交通事故の慰謝料は過失割合で変わる?シミュレーター付

執筆者:弁護士 北御門晋作 (弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士)

交通事故の慰謝料は過失割合の影響を受けます

交通事故の慰謝料には被害者の状況に応じて、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料という3つの慰謝料があります。

その3つの慰謝料はいずれもが、被害者の過失割合(落ち度の程度)によって、減額されます。

そのため、適切な慰謝料を受け取るために、過失割合についても適切な割合を前提にするように交渉を行う必要のあるケースもあります。

以下では、交通事故の慰謝料は過失割合でどのように変わるか、シュミレーター付で詳しく解説していますので、参考にされてください。

交通事故の慰謝料は過失割合で変わる?

交通事故の慰謝料は、過失割合で変わります

被害者に過失がある場合には、その過失割合に応じて慰謝料が減額される仕組みです。

例えば、被害者に20%過失がある場合には、慰謝料は20%減額されることになります。

 

 

交通事故慰謝料と過失割合との関係

交通事故の慰謝料とは?

交通事故の慰謝料とは、交通事故によって被害者が受けた精神的苦痛に対する賠償金のことを言います。

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つがあります。

入通院慰謝料は、交通事故の被害者が怪我をして、入院や通院を余儀なくされたことについての精神的苦痛に対する賠償金です。

後遺障害慰謝料とは、交通事故の被害者が治療をしたにもかかわらず、後遺障害が残ってしまい、仕事や家事、日常生活に大きな支障が生じたという精神的苦痛に対する賠償金です。

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に認定された場合に限り支払ってもらえます。

死亡慰謝料は、被害者の、自身が死亡してしまったという精神的苦痛に対する賠償金です。

具体的に交通事故慰謝料の相場や計算方法を知りたい方は、以下のページをご覧ください。

 

過失割合とは?

過失割合は、交通事故について被害者と加害者の落ち度がそれぞれどの程度かを割合で示したものです。

交通事故が原因で発生した損害は、賠償金として補償されることになりますが、その賠償金が、過失割合に応じて減額されることになります。

過失割合がどのようにして決まっていくのかについて詳しくはこちらをご覧ください。

過失相殺とは?

被害者に過失がある場合には、その割合分について慰謝料を含む賠償金が減額されることになります。

こうした減額を過失相殺といいます。

被害者の過失が大きいほど減額も大きくなるので、過失割合について交渉を行うことも重要です。

 

 

過失割合の影響を慰謝料シミュレーターで簡単に計算

慰謝料は過失割合の影響を受けると言っても、そもそもの慰謝料の適切な相場がわからないと、過失相殺によって何円くらいの影響を受けるか検討することができません。

そこで、過失割合の影響について、慰謝料シミュレーターを活用いただき、過失割合の影響のご判断に役立てていただければと思います。

慰謝料シミュレーターはこちらのリンクに掲載しています。

 

 

過失割合で慰謝料はどの程度変わる?具体例を紹介

交通事故の過失割合が10対0のときの慰謝料

交通事故の過失割合が10対0のときの慰謝料は、過失相殺により減額されることはありません

交通事故の過失割合が10対0の場合は車対歩行者で歩行者の行動に問題がない場合や、車対車でもセンターラインオーバーなど加害者が通常あり得ない運転をしている場合です。

具体的にどのような事故であれば、10対0となるかについてはこちらをご覧ください。

 

交通事故の過失割合が9対1ときの慰謝料

交通事故の過失割合が9対1の時の慰謝料は、過失相殺により10%減額されます

交通事故の過失割合が9対1の場合は車対自転車での巻き込み事故や、車対車では優先道路での直進車同士の衝突事故のような加害者の過失が非常に重い運転をしている場合です。

具体的にどのような事故の場合に、9対1となるかについてはこちらをご覧ください。

 

交通事故の過失割合が8対2ときの慰謝料

交通事故の過失割合が8対2の時の慰謝料は、過失相殺により20%減額されます

交通事故の過失割合が8対2の事故とは、歩行者が信号のない道路を横切っている時の事故や、車対車では一時停止無視での直進車同士の衝突事故のような加害者の過失がかなり重い運転をしている場合です。

