預貯金は財産分与に含まれますか?【弁護士が解説】
結婚してから蓄えた預貯金は基本的には財産分与の対象に含まれます。
財産分与とは
財産分与とは、離婚する際に、夫婦が結婚生活の中で協力して築き上げた財産を公平に分配することをいいます。
財産分与の対象としては、通常、預貯金・現金、不動産、保険金、自動車、株式等があげられます。
財産分与の対象については、例外があります。

結婚前から取得していた財産や、結婚後であっても親などから個人的にもらった財産は、財産分与の対象とはならない場合があります。
これを特有財産といいます。
預貯金はどうなる?例外は?
預貯金は、夫婦が婚姻中に形成したものであれば、財産分与の対象となります。
基本的には、結婚したときから別居したときまでの預貯金が対象です。
例外的に、別居後の預貯金も対象となることがありますが、これは特殊なケースです。
財産分与の基準日についてはこちらをご覧ください。

結婚前の預貯金については、その名義人である夫(妻)の特有財産ですので、基本的には財産分与の対象にはなりません。
結婚して長期間が経過している場合
上記のとおり、結婚前の預貯金については、基本的に特有財産と考えられます。
しかし、近時、裁判官によっては、結婚してから長年月が経過している事案の場合、特有性が失われる(つまり財産分与の対象とする。)と判断することがあります。
執筆者の経験上、同居期間が5年以上経過した事案で、特有性が失われると判断されたケースがあります。
なお、当該預貯金を定期などで明確に区別できる場合は、同居期間が長くても特有性は失われないと考えられます。
子供名義の預貯金はどうなる?
子ども名義の預貯金は財産分与の対象になるでしょうか。

子どもといっても、独立した人格があるので、子どもの特有財産といえ、財産分与の対象とはなりません。

夫婦の婚姻中に形成された財産として、財産分与の対象となります。
ただ、子ども名義の預貯金は、子どもの将来の進学費用等に充てる目的で貯めている方が多いので、離婚時に協議し、子どもの親権者となる方が管理して将来子どものために使うことにする、という方法も可能でしょう。
隠し資産の調査方法
隠し資産があると、公平の財産分与ができなくなります。
そのため、隠し資産の有無を調査することが重要です。
預貯金については、基本的には通帳の残高を確認する必要があります。

コピーするときは、普通預金・定期(定額)預金のどちらも、現在の残高だけではなく、表紙から記帳されているすべてのページをコピーしておきましょう。
なぜならば、通帳の履歴から、資産隠し等が発覚する場合もあるからです。
相手方が通帳を開示してくれない場合には、弁護士会や裁判所を通じ、銀行に対して相手方の預貯金口座について、一定期間、過去の取引履歴を開示させる方法をとることもできます。
この方法は、相手方が財産を隠すために預貯金を別口座などに移している疑いがある場合にも有効です。
過去の取引履歴は、ほとんどの金融機関で10年前まで遡って開示してもらうことができます。
ただし、この弁護士会や裁判所を通じての開示請求は、金融機関名と支店名がわからないとできません。
そのため、預貯金がある金融機関名と支店名についてはできるだけ調べておかれてください。
その他の財産の調べ方については、こちらのページで解説しています。
まとめ
以上、預貯金と財産分与について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか。
財産分与においては、まず、対象財産をすべて洗い出して確定することが重要です。
中でも預貯金は、流動性が大きいことから、すべてを的確に調査することが困難な場合があります。
また、預貯金の内容をすべて把握できたとしても、それが特有財産となるのか否か、判断が難しい場合があります。
そのため、財産分与については、離婚問題の専門家に相談されることをお勧めします。
当事務所では、離婚問題に注力した弁護士のみで構成される離婚事件チームがあり、離婚に関する様々な情報やノウハウを共有しており、財産分与を強力にサポートしています。
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