事故でむちうちの嘘はバレる?リスクと対策を弁護士が解説

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

事故でむちうちの嘘はバレます。

むちうちの嘘がバレた場合、保険会社から保険金の返還を求められるだけでなく、詐欺罪として刑事告訴される可能性もあります。

また、むちうちはレントゲンやMRIの画像では分からないことが多いため、本当にむちうちであっても、事故規模や事故状況によっては、むちうちであるか疑われる場合があります。

この記事では、事故でむちうちの嘘がバレた場合のリスクや、むちうちが嘘と疑われないための対応について解説していきます。

むちうちとは?

むちうちとは事故の衝撃により首がムチを打ったように大きく振られ、首の痛みや、頭痛、めまい、吐き気などの症状を引き起こすものです。

むちうちは、骨折や脱臼、頸髄損傷といった明らかな異常所見がレントゲン検査などでは認められない場合がほとんどです。

医学的には、「頚椎捻挫」、「頸部捻挫」、「外傷性頸部症候群」などといった傷病名になります。

 

 

むちうちの症状とは?

むちうちの代表的な症状として以下の項目が挙げられます。

  • 頭部・頸椎・腕・指先の痛み、しびれ、麻痺
  • 肩や背中の凝り
  • 肩や背中が動かない
  • 耳鳴り
  • めまい
  • 目のかすみ、疲れ
  • 倦怠感
  • 吐き気

上述のように、むちうちの症状には様々なものがあり、人によって自覚症状も異なります。

また、むちうちの症状は、事故後直ぐに出てくるのではなく、事故から数日経過した時点で出てくる場合もあるため注意が必要です。

事故後、上記の症状がある場合は、なるべく早く病院で診察を受けることをオススメします。

 

 

事故でむちうちの嘘はバレる?

結論から申し上げますと、事故でむちうちの嘘がバレます。

むちうちの症状がないにもかかわらず、むちうちの症状を訴えることは、絶対にやめましょう。

なぜ嘘がバレるのか?

むちうちとは、交通事故の衝撃によって首がムチのようにしなることによって体の各部位に痛みや痺れ等が発生することをいいます。

交通事故にあった場合、最も多い症状がむちうちになります。

むちうちは、首の筋肉や、靭帯(じんたい)、椎間板(ついかんばん)等が傷つけられることによって発生します。

むちうちの場合、画像所見がないことが多いため、医者は患者からの症状の訴えを重視してむちうちの診断をします。

もっとも、保険会社は、患者の訴えだけでなく、交通事故の規模や事故時の受傷箇所と症状との因果関係、交通事故で受傷してから初診までの期間についても考慮します。

そのため、むちうちの嘘をついたとしても、交通事故の規模が小さい場合や、受傷箇所と痛みを訴える箇所が異なる場合は、むちうちの嘘がバレる可能性があります。

また、交通事故で怪我をしてから、初診までの期間が空きすぎると、事故との因果関係を否定される場合もあるため注意が必要です。

交通事故で受傷した場合は、事故当日、もしくは翌日には病院に行くようにしましょう。

 

 

むちうちの嘘がバレた場合のリスク

むちうちの嘘がバレた場合、以下のリスクがあります。

  1. ① これまで保険会社が支払った治療、休業損害、慰謝料等の返還を求められるリスク
  2. ② 詐欺罪(刑法246条)として刑事罰を科されるリスク

①について、むち打ちの嘘がバレた場合、保険会社から受領した治療費、休業損害、慰謝料等の返還を保険会社から求められます。

また、保険会社が一括対応をしていた場合は、一括対応が打ち切られ、これまで保険会社が支払った分の治療費等の返還を求められます。

②について、保険会社は、支払った治療費等の返還を求めてくるだけでなく、詐欺罪として刑事告訴する可能性があります。

保険会社は、保険詐欺に関する対応については厳しいため、嘘の申告をすることは刑事的リスクが非常に高いといえます。

(詐欺)
第246条
1 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

引用元:刑法|e-Gov法令

 

 

むちうちで整骨院に行くべきか?

