追突事故とは?慰謝料相場・対応の流れから過失割合まで解説

追突事故は、減速又は停止した前方車両の後部に、後ろから直進してきた自動車が衝突する事故です。
追突事故は、平成25年以降の交通事故の中で一番多い事故類型となっています。
追突事故は、物損や軽いケガだけで済むものも多くありますが、場合によっては、前方車両に乗っていた人のみならず、周辺の車両や歩行者も巻き込んだ大事故になることもある危険な事故です。
また、追突事故で被害に遭った場合、被害者の過失がゼロとなることが多く、そのために被害者が保険会社の示談代行サービスを利用できないことになる場合も多くあります。
今回の記事では、追突事故とは何か、追突事故の発生状況、追突事故を起こした場合の過失割合、罰則、慰謝料、追突事故の原因と対策などについて解説していきます。
追突事故とは?多発する4つのパターンと国内ワースト1位の現状

追突事故とは、後ろから走ってきている自動車(後方車)が、前を走っている自動車(前方車)の後ろにぶつかってしまう事故です。
追突事故になるものとしては、次のようなものがあります。
- 前方で信号待ちをしている車に後ろから衝突する
- 前方車が減速していたことに気づかず、後方車が前方車の後ろにぶつかる
- 前の車が発進したと思って自分の車を発進させたら、実はまだ前の車は発進しておらず、ぶつかってしまう
- 駐停車中の車に、後ろから走ってきた車が衝突する
追突事故の発生状況
令和6年に発生した交通事故の事故類型では、追突が最も多く、85,293件(全体の29.3%)となっています。
実は、平成25年以降毎年、追突事故が最も多い事故類型となっています。
また、令和6年の交通死亡事故発生件数を事故類型別に見ると、追突による死亡事故は133件(全体の5.1%)となっています。

追突事故が発生する原因
追突事故が発生する原因としては、次のようなものがあります。
車間距離の詰めすぎ
車間距離を詰めすぎて運転していると、前の車両が減速・停止したときに、少しの対応の遅れが追突事故につながる危険性が高くなります。
スピードの出し過ぎ
スピードを出し過ぎていると、前方の車両が減速・停止した場合に、自分の車を減速・停止させるのが間に合わず、追突事故を起こしてしまうことがあります。
スピードの出し過ぎと車間距離を取っていないことの両方が原因となり、追突事故に至るケースもあります。
前方不注意(わき見運転など)
わき見運転、スマートフォンやナビの操作などをしながらの運転などで、前方への注意がおろそかになり、追突事故を起こすこともあります。
なお、スマートフォンなどを手に持って通話・注視していると、そのこと自体で刑罰の対象となります(道路交通法71条1項五の五号、118条1項四号)。
居眠り運転
居眠り運転をしていて、前の車両が停止・減速したことに気が付かず、追突事故を起こすこともあります。
居眠り運転は、追突事故以外にも、歩行者への衝突事故、落下事故など様々な重大事故を起こす原因となりますので、絶対にやめましょう。
無灯火で走行する
周りが暗くなっているにもかかわらず無灯火で運転していたために、前方を走行している車両や駐車車両に気づかず、追突事故を起こしてしまうこともあります。
また、逆に、前方を走行していた車が無灯火だったために、後方車から見落とされ、追突事故になることもあります。
追突事故に遭ったらどうする?事故直後から解決までの全体の流れ
【事故当日】被害者・加害者ともに必ず取るべき初期対応の流れとポイント
交通事故という非日常の出来事に直面すると動揺してしまいますが、以下のポイントを抑えて冷静に行動することが重要です。

①負傷者の救護と道路の安全確保
事故が起きたら、まずはけが人がいないか確認し、救護を最優先で行います。
意識の有無を確認し、必要であればすぐに119番通報して救急車を呼びましょう。
あわせて、二次被害を防ぐための安全確保も欠かせません。
後続車による追突事故を避けるため、車両を安全な場所へ移動させたり、発炎筒を焚いたりして危険を知らせます。
人命救助と安全確保は法律上の義務でもあります。
②警察への即時通報
けが人の救護と安全確保ができたら、速やかに110番で警察へ通報します。
当事者同士で「大した事故じゃないから」と示談で済ませることは厳禁です。
警察へ届出をしないと、事故の事実を証明する「交通事故証明書」が発行されません。
証明書がないと、後から治療費や慰謝料を相手の保険会社に請求できなくなります。
軽微な事故や単独事故であっても、必ず警察を呼びましょう。
③加害者の身元確認と任意保険会社のその場での直接確認
