後遺障害の事前認定のメリット・デメリットは?【弁護士が解説】

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

後遺障害の申請方法には、事前認定による方法と被害者請求による方法があります。

この記事では、事前認定によって後遺障害申請する場合のメリットとデメリットを解説しています。

この記事でわかること

  • 事前認定の内容
  • 事前認定の手続きの流れ
  • 事前認定のメリット・デメリット
  • 事前認定を避けたほうがいいケース
  • 事前認定の結果に納得がいかない場合の対処法

 

後遺障害の事前認定とは?

後遺障害申請は、交通事故により後遺症が残ってしまった場合に、その後遺症が法律に定められている後遺障害等級に該当するかどうかを審査してもらうものです。

後遺障害の事前認定とは、この後遺障害申請を保険会社が行う方法のことをいいます。

後遺障害等級に該当するかどうかで賠償額は大きく変動します。

適切な賠償金を支払ってもらうためには、適切な後遺障害等級に認定される必要があります。

 

後遺障害とは?

後遺障害とは、治療を続けても完治することがなく、身体的あるいは精神的な不具合が将来にわたって残ってしまう状態をいいます。

 

 

事前認定の手続きの流れ

事前認定の手続きは、以下のように進んでいきます。

①症状固定となる

症状固定となった時点で、強い痛みや可動域に制限があるなどの後遺症が残っていれば後遺障害申請を検討することになります。

 

②後遺障害診断書を医師に作成してもらう

後遺障害申請を行うにあたって、後遺障害診断書は必須の書類です。

等級の審査は後遺障害診断書を基に行われるため、その内容は十分に吟味する必要があります。

 

③保険会社に後遺障害診断書と同意書等を提出

後遺障害診断書と、保険会社が医療機関から医療記録(画像など)を取り寄せるための同意書などを保険会社に送付します。

 

④保険会社が資料を収集して後遺障害申請を行う

保険会社が後遺障害申請に必要な書類を集め、後遺障害申請を行います。

 

⑤結果が保険会社に戻ってくる

後遺障害等級の結果は、後遺障害申請をした保険会社に戻ってきます。

 

⑥保険会社から後遺障害の結果の通知を受ける

保険会社からの電話連絡や後遺障害等級の結果が記載された書面等で結果が知らされます。

 

 

事前認定のメリット

事前認定のメリットは、後遺障害申請にあたって被害者の負担が少ないことです。

被害者は、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、同意書等と一緒に保険会社に送付すれば、あとは特にやるべきことはありません。

保険会社から結果の通知がくるのを待っていればいいだけです。

 

 

事前認定のデメリット

事前認定のデメリットとして以下の事柄が考えられます。

提出書類が不透明

前述のとおり、事前認定の場合、保険会社が後遺障害申請を行うため、実際に提出された書類を被害者側で十分吟味できない可能性があります。

 

積極的に有利な証拠は添付してもらえない

保険会社は、後遺障害申請にあたり必要な書類は全て提出してくれます。

しかし、それを超えて後遺障害認定に有利となる証拠を積極的に添付してくれることはないでしょう。

中には、親切に有利な証拠を添付してくれる保険会社の担当者もいるかもしれませんが、多くの場合は、必要書類の範囲内の資料しか提出してくれません。

 

自賠責保険からの賠償金をすぐに受け取れない

後遺障害申請の方法としては、事前認定の他に被害者請求という申請の方法があります。

被害者請求とは、被害者側で後遺障害申請を行う方法です。

被害者請求の場合、申請の結果、後遺障害等級に認定されると、自賠責保険の基準で計算した賠償金がすぐに被害者に支払われます。

しかし、事前認定による申請の場合は、保険会社と示談が済んだ後の支払いになるため、等級認定後、すぐに賠償金の一部の支払いを受けることはできません。

 

 

事前認定でなく被害者請求での申請が望ましいケース

等級認定後、賠償金の一部をすぐに受け取りたいケース

前述したとおり、被害者請求の場合であれば、等級認定後、すぐに等級に応じた賠償金の支払いをうけることができますが、事前認定の方法では支払いを受けることができません。

したがって、等級認定後、すぐに賠償金の一部を受け取りたい場合には被害者請求で申請されることをお勧めします。

 

高次脳機能障害など重篤な後遺症が残存している場合

高次脳機能障害に認定されるには、一定の条件があり、それを満たすために適切な証拠を揃えなければなりません。

具体的にどのような高次脳機能障害の症状が残っているかは、同居している家族だけでなく、学校の先生、職場の同僚などからも話を聞いて証拠化する必要がある場合もあります。

こうした場合には、被害者側で被害者本人の症状が正確に分かるように準備して申請することが大切です。

したがって、高次脳機能障害など重篤な後遺症が残存している場合にも、被害者請求で申請されることをお勧めします。

 

 

事前認定による結果に納得できない場合

異議申し立てを検討する

事前認定により後遺障害申請をして、非該当(等級に該当しない)だった場合や、納得のいく等級の認定を受けることができなかった場合には、異議申し立ての手続きを検討すべきでしょう。

異議申し立てとは、後遺障害の結果に対して不服を申し立てるもので、再度、後遺障害審査をしてもらう手続きです。

異議申し立てにあたっては、なぜ適切な後遺障害に認定されなかったのか、その原因を十分に検討して、不足している資料などを収集し、その資料に基づき、目標とする後遺障害等級に該当することを具体的に主張していく必要があります。

異議申し立てについて、詳しく確認されたい場合は、こちらをご覧ください。

 

まとめ

後遺障害申請を事前認定で申請するのか、被害者請求で申請するのかは、それぞれのメリット・デメリットを十分に踏まえて決められるべきです。

判断に迷われたら、専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 

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