離婚後に浮気発覚。証拠なしでも慰謝料請求できる?

  
弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

離婚後に浮気が発覚した場合、証拠がなくても慰謝料請求は可能です。

もっとも、相手が浮気を否認した場合、証拠がないと裁判所は慰謝料の支払いを認めません。

また、慰謝料請求には請求できる期限(時効)があるので注意が必要です。

ここでは、浮気の慰謝料を請求するための条件、請求できる期限、離婚後に浮気が発覚したときのポイントについて、離婚問題に詳しい弁護士が解説します。

ぜひ参考になさってください。

離婚後の浮気発覚の状況と問題点

離婚後に浮気が発覚する状況としては、次のような場合が考えられます。

  • 離婚後に自宅から浮気の証拠(写真、手紙など)が見つかる
  • 離婚後にSNSで相手の浮気の可能性がある投稿を見つける
  • 離婚後に知人から相手の浮気について話を聞いた
  • 離婚届を提出した後に、相手から浮気を暴露される

上記は一例ですが、浮気を知った側としては悔しい気持ちになるでしょう。

離婚前に知っていれば、そもそも離婚に応じなかったかもしれません。

また、離婚に応じたとしても、慰謝料を請求したり、その他の条件面で異なった結果になったかもしれないからです。

しかし、時間を離婚前に戻すことはできません。

しかし、状況によっては離婚後に浮気※の慰謝料を請求できる可能性があります。

※浮気と不貞行為は違う

「浮気」という言葉は、実は法律用語ではなく、日常用語です。

一般的には既婚・未婚にかかわらずパートナー以外の人と交際関係にあることを指すものと思われます。

これに対し、「不貞行為」は、法律用語であり、基本的には既婚者が妻又は夫以外の異性と肉体関係を持つことと解釈されています。

例えば、肉体関係まではなく、デート(食事など)のみ行ったとします。この場合、人によっては「浮気」と考えますが、不貞行為にはあたりません。

裁判所が慰謝料を認めるのは基本的には不貞行為に該当する場合です。

この記事では、「浮気」のことを「不貞行為」と同じ意味として解説しています。

 

 

離婚後に証拠なしでも慰謝料請求できる?

浮気の慰謝料が認められるためには、まず、浮気が「不法行為」に当たることを主張しなければなりません(民法709条)。

根拠条文
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

浮気が不法行為に当たるのは、典型的には不貞行為(肉体関係)がある場合です。

不貞行為は、円満な夫婦生活を送るという権利を侵害するものと考えられています。

もっとも、不法行為に当たるためには肉体関係が必須というわけではなく、抱き合う、キスをするなどの行為も、状況等によっては上記の権利・利益を侵害するものとして、不法行為に当たる可能性があると考えられています。

したがって、浮気の慰謝料が認められるためには、不貞行為(肉体関係)や不貞類似行為(抱き合うなど)について、具体的に事実を主張する必要があります。

それでは、その事実を裏付ける証拠がない場合はどうなるのでしょうか。

浮気の慰謝料については請求する側に立証責任があります

この立証責任というのは、相手が浮気の事実を否認した場合には、請求する側が証明しなければならないという意味です。

したがって、相手が浮気の事実を認めてくれれば、証拠は不要ということになります。

ワンポイント

浮気について、相手が認めている場合に証拠はいらないと思うのは危険です。

はじめは浮気を認めていても、後日、否認に転じるということはよくあります。

そのため、相手が認めていても安心せずに、浮気を裏付ける証拠を集めることをおすすめいたします

 

 

離婚後でも慰謝料請求できる?