具体的にどのような事故の場合に、8対2となるかについてはこちらをご覧ください。

 

交通事故の過失割合が7対3ときの慰謝料

交通事故の過失割合が7対3の時の慰謝料は、過失相殺により30%減額されます

交通事故の過失割合が7対3の事故には、歩行者が黄色信号で横断をしているところに黄色信号で右折をした車と衝突した場合や、車対車では一方が明らかに広い道路での直進車同士の衝突事故のような加害者の過失がそれなりに重い運転をしている場合です。

 

交通事故の過失割合が6対4ときの慰謝料

交通事故の過失割合が6対4の時の慰謝料は、過失相殺により40%減額されます

交通事故の過失割合が6対4の事故には、歩行者が赤信号無視をしているところに黄色信号で右折をした車と衝突した場合や、車対車では双方黄色信号での直進車と右折車の衝突事故のような加害者の過失が被害者の過失よりもやや重い運転をしている場合です。

 

交通事故の過失割合が5対5ときの慰謝料

交通事故の過失割合が5対5の時の慰謝料は、過失相殺により50%減額されます

交通事故の過失割合が5対5の事故には、歩行者が夜間車道で寝転んでいるところを車が轢いた場合や、車対車で同じような道路の幅での直進車同士の衝突事故のような双方ともに同じくらいの過失のある運転をしている場合です。

 

過失割合に納得がいかない、どうすればいい?

過失割合について納得がいかない場合、自分の主張をきっちりとまとめて加害者や加害者側の保険会社と交渉をすべきです。

過失割合は、受け取ることのできる慰謝料に大きな影響があります

そのため、きっちり過失割合について交渉を行うことが大事です。

交渉とは、ただただゴネるのではなく、保険会社の言っていることについて、どこがおかしいかをきっちり指摘し、こちらの主張が正しいことをわかってもらうことが重要になります。

こちらの主張が正しいことをわかってもらうためには、しっかりとした証拠や、その証拠がこちらの主張がどのように正しいと示すのかを論理的に説明する必要があります。

そのような説明、証拠の収集は、被害者本人でも可能ですが、とても大変であり、適切な賠償額を獲得できないリスクがあります。

したがって、過失割合について納得がいかない場合には、どのように交渉を行うべきかや、見通しについて交通事故に詳しい弁護士に一度は相談をしておくことをお勧めします

過失割合の交渉の方法については、こちらをご覧ください。

 

 

自賠責も交通事故の慰謝料は過失割合に影響を受ける?

結論として、自賠責も交通事故の慰謝料も、被害者の過失が70%以上と大きいの場合には、減額されます

自賠責保険とは、自動車(原動機付き自転車も含む)を公道で運転する際に、加入が必須の保険で、未加入の場合には、罰則まで予定されています。

このように強制加入である自賠責保険は、交通事故被害者に対する最低限の補償を行う保険でもあります。

そのため、被害者に大きな過失がない場合には、慰謝料を含む賠償金が減額されることはありません

もっとも、被害者の過失が70%を超える大きな過失がある場合には、被害者にも落ち度が大きいとして、減額されることになります。

減額の割合は、被害者の過失に応じて、以下の表のとおりに減額されます。

被害者の
過失割合
減額の割合
後遺障害
又は死亡
傷害のみ
70%未満 減額なし
70%〜80%未満 20%減額 20%減額
80%〜90%未満 30%減額
90%〜100%未満 40%減額

なお、被害者に100%の過失がある場合とは、その事故の原因は、もっぱら被害者にあることになりますので、自賠責からの補償はありません。

自賠責保険からの慰謝料について詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

交通事故の過失割合の影響を受けるのは慰謝料だけではない!

