交通事故の後遺症の慰謝料とは?相場や計算・認定のポイント

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

交通事故の後遺症の慰謝料とは?

交通事故で後遺症が残ってしまった場合、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」という独自の賠償金を請求できる可能性があります。

後遺症の慰謝料の相場は、110万円~2800万円(弁護士基準の場合)程度となっています。

しかし、この慰謝料は後遺症があるというだけでは支払われません。

後遺障害としての認定を受け、さらに適切な算定基準で交渉して初めて、適切な金額を手にすることができます。

交通事故に遭って後遺症が残った場合は、被害者は一生涯にわたって不自由な思いをすることになってしまいます。これは、大変辛いことです。

この記事では、交通事故の後遺症に直面している方に向けて、後遺障害慰謝料はいくらもらえるのか、慰謝料だけではなく後遺障害逸失利益の計算方法、後遺障害に認定されるためのポイントなどを解説します。

納得のいく解決への第一歩として、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

交通事故の後遺症の慰謝料とは?

交通事故の後遺症の慰謝料とは

交通事故で後遺症が残ってしまった場合は、「後遺障害慰謝料」という独自の慰謝料を請求することができます。

後遺症が残る、とは、ケガなどにより身体に何らかの症状が残ってしまい、治療をしても改善が望めない状態になることを言います。

このような後遺症により生じる精神的苦痛に対し、民法は、損害賠償(慰謝料)を請求する法律上の権利を認めています(民法710条)。

交通事故の賠償に関する場面では、この後遺症について、補償対象として取り扱うか否かの基準を定めた「後遺障害」という等級制度が設けられています。

この後遺障害に該当する後遺症が残っていることが認められると、初めて等級に応じた慰謝料を受け取ることができます。

つまり、後遺症の慰謝料を支払ってもらうには、後遺障害等級に認定される必要があるのです。

 

 

後遺障害の等級とは?認定基準をチェック

後遺障害等級の3つの基本ルール

後遺障害等級には以下の3つの基本ルールがあります。

  • 1級(重い)〜14級(軽い)の区分がある。
  • 慰謝料は認定された等級で決まる。
  • 重いほど慰謝料は高くなる。

最も重い1級の後遺障害慰謝料は2800万円、14級の場合には110万円です。

上記以外のルールとしては、以下のような「併合」という考え方があります。

 後遺障害「併合」のルール
  • 5級以上が2つ以上認定された場合には、最も重い等級を3級繰り上げる
  • 8級以上が2つ以上認定された場合には、最も重い等級を2級繰り上げる
  • 13級以上の後遺障害が2つ以上認定された場合には、最も重い等級を1級繰り上げる
  • 14級は2つ以上認定されても14級のまま

併合について、詳しくは以下をご覧ください。

 

【早見表】むちうちや最も症状が重いケースの認定事例

以下では、認定されることが多い等級を表にしてまとめています。

等級 症状、ケガの内容 認定のポイント
14級 9号 首や腰、体の痺れ、痛みなど 通院期間が半年以上、一貫連続して症状はあるか、事故の規模の大きさ、治療の経過・内容から症状の存在が医学的に証明できるか
12級 13号 首や腰、体の痺れ、痛みなど レントゲン、CT、MRIなどに異常な所見があるか
6・7号 関節の可動域制限 レントゲン、CT、MRIなどに異常な所見があり、ケガしてない方と比べて、可動域が3/4に制限されているか
14号 顔に傷跡や瘢痕が残る 顔面部に残った10円玉以上の瘢痕、または長さ3センチメートル以上の線状痕、頸部に残った鶏の卵大以上の瘢痕
1級 1号 寝たきりの状態、常に介護が必要な状態、四肢が麻痺しているなど 症状の原因が交通事故であると証明すること

 

【全等級】後遺障害等級表と認定基準

介護を要する場合(別表第1)

以下は、介護が必要な場合の等級です。

▼介護を要する場合の後遺障害等級表
(クリックすると展開)ボタン
等級 後遺障害の内容
第1級 1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級 1 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 