警察の到着を待つ間、相手(加害者)の情報を詳しく確認しておきます。
氏名、住所、連絡先はもちろん、車のナンバーや運転免許証を見せてもらい控えておきましょう。
あわせて重要なのが、相手が加入している「任意保険会社」の確認です。
可能であればその場で相手から保険会社へ連絡してもらい、担当部署や証券番号を直接メモします。
④事故現場の客観的な証拠収集
警察の現場検証とは別に、ご自身でも事故直後の客観的な証拠を残しておきます。
記憶が鮮明なうちにスマートフォン等で写真を撮影しましょう。
お互いの車の傷や破損部位、事故現場の全景、信号機や道路標識、路上に残ったブレーキ痕などが重要な証拠となります。
また、ドライブレコーダーの映像が消えてしまわないように保存するか、SDカードを抜くなどしておく必要があります。
目撃者がいる場合は連絡先を聞いておくと安心です。
これらの客観的な証拠は、後から過失割合を争う際の証拠となります。
⑤痛みや違和感がなくても当日〜翌日中に医療機関を受診
事故直後は興奮して麻痺し、目立った外傷や自覚症状がなくても、数日後に痛みが出てくるケースは少なくありません。
そのため、目立った痛みがなくても違和感があれば、当日または翌日中に病院(整形外科)を受診してください。
受診が遅れると、ケガと事故との因果関係を疑われ、保険会社から治療費の支払いを拒否される恐れがあります。
⑥被害者自身が加入する保険会社への連絡
事故に遭ったら、自分が加入している自動車保険会社へも速やかに連絡しましょう。
自身に過失がない「もらい事故」の場合でも、連絡をしておくことが大切です。
「弁護士費用特約」や「人身傷害保険」など、自身を守るための重要な補償特約が利用できるか確認するためです。
特に弁護士費用特約が使える場合、自己負担なく弁護士へ示談交渉を依頼できる大きなメリットがあります。
保険等級への影響も併せて確認しておくと安心です。
【事故翌日以降】治療から示談成立・賠償金受け取りまでの流れとポイント
治療から賠償金の受け取りまで、納得のいく解決を迎えるための基本的な流れを押さえておきましょう。

①治療継続
まずは病院(整形外科)に通い、医師の指示に従って怪我が完治するまでしっかり治療を続けます。
自己判断で通院をやめたり期間が空いたりすると、事故との因果関係を疑われて治療費を打ち切られる恐れがあるため注意が必要です。
②症状固定
治療を一定期間続けてもこれ以上の改善が見込めなくなった段階を「症状固定(しょうじょうこてい)」と呼びます。
症状固定の判断は保険会社ではなく、必ず主治医と相談して決定します。
③後遺障害申請
症状固定の時点で体に痛みや麻痺などの後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定手続きを行います。
適切な等級が認定されると、治療費とは別に後遺障害に対する慰謝料などを請求できるようになります。
④示談交渉
治療や後遺障害の認定が完了した段階で、相手方の保険会社と最終的な賠償金の額について話し合います。
保険会社が提示する金額は最低限の基準であることが多いため、適正な「弁護士基準」での増額を目指して交渉します。
⑤解決
話し合いでお互いが金額に納得できたら、示談書に署名・捺印して契約を交わします。
示談成立からおよそ1〜2週間程度で指定口座に賠償金が振り込まれ、すべての手続きが完了となります。
仮に、示談交渉で合意できない場合には、裁判手続きを検討することになります。
追突事故は過失割合10対0が原則!保険会社の示談代行が使えない理由と弁護士に相談する重要性
被害者の過失がゼロの場合、示談代行が使えない理由
自身が加入する保険会社には「示談代行サービス」が付帯されていますが、過失割合が10対0の事故ではこのサービスを利用できません。
法律(弁護士法72条)により、賠償責任を負わない保険会社が加入者に代わって相手方と交渉することは「非弁行為(弁護士以外の交渉)」として禁止されているためです。
そのため、過失がない被害者ほど、自分で直接相手方の保険会社と交渉しなければならなくなります。
【対処法】弁護士に相談・依頼することが重要です
保険会社との直接交渉を回避し、適切な補償を受けるための確実な対処法として、弁護士への相談・依頼が重要です。
弁護士に依頼すれば、示談交渉の窓口をすべて弁護士へ一本化でき、保険会社とのやり取りによるストレスから解放されます。
さらに、保険会社が提示する低い金額ではなく、最も高い補償基準である「弁護士基準(裁判基準)」を適用して増額交渉を行うことが可能になります。
どの段階で弁護士に相談したほうがいい?