交通事故の過失割合の影響を受けるのは慰謝料だけではありません。

治療費や休業損害といった慰謝料以外の賠償項目についても、過失相殺の影響を受けます

 

慰謝料以外で影響を受ける損害項目について

過失割合の影響を受けるのは、慰謝料だけではなく、賠償金全体です。

賠償金の代表的な項目を以下の表にまとめております。

上記の内訳表はあくまで代表的な賠償義務の項目になりますので、記載がないものも請求できる可能性があります。

 

休業損害

休業損害とは、事故によって負った怪我が原因で仕事ができなかった場合、その収入減少に対する賠償です。

休業損害は、被害者の生活に直結するため、保険会社が前払いの対応をすることがあります。

そのような場合には、過失割合に応じて、最終の示談のタイミングで休業損害を清算することになります。

具体例 治療費100万円、休業損害50万円、慰謝料100万円、過失割合10%(治療費、休業損害は受領済み)

損害額合計

治療費100万円 + 休業損害50万円 + 慰謝料100万円 = 250万円
250万円 – 過失相殺10% = 225万円

受領済み治療費、休業損害合計150万円

225万円 – 150万円 = 75万円(最終の示談のタイミングで受け取れる金額)
※休業損害の50万円のうち5万円、治療費100万円のうち10万円、慰謝料100万円のうち10万円が引かれたのと同じ計算になります。

実質的には、休業損害に関する過失割合に応じた5万円の精算を行っています。

休業損害について詳しくはこちらをご覧ください。

 

逸失利益(いっしつりえき)

逸失利益は、事故がなければ将来得られたはずだった収入減少に関する賠償金です。

交通事故により被害者が死亡した場合や後遺障害が認定された場合に請求することができます

死亡の逸失利益とは、被害者が事故に遭うことなく、生きていれば将来収入を得られたはずなのに、事故によってそれが失われたという意味です。

死亡の逸失利益は、そのような失われた収入に対する賠償金です。

後遺障害の逸失利益とは、被害者が事故で後遺障害を負うことがなければ、従来通りの収入を得られたはずなのに、事故によってそれが失われたという意味です。

後遺障害の逸失利益は、そのような収入減少に対する賠償金です。

これらの逸失利益についても過失相殺の影響を受けることになります。

なお、後遺障害の逸失利益は、症状固定(治療の効果が見られなくなった)時以後のものになります。

それ以前の収入減少は、休業損害として賠償の対象となります。

逸失利益について詳しくはこちらをご覧ください。

 

治療費などの積極損害

治療費などの積極損害も過失相殺の対象となります

積極損害とは、事故によって余計な支出を余儀なくされたことに対する賠償金です。

積極損害の代表的なものとして、治療費、交通費実費、葬儀費用があげられます。

その中でも治療費については、相手方任意保険会社が被害者に代わって治療費を支払っているケースがあります(このような保険会社の対応を「一括対応」と言います。)。

一括対応がなされている場合、過失割合に応じて、治療費相当金額を清算することになります

具体例 治療費150万円、休業損害100万円、慰謝料150万円、過失割合20%(治療費、休業損害は受領済み)

損害額合計

治療費150万円 + 休業損害100万円 + 慰謝料150万円 = 400万円
400万円 – 過失相殺20% = 320万円

受領済み治療費、休業損害合計250万円

320万円 – 250万円 = 70万円(最終の示談のタイミングで受け取れる金額)
※休業損害の100万円のうち、20万円、治療費150万円のうち30万円、慰謝料150万円のうち30万円が引かれたのと同じ計算になります。

実質的には、保険会社が立て替えた治療費のうち、過失割合に応じた30万円の精算も行っています。

積極損害とはどのようなものかについて詳しくは、こちらをご覧ください。

 

いくらもらえる?シミュレーターで計算しよう!

ここまで、例をあげてご説明してきました。

ですが、事故によって各項目の賠償金額はさまざまです。

そこで、具体的にどのような金額がもらえるかイメージをするためにシミュレーターで算定することをお勧めします。

シミュレーターはこちらにあります。

 

 

過失割合で損をするNG行動の例

事故の被害にあった場合には、適切な賠償を受けるべきです。

そのために、過失割合に関して損をする行動をしてしまっているかもしれません。

過失割合でのNG行動として代表的なものは以下のとおりです。

過失割合で損をするNG行動

 