介護を要さない場合(別表第2)

以下は、介護が必要がない等級の一覧です。

▼介護を要しない場合の後遺障害等級表
(クリックすると展開)ボタン
等級 後遺障害の内容
第14級 1 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
2 三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
3 一耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8 一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの
9 局部に神経症状を残すもの
第13級 1 一眼の視力が0.6以下になったもの
2 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6 一手のこ指の用を廃したもの
7 一手のおや指の指骨の一部を失ったもの
8 一下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの
10 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第12級 1 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2 一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4 一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8 長管骨に変形を残すもの
9 一手のこ指を失ったもの
10 一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
11 一足の第二の足指を失ったもの、第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの
12 一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13 局部に頑固な神経症状を残すもの
14 外貌に醜状を残すもの
第11級 1 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6 一耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7 脊柱に変形を残すもの
8 一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
9 一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
10 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第10級 1 一眼の視力が0.1以下になったもの
2 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
5 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
8 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9 一足の第一の足指又は他の四の足指を失ったもの
10 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
第9級 1 両眼の視力が0.6以下になったもの
2 一眼の視力が0.06以下になったもの
3 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
6 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9 一耳の聴力を全く失ったもの
10 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失ったもの
13 一手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
14 一足の第一の足指を含み二以上の足指を失ったもの
15 一足の足指の全部の用を廃したもの
16 外貌に相当程度の醜状を残すもの
17 生殖器に著しい障害を残すもの
第8級 1 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下になったもの
2 脊柱に運動障害を残すもの
3 一手のおや指を含み二の手指を失ったもの又はおや指以外の三の手指を失ったもの
4 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
5 一下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
7 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8 一上肢に偽関節を残すもの
9 一下肢に偽関節を残すもの
10 一足の足指の全部を失ったもの
第7級 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの
2 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6 一手のおや指を含み三の手指を失ったもの又はおや指以外の四の手指を失ったもの
7 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
8 一足をリスフラン関節以上で失ったもの
9 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
10 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
11 両足の足指の全部の用を廃したもの
12 外貌に著しい醜状を残すもの
13 両側の睾丸を失ったもの
第6級 1 両眼の視力が0.1以下になったもの
2 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
7 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
8 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失ったもの
第5級 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
2 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4 一上肢を手関節以上で失ったもの
5 一下肢を足関節以上で失ったもの
6 一上肢の用を全廃したもの
7 一下肢の用を全廃したもの
8 両足の足指の全部を失ったもの
第4級 1 両眼の視力が0.06以下になったもの
2 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3 両耳の聴力を全く失ったもの
4 一上肢をひじ関節以上で失ったもの
5 一下肢をひざ関節以上で失ったもの
6 両手の手指の全部の用を廃したもの
7 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
第3級 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
2 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
4 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5 両手の手指の全部を失ったもの
第2級 1 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
2 両眼の視力が0.02以下になったもの
3 両上肢を手関節以上で失ったもの
4 両下肢を足関節以上で失ったもの
第1級 1 両眼が失明したもの
2 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4 両上肢の用を全廃したもの
5 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
6 両下肢の用を全廃したもの

 

 

【等級別】後遺障害慰謝料の相場早見表

後遺障害慰謝料の相場は、110万円~2800万円(弁護士基準の場合)程度となっています。

非常に大きな幅がありますが、これは後遺障害の等級ごとに、後遺障害慰謝料が大きく異なるからです。

 

慰謝料の計算は3つの基準がある

交通事故の慰謝料を計算する基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。

基準 内容
自賠責基準 自動車の利用者全体で被害者への最低限の賠償を負担する制度。
算定額は3つの基準の中で最も低くなる傾向にあります。
任意保険基準 各保険会社が独自に設定している基準。
自賠責基準よりは高額な場合が多いですが、弁護士基準よりは低い水準です。
弁護士基準 弁護士が算定に用いる基準で、裁判所の基準とも一致(裁判基準)します。
3つの基準の中で最も高額かつ適正なものとなっています。

 