整骨院の場合は、実際に人体に触れて施術を行ったり、待ち時間が短いこともあるため、整骨院に行きたいと考える場合があるでしょう。

しかし、整骨院については、必ずしも保険会社が施術費の支払いに対応するわけではないため、注意が必要です。

施術費の支払いが認められる場合

保険会社が整骨院の通院を認めている場合は、整骨院の通院費については保険会社が支払ってくれる場合が多いです。

そのため、整骨院での施術を希望する場合は、事故当初から整骨院での施術を受けたいことを保険会社に伝えておくことが重要です。

事故日からしばらく経過してから通院したいことを保険会社に伝えても、認めてくれない場合が多いため、事故後、できるだけ早く、整骨院への通院を伝えることが重要になります。

 

裁判所の基準

裁判所では、以下の点を考慮して、整骨院の施術費の支払いの請求が認められるか判断します。

  1. ① 施術の必要性
    ポイント:施術が必要な身体の状態にあるかどうか
  2. ② 施術の有効性
    ポイント:施術をすることで症状が緩和したかどうか
  3. ③ 施術内容の合理性
    ポイント:ケガの内容や症状に応じた合理的な施術がされているか
  4. ④ 施術期間の相当性
    ポイント:ケガの内容、治療の経過、症状の内容、施術の内容と効果
  5. ⑤ 施術費の相当性
    ポイント:施術費用が社会一般の水準の範囲内かどうか

医師の指示に基づき整骨院で施術している場合には、上記の①と②の考慮要素が認められる傾向にあります。

そのため、整骨院への治療について不安がある場合は、主治医の先生と相談されることをオススメします。

 

むちうちを嘘と誤解されないための対策

むちうちを嘘と誤解されないための対策として、下記の5つの対策がポイントになります。

むちうちを嘘と誤解されないための対策

 

①受傷後なるべく早い段階で病院に行くこと

受傷後なるべく早い段階(事故当日もしくは翌日)に病院へ行かれることをおすすめします。

受傷してから最初の通院までの期間が空きすぎると、交通事故と受傷箇所との因果関係に疑いがあるとして、保険会社は治療費の支払いを拒否してくる場合があります。

病院が空いてなかったり、どうしても外せない用事があったとしても、最低でも1週間以内に病院に行くようにしましょう。

 

②症状の申告を正確に行うこと

症状の申告に漏れがあった場合、後から申告したとしても、事故との因果関係を否定されたりする場合があります。

また、症状の申告について一貫性がない場合は、むちうちの症状について、嘘と誤解される場合もあります。

そのため、病院で受診した際には、少しでも痛みがある箇所については、躊躇することなく、初診の時からできる限り正確に伝えるようにしましょう。

 

③レントゲンやMRI等を取っておくこと

初めて受診したときは、痛みのある部分について、なるべくレントゲンやMRI等を撮ることをおススメします。

なるべく早い段階でレントゲンやMRIを撮ることによって、事故と怪我との因果関係について認められやすくなります。

 

④神経学上の検査を受けておくこと

神経学上の検査には、ジャクソンテストやスパーリングテスト等の検査があり、むちうちの症状や後遺障害の有無を調べるための検査になります。

神経学上の検査は、むちうちの症状に関する判断要素になってくるため、むちうちが嘘であるとの疑いをもたれないためにも、検査を受けることをオススメします。

 

⑤ドライブレコーダーを提出すること

ドライブレコーダーは事故の状況を最も客観的に反映したものであるため、むちうちが嘘でないことを立証するための重要な証拠になります。

また、ドライブレコーダーの映像から衝突時における車両の速度が分かるため、衝突時の人体への影響を推認することができます。

ドライブレコーダーを付けている場合、事故当時のドライブレコーダーの映像をしっかりと保存しておくようにしましょう。

 

 

むちうちと休業補償

休業補償を受け取れる期間

休業補償を受け取れる期間は、最大で事故発生から症状固定日(これ以上治療しても症状が良くも悪くもならない時点)までです。

上記期間で、休業することが必要かつ相当と認められる範囲について休業損害を請求することが認められます。

もっとも、むちうちの場合は、症状固定日まで全て休業補償の対象になることは珍しいといえるでしょう。

むちうちの症状は、基本的には事故当時の症状から症状固定日にかけて、徐々に回復してくることが多いためです。

そのため、事故直後で症状が強い時期については、保険会社は休業損害を支払ってくれることが多いでしょう。

一方で、むちうちの場合、骨折や脱臼とは異なり、レントゲンやMRIなどの画像で異常を指摘できることはほとんどありません。

したがって、客観的に症状が残っていることを示すのが難しいため、保険会社から早期に休業損害の支払いを終了されることがあります。

また、軽微な事案の場合(車両の損傷が分かりづらい事案や、サイドミラーの一部損傷の事案など)は保険会社は休業損害自体を認めないこともあります。

 

