離婚届の証人は誰に頼む?条件や証人がいない場合の対処法

協議離婚については法律上、離婚届の証人が2人必要であり、証人欄が空欄のままでは役所に受理してもらうことができません。
18歳以上の成人であれば誰でも証人になることができ、実際には、両親、友人、会社関係の方などが証人となることが多いです。
頼める人がいない場合は、離婚届証人代行サービスを利用するという手段も考えられますが、費用や守秘義務への注意が必要です。
一方で、調停離婚、審判離婚、裁判離婚については証人は不要となります。
ここでは、離婚届の証人になれる人の条件、証人となることへのリスクはないのか、証人がいない場合の対処法について、弁護士がくわしく解説します。
離婚届の証人とは?協議離婚には「証人2名」が必須

離婚届の証人とは、夫婦に離婚の意思があることを証明するために署名する第三者のことです。
協議離婚(話し合いによる離婚)を進める上で、この証人欄の記入は法律上の絶対条件です。
単なる推奨事項ではないため、以下の実務上のルールを必ず押さえておきましょう 。
- 必ず「2名」の成年の署名が必要。
- 証人欄が空白だと、役所は離婚届を受理してくれない。
証人となる方は、離婚が夫婦の任意の合意に基づくことを確認すべき法律上の義務があると考えられています(東京地判平成21年1月14日)。
参考:民法第739条、第740条、第764条|民法 – e-Gov法令検索
離婚届の証人になれる人の条件

18歳以上なら誰でもなれる
離婚届の証人には、18歳以上の人がなることができます。
民法の成人年齢引き下げにより、2022年4月1日以降は20歳ではなく18歳以上で可となっているので注意が必要です。
特に資格はありません。
実際には両親、友人、会社関係の方などが証人となることが多いです。
子供でも証人になれる?
18歳以上であれば、子供であっても法的には証人となることが可能です。
ただ、中には親の離婚を悲しむ方もいます。
また、親の離婚に関わることに何らかの抵抗を感じる方もいらっしゃるでしょう。
もし、子供が親の離婚に対して否定的な場合は、感情面に配慮し、無理に証人を頼まない方がよいかと思われます。
離婚の当事者はなれない
当然ですが、離婚する本人は第三者ではないので証人となることはできません。
離婚届の証人になるリスクやデメリット
結論から申し上げますと、離婚届の証人になること自体には、基本的に不利益やリスク、デメリットはほぼありません。
「証人」という言葉の響きから、「保証人」と誤解されている方もおられます。
しかし、借金の「保証人(ほしょうにん)」とは全く異なり、夫婦の離婚後に金銭的な支払義務や借金の返済義務を負わされることは一切ありません。
また、離婚届の役所での提出に立ち会う必要もありませんし、提出後に役所から確認の電話や連絡が来ることも原則としてありません。
確認義務を怠ると損害賠償のおそれがある
ただし、例外的にリスクが生じるケースがあります。
それは、夫婦の一方が勝手に離婚届を作成したことを知りながら(または不注意で見過ごして)証人欄に署名した場合です。
離婚届の証人は、「離婚が当事者双方の任意の合意に基づくことを確認すべき法律上の義務がある」と考えられています。
確認方法について、裁判例の中には、「原則として、当事者双方それぞれに離婚意思を確認しなければならない」と判示しているものもあります。
そして、この裁判例では、証人が確認義務を怠ったケースで、損害賠償を認めています(東京地判平成21年1月14日)。
この裁判例での賠償額は6万円(内1万円は弁護士費用)と少額です。
しかし、当事者双方に離婚意思を確認しなかった場合、状況次第では、損害賠償を請求されるおそれがあると言えるでしょう。
したがって、証人を頼まれた際は、可能な限り、「夫婦双方が離婚に合意しているか」を直接確認した上で署名することが重要です。
ワンポイント:過失(不注意)責任を回避(軽減)するための方法
離婚する当事者の1人から、証人欄への署名を依頼された場合、本来は、他方当事者にも連絡をしたうえで、「離婚に同意しているか」を確認するのが望ましいです。
しかし、現実的には、他方当事者とは面識さえないことも多く、難しいでしょう。
その場合も、依頼してきた当事者に、LINEやメール等の記録に残る方法で、「念の為の確認だけど、離婚には相手も合意しているんだよね?」を確認しておくことをお勧めします。
そうすれば、万が一、トラブルになった際にも、証人としての過失責任を争い、請求を棄却させたり、賠償額を減額させたりしやすくなります。
離婚届の証人欄の書き方【最新】

