マザコン夫との離婚を考えている方へ【弁護士が解説】

  

当事務所の離婚事件チームは、離婚事件に注力する弁護士で構成されるチームであり、女性の方から夫に対する様々な悩みをお聞きします。

ご相談の中で、相手の男性がマザコンであったため、夫婦関係が破綻してしまったというケースが増えてきています。

ここでは、マザコン夫の事例を通して、その特徴、対応方法、離婚を決意したときのポイントについて、解説します。

マザコンとは

マザコンとは、本来、マザーコンプレックスの略語(和製英語)で、子どもが母親に抱く強い執着や愛着・依存心を意味する言葉です。

しかし、世間一般としては、母親の言いなりになったり、母親優先の考え方を大人の男性に対するネガティブな表現として用いられています。

 

マザコンのチェック

マザコンに法的な定義はありませんが、離婚問題にまで発展する内容としては、以下のような項目に該当する場合が考えられます。

マザコンチェックリスト

 

マザコン夫の事例

マザコン夫の事例としては、以下のような例があります。

 

妻よりも母親の味方をするマザコン夫
Aさんは、8年前に夫と結婚し、幼稚園の子どもがいました。
夫の両親は自宅のそばに住んでいました。
夫の母親は、子ども(孫)をとても可愛がっていましたが、最近、高価なおもちゃなどを頻繁に買い与えていたことから、「子どもの教育上、何でも買ってあげるのはよくないから止めてください。」と伝えました。
ところが、夫の母親は、反対にAさんに罵声を浴びせてきました。夫は、それを見ていたのに、何も言ってくれませんでした。
Aさんは、その後、夫に対して、相談しましたが、逆に夫は子どもを甘えあせてやるべきだと言って母親の肩を持ちました。

姑が孫を自分の子どものように育てているのに何も言わない
Bさんは6年前に夫と結婚し、4年前に子どもが生まれました。
夫の両親は、もともと他県で生活していましたが、子どもが生まれてからは、自宅の近所に引っ越してきて、孫に会いに毎日のように自宅に来るようになりました。
そして、夫の母親は、夕食まで作るようになりました。
夫は、母親の手料理を食べれてうれしいと言っていたので、Bさんは逆らえませんでした。
ところが、母親の行動はエスカレートし、孫に対して、自分のことをおばぁちゃんではなく「ともちゃん」(夫の母親の下の名前)で呼ばせ、教育方針にまで口を出すようになってきました。
そこで、Bさんは、夫に相談しましたが、夫は母親の協力があった方が良い子に育つなどといってまったく取り合ってくれませんでした。

上記のような事案はマザコンの典型です。

マザコン夫は、たとえ妻が正しく、母親が間違っていても、母親のことを悪くは言いません。

むしろ、母親のことを悪く言う妻に対して、冷たい態度で接してきます。

また、母親も夫に対して甘やかして育てているので、母親が孫を極度に甘やかしても、夫は当然のように感じています。

上記は典型ですが、その他にも、マザコン夫には次のような特徴が見られることがあります。

 

 

マザコン夫の特徴

優柔不断である

マザコン夫は子どもの頃から大人になっても甘やかされて育っているので、優柔不断な場合が多くあります。

子どもに対しても嫉妬する

マザコン夫は、子どものような性格の場合が多く、子どもができても父親になったという自覚がありません。そのため、妻が子どもばかりに気をかけていると、子どもに対して嫉妬心を抱くことがあります。

家事や育児をほとんど手伝わない

マザコン夫は、常に甘やかされて育ったため、母親の家事の手伝いなどしたことがない場合が多くあります。そのため、妻が家事や育児に苦労していても、自分から手伝うことはほとんどなく、妻に手伝ってと言われても、渋々手伝うような場合が多く見受けられます。

 

 

マザコン夫を夫に持つ方の対応方法

老人の手を引くイメージ画像マザコン夫を夫に持つ女性の方は、その対応に苦慮されています。

この場合、夫の言動がそれほど酷くないようであれば、離婚を選択するのではなく、修復のために努力することも大切です。

具体的には、マザコン夫に変わってもらうのではなく、自分が変わることです。

マザコン夫は、生まれてからずっと母親に支配され、育っています。そのような夫を変えることは不可能と思ってください。

マザコン夫を受け入れるための心構えとしては、

マザコン夫を好きになる

マザコン夫を夫に持つ女性は、交際中、夫の子どもっぽい(甘えん坊)なところに母性本能をくすぐられて結婚されたのではないでしょうか。結婚前の気持ちに戻って、子どもっぽいところを好きになろうとすると気持ちが楽になるでしょう。

マザコン以外の良い点だけを見るようにする

誰にでも長所と短所があります。夫の長所だけを見るように心がけると気持ちが楽になるでしょう。

夫の母親を好きになる

マザコン夫をもつ女性は、夫の母親に対して敵対心を持つものです。しかし、マザコン夫にとって母親は絶対です。敵対心を持っては絶対にうまくいきません。母親を好きになれば、母親もあなたに対する態度が良好になる場合も多いのでチャレンジしてください。

 

 

同居に耐えられない場合

マザコン夫との生活に耐えられない場合、離婚という選択肢もありますが、離婚は生活に与える影響がとても大きいです。

そこで、いきなり離婚ではなく、まずは別居して様子を見るという方法もあります。

冷静になることで、何か打開策が見つかるかもしれません。

ただ、別居するとなると生活費の心配があるかと思います。

このような場合、相手に婚姻費用を請求するとよいでしょう。

婚姻費用は、別居中であっても、収入が少ない妻が夫に求めることができる法的な権利です。

相手が任意に支払ってくれない場合、裁判所の命令により強制的に支払ってもらえるようにする方法もあります。

なお、当事務所では、このような離婚にまで踏み切れない女性のための別居サポートを提供しています。

具体的には、婚姻費用の適正額を診断して助言したり、相手に婚姻費用を請求するなどのサポートを行っています。

別居サポートについて、詳しくはこちらのページで解説しています。

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別居を弁護士がサポート

 

 

離婚のポイント

マザコン夫と結婚生活を継続させる自信がない場合、離婚もやむを得ないでしょう。

離婚の場合、法律上の「離婚原因があるか否か」がポイントとなります。

離婚原因とは、法律上、裁判所が離婚を認めてくれる場合を言い、民法は、次の5つの場合を定めています。

上記のとおり、マザコンについては、明確な記載がありません。

マザコンがあまりにも強く、悪質な場合であれば、⑤の婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。

しかし、通常の場合、マザコンだけが理由では、離婚原因に該当する可能性は低いと思われます。

このように、離婚原因が認められない事案の場合、大切なことはできるだけ裁判は避けて、協議や調停で解決するということです。

協議や調停であれば、法定の離婚原因がなくても、相手が離婚に応じてくれれば離婚が成立します。

法定の離婚原因がない場合の離婚について知りたい方はこちらをご覧ください。

 

 

まとめ

弁護士以上、マザコンの離婚問題について、詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

相手がマザコンの場合、対応にとても苦慮されていると思います。

まずは、結婚生活を続ける努力をされる必要もありますが、耐えきれない場合は別居や離婚もやむを得ないでしょう。

別居の際は、婚姻費用を請求することを検討しましょう。

また、離婚を選択する場合、離婚原因とはならない可能性もあります。

そのため、一人で抱え込まずに専門家に相談することが大切です。

当事務所の離婚事件チームは、マザコンの離婚事案について、専門知識とノウハウを共有しております。

近くに専門家がいない遠方の方については、当事務所ではLINEなどを利用したオンライン相談が可能です。

離婚でお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

ご相談の流れはこちらをご覧ください。

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