弁護士への相談は「事故直後」の段階で行うのがベストです。
治療初期からアドバイスを受けることで、適切な通院頻度の維持や、後遺症が残った際の「後遺障害等級認定」を見越した準備をスムーズに進められます。
示談書にサインをしてしまうと後から撤回はできません。
事故に遭ったら示談をする前、できるだけ早いタイミングで専門家へ相談しましょう。
詳しくは、以下をご覧ください。
追突事故で請求できる示談金の内訳と慰謝料相場
追突事故で請求できる示談金の内訳
追突事故で請求できる主な損害項目は以下のとおりです。
| 損害項目 | 内容 |
|---|---|
| 治療費など | 事故による怪我の治療にかかった実費。整骨院の費用も含まれる。 |
| 通院交通費 | 病院や整骨院に通うための交通費実費。公共交通機関の場合は実費、自家用車の場合は1kmにつき15円。 |
| 入院雑費 | 入院生活で必要となった日用品代などの雑費で、1日1500円。 |
| 付添費用 | 怪我をした家族の看護に要した費用補償で、通院の場合は1日3300円、入院の場合は1日6500円。 |
| 入通院慰謝料 | 怪我の治療や通院による精神的苦痛への補償。 |
| 後遺障害慰謝料 | 体に後遺症が残った精神的苦痛への補償。 |
| 死亡慰謝料 | 被害者が亡くなった精神的苦痛への補償。 |
| 休業損害 | 怪我で仕事を休み収入が減った補償。 |
| 逸失利益 | 後遺障害や死亡で減る将来収入の補償。 |
慰謝料の3つの算定基準と弁護士基準のメリット
交通事故の慰謝料には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの計算基準が存在します。
「自賠責基準」は法令で決まった最低限の補償であり、「任意保険基準」は保険会社が提示する独自の低めな計算基準です。
これらに対し「弁護士基準(裁判基準)」は、過去の裁判例を元に作成された最も適正で高額な基準です。
弁護士基準を選択する最大のメリットは、受け取れる慰謝料額が増額する点にあります。
同じ怪我であっても、弁護士基準で請求し直すだけで金額が大幅に増額できるケースも珍しくありません。
本来もらえるはずの適正な賠償金を受け取るためにも、被害者自身で合意せず、弁護士基準での交渉を行うことが重要です。
入通院慰謝料の相場
入通院慰謝料とは、交通事故によって入院や通院をせざるを得なくなったことに対する慰謝料です。
入通院慰謝料は、怪我の程度、通院の期間などによって金額が算出されます。
むちうち・打撲など「軽傷」の入通院慰謝料相場(弁護士基準)
以下は、むちうち・打撲など「軽傷」の場合の入通院慰謝料の相場です。
| 通院期間 | 軽傷(打撲・むちうち等) |
|---|---|
| 1ヶ月 | 19万円 |
| 2ヶ月 | 36万円 |
| 3ヶ月 | 53万円 |
| 4ヶ月 | 67万円 |
| 5ヶ月 | 79万円 |
| 6ヶ月 | 89万円 |
骨折などの「重傷」となった場合の入通院慰謝料相場(弁護士基準)
骨折などの「重傷」となった場合の入通院慰謝料の相場です。
| 通院期間 | 重傷(骨折等) |
|---|---|
| 1ヶ月 | 28万円 |
| 2ヶ月 | 52万円 |
| 3ヶ月 | 73万円 |
| 4ヶ月 | 90万円 |
| 5ヶ月 | 105万円 |
| 6ヶ月 | 116万円 |
入通院慰謝料について、詳しい計算方法は以下をご覧ください。
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残存してしまったことに対する慰謝料です。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じて、110万円~2800万円程度になります。
各後遺障害等級に対応する後遺障害慰謝料の具体的な金額については、以下のページをご覧ください。
死亡慰謝料の相場
死亡慰謝料とは、被害者が亡くなったことによる被害者自身の慰謝料で遺族が請求するものです。
死亡慰謝料は、被害者の家族内での立場、年齢などに応じて決まります。
死亡慰謝料の相場は、以下のようになっています。
- 一家の支柱 2800万円
- 一家の支柱に準ずる場合(母親・配偶者など) 2500万円
- その他(独身者、幼児など) 2000~2500万円
死亡慰謝料に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。
追突事故のケースで人身事故にすべき?
