離婚するのに別居期間はどれくらい必要?弁護士が解説

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離婚するのに別居期間はどれくらい必要?弁護士が解説離婚するのに必要な別居期間は、筆者の経験上、基本的にゼロから3年程度です。

合意によって離婚をする場合は、別居期間ゼロでも離婚することができます。

一方、裁判で離婚する場合は、明確な離婚原因が認められる場合(相手が不貞行為をした場合など)は別居期間ゼロ、性格の不一致などの場合は3年程度が目安となります。

ただし、有責配偶者からの離婚裁判は、別居期間が10年以上必要となる傾向です。

離婚問題に直面している方にとっては、「別居期間がどのくらい必要なのか」は重要な関心事と思われます。

そこで、ここでは離婚に必要な別居期間や、それぞれの場面における別居期間の扱われ方などについて、詳しく解説していきます。

ぜひ参考になさってください。

離婚するために必要な別居期間とは?

離婚するために必要な別居期間は、筆者の経験上、基本的にはゼロから3年程度です。

合意によって離婚する場合(協議離婚・調停離婚)は、合意ができる限り、別居期間にかかわらず(ゼロでも)離婚することができます。

一方、裁判で離婚する場合(裁判離婚)は、状況により異なります。

相手が不倫(不貞行為)をした場合や、その他の有責行為(暴力・モラハラなど、夫婦関係を破綻させる行為)をした場合は、別居期間ゼロでも離婚が認められます。

そのような事情がなく、性格の不一致等を理由に離婚を求める場合は、離婚を認めてもらうためには3年程度の別居期間が必要となります。

以下、詳しく解説していきます。

 

 

協議・調停離婚では別居期間は不要

協議離婚または調停離婚の場合は、別居期間は不要です。

 

協議離婚とは

協議離婚とは、夫婦間で話し合い、離婚に合意し、離婚届を提出して離婚する方法をいいます。

協議離婚は、次の2つの条件を満たせば成立します(民法763条、764条・736条)。

  1. ① 離婚の合意をすること
  2. ② 離婚届を提出すること

引用:民法|e−Gov法令検索

夫婦の生活実態などの詳しい事情によって、離婚できるかどうかが左右されることはありません。

したがって、協議の場合は、別居しているかどうかや、別居期間の長短に関係なく、合意ができる限りは離婚することができます。

 

調停離婚とは

調停離婚とは、家庭裁判所で話し合いを行い、合意によって離婚を成立させる方法をいいます。

調停離婚の成立条件は、次の2つです(家事事件手続法244条・268条)。

  1. ① 離婚の合意をすること
  2. ② 調停調書が作成されること

引用:家事事件手続法|e−Gov法令検索

調停離婚の場合も、協議離婚と同様に、別居期間の有無や長短にかかわらず、合意ができる限りは離婚することができます。

もっとも、合意するだけでは離婚は成立せず、裁判所によって調停調書(合意内容を記載した書類)が作成されることによって、はじめて離婚の効力が生じます(離婚が正式に成立します)。

調停調書は、当事者間の合意に法的問題がない限り、合意成立後すぐに作成されます。

 

 

裁判離婚では必要な別居期間はゼロから3年程度

裁判で離婚する場合、不倫(不貞行為)などの明確な離婚原因がある場合は、別居期間ゼロでも離婚が認められます。

そうでない場合は、3年程度の別居期間が必要となります。

 

裁判で離婚が認められる条件

裁判で離婚が認められる条件は、次の4つです(民法770条1項)。

裁判で離婚が認められる条件

※「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」という条件は、法律改正により削除されました(2026年4月1日施行)。

引用:民法|e−Gov法令検索

法律は、上記の①~④のいずれかに該当する場合に限り、離婚を認めると定めています。

この4つは、「離婚原因」と呼ばれています。

 

相手が不倫をした場合の別居期間はゼロ

上記の離婚原因のうち、①~③に該当する場合は、別居期間はゼロでも離婚が認められます。

例えば、相手が不倫(不貞行為)をした場合、不倫をしたという事情があるだけで①「相手に不貞行為があったとき」に該当します。

そのため、別居期間の有無や長短に関係なく、基本的には離婚原因が認められます。

したがって、別居期間がゼロでも、裁判で離婚することができます。

 

相手の有責性が低い場合の別居期間は3年程度

上記の離婚原因の①~③に該当しない場合は、④の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうかが問題となります。