後遺障害慰謝料の相場早見表【比較】

下表は、自賠責基準、弁護士基準での慰謝料を比較したものです。

 

介護が必要な後遺障害の場合

等級 自賠責基準
(限度額)
弁護士基準
第1級 1650万円
(4000万円)
2800万円
第2級 1203万円
(3000万円)
2370万円

※自賠責基準について、被扶養者がいる場合は、第1級は1850万円、第2級は1373万円です。さらに、初期費用等として、1級には500万円、2級には205万円が加算されます。

 

介護が不要な後遺障害の場合

等級 自賠責基準
(限度額)
弁護士基準
第1級 1150万円
(3000万円)
2800万円
第2級 998万円
(2590万円)
2370万円
第3級 861万円
(2219万円)
1990万円
第4級 737万円
(1889万円)
1670万円
第5級 618万円
(1574万円)
1400万円
第6級 512万円
(1296万円)
1180万円
第7級 419万円
(1051万円)
1000万円
第8級 331万円
(819万円)
830万円
第9級 249万円
(616万円)
690万円
第10級 190万円
(461万円)
550万円
第11級 136万円
(331万円)
420万円
第12級 94万円
(224万円)
290万円
第13級 57万円
(139万円)
180万円
第14級 32万円
(75万円)
110万円

※自賠責基準について、被扶養者がいる場合は、第1級は1350万円、第2級は1168万円、3級は1005万円です。

 

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後遺障害慰謝料以外にも請求できる!逸失利益や休業損害の計算

後遺障害慰謝料は、賠償金全体のほんの一部に過ぎません。

特に後遺障害逸失利益は、賠償項目の中で最も高額になる損害項目の一つであり、とても重要な損害項目です。

ここでは、後遺障害慰謝料以外の損害項目と、その具体的な計算方法について詳しく解説します。

 

後遺症があるケースの損害賠償項目一覧

後遺症があるケースで損害賠償を請求できる項目には、以下のようなものがあります。

損害賠償項目 概要
入通院慰謝料 交通事故などによるケガのために入院したり通院したりした場合に請求できる慰謝料
休業損害 交通事故によって仕事を休まざるを得なくなり、収入が減ってしまう損害
後遺障害逸失利益 交通事故によって後遺障害が残った場合、又は死亡してしまった場合に、これによって得られなくなってしまった収入
治療費などの積極損害 治療費、交通費、介護費用など、交通事故で被害者が支払うことになった出費

 

【計算式】後遺障害逸失利益の仕組み

計算の要となる逸失利益は、以下の数式で算出されます。

計算式 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
  • 基礎収入: 原則として事故前の年収
  • 労働能力喪失率: 等級ごとの割合(14級:5%など)
  • ライプニッツ係数: 将来の収入を前払いで受けるための中間利息を控除する係数

 

【事例】40歳・年収500万円で「後遺障害1級」と認定された場合

具体的として、40歳の方が後遺障害1級に認定された場合の計算イメージを見てみましょう。

具体例

後遺障害慰謝料:110万円(弁護士基準)

後遺障害逸失利益:約9164万円(年収500万円 × 100% × 27年に対応するライプニッツ係数18.327)


合計:約9274万円 +(入通院慰謝料 + 治療費など)

後遺障害逸失利益の計算の仕方、ライプニッツ係数の一覧表などをより詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

 

 

後遺障害慰謝料等を受け取るための手続きの流れ

交通事故の慰謝料等の請求の流れ

入通院治療・一括対応

交通事故によってけがをすると、入通院による治療が必要となります。

この治療をきちんと受けないと、後々後遺障害等級認定を受ける際などに不利になりかねませんので、面倒だと思っても医師の指示通りに通院するようにしましょう。

通院の際、加害者側の保険会社が直接医療機関に支払いをする場合があります(一括対応)。

この場合、被害者は窓口で診療代を支払う必要はありません。

しかし、一括対応があったからといって、その診療代を確実に加害者側に負担させられるわけではありません。

直接払いはあくまで仮払いなので、後から過失相殺の主張をされたり、不要な通院だったから負担できないと言われたりすることがあります。

そうなると、既に一括対応を受けた金額の一部を最終的な損害賠償額から差し引かれてしまうこともあり得ますので、注意が必要です。

 