離婚届の「証人欄」には、証人となる方自身が以下の項目を正確に記入し、署名(サイン)する必要があります(戸籍法33条)。
- 署名(本人のサイン)
- 生年月日
- 住所
- 本籍地
かつては押印が必須でしたが、現在は法改正により押印は「任意」となっています。
そのため、離婚届の証人欄に印鑑は不要です。
念のため押しておきたいという場合は実印である必要はなく認印で問題ありませんが 、押印する際には以下の2点に必ず注意してください。
- シャチハタやゴム印の使用は禁止(必ず朱肉を使って押す印鑑を用意してください)。
- 証人2人が同じ姓(両親や夫婦など)であっても、同じ印鑑の使い回しはNG(必ずそれぞれ別の印鑑を1つずつ用意する必要があります)。
離婚届の証人が見つからない場合の対処法
もし、離婚届の証人が見つからない場合、どうすればよいでしょうか。
実際には「証人が見つからない」というよりも、「証人を頼みにくい」というご相談を多く受けています。
離婚することを周囲に知られたくないという状況の方が多いからです。
離婚届証人代行サービスを活用する【注意点あり】
このような状況から、離婚届の証人を代行するような業者もいるようです。
しかし、このような業者を利用される場合、別途費用が発生するので注意が必要です。
また、弁護士と異なり、厳しい倫理規程や職務上の守秘義務などがないため他に漏れることがゼロとはいえないでしょう。
さらに、このような業者には、離婚そのものの法律相談を受ける資格はありません。
離婚問題について、相談できるのは法律上弁護士に限られています。
したがって、このような業者を活用する場合、離婚の条件面等の相談をしないようにすべきです。
弁護士への依頼は難しいことが多い
弁護士に離婚届の証人を依頼するのは難しいと考えられます。
離婚届の証人欄には住所の記載があり、ほとんどの弁護士は自宅住所を第三者に知られたくないと考えるためです。
以上から、離婚届の証人は、親族、友人、上司などの身近な方にお願いするのが一番ではないかと思われます。
離婚届の証人欄を自分で書くのは絶対に禁止
証人欄を勝手に書いたらどうなる?
証人が見つからない、頼みにくい、などのご状況の場合、知り合いの名前を使って無断で証人欄に書いてしまうということも想定されます。
しかし、本人に無断で勝手に証人欄に書くと、私文書偽造罪等の犯罪が成立する可能性があるため、絶対にやめましょう(刑法159条)。
参考:刑法|e-GOV法令検索
なお、私文書偽造罪の法定刑は「3月以上5年以下の拘禁刑」となっています(同)。
証人欄は代筆してはいけない
証人欄には、基本的に証人となる方ご自身が記載しなければなりません。
たとえ証人となる方から「代わりに書いておいて」と言われたとしても、代筆はしないようにしましょう。
なお、例外的に「署名することができないと市町村長において認めるとき」は代筆が許されています(戸籍法施行規則62条1項)。
例えば、手が不自由で署名できないような状況が想定されますが、この場合、「書面にその事由を記載しなければならない」と規定されています(同条2項)。
調停離婚、審判離婚、裁判離婚は証人が不要
上記のとおり、離婚届に証人が必要となるのは協議離婚の場合のみです。
離婚の方法は、協議離婚の他、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があります。
これらについては、証人は不要となります。
| 離婚の方法 | 内容 |
|---|---|
| 協議離婚 | 裁判所を通さずに話し合いで解決する。 |
| 調停離婚 | 裁判所を通すが話し合いで解決する。 |
| 審判離婚 | 話し合いではなく裁判官が最終判断を下す。通常は利用されない。 |
| 裁判離婚 | 話し合いではなく裁判官が最終判断を下す。 |
離婚届の証人についてよくある質問Q&A
ここでは、離婚届の証人について、よくあるご質問を紹介しています。
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離婚届の証人は誰に頼むべき?
例えば、両親や兄弟です。
身内に適当な方がいなければ、共通の知人や職場の同僚、友人などが考えられます。
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離婚届の証人は子供でもいい?
もっとも、子供の中には、たとえ成人していても、両親の離婚に関わりたくないという方もいます。
そのような場合は、子供の心情に十分配慮することが必要です。
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離婚届には証人2人必要ですか?
まとめ
以上、離婚届の証人について、その必要性やポイント等を詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
離婚届を作成する際、協議離婚については必ず証人が必要となります。
証人となったからといって、法的な意味でのデメリットはありませんが、事実上、トラブルに巻き込まれる可能性は皆無とは言えません。
誰かに証人になってもらうことが難しいような場合は、離婚専門の弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。
また、離婚届は一度作成して提出すると、基本的に後から取り消すことはできません。
したがって、離婚届の作成は慎重にすべきです。
特に、結婚してからある程度年月がある方や子供がいる方については、様々な条件を検討し、合意をした上で最終的に離婚届を作成することをお勧めいたします。
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