交通事故で通院6ヶ月|慰謝料計算や相場、むちうちの場合も解説

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

6ヶ月通院した場合の慰謝料の相場

6ヶ月通院した場合の慰謝料の1日単価
裁判基準 自賠責保険基準
1日の単価 6444円(重症)
4944円(軽症)
4300円

通院1日あたりの慰謝料はいくら?

自賠責保険基準の場合

自賠責保険基準では、1日4300円と決まっています。

 

任意保険基準

任意保険基準は、現在は公表されていません。

多くの場合、任意保険会社は、自賠責保険基準と同等か少し上乗せした金額を被害者に提示しています。

 

弁護士基準

弁護士基準は、通院期間によって慰謝料が変動していくため、1日単価も通院期間によって変動します。

例えば、6ヶ月の慰謝料額は骨折・脱臼がある重症の場合は116万円、むちうち・打撲などの軽症の場合には89万円です。

したがって、1日単価は、骨折・脱臼がある重症の場合は6444円、むちうち・打撲などの軽症の場合には4944円です。

 

実通院日数と慰謝料額は比例する?

通院日数が増えれば増えるほど慰謝料の金額が増額されると勘違いされているケースもありますが、そんなことはありません。

弁護士基準の場合、通院頻度が少ない場合には通院実日数の3.5倍(むちうちの場合は3倍)に通院期間が修正されることはありますが、週に2、3回程度通院していれば、こうした修正はされません。

また、自賠責保険の基準でも以下で紹介する計算方法から分かるように、通院期間の半分の日数を通院すれば満額の支払いを受けることができます。

このように、通院すればするほど比例して慰謝料の金額が高額になるということはありません。

 

 

交通事故における慰謝料とは

慰謝料は他人に精神的苦痛を負わされた場合に請求できる賠償金です。

交通事故にあった場合の慰謝料は3つあります。

傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3つです。

交通事故の3つの慰謝料
傷害慰謝料
入院や通院した場合に請求できる慰謝料
後遺障害慰謝料
交通事故により後遺障害が残っていしまった場合に請求できる慰謝料
死亡慰謝料
交通事故により亡くなってしまった場合の慰謝料

6ヶ月の通院の場合には、傷害慰謝料と後遺障害の認定があれば後遺障害慰謝料も請求することができます。

 

慰謝料の基準は3つ

慰謝料の計算方法には3つの基準があります。

自賠責保険に請求した場合に用いられる自賠責保険基準、任意保険会社が独自に設定している任意保険基準、弁護士が介入した場合に用いる弁護士基準の3つがあります。

弁護士基準は、裁判になった場合に裁判所が用いる基準でもあるため裁判基準とも言われています。

3つの基準の中で弁護士基準が最も高い水準の基準です。

 

 

慰謝料早見表

以下は、自賠責保険基準と弁護士基準の慰謝料の金額を重症の場合と軽症の場合で表にしたものです。

重傷(骨折・脱臼等がある)場合

通院期間 自賠責基準 弁護士基準
1ヶ月 12万9000円 28万円
2ヶ月 25万8000円 52万円
3ヶ月 38万7000円 73万円
4ヶ月 51万6000円 90万円
5ヶ月 64万5000円 105万円
6ヶ月 77万4000円 116万円

※自賠責基準は、通院期間の半分以上通院している前提で計算しています。半分以下の場合には、通院実日数の2倍の日数 × 4300円で計算します。

軽傷(むちうち、打撲など)の場合

通院期間 自賠責基準 弁護士基準
1ヶ月 12万9000円 19万円
2ヶ月 25万8000円 36万円
3ヶ月 38万7000円 53万円
4ヶ月 51万6000円 67万円
5ヶ月 64万5000円 79万円
6ヶ月 77万4000円 89万円

※自賠責基準は、通院期間の半分以上通院している前提で計算しています。半分以下の場合には、通院実日数の2倍の日数 × 4300円で計算します。

 

慰謝料額の計算例(通院6ヶ月で計算した場合)

