不倫慰謝料とは?相場や請求方法・条件を弁護士が解説

  
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不倫慰謝料とは、自分の夫又は妻に不倫をされたことによって被った精神的な苦痛をつぐなうため、不倫の加害者(不倫した夫又は妻や不倫相手)に対して請求するお金のことをいいます。

ここでは、不倫慰謝料に関して、請求できる条件、相場、請求方法、注意すべきポイント等について解説していきます。

この記事でわかること

  • 不倫慰謝料とは何か
  • 慰謝料を請求できる条件
  • 不倫慰謝料の相場
  • 不倫慰謝料の請求方法
  • 不倫慰謝料の注意すべきポイント

 

不倫の慰謝料とは?

不倫とは

不倫とは、道徳的に許されない男女の関係を指す言葉であり、一般的には既婚者が夫又は妻以外の人と交際関係にあることをいいます。

同じような言葉に「浮気」というのがありますが、「浮気」は一般的には既婚・未婚にかかわらず、パートナー以外の人と交際関係にあることを指すようです。

「不倫」や「浮気」という言葉は、法律に直接記載されているものではありません。

法律には、離婚事由(離婚できる条件)の1つとして「不貞」という言葉が使われており、これが「不倫」と概ね一致します。

【根拠条文】

民法(裁判上の離婚)

第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。

引用元:民法|電子政府の窓口

もっとも、「不貞行為」は、基本的には「既婚者が夫又は妻以外の異性と自由な意思のもとに性的関係を結ぶこと」と狭義に解釈されています。

性的関係とは、肉体関係(性交渉及び性交類似行為)のことをいいます。

不倫も肉体関係のあるものに限定するという考え方もありますが、ここでは、肉体関係を伴わない関係であっても不倫に含まれるという考え方を前提とすることにします。

不貞行為・不倫・浮気の相違点
不貞行為 不倫 浮気
当事者 一方又は双方が既婚者(※) 既婚者・独身者問わない
肉体関係 あるものに限る あるもの、ないもの両方含む

(※)「既婚者」には、内縁関係にある者も含むものとします。

慰謝料とは

慰謝料とは、精神的な苦痛を被った場合に、加害者に対して請求するお金をいいます。

加害者の行為によって精神的苦痛を受けた場合に、受けた苦痛(被害)をお金に換算し、それを加害者に支払わせることによって、その被害の回復をすることを目的としたものです。

自分の夫や妻に不倫をされた場合、通常は精神的苦痛を受けることになります。

そのため、一定の条件を満たす場合、不倫の被害者は、不倫の加害者に対し、受けた精神的苦痛を償うための慰謝料を請求することができます。

 

 

慰謝料を請求できる条件

不倫で慰謝料を請求するためには、次の条件を満たす必要があります。

  1. ① 不倫が「不法行為」に当たること
  2. ② 不倫の慰謝料を請求できる期限(原則3年)を過ぎていないこと

「不法行為」とは、故意(こい)又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害する行為のことをいいます。

「故意又は過失」は法律用語で難しい概念ですが、ざっくりとしたイメージとしては、故意は「わざと」、過失は「ついうっかりして」というものです。

 

不倫が不法行為に当たる場合

不倫が不法行為に当たるのは、典型的には不貞行為(肉体関係)がある場合です。

不貞行為は、円満な夫婦生活を送るという権利又は法律上保護される利益を侵害するものとされています。

もっとも、不法行為に当たるためには肉体関係が必須というわけではなく、抱き合う、キスをするなどの行為も、状況等によっては上記の権利・利益を侵害するものとして、不法行為に当たる可能性があると考えられています。

 

不倫が不法行為に当たらない場合

不貞行為等があった場合でも、不倫相手に故意又は過失がなかった場合(=相手が既婚者であることを知らず、注意しても知ることができなかった場合)、不倫相手の行為は不法行為には当たりません。

不貞行為等があった時点で、既に夫婦関係が破綻していた場合も、不貞行為等によって権利・利益が侵害されたわけではないといえるため、不法行為には当たりません。

なお、当事者の双方が独身者の場合の「浮気」も、上記のような権利・利益の侵害はないため、基本的に不法行為には当たりません。

 

 

不倫慰謝料の相場

不倫慰謝料の金額については明確な算定基準などはなく、最終的には裁判官が諸事情を考慮したうえで決めることになります。

不倫の内容や当事者の置かれた状況は様々ですので、慰謝料の金額も事案により様々です。

もっとも、裁判で決着をつける場合は、不倫により離婚に至った場合は100万円〜300万円程度、離婚に至らず夫婦関係を続ける場合は100万円〜200万円程度になることが多い傾向にあると思われます。