被害者の方から人身事故にしないと治療費を請求できなくなるのではないか、といった相談を受けることがあります。
しかし、筆者の経験上、事故と怪我の因果関係が明確であり、医師の診断書が確保できていれば、物損事故(物件事故)の扱いのままであっても、相手の保険会社から治療費や慰謝料の支払いを受けることがほとんどです。
ただ、以下の2つのケースの場合は人身事故に切り替えたほうがいいと考えます。
- ① 過失割合に争いがあるケース
- ② 軽微な事故のケース
①過失割合に争いがあるケース
過失割合に争いがあるケースでは、事故態様が問題になり、警察が作成する実況見分調書が重要になることがあります。
実況見分調書は人身事故にした場合でないと作成されないため、過失割合に争いがある場合には、人身事故にすることを検討したほうがいいでしょう。
②軽微な事故のケース
軽微な事故で、事故とケガの因果関係が明確とは言えない場合には、人身事故であることをしっかり明示するために、人身事故にしておいたほうがいいです。
筆者の経験上、自賠責保険の認定結果を記載している書面において、事故とケガの因果関係を検討するにあたって、人身事故にしているかどうかを検討材料にしていることが分かる記載があったことがあります。
したがって、事故とケガの関係性が争われる可能性がある場合には、人身事故にしておくことをお勧めします。
物損事故から人身事故に切り替える手順
警察で物損事故から人身事故へ切り替える際は、まず整形外科などの医療機関で診断書を発行してもらいます。
次に、加害者の住所地または事故現場を管轄する警察署へ電話し、切り替え手続きの事前予約を行います。
その後、実況見分(現場検証)が行われ、事故発生時の状況や怪我の確認などの取調べを受けます。
手続き自体はシンプルですが、実況見分の立ち会いや書類作成に数時間程度を要するのが一般的です。
後々のトラブルを防ぐためにも、診断書を入手したら速やかに警察へ足を運ぶことがスムーズな切り替えのポイントです。
追突された被害者がやってはいけない4つの行動

①自己判断による「治療の早期中止」
痛みが残っているにもかかわらず自己判断で通院をやめたり、長期間通院を空けたりしてはいけません。
怪我が完治したとみなされ、通院期間に応じた正当な「入通院慰謝料」が大幅に減額される恐れがあります。
②感情的になって加害者を直接非難する・SNSに事故情報を投稿する
事故の怒りから加害者本人へ直接電話して責め立てたり、感情的な言動をとったりするのは逆効果です。
当事者同士の感情的な対立は示談交渉を著しくこじらせ、解決を遠のかせます。
また、事故の状況や相手の情報をSNSに投稿する行為も固く禁物です。
投稿内容が思わぬ形で不利益な証拠として扱われたり、プライバシー侵害で相手から逆に責任追及される危険があるため、ネットへの投稿は控えましょう。
③相手方の保険会社からの一括対応の打ち切り提示をそのまま受け入れる
治療中に相手の保険会社から「これ以上の治療費の支払いを終了(一括対応の打ち切り)します」と宣告されても、そのまま承諾してはいけません。
保険会社の打診は自社の不払いコストを削減するための打診に過ぎず、治療の終了を判断する権利があるのは保険会社ではなく主治医です。
痛みが残っている場合は、主治医に治療継続の必要性を確認してもらい、医師の診断に基づいて交渉を続けることが重要です。
④示談書の提示額を弁護士に確認せず、そのままサインして返送する
保険会社から届いた示談書に確認なしでサインして返送することは最も危険な行動です。
保険会社が最初に提示してくる賠償額は、過去の裁判例に基づく適正な「弁護士基準」ではなく、低額な自社の内部基準で計算されているケースがほとんどだからです。
一度示談書にサインをしてしまうと、後から撤回して追加請求することは法律上不可能になります。
サインをする前に必ず弁護士へ内容を確認してもらいましょう。
追突事故を起こした時に受ける罰則
人身事故の場合
過失運転致死傷罪
追突事故を起こして相手にケガをさせてしまった、又は死亡させてしまった場合は、原則的に、過失運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法第5条)に問われることになります。
過失運転致死傷罪が成立すると、被害者が死亡した場合でもケガのみの場合でも、7年以下の拘禁刑、又は100万円以下の罰金を科されます(被害者のケガが軽い場合は、刑が免除される可能性もあります。)。
危険運転致死傷罪
お酒の影響で正常な運転が困難な状態で運転した、制御困難な高速度で運転したなど、危険な運転をして追突事故を起こしたという事情があれば、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります(同法2条)。
危険運転により被害者が死亡した場合は、1年以上20年以下の拘禁刑が科されます(危険運転致死罪)。
