モラハラの夫の特徴とは?性格や発言例を事例で解説

弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  

モラハラ夫は次のような、妻の人格や存在を否定するような特徴を持っていることが多いです。

  • 妻の人格を否定する
  • 妻と口をきかなくなることがある
  • 妻を見下している
  • 妻を束縛する
  • 急に妻に優しくなる

モラハラ(モラル・ハラスメントの略称)とは、精神的な暴力のことで、わかりやすく言うと言葉や態度による「嫌がらせ」です。

夫の言動に傷ついているのに、「自分が悪いのかも・・・」と思っていませんか?

それはモラハラかもしれません。

ここでは、妻に対してモラハラをする夫(モラハラ夫)の特徴や発言例、モラハラ夫に当てはまるのかを見分けるチェックリストなどとともに解説していきます。

モラハラ夫への対処法や、モラハラの相談窓口、弁護士にできるサポートも紹介していますので、モラハラ夫に悩まれている方は参考になさってください。

モラハラ夫の6つの特徴【発言・行動パターン】

モラハラ夫の特徴とは?

モラハラ夫は、次のような特徴を持っていることが多いです。

 

妻の人格を否定する

モラハラ夫は、「お前には価値がない」と言うなどして妻の人格を否定し、妻の自尊心や主体性を奪っていきます。

それによって妻を支配下におき、自分の思い通りに動くようにしたり、自分の優越性を感じたりします。

 

妻と口をきかなくなることがある

モラハラ夫は、理由もなく妻を無視したり、妻と口をきかなくなることがあります。

妻は、夫がこのようにしている理由がわからないので混乱し、「自分が何か悪いことをしてしまったのではないか」などと思うようになります。

夫は、妻がこのように思うことを利用して妻をコントロールしようとします。

 

妻を見下している

モラハラ夫は、「自分は正しく、妻は間違っている」「自分は優れており、妻は劣っている」と思っており、妻を対等な存在として尊重することはありません。

そのため、何を言うにも上から目線で、妻の言動、職業、趣味、人間関係などあらゆることをバカにします。

 

妻を束縛する

モラハラ夫は、妻が自分の支配下から抜け出さないように、妻から自由を奪い、社会から切り離そうとします。

そのため、妻が働きに出ることに反対する、習い事をやめさせる、外出を妨害する、スマホを勝手にチェックするなどして、妻を束縛しようとします。

また、頻繁にLINEなどを送りつけて妻を監視しようとすることもあります。

 

二重規範を押しつける

モラハラ夫は、「自分はいいけれども妻はダメ」という二重規範(ダブルスタンダード)を押しつけることが多いです。

例えば、自分の趣味にかけるお金は惜しまないのに、妻には必要な生活費を渡さず節約を強要したりします。

 

急に妻に優しくなる

モラハラにはサイクルがある場合もあるため、モラハラ夫は急に優しくなるときもあります。

しかし、多くの場合、妻を引き留めるため、あるいは「自分はいい人だ」と思いたいがためであり、妻のためにそうしているわけではありません。

夫自身が変わっているわけではないので、優しい時期が長続きすることはありません。

 

結婚前〜モラハラ夫になる特徴とは?

モラハラ夫は、結婚前には優しく魅力的な人に見える場合も多いです。

それが結婚や出産を機にモラハラをし始めるようになります。

もっとも、そのようなタイミングで人が変わったわけではなく、モラハラ夫になる人は、結婚前からモラハラをする人の考え方を持っているのが通常です。

そのため、結婚前でも次のような特徴が表れる場合があります。

  • 彼女を見下す(彼女の意見をバカにする、彼女の前で偉そうにするなど)
  • 「アドバイス」と称して彼女の仕事、容姿、趣味、友人関係などについてダメ出しする
  • 上手くいかないことがあると全て他人のせいにする
  • 自分の予定や都合を優先させようとする
  • 自分の考えを押しつけようとする
  • 彼女を束縛する
  • セックスを強要する
  • 怒ると彼女を怖がらせるようなことをする
  • 彼女以外の前では態度が変わる

 

 

モラハラ夫の内面にある性格の傾向

  • 自分は特別で優れた存在だと思っている
  • 賞賛や感謝されることを求めている
  • 自分は正しいと思っている
  • 自分のためなら平気でウソをつくことができる
  • 相手に共感することがない
  • 他人を人として尊重せず、利用価値があるかどうかだけで判断する
  • 他人をうらやんだり、嫉妬することが多い
  • 他人にどう思われているかを気にしている

 

 

モラハラ夫の定番セリフ〜発言例一覧

妻の人格を否定するような発言

(例)
「不細工」「デブ」「頭が悪い」
「役立たず」
「お前には価値がない」

 

妻を脅したり、威圧するような発言

(例)
「殺してやる」
「離婚するなら自殺する」
「出ていけ」

 

妻の罪悪感をあおるような発言

(例)
「お前が俺を怒らせている」
「お前のせいでこうなった」
「俺に恥をかかせる気か」

 

妻をおとしめるような発言

(例)
「誰のおかげで生活できていると思っている」
「主婦は暇でいいよな」
「主婦のくせに・・・」「女のくせに・・・」

 

 

モラハラ夫になるのは母親の育て方が影響?

