大人の女性のADHDの特徴を踏まえた法律問題【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


成人女性のADHDの特徴を踏まえた法律問題
ADHD(注意欠如・多動症)は、発達障害の一種であり、日常生活においてトラブルの原因となることが考えられます。

このページでは、大人の女性のADHDの特徴、その特徴から想定される法律上のトラブル、トラブル回避のポイントについて、わかりやすく解説しています。

離婚や男女問題に注力する弁護士が解説していますので、ぜひ参考になさってください。

 

 

大人の女性のADHDの特徴

女性特有の問題

ADHD(注意欠如・多動症)は、発達年齢に比べて、落ち着きがない、待てない(多動性-衝動性)、注意が持続しにくい、作業にミスが多い(不注意)といった特性があると言われています。

このADHDは男女ともに見られますが、女性の場合、男性のADHDと異なる問題点があると考えられます。

ADHDが目立ちにくい 女性の場合、多動性などの特性よりも不注意に特性のある人が多いと言われています。また、男性よりも周りに合わせようという人が多いため、ADHDが目立ちにくいという傾向があります。
内面的なトラブルを抱えやすい 他人との衝突よりも、メンタル的な問題を引き起こしやすいという傾向があります。
ホルモンの影響を受けやすい 女性ホルモンの変動により、症状のコントロールがしにくいという傾向があります。
他の病気や障害を発症しやすい ストレスなどから別の病気が発症しやすいという傾向があります。

 

大人のADHDの特徴

ADHDをもつ女性が成人すると、未成年の頃と比べて職場や家庭のストレスの影響を受けるようになります。

特に仕事や家事が多忙な場合、心身の負担となります。

仕事のミスが多くなったり、家事を段取り良くこなすことができなくなるなどの問題が発生し、不安定になることが懸念されます。

例えば、成人女性のADHDの特徴として、以下のものが挙げられます。

大切な仕事の予定をよく忘れる

女性のADHDは子供のときから不注意が目立つと言われていますが、幼少期はADHDに気づきにくく、単なる「おっちょこちょい」で済むことが多いです。

大人になって仕事を始めると、大切な仕事の予定を忘れるなどのミスが発生し、自分がどこかおかしいと気づくようになります。

大切な書類を置き忘れる

ADHDの女性は職場でも家庭でも、気を抜いているつもりはないのに、大切な書類を置き忘れるなどのミスをする傾向があると言われています。

背景には「不注意」の特性があります。

一生懸命やっているのにミスを繰り返すことで、自分自身に無力感や嫌悪感を抱いてしまうことがあります。

気配りができず、同性に嫌われる

ADHDの女性は、同性どうしのグループに入ったとき、人の話を聞かなかったり、他の人の気にさわることを言ったりしてしまうことがあります。

結果として周囲から自己中心的というレッテルを貼られて嫌がられることがあります。

時間がないのに用事をつめこむ

ADHDの女性は、余裕を持って行動することが苦手という特徴があります。

にもかかわらず、時間内にこなすことができない予定を入れてしまい、処理することができず、周囲から「時間にルーズ」などと言われることがあります。

子供を叱りすぎる

ADHDの子持ちの女性は、子供の欠点にイライラしやすいという傾向があると言われています。

そして、冷静さを失って子供を叱り、虐待を疑われることもあります。

また、気分しだいで子供に接するため、子供が戸惑うこともあります。

このような状況で夫から適切なサポートが得られない場合、子育てで悩み、問題が深刻化することが懸念されます。

(参考:女性のADHD|宮尾益知)

なお、上記はADHDではない方にも起こりうるものです。

そのため、ADHDであるか否かについては自分自身で判断せずに、専門の医療機関で診断してもらうべきです。

以下では、ADHDのような傾向を持つ方が抱える法的問題について解説します。

 

 

ADHDであることによるトラブル

ADHDの大人の女性が抱える法的トラブルとして、以下のような事案が考えられます。

婚約破棄の可能性

婚約破棄とはカップルが結婚の約束をした後に、その約束を破って結婚しない状況のことをいいます。

ADHDが問題となる可能性としては、「婚約したものの、相手の不注意や多動−衝動性に我慢できなくなって結婚を取りやめたい」ということが考えられます。

具体的な状況にもよりますが、基本的には「正当な理由」とは認められない可能性が高いと考えられます。

 