この条件の該当性において、別居期間は重要な要素となります。

 

「婚姻を継続しがたい重大な事由」

「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、夫婦関係が破綻して回復不可能な状態になっている場合をいいます。

そして、これを基礎づける事情として非常に重要になるのが「長期間の別居」です。

本来は同居・協力し合って生活するはずの夫婦が長期間に渡り別居をしているということは、それ自体、夫婦関係が破綻していることの表れといえるからです。

 

離婚に必要な別居期間

それでは、どの程度の別居期間があれば、離婚原因(夫婦関係の破綻)が認められやすくなるかが問題です。

これについての明確な基準はありません。

もっとも、筆者の感覚としては、3年程度であれば離婚原因が認められる傾向にあると思います。

ただし、夫婦関係の破綻は別居期間のみで判断されるわけではなく、その他の事情も総合的に考慮されたうえで判断されます。

 

別居期間以外に考慮される事情

その他の事情とは、例えば、暴力、モラハラ(精神的虐待)、犯罪行為、性的不調和、極度の浪費・多額の借金、宗教活動、親族との不和、性格の不一致などです。

暴力やモラハラなど、それ自体で夫婦関係を破綻させる事情(有責性)が相手側にある場合は、別居期間が短くても(ゼロでも)離婚原因が認められることがあります。

一方、性格の不一致など、相手方の有責性が低い場合(どちらが悪いとも言えない場合)は、3年程度の別居期間がなければ離婚原因が認められない可能性が高いです。

また、結婚期間(同居期間)と別居期間の対比、別居に至った経緯、別居後の夫婦の交流の有無、離婚意思の強弱、修復に向けた努力の有無なども考慮されます。

例えば、結婚期間が短い場合は、別居期間が3年以下でも離婚が認められる場合があります。

一方、別居後も夫婦としての交流が保たれている場合(一緒に食事や旅行をしている場合など)は、別居期間が長くても離婚原因が認められない可能性が高いです。

なお、単身赴任のように、仕事などの事情で住居を分けたに過ぎないケースでは、そもそも「別居」と認められない場合もあります。

 

参考裁判例

裁判例① 東京地裁平成15年12月25日判決
婚姻届の提出後、わずか2週間余り同居しただけで別居に至り、別居期間が1年半近くに及んでいたという事案です。
裁判所は、「同居期間とは比較にならない程度の別居期間が経過し」ていることや、原告の離婚の意思が固いことなどを考慮し、夫婦関係は破綻していることは明らかとして、離婚を認めました。
この事案は極端に同居期間が短いケースですが、これほど短くなくても、同居期間が別居期間と比べて相当短い(概ね1年未満)場合は、別居期間3年以下でも離婚は認められやすくなると考えられます。
裁判例② 東京家裁立川支部平成23年6月30日判決
同居期間が約9年、別居期間が約2年半という事案で、妻が夫の心無い言動や価値観の相違などを理由に、離婚を求めたケースです。
裁判所は、妻の離婚意思が固いことや、夫が関係修復を望みつつも、そのために自らの態度を改めようともしないことなどを考慮し、夫婦関係は破綻していると判断して離婚を認めました。
この事案のように、別居期間が相場よりも短く、かつ、同居期間との対比においても長いとはいえないケースであっても、具体的な事情次第では離婚が認められることがあります。

 

ワンポイント:必要な別居期間は短くなってきている

少し前までは、離婚に必要な別居期間の目安は5年程度と言われることが多かったと思います。

平成8年(1996年)には、離婚原因として「5年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき」を新たに加えることが提案されたこともありました。

結局、法律改正には至りませんでしたが、裁判実務においては5年以上が一応の目安と考えられており、3年程度では離婚原因として不十分とされるケースも少なくありませんでした。

しかし、近年では、離婚に必要な別居期間は短くなってきており、3年程度でも離婚が認められるケースが増えてきている傾向にあります。

その背景としては、価値観の多様化(婚姻関係の維持よりも個人の幸せを重視する人が増えた)や、離婚する人が増え、離婚が社会的に珍しいものではなくなったことなどが影響しているものと思われます。

 

 

