児童手当や児童扶養手当は別居後すぐでも受給できますか?
先日、暴力を振るう配偶者から逃げるために別居を開始しました。
児童手当が配偶者の口座に振り込まれているのですが、自分に振り込まれるようにしたいです。
どうしたらよいでしょうか?
また、離婚するまでは児童扶養手当は受給できないのでしょうか?
児童手当は、配偶者に送った協議離婚申入書の写しと住民票を提出することで変更することが可能です。
また、児童扶養手当を離婚前に受け取るためには、DVの保護命令を受けていることなどが必要になってきます。
児童手当について
児童手当は、児童の監護者に支給されるものです。
そのため、夫婦で別居を開始した場合には、児童を監護している方が受給すべきものなのです。
別居して子どもを育てている場合には、自分が監護者であることを示して、受給者を変更してもらうことができます。
変更のためには、別居が離婚のためである必要があるので、それを証明するものとして協議離婚申入書を配偶者に送っている場合には、その写しを持っていきましょう。
協議離婚申入書とは、弁護士に依頼すれば必ず相手方に送る書面の一つです。
しかし、弁護士名ではなくても、個人的に送ることもできます。
また、別居先に住民票を移している必要があります。
住民票を移していない場合には、簡単ですので住民票を移してしまいましょう。
協議離婚申入書の写し
住民票
上記の二つを持って役所に行けば受給者変更に応じてくれます。
もし応じてくれえない場合には、弁護士等に相談するのが良いでしょう。
児童手当はいくらもらえる?
児童手当の支給額をまとめると下表のようになります。
子供の年齢 | 子供1人当たりの月額 | |
---|---|---|
3歳未満 | 15,000円 | |
3歳から小学生 | 第1子、第2子 | 10,000円 |
第3子以降 | 15,000円 | |
中学生 | 15,000円 | |
所得制限限度額以上の方 | 5,000円 |
具体例 3歳未満の子供1人、小学生の子供1人を監護している場合
3歳未満:15,000円
3歳から小学生(第1子):10,000円
所得制限:限度額未満
月額2万5000円を受給できます。
児童手当は、所得制限額を超えても、ゼロとはならず、子供1人あたり5,000円をもらうことができます。
したがって、上記の例であれば、1万円をもらうことが可能です。
所得制限の具体的な額は、扶養親族の数で異なりますが、扶養親族が1人の場合、年収(税引前)の目安は875万円くらいとなります。
したがって、多くのご家庭では、所得制限されることなく、上記の額を受け取ることが可能です。
所得制限の詳細な額については、こちらのページをご覧ください。
児童扶養手当について
児童扶養手当とは、離婚等の場合に子どもを養育する母(父)に対し、支給される手当です。
かつて、「母子手当」と呼ばれていたものですが、法改正により父親であっても受給可能となりました。
その際、手当の名前も児童扶養手当となりました。
子どもが18歳に到達して最初の3月31日(年度末)まで(子どもが特別児童扶養手当を受給できる程度の障害にある場合、20歳に到達するまで)の間、受給できます。
したがって、高校を卒業するまでは受給できるものです。
児童扶養手当の受給要件には、下記のものがあります。
- ① 父母が婚姻を解消した子ども
- ② 父又は母が死亡した子ども
- ③ 父又は母が一定程度の障害の状態にある子ども
- ④ 父又は母が生死不明の子ども
- ⑤ 父又は母が1年以上遺棄している子ども
- ⑥ 父又は母が裁判所からのDV保護命令を受けた子ども
- ⑦ 父又は母が1年以上拘禁されている子ども
- ⑧ 婚姻によらないで生まれた子ども
- ⑨ 棄児などで父母がいるかいないかが明らかでない子ども
これらの要件で最も知られているのが①の離婚した場合だと思います。
そして、相談者は配偶者から暴力を受けていたということなので、DV保護命令を裁判所から受けることで、⑥の要件を満たすことができる可能性はあります。
児童扶養手当はいくらもらえる?
児童扶養手当の額は、子供1人の場合で最大4万2000円程度、子供二人だと最大5万3000円程度、以降子供が増えると、一人につき6000円程度が加算されます。
ただし、所得が多くなると、一部受給となり、一定の額を超えると受給できません。
児童扶養手当の額等については、頻繁に改正されるため、詳細については役場に問い合わせたほうがよいでしょう。
なお、こちらのページは、児童扶養手当の支給額、所得制限、支給時期をまとめています。
ただ、基本的には離婚前には児童扶養手当を受給できないといえます。
そのため、離婚していない状態の場合には、上記の児童手当の受給者変更をし、かつ、配偶者に婚姻費用を請求していくしかありません。
DVによる保護命令について、詳しくはこちらをご覧ください。
児童手当や児童扶養手当については、離婚をする中でご質問の多いところです。
児童手当や児童扶養手当について詳しくはこちらをご覧ください。
生活費を請求できる?
別居後に、児童手当等の受給を受けることも大切ですが、生活費の請求も重要です。
別居後は、相手に生活費を請求できないと思っている方が多いのです。
しかし、別居中の生活費は「婚姻費用」といって、収入が少ない配偶者(通常は妻側)は、収入が多い配偶者(通常は夫側)に対し、請求できる法的権利があります。
婚姻費用の額や請求方法については、こちらのページをご覧ください。
まとめ
以上、別居後の児童手当等の収入について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。
正式に離婚するまでは何も受給できないと考えている方もいますが、離婚前であっても児童手当や婚姻費用を受給できます。
また、DV被害者の方であれば、児童扶養手当も受給できる可能性があります。
子供を育てるということは、思いのほか支出を要するため、受給権があるものは必ずもらうようにしましょう。
当事務所の家事事件チームに所属する弁護士は、皆ファイナンシャル・プランナーの資格をも取得しており、公的扶助に関する知識も豊富です。
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