警察への届出を適切に行わない

交通事故の後に、警察に届出をする場合、適切な対応して、いいかげんな申告をすることは避けておくべきです。

警察へ届出をすると、物件事故の場合は、物件事故報告書、人身事故の場合は、実況見分調書という書類が作成されます。

一番の違いは、警察が作成する事故に関する報告書がどの程度詳細になるかという点になります。

人身事故の際に作成される実況見分調書の方が詳細に記載されますので、怪我がある場合には、人身事故でしっかりと届け出ましょう

また、警察からの詳細な聞き取りを面倒に思い、適切な申告をしないと、事実が記載された調書でなくなってしまう危険があります。

面倒かもしれませんが、警察からの聞き取りにもしっかり対応して、事実をが記載された調書を作成してもらうようにするべきです。

 

安易に示談を成立させてしまう

交通事故の被害者になった場合、治療を終了すると、加害者側保険会社から示談案が送付されます。

保険会社も営利団体ですので、可能な限り保険金を支払いたくはありません。

加害者側保険会社の示談案は、保険会社にとって都合の良いものとなっている可能性があります

そのため、保険会社の提案のまま安易に示談を成立させるべきではないでしょう。

保険会社の示談案が妥当かどうかについては、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。

 

目撃者の連絡先を聞かない

目撃者の連絡先を聞かないのもNG行動です。

目撃者がいる場合には、今後、重要な証拠となりますので、目撃者の連絡先も聞いておくべきでしょう

目撃者の協力が得られる場合、強力な証拠となるケースもあります。

 

過失割合そのものにこだわりすぎる

過失割合そのものにこだわりすぎるのもNG行動になります。

過失割合にこだわるよりも、慰謝料や休業損害の項目の増額を了承してもらう方が経済的にメリットが大きい場合もあります

例を挙げて説明します。

増額交渉前)保険会社からの賠償案
項目 金額
治療費(保険会社が病院へ支払い済み) 40万円
休業損害 40万円
交通費 10万円
慰謝料 60万円
損害合計金額 150万円
過失割合 被害者10%
加害者の賠償金額合計 135万円
支払い済み(治療費) 40万円
支払い金額 95万円
パターン1)過失割合が変わらず、慰謝料が80万円、休業損害が50万円に増額するパターン
項目 金額
治療費(保険会社が病院へ支払い済み) 40万円
休業損害 50万円
交通費 10万円
慰謝料 80万円
損害合計金額 180万円
過失割合 被害者10%
加害者の賠償金額合計 162万円
支払い済み(治療費) 40万円
支払い金額 122万円(27万円増額)
パターン2)過失割合が被害者5%まで減り、そのほかの内容は同じパターン
項目 金額
治療費(保険会社が病院へ支払い済み) 40万円
休業損害 40万円
交通費 10万円
慰謝料 60万円
損害合計金額 150万円
過失割合 被害者5%
加害者の賠償金額合計 142万5000円
支払い済み(治療費) 内容
支払い金額 102万5000円(7万5000円増額)

パターン1とパターン2を比較すると、パターン1の方が被害者が最終的に受け取れる金額が多いことがわかります。

実際の交渉においては、過失割合、賠償金総額の両方とも交渉を行い、過失相殺にこだわることなく柔軟に賠償金の交渉を行うことによって、最終的に受け取れる金額が高くなるように進めます。

 

 

交通事故被害者が適正な賠償金を受け取る6つのポイント

交通事故被害者が適切な賠償金を受け取るためには、過失割合についてきちんと交渉を行うことは重要ですが、そのほかにも大事なことがあります。

適切な賠償金を受け取るための6つのポイントはこちらになります。

適正な賠償金を受け取る6つのポイント

 

①事故後、体の異常を感じたら、すぐに病院で診察を受ける

事故直後に、体の異常を感じたら、すぐに病院で診察を受けるべきです。

事故で体をどこかにぶつけたり、揺さぶられたりした場合には、念のために一度病院で検査することもお勧めします。

事故直後は、「ほとんど何もないから病院は行かなくて良い」と考えていても、しばらく時間が経つと、強い痛みが出てきてしまうこともあります。

事故から数週間経って病院で診察を受けても、相手方の保険会社から「事故と怪我や治療の関係性が認められない」として治療費の支払いが拒否される可能性もあります

そうならないためにも、事故直後に体の異常を感じたらすぐに病院で診察を受けるべきです。

また、早期に症状を発見することによって適切な治療を受けることにもつながります

 

