離婚届の証人は誰でも良い?|証人がいない場合の対処法【最新】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚届には「証人」について記載する欄があります。

協議離婚については必ず証人が必要で、18歳以上の人であれば誰でも証人になれます

調停離婚、審判離婚、裁判離婚については証人は不要となります。

ここでは、証人となることでデメリットはないのか、証人が見つからない場合の対応等について、弁護士がくわしく解説します。

離婚届の証人についての重要なポイントを押さえるために、ぜひ最後まで読んで参考にされてください。

離婚届の証人とは?

離婚届の証人とは、離婚届の証人欄に署名する人のことをいいます。

離婚届に証人は必要?

離婚届を見ると、証人欄があり「協議離婚の場合、成年者2名以上の証人が必要です。」と明記されています。

では、証人は絶対に必要なのでしょうか。

民法では、協議離婚の場合、証人2人以上が署名した書面が必要と明記されています。

そして、証人がいない場合、役場は離婚届を受理してくれません。

したがって、証人は必ず必要となります。

根拠条文

(婚姻の届出)
第739条 婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

(婚姻の届出の受理)
第740条 婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び前条第2項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。

(婚姻の規定の準用)
第764条 第738条、第739条及び第747条の規定は、協議上の離婚について準用する。

引用元:民法 – e-Gov法令検索

 

離婚届の証人はなんのためにあるの?

では、法律上、なぜ証人が要求されているのでしょうか。

離婚によって、これまで「夫婦」であった者が「他人」になるという身分変動が生じます。

その結果、法律上、様々な権利義務に影響が生じます。

例えば、扶養義務、相続権などへの影響です。

このように離婚は重大な影響が生じるため、慎重に取り扱われるべきであり、当事者以外の第三者の関与が必要であると考えられます。

 

証人欄の印鑑はいらない?

以前は離婚届には印鑑が必要となっていましたが、現在、印鑑については「任意」と記載されています。

 

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すなわち、離婚届に印鑑は不要です。

なお、上記のとおり、法律上は「当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面」となっているので、そもそも法律上も印鑑は不要です。

 

証人が不要の場合

上記のとおり、離婚届に証人が必要となるのは協議離婚の場合のみです。

離婚の方法は、協議離婚の他、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があります。

これらについては、証人は不要となります。

離婚の方法 内容
協議離婚 裁判所を通さずに話し合いで解決する。
調停離婚 裁判所を通すが話し合いで解決する。
審判離婚 話し合いではなく裁判官が最終判断を下す。通常は利用されない。
裁判離婚 話し合いではなく裁判官が最終判断を下す。

 

 

離婚届の証人になれる人とは?

18歳以上なら誰でもなれる

離婚届の証人には、18歳以上の人がなることができます。

民法の成人年齢引き下げにより、2022年4月1以降は20歳ではなく18歳以上で可となっているので注意が必要です。

特に資格はありません。

実際には両親、友人、会社関係の方などが証人となることが多いです。

 

子供でも証人になれる?

18歳以上であれば、子供であっても法的には証人となることが可能です。

ただ、中には親の離婚を悲しむ方もいます。

また、親の離婚に関わることに何らかの抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。

もし、子供が親の離婚に対して否定的な場合は、感情面に配慮し、無理に証人を頼まない方がよいかと思われます。

 

離婚の当事者はなれない

当然ですが、離婚する本人は第三者ではないので証人となることはできません。

 

 

離婚届の証人になるデメリット?

離婚届の証人は保証人とは違う

離婚届の証人になることを頼まれた場合、何らかの不利益がないか心配になるかと思います。

しかし、離婚届の証人は、上記のとおり、離婚手続きを慎重に進めるために必要とされている制度にすぎません。

「保証人」とは異なりますので、法的な意味でのデメリットはありません。

例えば、証人になったからと言って、本人の借金の返済義務などはありません。

 

離婚届の証人となることのリスク

ただ、現実的な意味で、トラブルに巻き込まれる可能性は考えられます。

すなわち、離婚事案では、夫婦が相手に対して恨みや悪感情を持っている場合が多いです。

悪感情がエスカレートすると、ときとして、犯罪に発展するケースもあります。

証人として名前を記載するということは、対立する相手に、関係者であることが伝わってしまいます。

また、氏名だけでなく住所等も記載するため、トラブルに巻き込まれる可能性はゼロではないでしょう。

このようなトラブルは滅多にはないでしょう、

しかし、万一のトラブルは想定されるため、証人について「まったくデメリットがない」とは言い切れません。

 

証人が調べられることはある?

離婚届の証人としてサインしても、役場がその証人の素性を調べるようなことはありません。

しかし、対立する相手に本人の関係者であることが伝わるので、それをきっかけとして、相手から調査される可能性はゼロではないでしょう。

例えば、住所の記載から自宅が特定されるので、現実的には証人の素行調査も可能となります。

 

 

離婚届の証人が見つからない場合はどうする?

もし、離婚届の証人が見つからない場合、どうすればよいでしょうか。
実際には「証人が見つからない」というよりも、「証人を頼みにくい」というご相談を多く受けています。

離婚することを周囲に知られたくないという状況の方が多いからです。

この場合、以下のような方法が考えられます。

 

弁護士へ依頼する

離婚問題について、弁護士にご相談される方はとても多いです。

特に、親権、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料等で相手ともめているケースでは、弁護士が代理人として相手と交渉するのが通例です。

このような場合、依頼している弁護士に証人になってもらえないか確認されると良いでしょう。

離婚問題を専門で扱っている法律事務所の場合、証人として署名することになれているので、特に問題なく、かつ、別途の費用もなしに快諾してくれると思われます。

また、弁護士は職務上守秘義務がありますし、そもそも依頼している弁護士ですので離婚が他に漏れる心配もありません。

 

離婚届証人代行サービスの活用の注意点

現在は離婚届の証人を代行するような業者もいるようです。

しかし、このような業者を利用される場合、別途費用が発生するので注意が必要です。

また、弁護士と異なり、厳しい倫理規程や職務上の守秘義務などがないため他に漏れることがゼロとはいえないでしょう。

さらに、このような業者には、離婚そのものの法律相談を受ける資格はありません。

離婚問題ついて、相談できるのは法律上弁護士に限られています。

したがって、このような業者を活用する場合、離婚の条件面等の相談をしないようにすべきです。

 

 

まとめ

以上、離婚届の証人について、その必要性やポイント等を詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚届を作成する際、協議離婚については必ず証人が必要となります。

証人となったからといって、法的な意味でのデメリットはありませんが、事実上、トラブルに巻き込まれる可能性は皆無とは言えません。

誰かに証人になってもらうことが難しいような場合は、離婚専門の弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

また、離婚届は一度作成して提出すると、基本的に後から取り消すことはできません。

したがって、離婚届の作成は慎重にすべきです。

特に、結婚してからある程度年月がある方や子供がいる方については、様々な条件を検討し、合意をした上で最終的に離婚届を作成することをお勧めいたします。

当事務所の離婚事件チームは、離婚問題に精通しており、LINEなどを活用し、全国からお問い合わせを受けています。

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