休業損害の算定方法

休業損害の算定方法について、基本的には次の計算式で計算されます。

計算式 基礎収入日額 × 休業日数 = 休業損害

休業損害の算出は、給与所得者(会社員)、自営業者(個人事業主)、会社役員、主婦(主夫)、学生、無職者によって異なります。

以下では、給与所得者(会社員)、自営業者(個人事業主)、会社役員、主婦(主夫)、学生・生徒等、無職者の休業損害の算出について解説します。

 

給与所得者(会社員)

給与所得者は、毎月会社から雇用契約に基づいた金額が支給されます。

しかし、交通事故により負傷して入院や通院せざるを得なくなり、会社を欠勤した場合、欠勤した分の給料は会社から支給されません。

被害者は、減額された金額について、休業損害として賠償請求することができます。

休業損害の算定には、事故前の収入額を基礎として、事故によって休業したことにより現実に減少した収入額が損害とされます。

ここでの収入額とは、いわゆる手取額ではなく、税金や公的保険料などが控除されていない見込み金額となります。

また、有給休暇の消化については、有給休暇は本来自由に取得することができるものであるのに、交通事故により不本意な形で取得をさせられているので、その分の補償はされるべきと考えられています。

裁判実務では、交通事故の治療などで有給休暇を取得した場合には、その日数を休業日として、休業損害が認められています。

さらに、休業したことで、賞与が減額されたり、昇給・昇格遅延などによる減収も損害として認められます。

ただし、事故が原因で損害を受けていることは明確に証明しなければなりません。

具体的には、「賞与減額証明書」といった書面を会社に出してもらうようにしましょう。

 

自営業者(個人事業主)

自営業者、自由業者(開業医、芸能人、弁護士、プロスポーツ選手など)の休業損害の計算の基礎となる収入は、原則として、事故前年の確定申告の所得額によって認定がされます。

休業中に支出を余儀なくされる家賃や従業員給料、公共料金、租税公課、損害保険料、リース料、減価償却費などの固定経費も相当性があれば、基礎収入に加算することが認められる場合もあります。

年度間において所得金額に相当の変動があり、前年度額で算定することが不適切である場合には、数年分の平均額を用いて計算することもあります。

確定申告はしているものの、現実の収入は確定申告額よりも多くあるため、その分を加算して休業損害を請求したいというケースもあります。

この場合、実際に収入があったことを客観的な証拠により証明することができれば、加算した収入で休業損害を計算してもらえることもあります。

しかし、裁判所は、この証明を厳格にみており、容易には認めてくれません。

確定申告において過少申告をしているので、真実の収入が計算できる客観的資料が残っていない場合も多く、証明は困難な場合が多いです。

一方で、確定申告を全くしていない場合であったとしても、相当の収入があったと認められるときは、賃金センサスの平均賃金額等を参考に基礎収入額が算定されることもあります。

ただし、確定申告をしていない場合、当然に賃金センサスを用いて算定してもらえるわけではありません。

事業を行うことで、賃金センサス程度の収入があったことを、被害者において明確に証明しなければならないのです。

この場合も過少申告している場合と同様に、裁判所は、厳格な証明を求めており、容易には認めてくれません。

 

会社役員

取締役の報酬には、労働の対価として支払われる労働対価部分と、経営結果による利益配当的部分があります。

利益配当的部分は、その地位にとどまる限り失われるものではありませんから、休業をしても原則として逸失利益の問題とはなりません。

したがって、取締役の報酬額をそのまま基礎収入とするのではなく、取締役報酬の労務対価部分を認定し、その金額を基礎として損害を算定します。

法人化して会社という形態にはしているものの、社長一人で運営しているような場合で個人事業主のような実態にあるような場合には、上記した個人事業主と同様の処理がなされるべきケースもあるでしょう。

 

主婦(主夫)

主婦(主夫)など、家庭のために家事に従事する人のことを家事従事者といいます。

主婦としては女性がイメージされやすいですが、家事従事者としての実態があれば主夫としての休業損害も認められます。

算定にあたっては、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均賃金額により、基礎収入を算定することが多いです。

休業日数は、家事ができなかった度合いにより、割合的認定(例えば、事故から1週間は100%、その後1ヶ月は75%など)を行うことが多いです。

一方で、自賠責保険の基準では、主婦(夫)の休業損害について、休業1日あたりの金額を 6100円(2020年3月31日以前の事故は 5700円)として、休業日数をかけることで計算します。

