交通事故で慰謝料は請求できるんですか?
慰謝料とは、生命・身体・自由・名誉・貞操などが不法に侵害され、精神的苦痛を受けた場合に請求することができる損害賠償金のことです。
もっとも、交通事故であっても物損の場合には、原則として慰謝料は認められません。
物損の場合、侵害される利益が財産権である以上、損害も財産的損害に限られるからです。ただし、例外的に物損事故でも慰謝料が認められる場合があります。
物損事故の慰謝料については、こちらをご覧ください。
交通事故の慰謝料
- 傷害慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 死亡慰謝料
それぞれについて簡単に説明します。
傷害慰謝料
傷害慰謝料とは、交通事故によって負傷し入通院した場合に発生します。
ここでいう傷害とは、身体的に負傷した場合に限られず、精神的・心理的に疾患が生じた場合も含まれています。
具体的な計算方法は、総治療期間や入院日数・通院日数で計算することになります。
詳しくはこちらをご覧ください。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故により負傷し、一定期間治療をしても痛みが残存した場合などに発生します。
後遺障害には、その症状の程度により、等級が定められており、損害保険料算出機構に属する自賠責保険調査センター調査事務所という機関が認定しています。
等級には、1級から14級まで区分されています(1級が最も症状が重いものであり、そこから等級の数字が上がるにつれて症状が軽くなる)。
例えば、視力障害に関しては、事故によって両目が失明した場合には1級、片目の視力が0.6以下になった場合には13級となります。
そして、具体的な金額(裁判基準)としては、14級の110万〜1級の2800万円までが目安となります。
各等級の具体的慰謝料金額については、こちらをご覧ください。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、交通事故により死亡した場合に発生します。
死亡慰謝料は、亡くなった方の立場によって金額が変わってきます。
例えば、世帯の収入源となっているお父さん(一家の支柱)が交通事故で亡くなった場合には、2800万円程度の慰謝料が目安となります。
これに対して、独身の方や子どもが交通事故で亡くなった場合には、2000万円〜2500万円が目安となるのです。
もっとも、これらの金額は、あくまで「目安」に過ぎず、具体的な事情によって変動します。
例えば、裁判例では、娘が9歳の時に離婚し、以降娘が17歳になるまで扶養してきた兼業主婦(49歳)が死亡した事案については、本人分の慰謝料2600万円、娘の慰謝料分400万円、合計3000万円が認められています(東京地判平成17年7月12日交民38.4.938)。
以上のように、事案によっては、認められる死亡慰謝料の額が目安と異なることもあります。
さらに詳しい説明については、こちらをご覧ください。
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