②適切な治療を継続して行う

病院で診察を受けた後には、必要に応じて適切な治療を受けることが肝心です。

主治医の指示に従って、継続して治療を行うことが何よりも回復につながります

仕事や家事が忙しいなどの事情があったとしても、治療頻度が少ない場合には、「症状が軽かったとして賠償金を減額すべきである。」などと保険会社から争われる可能性があります

また、入通院慰謝料は、治療の期間が長期になるほど高額になるため、適切な額の慰謝料を獲得するためにも、しっかりと治療を行う必要があります。

もっとも、治療は、身体の回復のために行うものですので、賠償金を目的に、必要がないのに毎日通院することはやめておくべきです。

通院と慰謝料の関係について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

③後遺障害を適切に認定してもらう

適切な賠償金を獲得するためには、後遺障害申請を行い、適切な等級で認定を受けることが重要です。

早期の検査や適切な治療を継続することは、適切な後遺障害等級を獲得するために向けられたものでもあります。

認定される後遺障害の等級によって、労働能力喪失率や後遺障害慰謝料が変わります

それでは、例をあげてどれほどの違いがあるかをご説明いたします。

基礎収入(年収)500万円の42歳のケースで、背中に運動障害が残った場合の8級とそれが著しい場合の6級を比較します。

8級の場合 6級の場合
後遺障害逸失利益 3917万9475円 5833万3885円
後遺障害慰謝料 830万円 1180万円
合計 4747万9475円 7013万3885円
差額 7013万3885円 – 4747万9475円
= 2265万4410円

上記の例では、背中に運動障害が残った場合とそれがさらに「著しい」とされた場合を比較すると2000万円以上の差があります。

このように適切な賠償金を獲得するためには、後遺障害を適切に認定してもらうことが重要になります。

後遺障害が認定された場合に請求できる賠償の項目について詳しくはこちらをご覧ください。

 

④適切な賠償金の金額を算定する

交通事故における慰謝料とは交通事故で怪我をした人の精神的な苦痛に対する賠償金です。

痛みの状況や、感じ方については人それぞれのため、入院・通院の期間や、後遺障害の等級を基準として、計算される相場があります。

この相場が、慰謝料の計算における弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準といった各基準になります。

自賠責基準

自賠責基準は、自賠責保険が設定をした基準で、最低限度の補償の基準でもあります。

加害者が任意保険に加入しておらず、賠償金を支払わない場合には、まず自賠責保険に請求して、自賠責保険基準での賠償を回収することが多いです。

任意保険基準

この基準は、任意保険会社が独自で設定している基準です。

加害者が任意保険に加入しており、かつ、弁護士に依頼していない場面での相場になります。

この基準は、各任意保険会社が独自に作成し公開されていないため詳細は不明ですが、概ね自賠責基準に少し加算された金額が基準とされているようです

弁護士基準

この基準は、裁判基準とも言われ、裁判をした場合の入通院慰謝料の相場です。

弁護士が介入した状況では、この基準を使用して交渉に臨みます。

一番適切な基準とも言えるでしょう

適切な賠償金についてのシミュレーションはこちらのページをご参照ください。

 

⑤加害者側が提示する示談内容は専門家に確認してもらう

治療終了後、後遺障害認定結果が決定した後には、加害者側の保険会社から賠償案が送付されます。

保険会社の送付する賠償案は、ほとんどの場合、任意保険会社基準で計算されたものになります。

先ほどご説明しましたとおり、任意保険会社基準は、弁護士の提示する弁護士基準と比べると少額になります

そのため、合意前に一度は、賠償金が適切かどうか、場合によっては、交通事故に詳しい弁護士が代理人として交渉を行うべきか確認された方が良いでしょう。

しかし、免責証書にサインをして、相手方任意保険会社へ送付している場合には、弁護士が代理人となって交渉を行うことは不可能となります

免責証書にサインをして、相手方保険会社へ送付した段階で、「保険会社の案に応じます。」という意思表示を行なったことになるためです。

そのため、加害者側が提示する示談内容は専門家に確認してもらい、場合によっては、交通事故に詳しい弁護士に依頼をすべきでしょう。

弁護士による示談の内容について詳しくはこちらをご参照ください。

 