裁判ではなく話し合い(示談交渉)で解決する場合は、当事者双方が納得するのであれば、裁判所の考え方とは異なる解決をすることも可能であるため、上記の相場よりも高額になるケースもあります。

 

 

不倫慰謝料の請求方法

不倫慰謝料の請求方法には、①協議(示談交渉)、②調停そして③裁判の3つがあります。

下表はそれぞれの内容、メリットとデメリットをまとめたものです。

方法 内容 メリット メリット
協議(示談交渉) 裁判所を利用せず当事者同士で話し合って合意すること ・早期解決の可能性
・柔軟な解決の可能性
・負担が少ない
・相手が応じないと解決できない
・冷静な話し合いが難しい
裁判所の手続き 調停 裁判所において、裁判所(調停委員会)に仲介をしてもらいながら、話し合い、合意による解決を目指す手続き ・訴訟に比べれば手続きが簡単で費用が低額
・柔軟な解決の可能性
・手続きが非公開(話し合いの内容が外部に漏れることはない)
・時間がかかる(裁判所のペースで進む)
・負担が大きい(裁判所に出頭する必要)
・相手が応じないと成立しない
訴訟(裁判) 裁判官が当事者双方の主張や提出証拠に基づき、一定の判断(判決)を下す手続き ・裁判官が法律に基づき判断する
・相手が応じなくても決着がつく
・柔軟性がない
・手続きが厳格・複雑(弁護士に依頼する必要性が高い)
・時間と費用がかかる
・手続きが公開(誰でも傍聴できる)

※「柔軟な解決」とは、裁判所の考え方とは異なるけれども、双方が納得する解決のことをいいます。

また、不倫慰謝料は、不倫の加害者2人、すなわち、不倫をした夫又は妻(加害配偶者)と、不倫相手の2人に対して請求することができます。

以下では、請求方法について、加害配偶者に請求する場合と、不倫相手に請求する場合に分けて詳しく解説していきます。

 

夫や妻への慰謝料の請求方法

夫婦間で協議をする

夫婦間で話し合いができる場合は、まずは夫婦間での話し合い(協議)により、慰謝料の金額、支払方法などについて取り決めることになります。

協議によって取り決めることができれば、ほとんど費用も掛からず、早期に解決することができます。

離婚する場合は、その他の離婚条件(親権、養育費、財産分与など)とともに慰謝料についての取り決めもすることになります。

合意がまとまった場合は、合意内容についてきちんとした書面(離婚協議書、合意書等)を作成するようにしましょう。

口頭での約束や不適切な書面しかないと、合意の存在や合意内容を明らかにすることができないため、必ず法的に有効な書面を作成しておく必要があります。

弁護士に依頼することもできる

請求や協議は弁護士に依頼することもできます。

不倫が発覚した状況で、本人同士で冷静に話し合うこと自体や、慰謝料、離婚条件などについて適切に取り決めることは、困難であることが多いです。

また、仮に合意がまとまった場合も、合意書や離婚協議書を適切に作成しておかなければ、将来のトラブル再発にもつながりかねません。

弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として、請求・協議・離婚協議書等の作成まで全般的にサポートしてくれます。

ご自身で相手と直接やり取りをする必要がないため、精神的な負担も軽減することができます。

また、仮に話し合いで解決することができなかった場合、裁判所の手続きに進むことになりますが、交渉段階で依頼した弁護士に引き続き対応してもらうことにより、スムーズに裁判所の手続きに移行することができます。

家裁へ調停を申し立てる

夫婦間での話し合い自体ができなかった場合や、話し合いをしたものの合意ができなかった場合は、裁判所の手続きを利用することになります。

上記に示したように、裁判所の手続きとしては「調停」と「訴訟」がありますが、離婚する場合は、まず家庭裁判所に「離婚調停」を申し立てることになります。

離婚する場合は、いきなり訴訟(裁判)を提起することは原則できず、まずは離婚調停で話し合い、それでも解決できなかった場合に、離婚訴訟を提起するという流れになります。

それ以外の場合、すなわち、①離婚せずに慰謝料だけを請求する場合と、②既に離婚している場合(慰謝料の取り決めをせずに離婚した場合)は、調停(慰謝料請求調停)を申し立てることもできるし、調停をせずにいきなり訴訟を提起することもできます。