症状固定・後遺障害等級認定の申請

治療してもこれ以上症状の改善が望めない状態になると、症状固定となります。

症状固定すると、残った症状は後遺障害(後遺症)となり、慰謝料や逸失利益の確定のため、後遺障害等級認定を申請することになります。

後遺障害等級認定を受けるには、加害者請求と被害者請求という二つの方法があります。

加害者請求は、加害者側の任意保険会社から被害者に対して直接全額の賠償金を支払い、自賠責への請求は、後から加害者側によってしてもらう、というものです。

加害者請求では、賠償金を支払う前に、加害者側の任意保険会社から自賠責に対して後遺障害等級の認定を申請します。

これを事前認定といいます。

被害者請求は、被害者が、自賠責に対して、直接支払いを請求することができる制度です。

被害者請求では、後遺障害等級認定についても、被害者が直接自賠責に対して申し立てることになります。

 

示談交渉

後遺障害等級が定まったら、加害者側の保険会社との間で示談交渉をします。

示談交渉では、多くの場合、加害者側の保険会社から賠償額の提案があります。

この提案での賠償額は、任意保険基準となっており、必ずしも高額・妥当なものとなっていないことは既にご説明したとおりです。

十分な賠償を得るためには、被害者側でも弁護士を立て、弁護士基準による賠償を求めていくことが重要です。

交通事故の示談交渉時に注意すべき点については、以下のページをご覧ください。

 

示談成立・訴訟提起

賠償額や支払条件について合意ができると、示談成立となります。

示談が成立してから賠償金が支払われるまでの期間は、2週間程度となることが多いです。

示談ができない場合は、訴訟提起などの対応を行います。

 

 

慰謝料等請求に必要な書類と費用のまとめ

交通事故の慰謝料等の請求に必要な書類

交通事故の慰謝料等を請求する際に状況に応じて必要となる書類の主なものには、以下のものがあります。

交通事故自体に関するもの 交通事故証明書 自動車安全運転センターが発行。
事故車両の運転者、被害者、人身事故・物件事故の別なども記載されている。
人身事故証明書入手不能理由書 警察に物損事故として届け出ており、人身事故に切り替えていない場合に必要になる書類
実況見分調書 人身事故の場合のみ警察が作成。
事故現場、事故車両の状況などが記載されており、写真も添付されている。
事故発生状況報告書 被害者請求をした場合に、被害者で作成して提出するよう求められる。保険会社から書類をもらうので、それに必要事項(事故当時の状況、現場の見取り図など)を書き込んで作成する。
ケガに関する必要書類 診断書 担当医などに作成してもらう。入通院期間、症状の経過などに関する記載が重要になる。
診療報酬明細書 入通院時の治療内容、治療費が記載されている。
調剤報酬明細書 病院で薬の処方を受けて、薬局で薬をもらった場合に発行されるもの。
損害に関する書類 通院交通費明細書 通院に要した公共交通機関の利用料金、自家用車のガソリン代、タクシー代などの明細を作成して提出する。
タクシー代・駐車場代の領収証 タクシー代や駐車場代の立証に必要。
休業損害証明書 被害者が会社員の場合、保険会社から渡された書類を会社に提出し、作成してもらう。
確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書の写し 被害者が自営業者の場合、前年度の確定申告書等の写しを提出する。
後遺障害に関する書類 後遺障害診断書 担当医に作成してもらい、提出する。

作成時には、弁護士のアドバイスに従うなどして、適切な書き方となるよう医師に依頼する。

物損資料 事故車両の壊れ方などを示す写真、資料を提出する場合もある。
レントゲン、MRIなどの画像 検査した際の画像があれば、病院から開示してもらい、提出する。
カルテ 病院に開示してもらい、提出する。
被害者の陳述書 被害者から、事故のこと、治療経過、現在の症状、後遺障害による生活への影響などを聞き取って陳述書にする。(被害者が自ら作成しても構わない。)
支払請求書 保険会社から書類が送られてくるので、必要事項を記載して提出する。
印鑑証明書 後遺障害申請にあたって、被害者の印鑑証明書が必要。

