですが、これらでは個々のケースの特殊性には対応できません。

一度専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 

離婚に関するQ&A

お金がないとき、離婚を諦めるべき?

離婚後の生活で不安を感じるのは、多くの場合お金の問題です。

特に、専業主婦やパートの方など、現在収入が少なく経済的に相手方に頼っている場合、離婚後は相手方からの経済的支援は大幅に減る(子供がない場合には、なくなる)ことがほとんどなので、離婚前にしっかりと計画を立てることが必要です。

離婚後の生活設計を考える際には、離婚後の収入と支出を想定し、予測家計表を作成してみるとよいです。

予測家計表を作ってみると、生活費が足りるか足りないか、足りない場合はいくら足りないか、といったことが具体的にわかります。

そうすれば、次のことが明確になり、対策が立てやすくなります。

  • どの支出なら減らすことができるか
  • 仕事からの収入をどれだけ増やす必要があるか
  • 公的扶助を受けるか
  • 慰謝料や財産分与をどれだけ確保する必要があるか

なお、当事務所では家計表のサンプル・書式をホームページ上に公開しており、無料で閲覧・ダウンロードが可能です。

 

相手に非がない場合も離婚できる?

夫婦の一方が離婚を考えるにいたる場合には、相手にも多少落ち度があるのが通常です。

しかし、不倫や暴力、暴言などの目立った落ち度まではない、ということもあろうかと思います。

むしろ、家事も負担しているし、子供の相手もしているし、経済的にもよく稼いでいて浪費もしない・・・と、世間からみれば非があるとは思えない、という場合もあるかもしれません。

しかし、そんな相手でも、結婚して生活を共にしていれば、うまく説明できなくても、なんとも言えない違和感、不快感、いらだちを感じ、離婚したいと思う場合もあります。

その背景には、暴言などとはまた違った、当事者でも意識しにくいモラハラが潜んでいる可能性もあります。

一度、相手方について不快に思う点をメモにまとめたり、日記に書いておくなどしてみましょう

客観的に状況を見てもらうため、弁護士に相談してみるのも良いと思います。

また、協議離婚であれば、相手方に目立った非がなくとも可能です。

離婚したい理由をしっかり説明できるように準備し、冷静に話してみましょう。

協議離婚をしたい場合でも、弁護士に交渉を依頼することも可能です。

一度、弁護士に相談してみるのもよいでしょう。

 

相手が離婚に応じてくれないときはどうすればいい?

相手方が離婚の協議に応じてくれない場合は、交渉を弁護士に依頼してみてはいかがでしょう?

弁護士が間に入ることで、話し合いが進むこともあります

それでも話がまとまらない場合は、裁判所に調停を申し立てることになります。

調停では、調停委員などが間に入り、双方が合意できるように話し合いをサポートしてくれます。

調停でも決着がつかなければ、訴訟をすることになります。

調停でも訴訟でも、相手方が応じてこないからといって手続が止まってしまうことはありません。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

 

離婚を切り出すタイミングは?

まず、注意しなければならないのは、一時的な感情で「離婚」という言葉を口にすべきではないということです。

離婚という言葉を発すると、後に戻ることができなくなるおそれがあります。

したがって、離婚意思が固まった後に、離婚を切り出すべきです。

具体的なタイミングについてはケースによって異なります。

例えば、DVやモラハラ被害者の方については、別居日を打ち合わせておき、その日に弁護士から連絡文書(協議離婚の申入書)が届くようにすることがあります。

また、離婚を切り出す前に、必要な証拠を準備しなければならないケースもあります。

そのため、くわしくは離婚に強い弁護士に相談なさった方がよいでしょう。

 

 

まとめ

離婚したいと思ったときにすべきことなどについて解説しました。

離婚したいときもっとも重要なことは、それがあなたにとってベストな選択肢かを適切に判断するということです。

そのためには離婚するメリットやデメリットをご自身の状況に照らして検討することが必要となります。

また、離婚するときには、様々な準備が必要です。

金銭的なこと、子供の親権や面会交流のこと、別居のタイミング・・・など、色々なことを考えなければなりません。

離婚専門の弁護士は、こうした離婚の準備について豊富な経験があり、適切なアドバイスをすることが可能です。

当事務所には離婚事件に注力する弁護士のみで構成される専門チームがあり、離婚したいと思っている方々を強力にサポートしています。

離婚したいと思ったら、一度当事務所の離婚弁護士までお気軽にご相談ください。

 

 

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