調停は、あくまでも話し合いの手続きであるため、合意ができない場合、結局は訴訟で解決することになります。

不倫の事実の存否に争いがあったり、双方が主張する慰謝料の金額に大きな差があったりする場合などは、調停で話し合ったとしても合意に至る可能性が低いことがほとんどです。

そのため、このような場合は、調停をせずにいきなり訴訟を提起する場合が多いです。

状況 申し立てる調停
離婚する場合(離婚とともに慰謝料を請求する) 離婚調停 いきなり訴訟を提起することは原則できない
離婚しない場合 慰謝料請求調停 調停を経ずに訴訟を提起することもできる
離婚後の場合
調停が不成立になった場合

調停で話し合ったものの合意がまとまらなかった場合、調停は「不成立」として終了します。

その後、決着をつけるためには、改めて訴訟を起こし、訴訟で慰謝料についての判断(判決)をもらうことになります。

離婚調停が不成立となった場合は、家庭裁判所に「離婚訴訟」を提起し、離婚についての判断と、(離婚が認められる場合は)慰謝料を含む離婚条件についての判断をもらうことになります。

離婚しない場合又は離婚後の場合

地方裁判所に「不貞慰謝料請求訴訟」を提起することができます。

不成立となった調停 提起する訴訟 裁判所 内容
離婚調停 離婚訴訟 家庭裁判所 離婚やその他の離婚条件について判断をもらう
慰謝料請求調停 不貞慰謝料請求訴訟 地方裁判所 慰謝料について判断をもらう

※家庭裁判所は、離婚などの身分関係に関する事件を担当する裁判所ですので、離婚訴訟は家庭裁判所に提起する必要があります。他方、離婚について判断をもらわない場合は、民事事件として、地方裁判所に提起することになります。

 

浮気相手への慰謝料の請求方法

示談交渉をする

浮気相手(不倫相手)に対しても、通常はまずは裁判外での交渉を試みることになります。

不倫相手に対しては、まずは内容証明郵便で慰謝料を請求する旨の通知を送ることが多いです。

内容証明郵便とは、「いつ、どのような内容の文書を、誰から誰に差し出したか」ということを郵便局が証明してくれるものです。

これを利用することにより、請求の内容や日時が明確になるので、示談が成立せず裁判になった場合に証拠として利用することができます。

また、普通の手紙などよりも厳格な体裁となるため、受け取った相手にプレッシャーを与え、交渉に応じやすくさせるといった事実上の効果もあるといわれています。

通知を受け取った浮気相手が回答を出した場合は、その後に書面でのやり取りや直接の話し合いにより、交渉を進めていくことになります。

交渉の結果、合意がまとまった場合は、合意内容について必ず示談書を作成するようにしましょう。

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弁護士に依頼することもできる

不倫相手に対する請求や示談交渉についても、弁護士に依頼することができます。

弁護士に依頼した場合は、弁護士が代理人として、請求・交渉・示談書等の作成まで全般的にサポートしてくれます。

内容証明郵便もご自身で出すことは可能ですが、弁護士に依頼すればご自身で作成する等の手間が省け、請求内容も適切なものにすることができます。

ご自身で直接不倫相手とやり取りせずに済むため、精神的な負担も軽減できますし、感情的な対立から生じるトラブルなども回避することができます。

また、不倫問題に強い弁護士に代理人として交渉してもらうことにより、裁判で認められる場合の相場よりも慰謝料が高額になるケースもあります。

裁判での解決となると、不倫相手にとっても、時間や費用もかかるうえ、公開の法廷で審理される(誰でも裁判を傍聴することができる)といったデメリットが生じます。

そのため、不倫相手が不倫を認めており、さらに不倫相手に慰謝料を支払えるだけの収入や資産があるような場合、不倫相手は、相場よりも高額な慰謝料を支払ってでも示談を成立させたいという動機を有していることがあります。

もっとも、ご自身で状況を見極め、有利に交渉を進めていくのは困難なことが多いです。

以上のことなどから、示談交渉を弁護士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。

地方裁判所へ訴訟を提起する

不倫相手との示談が成立しなかった場合は、基本的には地方裁判所に訴訟(不貞慰謝料請求訴訟)を提起することになります。

調停を利用することも可能ですが、示談が成立しなかった場合は調停でも解決できる見通しがないケースがほとんどであるため、実際に利用されることはあまり多くはありません。