被害者請求で必要になる書類について、詳しくは以下のページをご参照ください。

交通事故による慰謝料の請求時に用意する明細については、以下のページもご参照ください。

 

交通事故の後遺障害慰謝料の証拠

後遺障害慰謝料を請求する場合でも、上に挙げたもの以外に特に証拠を提出する必要はありません。

後遺障害慰謝料は、原則として後遺障害等級に応じて支払われるため、上の必要書類以外の証拠を追加で提出する必要はないのです。

ただし、加害者側が後遺障害等級を争ってくるような場合には、医師の意見書等の医学的証拠を準備する必要がある場合もあります。

 

交通事故の慰謝料等の請求にかかる費用

実費

交通事故の慰謝料等の請求をするために裁判を起こす場合は、裁判所に納める申立手数料、郵便費用などが必要となります。

申立手数料は請求額によって変わります。

例えば、

  • 請求額が500万円の場合は3万円
  • 請求額が1億円の場合は32万円

などとされています。

郵便費用は、原告と被告の人数、訴訟代理人の有無などによって変わってきますが、多くの場合、数千円~数万円程度となります。

示談交渉や被害者請求をする場合も、郵便料金、通信費などは必要となる場合があります。

 

弁護士費用

弁護士費用としては、主に、

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金

が必要となります。

相談料は、法律相談をした際にお支払いいただく費用のことです。

弁護士に依頼するかは決めていないけれど、まずは法律相談をしたい、という場合には、相談料をお支払いいただくことになります。

相談料は30分5000円程度とされていることが多いです。

中には、初回無料で相談できる法律事務所もあります。

弁護士に交渉や訴訟提起を依頼することになると、着手金を支払っていただくことになります。

着手金の額は請求金額によって変わってきますが、10万円程度~となっていることが多いです。

報酬金は、弁護士に依頼したことで得られた金額(回収額)の10%程度~となっていることが多いです。

以上のほかに、弁護士が遠方の裁判所や事故現場まで出張したような場合は、交通費、出張費をお支払いいただくことがあります。

交通事故に関しては、任意保険に弁護士費用特約を付けておられる方が多くおられます。

弁護士費用特約を利用できれば、限度額の範囲内であれば、ご自身で弁護士費用を負担することなく、弁護士に依頼をすることが可能です。

以下のページにて、当事務所における弁護士費用について、弁護士特約を利用される場合とされない場合に分けてご紹介しておりますので、ご参考になさってください。

あわせて読みたい
弁護士費用

 

 

交通事故の示談交渉で後遺障害慰謝料を損せず受け取るポイント

後遺症の認定率を左右する「通院」と「症状固定」の注意点

後遺障害慰謝料を請求する可能性がある場合は、医師の定期的な診察をきちんと受けるようにしましょう。

医師の診察を定期的に受けていないと、「いつからどのような症状があったのか?」「本当に事故によるものか?」といった疑問を持たれたときに、証拠をもって反論することができなくなってしまいます。

また、これ以上治療しても改善が望めない状態を「症状固定」と言います。

保険会社から「もう症状固定だから治療費を打ち切る」と言われても、まだ改善の望みがあるなら、あきらめずに治療を続け、その必要性をカルテに残してもらうことが大切です。

主治医が「まだ治療を続けましょう」と言っていても、法律的な観点から「症状固定」と判断されるリスクもあるため、不安な場合は早めに弁護士に相談しましょう。

 

適切な後遺障害等級に認定されるためのポイント

後遺障害等級の認定結果は、慰謝料額を大きく左右します。

納得のいく認定を得るためのポイントは以下の通りです。

 

後遺障害診断書への対応

医師が作成する診断書の内容は非常に重要です。

医師に適切な診断書を書いてもらうために、弁護士のアドバイスを受け、具体的な書き方やNG例を伝えることが必要な場合があります。

 