不倫した配偶者の離婚請求は別居期間は10年以上

上記に述べたように、別居期間が3年程度であれば離婚が認められやすくなります。

ただし、これには例外もあります。

それは、離婚を求める側が有責配偶者である場合です。

有責配偶者とは、離婚の原因を作った配偶者のことをいいます。

典型例は、不倫(不貞行為)を行った配偶者です。

裁判実務では、有責配偶者からの離婚請求は、厳しい条件を満たす場合でなければ認められないと考えられています。

具体的には、次のような条件を満たさなければ、原則として離婚は認められません。

  1. ① 別居が当事者の年齢・同居期間との対比において相当の長期間に及んでいること
  2. ② 未成熟子(自立して生活できない子ども)がいないこと
  3. ③ 離婚によって他方配偶者が精神的・社会的・経済的に過酷な状況に置かれないこと

参考判例:最判昭和62年9月2日|最高裁ホームページ

 

有責配偶者からの離婚請求の別居期間

①の別居期間については、10年が一つの目安となります。

もっとも、有責性の程度等によっては、10年以上でも離婚が認められないことがあります(東京高裁平成9年2月20日判決など)。

 

未成熟子について

未成熟子とは、自立して生活できない子どものことをいいます。

したがって、未成年者(18歳未満)と同じ意味ではありません。

例えば、高校を卒業して、大学に進学している場合、18歳以上であっても、状況次第では離婚が認められないケースもあります。

筆者の経験上、子供が18歳以上の場合の「未成熟子」の判断は、裁判官によって異なるという印象です。

 

過酷な状況について

相手配偶者が病気などで経済的自立が困難であるようなケースでは、別居期間が長期に及んでいても、離婚が認められない可能性があります。

 

 

別居してから何年で離婚する夫婦が多い?

国のデータによると、別居してから1年未満で離婚をする夫婦が最も多く、全体の82.8%を占めるようです。

内訳は以下のとおりです。

協議離婚、裁判離婚の割合

参考:令和4年度 離婚に関する統計の概況|厚生労働省

協議離婚の場合は、夫婦間の合意ができれば別居期間にかかわりなく離婚をすることができるため、別居1年未満で解決に至るケースが大半を占めるものと考えられます。

一方、裁判離婚の場合は、明確な離婚原因がないケースでは3年程度の別居期間が必要になるため、1年~5年の別居期間を置く夫婦も一定割合を占めるものと考えられます。

 

 

別居期間ゼロで離婚する方法

ここまで述べた通り、次の場合は別居期間ゼロでも離婚することができます。

離婚の方法 状況
協議離婚・調停離婚 夫婦間で離婚の合意ができる場合
裁判離婚 相手側に不貞行為が認められる場合(相手が不倫した場合)
相手側に悪意の遺棄(生活費を渡さないなど)が認められる場合
その他、相手側に有責性(暴力などの夫婦関係を破綻させる行為)が認められる場合

以上を踏まえ、ここでは別居期間ゼロで離婚するためのポイントなどを解説していきます。

 

まずは合意による解決を目指す

まずは合意による解決を目指すことがポイントとなると考えます。

とはいえ、簡単には合意ができない場合もあるでしょう。

そのような場合は、裁判に持ち込む前に、まずは離婚問題に詳しい弁護士に相談し、条件面の見直しや、代理交渉の依頼を検討されることをおすすめします。

代理交渉とは、弁護士に代理人として相手と直接交渉をするサポートをいいます。

そのような手を打つことで、協議での解決ができるようになる(裁判をせずに済む)ケースは少なくありません。

 