自賠責基準の慰謝料計算例

自賠責保険基準による慰謝料の計算式は以下のとおりです。

対象日数 × 4300円 = 慰謝料金額

対象日数は、通院期間の日数と通院実日数の2倍の日数を比較して少ない日数となります。

自賠責保険基準の場合、ケガが重症か軽症かで計算方法に違いはありません。

では、以下の2つの具体例で説明します。

具体例① 通院期間180日(6ヶ月)、通院実日数が100日の場合

100日(通院日数)× 2 = 200日 > 180日(通院期間)

となるため180日が対象日数となります。

したがって、慰謝料金額は下記の計算式のとおり、77万4000円となります。

180日 × 4300円 = 77万4000円

具体例② 通院期間180日(6ヶ月)、通院実日数が70日の場合

70日(通院日数) × 2 = 140日 < 180日(通院期間)

となるため、140日が対象日数となります。

したがって、慰謝料金額は下記の計算式のとおり、60万2000円となります。

140日 × 4300円 = 60万2000円

 

任意保険会社の計算例

任意保険基準は、各保険会社が独自で運用している基準であり、現在は公表されていません。

過去に公表されている統一基準がありましたが、過去の話であり、その基準での賠償額を確認する意味は乏しいため割愛します。

参考までに過去の統一基準の表を以下に載せています。

【旧任意保険基準】

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月 9ヶ月 10ヶ月
通院 25.2 50.4 75.6 95.8 113.4 113.4 128.6 141.2 152.4 162.6
1ヶ月 12.6 37.8 63.0 85.6 104.7 120.9 134.9 147.4 157.6 167.6 173.9
2ヶ月 25.2 50.4 73.0 94.6 112.2 127.2 141.2 152.5 162.6 171.4 176.4
3ヶ月 37.8 60.4 82.0 102.0 118.5 133.5 146.3 157.6 166.4 173.9 178.9
4か月 47.8 69.4 89.4 108.4 124.8 138.6 151.3 161.3 168.9 176.4 181.4
5ヶ月 56.8 76.8 95.8 114.6 129.9 143.6 155.1 163.8 171.4 178.9 183.9
6ヶ月 64.2 83.2 102.0 119.8 134.9 147.4 157.6 166.3 173.9 181.4 185.4
7ヶ月 70.6 89.4 107.2 124.3 136.7 149.9 160.1 168.8 176.4 183.9 188.9
8ヶ月 76.8 94.6 112.2 128.6 141.2 152.4 162.6 171.3 178.9 186.4 191.4
9ヶ月 82.0 99.6 116.0 131.1 143.7 154.9 165.1 173.8 181.4 188.9 193.9
10ヶ月 87.0 103.4 118.5 133.6 146.2 157.4 167.6 176.3 183.9 191.4 196.4

 

弁護士基準の計算例

弁護士基準は、通称「赤い本」(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編))に掲載されている基準に従って計算します。

表は2つあり、重症(骨折や脱臼等)の表と軽症(むちうち、打撲等)の表があります。

【骨折脱臼など重症の場合に使用する表】

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284 297 306 314 321 328 334 340
1月 28 77 122 162 199 228 252 274 291 303 311 318 325 332 336 342
2月 52 98 139 177 210 236 260 281 297 308 315 322 329 334 338 344
3月 73 115 154 188 218 244 267 287 302 312 319 326 331 336 340 346
4月 90 130 165 196 226 251 273 292 306 316 323 328 333 338 342 348
5月 105 141 173 204 233 257 278 296 310 320 325 330 335 340 344 350
6月 116 149 181 211 239 262 282 300 314 322 327 332 337 342 346
7月 124 157 188 217 244 266 286 304 316 324 329 334 339 344
8月 132 164 194 222 248 270 290 306 318 326 331 336 341
9月 139 170 199 226 252 274 292 308 320 328 333 338
10月 145 175 203 230 256 276 294 310 322 330 335
11月 150 179 207 234 258 278 296 312 324 332
12月 154 183 211 236 260 280 298 314 326
13月 158 187 213 238 262 282 300 316
14月 162 189 215 240 264 284 302
15月 164 191 217 242 266 286