自賠責保険の基準の場合、休業日数は実通院日数を用います。

家事に従事しつつ、パートタイマー等で収入を得ている場合には、その収入が平均賃金を超えていれば、その実収入額により、平均賃金を下回る場合には平均賃金により算定することが多いです。

そこで、現実の収入額が女子労働者の平均賃金額よりも高い場合は、現実の収入を基礎とし、現実の収入額が女子労働者の平均賃金額よりも低い場合は、平均賃金額を基礎とされることが多いです。

したがって、夫の扶養の範囲内で仕事をしているパート社員などのケースでは、基本的には家事労働の制限の程度により休業損害を算出します。

逆に正社員で年収も500万円近くある方の場合には、現実の仕事の休業の有無で休業損害を請求することになります。

 

学生・生徒等

未成年就労の実態がないため、原則として休業損害は認められません。

もっとも、アルバイトをして収入を得ていた場合や、事故による受傷の治療期間が長期化して就職時期が遅れた等の場合には、休業損害が認められることがあります。

 

無職者

休業損害は、事故によって働くことができず、収入が減ったことに対する補償です。

したがって、失業している場合、すでに収入がない状態なので、原則として休業損害は認められません。

もっとも、具体的に就職予定が決まっていた場合や、具体的な就職予定がない場合であっても、労働能力及び労働意欲があり、諸事情を考慮して、事故がなければ治療期間中に就職していたと認められるような場合には、休業損害が認められることがあります。

 

 

むちうちと後遺障害

むちうちと2つの等級の可能性

むちうちによる後遺症が残った場合、後遺障害等級14級9号または12級13号に認定される可能性があります。

14級9号の場合は、「局部に神経症状を残すもの」、第12級13号の場合は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当することが要件となります。

14級9号との違いは、文言だけでいえば、「頑固な」という文言の有無だけです。

14級9号の場合は、事故によって症状が生じたことが、医学的に「説明可能」であれば認められます。

12級13号の場合には、神経症状が残っていることが医学的に説明できるだけでは足りず、「医学的に証明」できなければ認定されません。

「医学的に証明」するには、レントゲンやCT、MRIなどの画像所見で異常が明確に指摘できることが必要です。

むち打ちの場合には、首の椎間板などに異常な所見がみられ、その異常が神経学的検査の結果と整合的であるような場合に12級13号が認定される可能性があります。

 

後遺障害と認定されることの重要性

交通事故において後遺障害と認定された場合、原則として、①後遺障害慰謝料、②逸失利益を請求することができます。

一方で、後遺障害が認定されなかった場合、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することは大変難しくなります。

後遺障害慰謝料や逸失利益は、認定される後遺障害等級によっても異なりますが、基本的には認定されなかった場合と比べて、損害賠償額が大きく上昇します。

例えば、会社員の男性40歳の方で、年収が500万円の場合、後遺障害等級14級9号の場合と非該当の場合で以下の様な違いがあります。

認定等級 後遺障害慰謝料 逸失利益
14級9号 110万円(裁判基準) 約114万円(労働能力喪失期間5年で計算)
非該当 0円 0円

上記の場合、後遺障害に認定されるかどうかで、200万円以上の差額が生じます。

後遺障害が認定されるかどうかは、損害賠償額に大きく影響するため、非常に重要なものといえます。

後遺障害の認定について、詳しく知りたい場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをおススメします。

 

後遺障害の申請

後遺障害の申請とは、症状固定後にも残っている症状について、後遺障害として認定してもらうための申請の手続きになります。

申請の方法には、被害者請求、事前請求の2つの方法があります。

被害者請求は被害者側、事前認定は加害者側(任意保険会社)が被害者に代わって申請を行うことになります。

それぞれのメリット、デメリットは下表のとおりです。

メリット デメリット
事前認定
  • 必要資料を集めるための手間がほとんどかからない。
  • 必要資料を集めるための費用が安く抑えられる。
  • 必要最低限の資料しか提出されない。
  • 任意保険会社と示談が成立するまでは、賠償金を受け取れない可能性がある。
  • 提出される資料の内容が不透明である。
被害者請求
  • 後遺障害の認定のために必要な書類を自分で集めることができるため、被害者にとって有利な資料を提出できる。
  • 示談前に自賠責基準の賠償金を受け取ることができる。
  • 必要書類を自分で収集することになるため、手間と時間がかかる。
  • 適切な賠償を得るために必要な書類を、被害者自身で取捨選択していくのが難しい。