不倫の証拠などを押さえる

裁判離婚の場合、別居期間ゼロで離婚を認めてもらうには、不貞行為や暴力等の有責行為を認定してもらう必要があります。

そのためには、不貞行為等を裏付ける証拠を押さえることが重要なポイントとなります。

証拠集めのポイントなどについて、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

妻が離婚したいケース

妻が離婚したいケースでは、別居期間ゼロを目指すよりも、まずは別居をして婚姻費用を請求する方が得策である場合もあります。

夫の方が収入が多い場合であれば、別居後、離婚が成立するまでの間は、夫に対して婚姻費用(生活費のことです。)の支払いを請求することができます。

婚姻費用を支払ってもらうようにすることで、早期に離婚の合意ができるようになるケースもあります。

離婚をすれば婚姻費用の支払義務はなくなるため、夫に「早く離婚を成立させたい」という思考が働きやすくなるからです。

すぐに合意ができなくても、別居期間中、婚姻費用をもらい続けることができれば、落ち着いて離婚の準備や離婚後の生活基盤を整えることができます。

そのため、別居期間を置いた方が、すぐに離婚するよりも有利な条件で離婚できたり、離婚後の生活の安定を得られたりする場合もあります。

適正額や請求法について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

有責配偶者が離婚をしたいケース

先にも述べたとおり、有責配偶者からの離婚は、裁判では10年程度の別居期間がないと認めてもらうことが困難です。

この別居期間をゼロにしたい、又は短縮したいという場合は、合意による解決を目指す必要があります。

しかし、このような厳しい状況で離婚に応じてもらうためには、裁判の相場よりも相手方にとって有利な条件を提示することが必要になるのが通常です。

例えば、養育費や財産分与、慰謝料等として支払う金額を、相場を上回るものにするなどの譲歩が必要となることがほとんどです。

 

離婚に強い弁護士に相談する

別居期間ゼロで離婚したい場合は、まずは離婚問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士に相談することで、別居期間が必要か、どの程度必要か、別居するとどうなるかなどについて、見通しを立ててもらうことができます。

すぐに離婚に向けて進めていく場合は、離婚の準備や手続きの進め方についても、助言を受けることができます。

まずは別居をすることにした場合には、別居の準備や注意点、婚姻費用の請求などについての助言を受けることもできます。

必要に応じて別居のサポートや代理交渉の依頼も検討されるとよいでしょう。

 

 

離婚したくない場合の対処法

ここまで述べたとおり、別居期間が長くなると、離婚が認められやすくなってしまいます。

そのため、離婚したくない場合は、別居には慎重になるべきです。

離婚を前提とせず、「冷却期間」として別居を検討する場合は、短期間の別居にとどめるようにしてください。

また、相手と話し合い、別居の目的や同居再開の時期などを明確にし、書面に残しておくことをおすすめします。

やむを得ず別居状態になってしまった場合(相手が家を出て行ってしまった場合など)は、できるだけ早期に話し合いの機会を設けるなどして、関係修復を試みるようにしましょう。

別居状態を長い間放置しないことがポイントとなります。

 

 

離婚と別居期間についてのQ&A

別居中にしてはいけないことは?

次のような行為は控えるようにしましょう。
  1. ① 配偶者以外の人との交際
  2. ② 婚姻費用の不払い
  3. ③ 子どもの連れ去り

 

①配偶者以外の人との交際

別居中であっても、配偶者以外の人と肉体関係を持つと不貞行為をしたものと評価される可能性があります。

そうすると、裁判で離婚請求が認められないなどの不利益を受けることになります。

また、不貞行為を理由に慰謝料を請求されるリスクもあります。

 

②婚姻費用の不払い

婚姻費用の請求を無視し続けると、最終的には給料等を差し押さえられ、強制的にお金を回収されてしまう可能性があります。

また、「婚姻費用を支払わなかった」という事情は、離婚の手続きにおいて不利な事情として扱われることもあります。

 

③子どもの連れ去り

相手のもとで生活している子どもを無断で連れ去ると、親権を決める際に不利になる可能性があります。

子どもの引き渡しを求める場合は、正式な手続き(子の監護者指定・引渡しの審判)を行う必要がありますので、離婚問題に強い弁護士への相談をおすすめします。

 

離婚と別居、どちらが得か?

婚姻費用を請求できる場合は、別居の方が得であることが多いです。

もっとも、これは経済面に限った話です。

婚姻費用をもらえる場合であっても、再婚を考えている場合や、一刻も早く相手との関係を断絶したい場合であれば、離婚の方が得といえるでしょう。

 

 

まとめ

以上、離婚に必要な別居期間について解説しましたが、いかがだったでしょうか。

離婚に必要な別居期間はゼロから3年程度です。

合意で離婚する場合は別居期間は不要です。

裁判では、別居期間が3年程度続いていると夫婦関係の破綻が認められやすくなります。

このように、必要な別居期間は状況により異なります。

ご自身のケースにおいて、すぐに離婚できるのか、別居をする又は続ける必要があるのかなど、具体的な見通しを知りたい場合は、離婚問題に詳しい弁護士への相談をおすすめいたします。

当事務所には、離婚問題に精通した弁護士のみで構成された専門チームがあり、離婚問題に悩む方々を強力にサポートしています。

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