「浮気の慰謝料請求は離婚前でなければならない」という法律はありません。

したがって、離婚後であっても、浮気が発覚した場合、慰謝料の支払いを求めることは可能です。

ただし、長年月が経過している場合、相手から時効を主張される可能性があります。

時効とは簡単に言うと請求が認められる期限のことをいいます。

時効が成立していると、裁判所は慰謝料請求を認めてくれないためお金を支払ってもらうことができないという結果になります。

それでは、時効はいつ成立するのでしょうか。

 

慰謝料の時効は基本的に3年間

浮気慰謝料の時効は、基本的には「3年間」です(民法724条)。

そして、この「3年間」の起算点(スタート)は「損害及び加害者を知った時」からカウントします(同条)。

根拠条文
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

つまり、元配偶者に対する慰謝料請求は、離婚後「浮気があったこと」を知ったときから3年と考えられます。

浮気の相手に対する慰謝料請求は「浮気相手のこと」を知ったときから3年と考えられます。

例えば、離婚後、元配偶者のAが浮気をしていたと発覚したものの、その相手が誰かは不明だったとします。

その後、浮気相手がBだったと判明したとします。

その場合、浮気相手に対する慰謝料請求はその時点から3年間請求できると考えられます。

具体例

2023年1月1日 元配偶者Aの浮気発覚

2025年1月1日 浮気相手がBと発覚

2025年12月31日 ←Aに対する慰謝料請求の時効が完成

2027年12月31日 ←Bに対する慰謝料請求の時効が完成

 

浮気のときから20年経ったら時効が成立する

上で解説した慰謝料の期限に関する条文は、3年の時効とは別に「不法行為の時から二十年間行使しないとき」も事項によって消滅すると規定しています。

これは「浮気があったとき」から20年以上が経過した場合、たとえ浮気のことを知らなかったとしても、時効が完成するという意味です。

具体例
2023年1月1日 配偶者AとBが浮気をした

2042年12月31日 ←浮気を知らなくても時効が完成

 

精算条項に要注意

離婚協議書を作成していたり、調停離婚や裁判所で和解による離婚が成立している場合、時効が完成していなくても、慰謝料請求が認められない可能性があります。

それは「清算条項」と呼ばれる条項が通常入っているためです。

【 清算条項の例 】

第◯条(清算条項)
甲及び乙は、以上をもってすべて解決したものとし、今後、財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず、相互に何らの財産上の請求をしないことを約する。

このような条項を入れるのは、合意を締結する以上、後々のトラブルを防止したいと考えるからです。

そして、離婚協議書、調停調書(離婚調停のときに作成)、和解調書(裁判で和解するときに作成)については、基本的にこのような清算条項が入れてあります。

したがって、離婚後に慰謝料を請求した場合、この清算条項を根拠として、慰謝料の支払い義務がないと反論される可能性があります

このような場合、合意を締結した時点で、配偶者の浮気を知らなかったのであれば、錯誤(さくご・民法95条)を主張して、争うことが考えられます。

もっとも、錯誤を主張する側は立証しなければならず、専門的な判断が必要となります。

したがって、離婚問題にくわしい専門家に助言をもらうようにしてください。

 

 

離婚後に浮気が発覚したときのポイント

浮気の証拠を集める

浮気については相手が認めれば、必ずしも証拠は必要ではありません。

しかし、相手は否認に転じる可能性があります。

相手が否認するリスクがあることを想定し、可能な限り、証拠を集めることをおすすめいたします。

 

できるだけ早く弁護士に相談する

どのような証拠があれば浮気を立証できるかについては、専門知識や経験が必要です。

また、浮気の慰謝料は、請求できる期限(時効)があります。

上で解説したとおり、その時効の期間は基本的には3年ですが、「3年あるなら大丈夫」とは考えずに、早めに行動することをおすすめいたします。

時間が経つと、立証することが難しくなる傾向にあるからです。

そのため、可能な限り早い段階で一度専門家に相談することをおすすめいたします。

 

 

まとめ

以上、離婚後に浮気が発覚し、証拠がないケースについて、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。

離婚後であっても、理論上、慰謝料の請求自体は可能です。

しかし、あまり長期間が経過していると、相手から時効を主張される可能性があります。

また、証拠が不十分だと相手から浮気を否認された場合、請求が認められないリスクもあります。

このようなリスクを回避するために、専門家の助言の上で、できるだけは早く行動するようにしましょう。

当事務所には離婚や男女問題に注力する弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、浮気の慰謝料請求を強力にサポートしています。

LINE、Zoomなどのオンラインを活用した全国対応も行っているので、浮気の問題でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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