訴訟は、示談交渉や調停とは異なり、手続きが厳格・複雑なものになります。

法律で定められた手続きに従い主張したり、証拠を提出したりしないと、認められるはずの慰謝料も認めてもらえないといった不利益が生じることになります。

そのため、訴訟を提起する場合は弁護士に依頼する必要性が高くなります。

訴訟上の和解

訴訟を提起した後も、訴訟手続の中で話し合いによる解決をすることも可能であり、これを「訴訟上の和解」といいます。

示談交渉(や調停)で解決できなかった場合でも、訴訟上の和解が成立して解決するというケースは少なくありません。

和解の試みは、当事者双方の主張や証拠がある程度出そろった段階でされることが多く、この段階になると結論の見通しが立つようになるためです。

その見通しを踏まえ、判決で白黒つけるよりも、譲り合って柔軟な解決をする方がよいと、当事者双方が判断した場合は、訴訟上の和解で解決されることになります。

加害者2人にまとめて請求することもできる

不倫慰謝料は、加害者2人が共同で全額について支払義務を負うものとされています。

そのため、加害者2人別々にではなく、まとめて請求することもできます。

まとめて請求することにより、統一的・一回的な解決を図ることができます。

また、加害者のうちの一方が慰謝料を支払えるだけの資力(収入や資産)がない場合であっても、もう一方に資力があれば慰謝料を全額回収できる可能性が高くなるなどのメリットもあります。

さらに、加害者2人を相手として(共同被告として)訴訟を提起する場合は、訴訟提起の際の手数料や、裁判が開かれる日数を節約できるといったメリットも得ることができます。

加害者2人にまとめて請求する主な方法としては、次のようなものがあります。

方法 留意点
示談交渉 被害者・加害配偶者・不倫相手の三者で話し合い、合意がまとまった場合は三者間で示談書を作成する 示談書の記載内容は慎重に検討する必要がある
調停 ・加害配偶者に対する離婚調停に、不倫相手を「利害関係人」として引き入れ、三者間で合意する
or
・加害配偶者に対する離婚調停と一緒に、不倫相手に対する慰謝料請求調停を家庭裁判所に申し立てる
不倫の事実に争いがある場合などは、合意の見込みがないためあまり意味がない
訴訟 ・加害配偶者と不倫相手の2人を相手として(共同被告として)1つの不貞慰謝料請求訴訟を提起する
or
・加害配偶者に対する離婚訴訟と、不倫相手に対する不貞慰謝料請求訴訟を提起し、2つの訴訟をまとめて審理してもらう
加害配偶者に対する離婚訴訟を提起している場合は、不倫相手に対する訴訟も家庭裁判所に提起することができる

(※)不倫相手に対する調停は、身分に関する事件ではありませんが、離婚に関連する事件として家庭裁判所に申し立てることが可能です。

当事者が3人になると、法律関係が複雑になり、適切な解決方法や、担当の裁判所の判断が難しくなります。

そのため、詳しくは不倫問題に強い弁護士にご相談されるとよいでしょう。

三者間で示談する場合

不倫慰謝料は、被害者との関係では、加害者2人がいくらずつ支払わなければならないという分担割合はありませんが、加害者2人の間では、責任度合い(どちらが主導したかなど)により分担されるものと考えられています。

そのため、加害者の一方が自分の分担額を超えて被害者に対して慰謝料を支払った場合は、もう一方の加害者の分担額を立て替えている形となります。

そこで、慰謝料を支払った加害者は、もう一方の加害者に対し、この分の清算を求めることができます(これを「求償」(きゅうしょう)といいます。)。

そうすると、被害者が加害配偶者と離婚せず夫婦関係を修復するために、敢えて不倫相手にのみ慰謝料を請求し、不倫相手から支払いを受けた場合、その後に不倫相手から加害配偶者に対して求償が来る可能性があります。

三者間で示談する場合

そうすると、結局、加害配偶者もお金を支出することになりますし、夫婦の場合は財布を共通にしていることが通常ですので、夫婦の財布からお金が出ていってしまう結果になることもあります。

このような事態を防止するには、被害者・加害配偶者・不倫相手の三者間で示談し、「不倫相手は加害配偶者に求償しない」という約束をしておくことが有効です。

もっとも、このような約束を取り付けるためには、交渉において一定程度譲歩する(慰謝料を減額する)必要があることがほとんどです。

また、このようなケースでは、示談書の記載内容がとても重要になるため、後々トラブルにならないよう慎重に検討する必要もあります。

そのため、詳しくは不倫問題に強い弁護士に相談されるようにしてください。

 

 