離婚問題へ発展する可能性

女性のADHDは、上で解説したように男性と比べると「発見しにくい」という特徴があります。

したがって、交際中はADHDとは思わなかったが、結婚して長年月が経過してADHDということがわかった、というケースが想定されます。

それでは、ADHDを理由として、離婚することが認められるのでしょうか。

ADHDの場合、一緒に生活することで徐々にその特徴に気づくことがあるという程度のもので、性格との違いが明確ではありません。

いわゆる「性格の不一致」のようなものですので、基本的には離婚原因とはならないと考えられます。

 

 

トラブルを回避するための3つのポイント

ADHDの方が上記の男女にかかる法律トラブルを回避するにはどうすればよいのでしょうか。

以下、トラブル回避のポイントについて解説します。

適切な治療を受ける

ADHDと性格との違いは微妙な場合もあります。

しかし、ADHDは疾病の一種であり、適切な治療を受けることで症状が改善されることが期待できます。

そのため、ADHDでお悩みの方は一度専門の医療機関に相談されることをお勧めいたします。

 

支援センターを利用する

ADHDについては現在、認知度が高まっており、医療機関以外にも公的な支援センターがサポートを提供しています。

お近くの支援センターを利用されることで、問題が解決できる可能性もあるため一度ご相談されてはいかがでしょうか。

参考:発達障害者支援センター

 

周囲に理解してもらう

夫婦や男女トラブルになるのは「相手に対する過度の期待」が原因となることが多いです。

自分の家族や親しい人だからこそ「自分の理想と異なる状況」を受け入れられずに、関係が悪化すると考えられます。

しかし、相手の行動が「性格」ではなく「疾病が原因」ということが理解できれば、相手に対して過度の期待を持つことはなくなると思われます。

したがって、ご自身がADHDであることをパートナー等に打ち明けてみるということも検討されてはいかがでしょうか。

これは少し勇気がいることかもしれません。

しかし、相手があなたのことを大切に思っているのであれば、理解し、一緒になって対策を考えてくれるのではないでしょうか。

もし、理解しようとしない相手であれば離婚などの方法を検討すべきと思われます。

 

ADHDにくわしい離婚弁護士に相談する

相手と一緒に生活することが難しい状況であれば、離婚という方法を選択肢にいれて検討しましょう。

もっとも離婚は最終手段であり、離婚を決意する前に、まずは「離婚したらどうなるのか」ということを事前に把握しておくべきです。

したがって、まずは離婚問題にくわしい弁護士に相談することが重要となります。

また、できればADHDについても理解がある弁護士が望ましいです。

ADHDについて精通している弁護士であれば、相談者の状況をよくイメージできるので、的確な助言が期待できるからです。

離婚問題を専門としている弁護士は、他の弁護士と比べてADHDについてもある程度知っている場合があります。

しかし、ADHDという言葉は決して日常用語ではなく、離婚専門の弁護士でも十分に理解されていない方が多いかと感じます。

そのため、ADHDにくわしい離婚弁護士を探すことがポイントとなります。

 

 

 

まとめ

以上、大人の女性のADHD問題について、くわしく解説いたしましたがいかがだったでしょうか。

ADHDの方は、不注意や多動−衝動性という特徴があるため、仕事や家庭内においてトラブルになる可能性が懸念されます。

もっとも、ADHDの場合、性格の範囲との境が微妙なため、婚約破棄や離婚の正当な理由となる可能性は少ないと考えられます。

ADHDについてお困りの方は、まずは適切な治療、支援センターの利用、周囲への働きかけなどで状況を改善するよう試して見られると良いでしょう。

しかし、状況しだいでは離婚などの方法を検討すべきと思われます。

その場合、ADHDにくわしい離婚弁護士へのご相談を強くお勧めいたします。

当事務所には、離婚事件に注力する弁護士のみで構成された離婚事件チームがあり、離婚問題や男女問題にお困りの方を強力にサポートしています。

ADHDにくわしい弁護士も多数所属しておりますのでお気軽にご相談ください。

この記事がADHDの問題でお困りの方のお役に立てれば幸いです。

 

あわせて読みたい
ご相談の流れ

 

 

 

アスペルガーとADHD(注意欠陥・多動性障害)についてさらに詳しく!



アスペルガーについて

解決事例

  • 1
  • 2


ADHDについて





なぜ離婚問題は弁護士に相談すべき?弁護士選びが重要な理由とは?   

続きを読む