精神的苦痛による慰謝料を詳しく解説|相場・証拠の重要性

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  

相手の言動によって精神的苦痛を受けた場合、一定の条件を満たせば、その相手に対して慰謝料を請求することができます。

しかし、一定の条件を満たしているかどうかの判断は専門家でないと難しいです。

ここでは、精神的苦痛による慰謝料が認められる場合について、具体例をもとにわかりやすく解説しています。

また、慰謝料の相場についても、ご紹介しています。

精神的苦痛の慰謝料でお困りの方はぜひ参考になさってください。

精神的苦痛による慰謝料とは

精神的苦痛による慰謝料とは

精神的苦痛による慰謝料とは、心が傷ついたことに対する賠償金のことをいいます。

精神的苦痛とは、心の中に生じる苦しみや痛みのことを指します。

慰謝料とは、苦痛を補い回復させるためのお金のことをいいます。

相手の言動によって精神的苦痛を受けた場合は、一定の条件を満たせば、その相手に対して慰謝料を請求することができます。

 

ワンポイント

慰謝料が請求できるのは、相手の言動が不法行為に該当する場合です。

「不法行為」とは、他人の権利や利益を違法に侵害する行為のことをいいます。

例えば、相手を殴る・蹴るなどして傷つける行為などがこれに当たります。

相手の言動が不法行為に当たらない場合は、たとえその言動によって心が傷ついたとしても慰謝料を請求することはできません。

 

 

精神的苦痛の慰謝料の相場はいくら?

精神的苦痛の慰謝料の金額は、精神的苦痛の内容や程度、原因となった行為の悪質性などの具体的な事情が考慮されたうえで決められます。

そのため、事案により大きく異なりますが、一般的なケースにおける相場を示すと次のようになります。

男女関係(不倫・離婚など)
  • 50万円~300万円
交通事故
  • 入院1日当たり:8400~1万7600円
  • 後遺障害:110万円~2800万円
  • 死亡:2000万円~2800万円
労働関係(パワハラ・セクハラなど)
  • 50万円~300万円

※上記はあくまでも一般的な目安です。

金額は具体的な事情により異なります。

 

 

精神的苦痛の具体例

精神的苦痛を引き起こす行為(不法行為)は、例えば次のようなものです。

不法行為 侵害される権利や利益
不貞行為(配偶者以外の人と性的関係を持つこと。いわゆる「不倫」) 平穏な結婚生活を送る権利ないし利益
交通事故(車で人を撥ねるなど) 生命・心身の安全など
いじめ(殴る・蹴る、侮辱する、無視をする、SNSで誹謗中傷するなど) 心身の安全、名誉(社会的評価)、教育を受ける権利など
パワハラ(部下の人格を否定する、過大な仕事を押し付けるなど) 心身の健康、働く権利など
セクハラ(不必要に身体に触れる、性的な関係を強要するなど) 性的自由、働く権利など

 

 

慰謝料が認められるケース

慰謝料が認められるケース

 

離婚するときの精神的苦痛による慰謝料

相手の不倫や家庭内暴力(DV)などが原因で離婚に至った場合は慰謝料を請求することができます。

このときの慰謝料の対象は次の2つがあり得ますが、実務上は明確に区別せずまとめて離婚慰謝料として請求することが多いです。

  1. ① 離婚せざるを得なくなったことによる精神的苦痛
  2. ② 不倫やDVそれ自体による精神的苦痛

 

いじめの精神的苦痛による慰謝料

いじめは不当に他人の身体や精神を攻撃するもので不法行為に当たります。

学校内でいじめを受けたケースでは、いじめをした生徒本人のみならず、その親権者や学校に対しても、監督や適切な措置を怠った責任があるとして、慰謝料を請求できる場合があります。

 

交通事故被害の精神的苦痛による慰謝料

交通事故被害の慰謝料については、実務上、以下の3つに類型化されています。

  1. ① 入通院慰謝料
  2. ② 後遺障害慰謝料
  3. ③ 死亡慰謝料

交通事故でケガをして入通院した、後遺障害が残った、亡くなってしまったという場合、それぞれによる精神的苦痛について慰謝料請求をすることができます。

 

パワハラの精神的苦痛による慰謝料

パワハラは職場で権力や地位を利用し身体や精神に不当な攻撃をするものであり、不法行為に当たります。

パワハラを受けた場合は、パワハラをした本人はもちろん、会社に対しても適切な措置をとらなかった責任追及として慰謝料を請求できる可能性があります。

 

セクハラの精神的苦痛による慰謝料

セクハラは職場などで他人に不快感や屈辱を与える性的な言動をすることであり、不法行為に当たります。

パワハラ同様、被害を受けた場合はセクハラをした本人及び会社に対して慰謝料を請求することができます。

 

 

慰謝料が認められにくいケース

慰謝料が認められにくいケース

 

恋人と別れるときの精神的苦痛による慰謝料

恋人と別れる場合は離婚の場合と異なり、慰謝料は基本的には認められません。

相手の浮気が原因の場合でも、恋人の浮気は基本的に不法行為には当たらないと考えられているため慰謝料請求は難しいです。

 

中絶するときの精神的苦痛による慰謝料

相手と合意の上で性交渉し妊娠した場合は慰謝料請求は難しいです。

ただし、相手に中絶を強制されたような場合は、強制による精神的苦痛について慰謝料請求できる可能性はあります。

 

モラハラの精神的苦痛による慰謝料

モラハラ(精神的暴力)は不法行為に当たりますが、特に夫婦間で起こるモラハラは、実態がつかみにくい、夫婦喧嘩と区別がつきにくい、証拠を残しにくいといった問題があるケースが多いです。

そのため、慰謝料は認められにくい傾向にあります。

 

 

精神的苦痛の慰謝料の請求のポイント

精神的苦痛の慰謝料の請求のポイント

 

慰謝料請求では証拠が重要

慰謝料請求の際には、精神的苦痛を引き起こした言動(不倫、DV、いじめ、交通事故、パワハラ、セクハラなど)の事実を証明するための証拠が重要になります。

録音・録画、写真、メール、診断書などの客観的な証拠を集めることがポイントとなります。

具体的にどのような証拠が必要になるかは事案により異なりますので、詳しくは専門の弁護士にご相談ください。

 

精神的苦痛による慰謝料請求には時効がある

慰謝料は、次のいずれかの期間が過ぎてしまうと請求できなくなるので注意しましょう。

  1. (1)損害及び加害者を知った時から3年間
  2. (2)不法行為の時から20年間

ただし、DV、交通事故など生命・身体に対する不法行為の場合は、(1)の期間が5年間に延長されます。

 

 

慰謝料請求を弁護士へ相談するメリット

慰謝料請求を弁護士へ相談するメリットとしては、次のようなものがあります。

  • 慰謝料が認められるかどうかの見通しが立てられる
  • 集めるべき証拠やその収集方法がわかる
  • 慰謝料の適正額がわかる
  • 相手との交渉や裁判対応を任せることができる

 

 

まとめ

以上、精神的苦痛による慰謝料について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

慰謝料の金額や請求に必要な証拠は事案により異なりますので、詳しくは専門の弁護士に相談されることをおすすめいたします。

当事務所には、離婚問題、交通事故、労働問題などに特化した専門チームがあり、慰謝料にお困りの方を強力にサポートしております。

LINE等によるオンライン相談も対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

 

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