不倫慰謝料の注意すべきポイント

被害者側が知っておきたい4つのポイント

被害者側が知っておきたい4つのポイント

POINT① 不倫の証拠を押さえる

不倫慰謝料を請求するためには、不倫(特に肉体関係)の証拠を押さえることが重要です。

加害者が不倫を認めない場合、十分な証拠がなければ、裁判で慰謝料を認めてもらうことは困難です。

示談交渉では、加害者が不倫を認めず、かつ十分な証拠もない場合であっても、解決金(争いを終わらせるためのお金)という形での支払いが提案されることもありますが、数十万円にとどまることがほとんどです。

反対に、十分な証拠があれば、示談交渉の段階で加害者が不倫を認め、慰謝料の支払いに応じる可能性が高くなるため、早期解決にもつながります。

必要な証拠や、収集方法、収集の際に注意するべきことは事案により異なります。

そのため、詳しくは不倫問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

POINT② 慰謝料を請求しないほうがいい場合もある?

いわゆる「ダブル不倫」の場合

不倫相手も既婚者である場合、被害者が不倫相手に慰謝料を請求すると、不倫相手の配偶者が加害配偶者に対して慰謝料の請求をしてくる可能性があります。

被害者の不倫相手に対する慰謝料と、不倫相手の配偶者の加害配偶者に対する慰謝料は、同じ不倫行為を対象としているため、同額であることが多いです。

そして、夫婦は財布を1つにしていることが多いため、同じ金額が両夫婦の財布から出入りするだけという結果になることがあります。

そうすると、慰謝料を請求してもしなくても、経済的な状況は同じとなります。

むしろ、請求した場合の方が、時間や裁判費用・弁護士費用などが掛かり、マイナスとなってしまう可能性もあります。

そのため、このような場合は、慰謝料を請求しない方がいいと考えられます。

具体例

・A(妻)とB(夫)が夫婦であり、C(妻)とD(夫)が夫婦である
・BとCが不倫した

・AがC対し慰謝料を請求し、最終的に裁判で200万円の慰謝料が認められた
・CはAに対し、夫婦(CD)の財布から200万円を支払った

・DがBに対し慰謝料を請求し、最終的に裁判で200万円の慰謝料が認められた
・BはDに対し、夫婦(AB)の財布から200万円を支払った


この場合、200万円が夫婦の財布から出入りしただけであり、慰謝料を請求した場合としない場合で、夫婦の財布の金額に変わりはありません。

慰謝料を請求しないほうがいい場合

もっとも、夫婦が財布を分けている場合や、加害配偶者が独自の財産(結婚前の貯金や親族からの援助金など)で慰謝料を支払う場合は、ダブル不倫であっても上記のような問題は生じません。

その他にも、不倫相手に資力がない場合や、加害配偶者の責任度合いが大きい場合などは、不倫相手に慰謝料請求をしても請求にかかる費用の方が高くなってしまうケースもあります。

このように、請求しない方がいいケースかどうかは、状況を踏まえて見極める必要があるので、まずは不倫問題に強い弁護士に相談されるとよいでしょう。

POINT③ 加害者への言動に注意する

不倫が発覚した場合に「加害者を許せない」と思うのは当然のことですが、行き過ぎた言動はご自身の不利益になる可能性もあるので注意する必要があります。

加害者に対して危害を加える、侮辱する、不倫をばらすと脅迫するなどの行為については、犯罪となったり、加害者から慰謝料を請求されたりする可能性もあります。

また、被害者の加害者に対する言動が許容範囲を超えるものと評価され、慰謝料を減額する事情として考慮された裁判例もあります。

もっとも、ご自身で許容範囲を見極めるのが難しい場合も多いです。

そのため、専門の弁護士に相談してアドバイスをもらったり、弁護士に代理人として対応してもらったりするのがよいでしょう。

POINT④ 離婚問題に詳しい弁護士へ相談する

不倫慰謝料については、請求できる条件や、必要な証拠、妥当な金額、誰にどのような請求をするかなど、専門知識がなければ判断や適切な対応が難しい問題が多いです。

適切な判断や対応ができないと、適正な金額の慰謝料を獲得できなかったり、加害者とのやり取りの中でさらに精神的な苦痛を被ったりするなどの不利益につながりかねません。

また、不倫が原因で加害配偶者と離婚する場合は、不倫慰謝料のみでなく、離婚問題として、その他の離婚条件と併せて全体的に解決する必要もあるため、より対応が難しくなります。