夫がモラハラをするような人になったのは、母親の育て方が影響しているのではないかと考える方は多いと思われます。

しかし、母親の育て方は、数ある要因の一つにはなり得ますが、必ずしも決定的な影響を及ぼしているとは限りません。

そのため、モラハラ夫になったのは母親のせいであると言い切ることはできないでしょう。

もっとも、次のような場合は、母親の影響を強く受けている可能性もあります。

 

母親自身にモラハラ気質がある

この場合、息子が母親の言動やその根底にある考え方を正しいものとして受け継ぐことにより、モラハラ気質を持ってしまう可能性があります。

 

母親が配偶者(モラハラ夫の父親)からモラハラを受けていた

この場合、息子が「家庭では母親よりも父親の方が偉い」などといった考え方を身につけてしまう可能性があります。

 

母親が息子(モラハラ夫)を甘やかし過ぎた

この場合、身近な女性は自分のために思い通りに動いてくれると思うようになったり、自分は何をやっても許されると考えるようになる可能性があります。

モラハラ夫の母親の特徴について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

あなたの夫はモラハラ?診断チェックリスト

夫の言動に違和感を覚えても、「気のせいかもしれない」「自分が悪いのかも」と思い込んでしまう方は少なくありません。

しかし、モラハラの多くは、最初は些細な言葉や態度から始まります。

夫がモラハラかどうかを判定するために、チェックリストをご用意しました。

ご自身を責めず、まずは状況を客観的に確認してみてください。

※チェックリストは参考程度にしてください。どれかに当てはまったとしても、必ずモラハラとは言い切れません。

しかし、あなたが日々の生活を苦痛に感じているのであれば、できるだけ早く、モラハラの専門家へご相談ください。

 

 

モラハラ被害を受けやすい妻の特徴と限界サイン

次のような特徴を持つ方は、モラハラのターゲットにされやすい傾向にあります。

  • 真面目
  • 素直
  • 責任感が強い
  • 人に尽くすのが好き
  • 何かあると「自分が悪かったのではないか」と思いがち
  • 他人に屈しやすい

そして、夫からモラハラを受けていると、次のような状態になってしまうことが多いです。

  • 何をするにも夫の顔色をうかがっている
  • 夫を怒らせないように常に気を遣っている
  • 夫の言うことは何でも聞いてしまう(反論できない)
  • 夫との生活がストレスで心身に不調が生じている

モラハラの被害は、被害者自身も気がつかないうちに、どんどん深刻なものになってしまう恐れがあります。

ご自身のケースに当てはまるという場合は、専門家に相談するなど、早めに対処するようにしてください。

 

 

モラハラ夫が一人になるとどうなる?

モラハラ夫と離婚した場合、その夫の末路としては、概ね次の3つが考えられます。

  • 元妻に執着し続ける
  • 再婚をしてモラハラを繰り返す
  • 孤独になる

 

元妻に執着し続ける

モラハラ夫の中には、離婚をしても、離婚をした事実を受け入れられなかったり、「妻は自分のもの」という意識が抜けなかったりする人もいます。

そのような人は、離婚後も、元妻に執着し続けることが予想されます。

具体的には、妻にしつこく接触する、仕返しをする、などです。

 

再婚をしてモラハラを繰り返す

モラハラ夫は、離婚後、元妻に執着することなく、又は元妻との修復を諦めて再婚をし、新しい生活を始めることも考えられます。

しかし、モラハラ夫のモラハラ気質は、離婚をしても変わらないことがほとんどです。

そのため、モラハラ夫は、再婚相手に対してもモラハラをしてしまう可能性が高いです。

 

最終的には孤独になる

モラハラ夫は、安定した夫婦関係を築くことが難しいです。

そのため、老後に配偶者と助け合って生活するということが望めない可能性があります。

定年退職などで仕事の人間関係がなくなると、途端に人との関わりが無くなってしまい、孤独な晩年を過ごすことになる可能性があります。

 

 

モラハラ夫への4つの対処法

モラハラ夫への主な対処法は以下の通りです。

 

