W不倫(ダブル不倫)の発覚で押さえておくべきポイントは?

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

 

不倫問題について質問です。

私には妻子がいますが、職場の既婚女性と不倫関係にありました。

その不倫関係を、妻、そして、相手の旦那さんに知られてしまいました。

可能であれば、妻とはやり直したいと考えていますが、修復が可能かは現時点ではわかりません。

妻との関係、そして、女性の旦那さんとの関係で、どのようなことを考えておくべきでしょうか?

 

「既婚女性と不倫をし、相手の旦那さんから高額な慰謝料請求をされている。」

「職場の既婚女性との不倫が発覚し、妻から離婚を求められている。」

「妻とは離婚し、現在お付き合いしている女性と再婚したいが、離婚に応じてもらえない。」

当事務所には、W不倫(ダブル不倫)に関連するご相談が多く寄せられます。

 

 

弁護士の回答

このような場合、多くの問題点が複雑に絡み合うため、一筋縄ではいきません。

もっとも、問題を一つ一つ解決していくことで、最終的には、本件全体を解決することができます。

 

複合的な問題点

お互いに既婚者の不倫の場合、多くの問題が複雑に絡み合いますが、以下の問題に大別することができます。

①自身の夫婦の問題
②相手方の夫婦の問題
③相手方の配偶者から自身に対する慰謝料請求
④自身の配偶者から不貞相手に対する慰謝料請求

それぞれの問題(①~④)について、法的にはどのように考えられるかについて解説します。

①自身の夫婦の問題

まずは、自身の婚姻関係を今後も継続し修復を図るのか、離婚をするのかを判断しなければなりません。

もちろん、相手がいることなので、配偶者の意思も重要となります。

その上で、修復を希望する場合には、謝罪や今後の生活面での誓約をするなどして、最大限の誠意をみせるべきでしょう。

もっとも、仮に、相談者が修復を希望したとしても、相手方が離婚を求めた場合には、不貞行為が法定の離婚原因にあたることを踏まえ、それでも修復を希望するのか否かを再検討すべきでしょう。

書類と印鑑次に、相談者が配偶者と離婚したいと考えた場合、離婚することができるのかというと、難しい問題があります。

この場合、相談者は、法律上、有責配偶者と認定される可能性が高く、そして、有責配偶者からの離婚請求については、裁判所は離婚を容易には認めません。

有責配偶者からの離婚請求については、詳しくはこちらをご覧下さい。

以上より、自身の夫婦関係については、いずれにせよ、裁判になった場合には、配偶者側の意思(離婚をするのか、婚姻を継続するか)が尊重されることがわかります。

もっとも、相談者の離婚の意思が強い場合、まずは別居から開始すると良いでしょう。

長期間の別居によって、有責配偶者からの離婚請求が認められる場合もあります。

また、離婚をする場合には、配偶者に対し、離婚慰謝料の支払義務が発生します。

離婚慰謝料について、詳しくはこちらをご覧下さい。

②不貞相手の夫婦の問題

夫婦不貞相手の夫婦についても、同様に、婚姻の継続か離婚かという選択をすることになります。

そして、その際には、上述のとおり、裁判では、不貞行為をされた側の意思が尊重されることになります。

また、後述するとおり、不貞相手の夫婦関係(婚姻の継続、別居、離婚など)によって、不貞相手の配偶者からの慰謝料請求において認められる金額が変動する場合があります。

 

③④配偶者から不貞相手に対する慰謝料請求

上述のとおり、不貞行為をされた配偶者は、不貞行為をした配偶者に対し、慰謝料を請求することができます。

また、不貞行為をされた配偶者は、不貞相手に対しても慰謝料を請求することができます。

この場合、慰謝料請求を受けた両名は、配偶者に対し、連帯して慰謝料の支払義務を負うことになります(不真正連帯債務)。

お金同様に、不貞相手の配偶者からの慰謝料請求も認められます。

したがって、不貞行為(W不倫)をした両名は、ともに自身の配偶者及び相手方の配偶者から慰謝料請求される可能性があるということです。

なお、不貞慰謝料を請求する場合、夫婦関係の破壊の程度が考慮されることがあります。

一般に、別居に至らない場合よりも別居に至った場合の方が増額され、離婚に至らない場合よりも離婚に至った場合の方が増額されると考えられています。

【補足】求償権について

実は、不貞関係にあった者同士についても、利害関係が生じる可能性もあります。

それが、不貞慰謝料の求償関係です。

相手方の配偶者から慰謝料を請求され、その全額又は一部を支払った場合には、責任割合に応じて、不貞関係にあった者に対し、求償権を行使することができます。

そのため、不倫関係にあった者同士であっても、利害関係が対立する可能性があるのです。

 

 

本件における弁護士の考え

まずは、ご自身の夫婦関係について継続するのか、離婚するのかを考える必要があります。

そして、仮に、離婚をしたいと考えるのであれば、協議離婚の申入れをするなどして、離婚に向けて話しを進めていく必要があります。

奥さんが離婚に消極的な考えの場合、裁判では、離婚が認められない可能性が高いので、可能な限り、協議離婚での解決が望ましいでしょう。

次に、慰謝料請求については、配偶者からの慰謝料請求、不貞相手の配偶者からの慰謝料請求が考えられますが、夫婦関係がどの程度破綻したかによっても慰謝料の額が変動する可能性がありますので、まずは、相手方の夫婦関係(婚姻継続、別居、離婚など)についても把握されておくと良いでしょう。

W不倫の問題は、以上のとおり、多くの問題が複雑に絡み合うため、まずは、離婚専門の弁護士に相談することをおすすめします。

 

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