 

 

むちうちの賠償金のポイント

交通事故の初期の段階から適切な検査を受けましょう

交通事故の初期の段階から、レントゲン写真やMRI画像などの検査を受けることが重要になります。

交通事故から数ヶ月以上経過した段階で、レントゲン写真やMRI画像で異常が見つかったとしても、交通事故とは別の原因で生じたものだという疑いが生じます。

また、医学的な治療という観点から必要な検査と、後遺障害の認定を得るために必要な検査とは異なる場合があります。

つまり、医師は、ケガの治療に主眼をおいて必要な検査をしますが、後遺障害の立証という観点からすると、こうした検査だけでは不十分な場合があります。

したがって、必要な検査について不安がある場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

 

症状をしっかりと主治医に伝えましょう。

症状をしっかりと主治医に伝え、カルテに記載してもらいましょう。

特に、むちうちの場合、画像所見がないことが多いため、普段から症状をしっかり伝える必要があります。

また、後遺障害の有無の判定については、症状固定時の症状だけでなく、通院期間中における経過状況も見られるため、症状をしっかりと伝えることが重要となります。

 

交通事故に強い弁護士に相談する

適切な賠償額が期待できる

交通事故の賠償金には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準(弁護士基準)の3種類の基準があります。

保険 内容
自賠責保険基準 自賠責保険が賠償額を計算する際に用いる基準
任意保険基準 任意保険会社が内部で設定している基準
裁判基準(弁護士基準) 裁判での賠償基準で弁護士が交渉で用いる基準

この3つの基準のうち、賠償金の額は、自賠責保険基準<任意保険基準<裁判基準(弁護士基準)の順に賠償額が高くなります。

保険会社は、営利会社であるため、被害者にはできる限り低い賠償額で示談するように交渉してきます。

しかし、自賠責保険基準や任意保険基準は、本来の慰謝料の基準である裁判基準(弁護士基準)からは低額であり、適切な賠償額とはいえません。

弁護士に依頼することによって、最も高い基準である裁判基準での交渉をしてもらえます。

保険会社からの賠償額の提示があった場合は、直ぐに示談することなく、一度、弁護士に相談されることをおススメします。

 

保険会社とのやり取りを任せられる

交通事故の交渉を弁護士に依頼した場合、保険会社からの連絡はなくなり、弁護士が対応することになります。

保険会社によっては、高圧的な態度で交渉してきたり、まだ治療中であるにもかかわらず、治療費の支払いを打ち切ってくる場合があります。

弁護士に依頼することによって、保険会社との対応を任せられるため、保険会社とのやり取りによるストレスを軽減することができます。

また、弁護士が交渉することにより、治療費の支払いの継続についても、優位に交渉を進めることが期待できます。

 

不安や疑問があればいつでも相談できる

むちうち場合、治療が終了するまで、数か月から半年以上かかる場合があります。

それまでの間に、過失割合や休業補償の交渉、治療の支払いの継続の交渉等で不安や疑問に思う点が出てくることがあります。

こうした疑問を抱えたままでは、精神的に辛くなってくる被害者もいらっしゃると思います。

弁護士に依頼した場合には、電話やメール、あるいは面談の上、こうした疑問に対して弁護士に回答してもらうことができます。

 

治療や通院に関することを相談できる

治療の方針については、原則として医師の指示に従って治療を行っていくことになります。

もっとも、医師は、体を治すことを目的として治療や検査を行っているため、適切な補償を受けるという観点から、必要な検査が抜け落ちていることがあります。

一方で、弁護士に相談することで、将来的に後遺障害を申請する可能性を見据えて、交通事故後、速やかにレントゲンやMRIの撮影を行い、頸椎の損傷を確認することなど、検査に関するアドバイスを受けることができます。

また、治療の終了時期の判断についてもアドバイスを受けることができます。

治療の終了時期については、基本的には医師が判断することになりますが、医師によっては、保険会社や患者の判断に任せる医師もいます。

こうした場合には、被害者の回復状況や症状の程度等を考慮して、相手方保険会社と交渉して治療の終了時期を協議していくことになります。

このように、弁護士に依頼することによって、治療や通院に関するアドバイスを受けることができます。

 

 

むちうちと嘘についての知恵袋的Q&A

むちうちで嘘をついていたら慰謝料はもらえる?