⑥後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談する

後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談することも適切な賠償金を獲得するために大事です。

早い段階で後遺障害に詳しい弁護士に相談しておくと、早い段階から、今後の流れや、適切な治療や適切な賠償金を受けるための方針を打ち合わせることができます

そのため、後遺障害に詳しい弁護士に早い段階で相談するべきでしょう。

 

 

交通事故の過失割合と慰謝料に関するQ&A

過失割合でゴネた方が得ですか?

被害者であっても、加害者であっても過失割合でゴネた方が特になるということはありません。

被害者の場合、加害者の場合それぞれについて回答いたします。

被害者の場合

被害者の場合、ゴネることに集中するあまり、妥協した方が良いラインを見誤り返って損をすることもあります

また、ゴネる時に、強い発言をすると、脅迫と捉えられたりして、不利益を被る可能性すらあります。

もちろん、保険会社が不当な過失割合を主張していることは少なくはありませんので、過失割合について気になる方は、一度、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

加害者の場合

加害者の場合、賠償金を値切るためにゴネると、早期解決を逃したり、裁判となったりしてしまう可能性があります

加害者にとって、早期解決については、単に早く交渉が終わるというだけではなく、すぐに〇〇円を払うため、少し割り引いてくれないかという打診を行うこともできますので、大きなメリットとなります。

また、あまりにゴネると、被害者側から裁判を起こされる可能性があります。

特に被害者が弁護士に依頼をしている場合には、ゴネることによって何かを譲るということは期待できませんので、ごね得となるケースは少ないです。

被害者にも多少なりとも過失があると思っている場合、賠償金が高いと思った場合には、一度、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

 

交通事故の過失割合は誰が決めるの?

交通事故の過失割合は、実務的には、保険会社と被害者(の委任する弁護士)が合意のもと決めることが多いです。

過失割合を含む示談について被害者側・加害者側の双方の合意ができない場合には裁判を行い、裁判所が過失割合を決定することもあります。

過失割合の考え方は、基本的には、以下の表のとおりです。

過失割合の考え方

事故態様を決定する

どの類型に該当するかを確定する
(民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版 別冊判例タイムズ38号 別冊38号を参照するケースが多いです。)
※上記書籍に加えて類似の裁判例も調査・検討を行います。

修正要素の有無を確定する

過失割合が決定する

被害者から委任を受けた弁護士や保険会社は、上記の思考過程をそれぞれの考えをまとめます。

それぞれの考えについて、双方ぶつけ合い、今回のケースでは、どの割合が妥当かどうかを交渉して、最終的には過失割合を双方合意することを目指します

弁護士がどのように交渉を行うか、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

 

まとめ

ここまで、交通事故の慰謝料が過失割合で変わることについて詳しく説明しました。

慰謝料の金額は、被害者の過失割合に応じて減額されます。

後遺障害が残ったり、通院が長期間になったりした場合には、慰謝料の金額も大きくなり、それに応じて過失割合の影響を大きく受けることになります。

そのため、適切な慰謝料を受けるためには、過失割合についてしっかりと交渉をすることが重要です。

このような交渉を被害者自身で行うのは、精神的にも負担がありますし、専門的な知識も必要とします。

そのため、過失割合について気になることがある場合には、一度は交通事故に詳しい弁護士に相談をするべきです。

当事務所は、交通事故をはじめとする人身障害に特化した部を編成し、交通事故被害者に対して協力にサポートを行います。

また、当事務所は、オフィスでの対面での相談はもちろん、ZoomやLine、FaceTimeを使用したオンライン相談にも対応し、全国どこからでもご相談が可能です。

交通事故の事案に関しましては、初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。

 

 

慰謝料


 
賠償金の計算方法

なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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