等級表にない症状でもあきらめない

等級表に明記されていない症状でも、他の等級に「相当」するものとして認定される可能性があります。

 

複数の後遺症は併合される

後遺障害が2つ以上ある場合、「併合」によって等級が繰り上がる可能性があります。

すべての症状を医師に伝え、漏れなく診察を受けておくことが重要です。

 

保険会社の提示(任意基準)で損をしないための立ち回り

保険会社から提示される賠償額は、多くの場合、適正な「弁護士基準(裁判基準)」を下回る金額です。

 

基準は絶対ではない

事故態様が悪質な場合などは増額されることもあれば、逆に過失相殺(被害者の過失分を減額)、損益相殺(他の利益を控除)、素因減額(持病による減額)によって調整されることもあります。

具体例 過失相殺の計算例

全体の損害額が1,000万円、被害者の過失が30%の場合

1,000万円 × 70% = 700万円

 

サインは慎重に

一度示談書にサイン(合意)してしまうと、後から内容を変更することは非常に困難です。

「後からまた請求すればいい」という考えは通用しないため、納得できるまで判を押してはいけません。

 

 

後遺障害慰謝料請求は交通事故に強い弁護士に相談する

ここまでに解説したようなポイントや注意点を押さえながら損害賠償を請求していくことは、一般の方には困難です。

交通事故に遭ってしまって賠償金を請求したい場合には、交通事故に強い弁護士に相談することを強くお勧めします。

交通事故に強い弁護士に相談できれば、症状固定時期や後遺障害等級の認定についても適切に対応し、通院の継続に関するアドバイスもくれます。

弁護士に依頼すれば、保険会社等とのやり取りを全部弁護士に任せることができるので、安心して治療に専念できるというメリットもあります。

交通事故に強い弁護士に相談することのメリット、交通事故に強い弁護士の探し方などについては、以下のページで詳しく解説しています。

ぜひ一度ご覧ください。

 

 

後遺症の慰謝料請求についてのQ&A

後遺障害慰謝料はどこから支払われますか?

後遺障害慰謝料は、加害者が加入している自賠責保険の会社、任意保険会社から支払われます。

保険では賄いきれない場合は加害者本人に、加害者が任意保険に入っていなかった場合には加害者本人と自賠責保険に、被害者から直接請求することになります。

 

後遺障害慰謝料14級はいくらですか?

後遺症障害等級14級の場合の後遺障害慰謝料は、自賠責基準では32万円・弁護士基準では110万円となります

 

 

まとめ

今回は、後遺障害慰謝料の請求を中心に、交通事故で後遺症が残った場合の損害賠償請求について解説しました。

交通事故は、だれにでも起こり得るものです。

にもかかわらず、いざ交通事故に遭ったときにはどうすればよいか、損害賠償を求めていく中では何に気を付けたらよいのか、といったことについては、あまり知られていないのが実情です。

そのため、実際に交通事故に遭ってしまわれた方や被害者の近親者の方は、どうすればよいのかわからず途方に暮れてしまうことも珍しくありません。

そんな中、保険会社などから賠償案の提示を受け、よく分からないままその提案を飲んでしまう、ということも起こってきます。

しかし、それはいけません。

交通事故の被害に遭った場合、特に後遺症が残るような事態になってしまった場合は、適切な賠償金を得られるかどうかが、その後の人生を大きく左右します。

相手方の保険会社のいうことを鵜呑みにせず、まずは交通事故に詳しい弁護士に相談しにいきましょう。

自ら弁護士に相談すれば、専門家である弁護士が、あなたの立場に立って、あなたにとってより良い解決となるようサポートしてくれます。

当事務所でも、交通事故事件を日常的に取り扱う人身障害部を設け、被害者の方に充実したサポートを提供できる体制を整えております。

事故直後からのサポートだけでなく、通院中に治療の打ち切りを通告された方へのサポート、後遺障害申請に関するサポートなども行っております。

交通事故に遭ってしまった方は、ぜひ一度、当事務所までご相談ください。

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