むちうちで嘘をついた場合、嘘であることがバレると相手方保険会社は慰謝料の支払いを拒否してくる可能性が非常に高いです。
また、これまでに支払った慰謝料の返還を求められる可能性が非常に高いです。

むちうちで嘘をついた場合、嘘であることがバレると相手方保険会社は慰謝料の支払いを拒否してくる可能性が非常に高いです。

また、これまでに支払った慰謝料の返還を求められる可能性が非常に高いです。

慰謝料のためにむちうちの嘘をつくことは、非常にリスクが高いため、絶対にやめましょう。

 

交通事故の加害者が嘘をつくとどうなる?

交通事故の加害者が嘘をついた場合、加害者は対人賠償保険が利用できなかったり、詐欺罪で訴えられる場合があるため非常に危険です。

 

例えば、保険会社から保険金を得るために、被害者と結託して、交通事故を起こしたと保険会社に報告することは、保険金詐欺として訴えられる場合があります。

交通事故の加害者であっても、保険会社や警察には、事故の状況等について正確に話すようにしましょう。

 

むちうちを上手に伝えるためには?

むちうちは、他覚的な所見が現れることが少ないため、医師に自覚症状を適切に伝えることが求められます。

 

以下では、むちうちの症状の上手な伝え方やコツについて解説します。

症状を明確に伝える

医師に痛みを伝える際に、痛みの内容が曖昧であったり、症状や痛みの部位に一貫性がなければ、訴えている症状の信用性が疑われます。

そのため、痛みを伝える際には、どこの部位に、どのような症状があるのか、明確に伝えるようにしましょう。

また、痛みの強さが日によって異なる場合は、「普段から痛みの症状があるが、夕方になると特に酷くなる」など、痛みが普段からあることを正確に伝えることが重要になります。

 

痛みの軽減の伝え方には注意が必要

事故後の治療の効果によって、むちうちの症状も徐々に軽減していくのが一般的です。

痛みが減ったことを伝えることは問題ありませんが、伝え方には注意が必要です。

例えば、事故当初と比べてだいぶ良くなってきたけど、痛みはまだ根強く残っているという状況下で、医師に「痛みはだいぶ良くなってきました」と伝えたとします。

これを聞いて医師は「痛みはほぼ良くなった」あるいは「痛み消失」といったことをカルテに記載してしまう可能性があります。

認識のズレは治療の打ち切りや後遺障害の認定に影響を与える場合があるため、その当時の状況を正確に医師に伝えることが重要になります。

 

むちうちの後遺障害の認定は難しい?

むちうちの後遺障害については、ほとんどの場合14級9号または12級13号に分類されますが、それぞれの等級の認定率から、認定は容易ではないといえます。

むちうちの症状だけで正確な後遺症認定率を算出することは難しいですが、後遺障害14級9号または12級13号の認定件数から、目安となる認定率を導くことができます。

例えば、2022年度版「自動車保険の概況」(出版:損害保険料率算出機構)によると、2021年度に自賠責保険が賠償金を支払った件数は、83万7390件とされています。

その中で、何らかの後遺障害等級に認定された件数が3万8837件あり、14級のみの認定件数は2万4417件、12級のみの認定件数は7020件とされています。

後遺障害の認定件数

したがって、14級のみの認定率は約2.9%で、12級のみの認定件数は約0.8%ということになります。

もっとも、これは自賠責保険が賠償金を支払った件数に対する割合であるため、後遺障害を申請した場合の純粋な認定率でない点にご留意ください。

引用元:自動車保険の概況(損害保険料率算出機構)

 

まとめ

  • むちうちの嘘がバレた場合、保険会社から保険金の返還を求められるだけでなく、詐欺罪として刑事告訴される可能性もある
  • 交通事故の初期の段階から、レントゲン写真やMRI画像などの検査を受けることが重要になる
  • むちうちは、他覚的な所見が現れることが少ないため、医師に自覚症状を適切に伝えることが求められる
  • 医師に痛みを伝える際に、痛みの内容が曖昧であったり、症状や痛みの部位に一貫性がなければ、訴えている症状の信用性が疑われる場合がある
  • 慰謝料のためにむちうちの嘘をつくことは、非常にリスクが高いため、絶対にやめる

当法律事務所の人身障害部は、交通事故に精通した弁護士のみで構成されており、後遺障害に悩む被害者を強力にサポートしています。 弁護士費用特約にご加入されている場合は、特殊な場合を除き弁護士費用は実質0円でご依頼いただけます。

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