① モラハラの証拠を確保する

モラハラは目に見えない暴力であり、身体的な傷がないため、身体的DVよりも証拠を残すことが難しい傾向にあります。

将来的な離婚や別居後の交渉に備え、以下の証拠を集めることが重要です。

証拠の具体例 立証する内容
録音データ 相手の暴言や誹謗中傷などの発言内容
LINEなどのメッセージ 相手の暴言や誹謗中傷などの発言内容
診断書やカルテ モラハラによって心の傷を被ったことやその程度

モラハラの具体的な内容や状況によって必要な証拠は異なります。

詳しくは専門家にご相談ください。

 

②別居によって物理的な距離を確保する

モラハラから抜け出し、被害の拡大を防ぐためには、モラハラ夫と物理的な距離を置くことが最も重要です。

  • 目的:モラハラ夫の支配下から抜け出すこと。離婚の決心がついていなくても、まずは別居に踏み切ることが大切です。
  • 注意点:夫に知られると別居を妨害される可能性があるため、事前に夫に相談する必要はありません。

準備や当日の段取りは夫に知られないよう慎重に進めるケースが多いです。

 

③モラハラに強い弁護士へ相談する

モラハラ問題に詳しい弁護士に相談し、サポートを受けることで、別居やその後の手続きをスムーズに進め、精神的な負担を軽減することができます。

以下、サポートの具体例をご紹介します。

 

弁護士による別居サポート

ご自身だけで別居に踏み切るのが難しい場合、弁護士に相談することで、具体的な別居の実行方法や別居後の見通しについてアドバイスを受け、不安を解消できます。

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別居を弁護士がサポート

 

弁護士が窓口となる

弁護士に依頼し別居と同時に弁護士が窓口となるようモラハラ夫に申し入れることで、以下の効果が期待できます。

  • モラハラ夫による妻や親族への直接接触を防ぐ。
  • ご自身で夫と直接やり取りせずに済み、肉体的・精神的な負担を大幅に軽減する。
  • 離婚成立など解決に至るまで、全面的にサポートを受けられる。

 

婚姻費用の請求をサポート

夫の方が収入が多い場合、別居後から離婚成立までの生活費(婚姻費用)を夫に請求できます。

モラハラ夫は支払いを拒否するケースが多いため、専門家である弁護士に請求・交渉を依頼するのが効果的です。

任意での支払いを拒否された場合、弁護士がいれば裁判所の手続きへの移行もスムーズです。

 

④離婚を検討する

モラハラ夫の改善が期待できない場合、離婚を視野に入れ、具体的な手続きを進めていくことになります。

 

 

モラハラ相談窓口と弁護士にできるサポート

配偶者暴力相談支援センター

配偶者からの暴力被害に関する支援を行っている公的機関です。

都道府県が設置する婦人相談所の他、女性センター、福祉事務所などの公的施設が支援センターの機能を果たしている自治体もあります。

引用元:内閣府男女共同参画局|相談機関一覧

 

DV相談ナビダイヤル

全国共通の電話番号・#8008に電話をかけると最寄りの配偶者相談支援センターに自動転送され、相談等をすることができます。

 

DV相談+(プラス)

電話・メール(24時間)の他、チャットでも相談等をすることができます。

参考:内閣府|DV相談+

 

警察署(生活安全課)

危害が及ぶ恐れがある場合、保護などを受けることができます。

警察相談専用番号・#9110で電話相談も可能です。

※緊急の場合は110番通報してください。

 

民間の相談機関

内容は団体により異なりますが、相談・一時保護・自立に向けた支援などを受けることができます。

 

モラハラに理解がある男女問題を扱う弁護士

法的にとり得る手段や、今後の見通しについて知りたい場合、まずは専門の弁護士に相談されることをおすすめいたします。

モラハラ問題に詳しい弁護士であれば、状況を踏まえた具体的な助言をしてくれますので、ご自身の状況を把握したり、今後の対処法を検討していくことができるようになるでしょう。

また、具体的に対処していく場合は、弁護士であれば、代理人として間に入り、交渉から裁判手続きに至るまで全面的にサポートすることができます。

もっとも、弁護士の取り扱い分野は多岐に渡るため、全ての弁護士がモラハラ問題に詳しいとは限りません。

弁護士に相談するときは、男女問題・離婚問題を専門的に扱い、かつモラハラ問題に理解のある弁護士を選ぶことが大切です。

 

 

まとめ

以上、モラハラ夫の特徴について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

夫がモラハラ夫の可能性があるという場合は、早期に対処する必要があります。

どのように対処していくべきかは、具体的な状況によって異なりますので、まずはモラハラ問題に詳しい弁護士に相談されることをおすすめいたします。

当事務所には、モラハラ問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、モラハラ問題を強力にサポートしています。

LINEなどによるオンライン相談にも対応していますので、モラハラ問題にお困りの方はお気軽にご相談ください。

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