引用元:赤い本 別表Ⅰ 入通院慰謝料基準|日弁連交通事故相談センター

 

【むちうちや打撲など軽症の場合に使用する表】

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 13月 14月 15月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176 186 195 204 211 218 223 228
1月 19 52 83 106 128 145 160 171 182 190 199 206 212 219 224 229
2月 36 69 97 118 138 153 166 177 186 194 201 207 213 220 225 230
3月 53 83 109 128 146 159 172 181 190 196 202 208 214 221 226 231
4月 67 95 119 136 152 165 176 185 192 197 203 209 215 222 227 232
5月 79 105 127 142 158 169 180 187 193 198 204 210 216 223 228 233
6月 89 113 133 148 162 173 182 188 194 199 205 211 217 224 229
7月 97 119 139 152 166 175 183 189 195 200 206 212 218 225
8月 103 125 143 156 168 176 184 190 196 201 207 213 219
9月 109 129 147 158 169 177 185 191 197 202 208 214
10月 113 133 149 159 170 178 186 192 198 203 209
11月 117 135 150 160 171 179 187 193 199 204
12月 119 136 151 161 172 180 188 194 200
13月 120 137 152 162 173 181 189 195
14月 121 138 153 163 174 182 190
15月 122 139 154 164 175 183

引用元:赤い本 別表Ⅱ 入通院慰謝料基準|日弁連交通事故相談センター

よこ列が通院期間で、たて列が入院期間です。

通院のみの場合には一番左の縦列の数字と通院期間の横列が交わる数字が慰謝料です。

入院と通院がある場合には、各期間のたて列とよこ列が交わる数字が慰謝料です。

1ヶ月は30日として考えます。例えば120日は4ヶ月です。

具体例① 骨折を負う重症で、6ヶ月間(入院30日、通院150日)の入通院をした場合

この場合の慰謝料は上記の重症の表から、入院1ヶ月の縦列と通院5ヶ月の横列が交わる「141」万円が慰謝料となります。

具体例② むちうちで、6ヶ月(入院0日、通院期間180日)の通院をした場合

この場合の慰謝料は、上記の軽症の表から、一番左の縦列と6ヶ月の横列が交わる「89」万円が慰謝料となります。

 

端数がある場合は?

例えば、通院期間135日の場合はどのように計算するのでしょうか。

この場合、日割りで計算します。

軽症の場合、120日(4ヶ月分)は67万円で150日(5ヶ月分)は79万円で差額は12万円です。

この12万円を日割り計算するのです。

つまり、12万円 × (15日 ÷ 30日)= 6万円を加算します。

よって、135日の慰謝料金額は下記の計算式のとおり73万円となるのです。

67万円(120日分) + 6万円(15日分)= 73万円

 

 

適切な慰謝料を受け取るためのポイント

医師の指示に従い通院する

これまで説明したとおり、慰謝料の金額は通院の期間や頻度で決まります。

したがって、治療が必要であるのに我慢して病院に行かないのは得策ではありません。

医師の指示に従い治療を継続すべきです。

自分の判断で治療をやめてしまうと適切な慰謝料の支払いを受けとれないばかりか、体に痛みが残ってしまう可能性もあります。

 

治療の打ち切りに安易に応じない

保険会社は事故から一定期間が経過すると治療を終了するよう打診してきます。

その打診の時点で、体が良くなり、医師も治療の終了を認めているような場合であれば治療は終了していいでしょう。

しかし、痛みが継続しており、医師も治療の継続を勧めているような場合には、安易に治療終了の打診を了承してはいけません。

主治医が治療の継続が必要であると言っていることを保険会社に説明し引き続き治療費の対応をするよう交渉すべきです。

安易に治療終了に応じてしまうと、適切な治療を受けられず、また、治療期間が短くなる結果、傷害慰謝料の金額も低額になってしまいます。

 

弁護士に相談、依頼する

治療継続が必要なのに、治療終了の打診を受けた場合には、早めに専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士が交渉することで治療期間を延長することができる場合もあります。

また、慰謝料の示談交渉においては、弁護士が交渉しなければ弁護士基準で解決することはほぼ不可能です。

適切な慰謝料を支払ってもらうためにも弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。

 

 

6ヶ月経過しても痛みが残っている場合はどうすればいい?