そのため、離婚問題に詳しい弁護士へ相談されることをおすすめいたします。

代理交渉サポート

先に解説したように、不倫慰謝料について、協議・示談交渉で解決できれば負担も少なく、状況次第では慰謝料も相場よりも高額になることがあります。

また、一定の譲歩(慰謝料の減額)は必要になりますが、求償しない約束や、加害者2人に今後接触しない約束をさせることなどもできるため、裁判で決めるよりも納得できる解決ができるケースもあります。

もっとも、協議・示談交渉をご自身で進めるのは難しく、精神的な負担もかかります。

そのため、専門の弁護士に代理人として交渉してもらい、適切な解決を図ってもらうことには大きなメリットがあるといえます。

 

加害者側が知っておきたい3つのポイント

加害者側が知っておきたい3つのポイント

POINT① 合意が成立したら示談書を作成する

被害者と示談交渉が成立した場合は、必ず示談書を作成するようにしましょう。

口約束でも合意は有効に成立するものではありますが、きちんとした書面に残しておかないと、後で合意の存在を証明することができません。

例えば、慰謝料の全額を100万円とのことで合意が成立したとしても、口約束等しかない場合、後で被害者から慰謝料の全額は200万円だったと言われると、100万円で合意したことを証明することができません。

そのため、最初から交渉をやり直さなければならなくなってしまいます。

反対に、きちんとした示談書を作成しておけば、将来のトラブル再発防止にも役立ちます。

もっとも、いったん有効な示談書が作成されれば、後から示談書の内容を覆すことは困難になるため、記載内容をよく吟味する必要があります。

そのため、示談書作成の際には、不倫問題に強い弁護士に相談のうえ、慎重に進めることをおすすめいたします。

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 POINT② 不倫の相手と揉める可能性に注意する

先に解説したように、不倫慰謝料は、加害者2人の間では、責任度合いに応じて分担されることになります。

そのため、他方の加害者がその分担額を超えて支払いをした場合は、求償される可能性がありますし、反対に、ご自身が分担額を超えて支払いをした場合は、他方の加害者に求償することができます。

この求償の際に、分担割合などについて折り合いがつかないと、不倫の相手と揉める可能性があります。

そうすると、せっかく被害者との争い事が解決しても、新たに不倫の相手との争い事が始まってしまうことになります。

このように不倫の相手と揉めることを防止するためには、被害者・加害配偶者・不倫相手の三者間で示談し、加害者間の負担割合を決めておいたり、求償しない約束をしておくことが有効です。

立場や状況等により、適切な対応方法は異なりますので、詳しくは不倫問題に強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。

 POINT③ 離婚問題に強い弁護士へ相談する

不倫の慰謝料を請求された場合は、まずは離婚・不倫問題に強い弁護士に相談されることをおすすめします。

不倫を認める場合でも、被害者の請求内容をよく検討した上で対応方法を吟味する必要があります。

また、被害者が指摘する不倫の事実や慰謝料について反論がある場合は、状況を法律的な観点からよく整理したうえで、適切な方法で主張する必要があります。

被害者の請求内容をよく検討しないまま認めたり、やみくもに反論したりしてしまうと、被害者や不倫の相手と揉めて事態が悪化し、慰謝料の金額等にも影響が及ぶ可能性があるので注意が必要です。

不倫問題に強い弁護士に相談することにより、適切な対応方法や解決方法についてアドバイスをもらうことができます。

また、弁護士に代理人として示談交渉をしてもらうことにより、被害者との直接接触を避けられるため、直接接触により生じうるトラブルを回避することもできます。

さらに、示談交渉がまとまらなかった場合は、あまり時間を置くことなく、被害者が法的措置(調停や訴訟)をとることが予想されますが、弁護士に代理交渉を依頼している場合は、引き続きサポートを依頼することができるため、慌てることなく対応することができます。

 

 

まとめ

以上、不倫慰謝料について、請求できる条件や相場、請求方法、注意すべきポイントなどを解説しましたが、いかがだったでしょうか。

不倫慰謝料に関して適切な解決をするためには、専門知識と具体的な事案に即した判断が不可欠となります。

そのため、まずは不倫問題に強い弁護士に相談されることをおすすめいたします。

当事務所では、離婚問題を専門に扱うチームがあり、不倫問題について強力にサポートしています。

LINE、Zoomなどを活用したオンライン相談も行っており全国対応が可能です。

不倫問題については、当事務所の離婚事件チームまで、お気軽にご相談ください。

この記事が、不倫問題にお悩みの方にとってお役に立てれば幸いです。

 

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