6ヶ月を経過しても痛みや痺れなどの症状が継続している場合には、後遺障害の申請を検討しましょう。

後遺障害とは、痛みや痺れ、関節の可動域制限によって働きづらくなってしまう程度の障害で、将来においても回復の見込みがない障害のことを言います。

後遺障害に認定された場合には、別途、後遺障害慰謝料を請求することができます。

後遺障害慰謝料は等級に応じて金額は決まっています。

また、後遺障害逸失利益を請求することができます。

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことで働きづらくなり減収してしまうことに対する補償です。

後遺障害が残存した場合には、こうした補償があるため、事故から6ヶ月経過しても症状が残存している場合には、後遺障害の申請を検討すべきでしょう。

 

 

むちうちの場合の解説

むちうちと後遺障害認定

むちうちの場合に認定される可能性のある後遺障害等級は14級9号と12級13号です。

もっとも、レントゲン、CT、MRIなどの画像に異常がないと12級13号に認定されることはありません。

したがって、むちうちで12級13号に認定されるのは稀です。
12級13号の認定のポイントについて詳しくはこちらをご覧ください。

むちうちでも重篤な症状が残っている場合には、14級9号に認定される可能性はあります。

14級9号の認定の判断基準は、事故によって痛みや痺れが残存していることについて医学的に説明できるかどうかがポイントとなります。

その判断にあたっては、通院期間・頻度、症状の連続性・一貫性、事故の規模・態様、治療の内容、神経学的検査の結果、画像所見の有無などを総合考慮して判断されます。

14級9号の認定のポイントについて詳しくはこちらをご覧ください。

 

むちうちで後遺障害に認定された事例など含めて、以下で紹介します。

 

むちうちの解決事例

事例① 弁護士が後遺障害申請をして14級9号に認定された事例

この事例では、整形外科と整骨院を併用して通院していた方の後遺障害申請を弁護士が行い、首の痛みについて14級9号の認定を受けることができた事例です。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

事例② むちうちの被害者で弁護士が示談交渉することで160万円賠償額を増額できた事例

この事例では、弁護士に依頼する前にすでに14級9号の認定は受けており、保険会社からの賠償提示もなされている事例でした。

安易に示談するのではなく、ご相談に来られてよかった事例です。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

事例③ むちうちの被害者で交渉で弁護士基準満額で解決できた事例

弁護士基準は、裁判で用いられる基準であるため、示談交渉の段階では弁護士が交渉したとしても満額の支払いを受けることができない場合があります。

しかし、この事例では、14級9号の認定も獲得した上で、裁判をすることなく弁護士基準の満額で解決することができました。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

事例④ 追突事故でむちうち、異議申立てで14級9号が認定された事例

この事例では、追突事故でむちうちの傷害を負った被害者が14級9号の認定を受けた事例です。

1回目の後遺障害申請では後遺障害の認定はされませんでしたが、異議申立てをすることで14級9合の認定を得ることができました。

このよう1度目の後遺障害申請でダメでも異議申立てをすることで後遺障害に認定されることもあります。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

事例⑤ むちうちで主婦の休業損害を得た事例

この事例では、主婦の方の休業損害(主婦休損)を回収できた事例です。

専業主婦で収入がない場合でも、交通事故により家事に支障が出ている場合には、主婦休損として賠償請求することができます。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

まとめ

  • 適切な慰謝料を受け取るには医師の指示にしたがって治療することが必要である
  • 通院日数が多ければ多いほど慰謝料が増額されるわけではない
  • むちうちでは14級と12級に認定される可能性はあるが、12級が認定されることは稀である

 

 

慰謝料


 
賠償金の計算方法



なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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