危険運転により被害者がケガをした場合は、15年以下の拘禁刑となります(危険運転致傷罪)。
過失運転致死傷罪に問われるとどうなるか、危険運転致死傷罪がどのような場合に成立するかなどについて、詳しくは以下のページをご覧ください。
物損事故の場合
物損事故の場合、過失により追突事故を起こしたのである限り、原則として、刑事罰を科されることはありません。
ただ、追突事故の際に、周囲の建物を壊してしまった場合は、6か月以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金を科される可能性があります(道路交通法116条1項)。
また、追突事故の際に、無免許運転、飲酒運転、スピード違反など別の違反行為があった場合は、事故とは別に刑事罰を科されるおそれがあります。
追突事故を防ぐためにできること
追突事故を防ぐため、考えられる対策をいくつかご紹介します。
適切な車間距離を保つ
追突事故を防ぐためには、適切な車間距離を保つことがとても大切です。
車間距離に余裕があれば、前の車が急に減速・停止しても、前の車の動静に気づくのが少し遅れたとしても、追突事故に至る前に車を停止させられる可能性が高まります。
車間距離は、「時間」によって測ることができます。
これは、前の車がある地点を通過してから、自分の車が同じ地点を通過するまでにかかる時間を測ることで、おおよその車間距離を把握する方法です(下図参照)。
一般道を走行している場合であれば、この時間が2秒程度、高速道路を走行している場合は3秒程度となるのが、適切な車間距離が取れていることの一つの目安となります。
2台前を走っている車の動静に目を配る
追突事故を避けるためには、2台前を走っている車の動静に目を配ることも大切です。
直前を走っている車は、そのすぐ前(=自分の車の2台前)を走っている車の動きに影響され、急ブレーキを踏んだり、減速したりすることがあるため、2台前の車の動きに注意していれば、直前を走っている車が減速・停止することも早めに予測することができます。
早めに前の車の動きを予測できれば、自分も減速するなど早めに対応することができ、追突事故を回避できる可能性が高まります。
休息をしっかりととる
居眠り運転防止のため、車を運転している際には、疲労を感じたらしっかりと休息をとることが大切です。
眠気覚ましのガム、タブレットなどもあるので、これらを常備しておくこともおすすめです。
減速・停止する合図を送る
減速・停止する場合には、十分手前の位置から、ブレーキを何回かに分けて踏むことで、早めにブレーキランプを点灯させ、合図を送るようにしましょう。
また、高速道路で前方が渋滞しているために減速・停止する場合は、ハザードランプを点滅させ、後方車に渋滞が発生していることを知らせると良いです。
こうして自分の車が減速・停止しようとしている合図を後方車に送ることで、後方車が前方の状況に気づきやすくなり、追突事故を回避できる可能性が上がります。
ブレーキを踏む際にはあらかじめ後方も確認する
追突事故の被害に遭わないよう、ブレーキを踏む際にあらかじめ後方を確認することも大切です。
後ろから車が迫っている場合は、早めに少しずつ減速する、早めにウィンカーを出すなど、後方の運転者が減速・停止に気づきやすいよう配慮してみましょう。
そうすれば、後ろの車から追突される危険を減らすことができます。
夕暮れ時からライトを点けて走行・駐停車する
暗い中でライトを点けずに走行していると、前方が良く見えませんし、他の車からも見つけてもらいにくくなります。
夕暮れ時も、思う以上に暗く、前が見えにくくなっています。
夕暮れ時以降は、忘れずにライトを点けて走行しましょう。
道路上に駐停車する場合も、夕暮れ時以降はハザードランプなどを付けたままにしておきましょう。
そうすれば、後方からくる車から視認されやすくなり、追突事故の被害に遭うことを防ぐことができます。
発進時の追突にも注意する
停車した状態から発進する際にも、追突事故が起こりやすくなっています。
発進時の追突事故を防ぐためには、
- 停車するときも、十分な車間距離を保って停車する
- 発進時には前の車が本当に動いているか確認する
- 動き出した前の車が急に停止する可能性も考えておく
といったことが大切です。
自動ブレーキ装置が付いた車を購入する
近年、衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)を搭載した自動車が増えています。
2021年には、国産の新型自動車には衝突被害軽減ブレーキを搭載することが義務付けられ、市場には多くの衝突被害軽減ブレーキ搭載車が登場しています。
新しく車を購入する際、この衝突被害軽減ブレーキが付いた自動車を購入すれば、追突事故を回避できる可能性が上がります。
ただ、衝突被害軽減ブレーキはあくまで「運転者の補助」をするものですので、衝突被害軽減ブレーキがあるからといって油断せず、しっかりと前方に注意して運転することが重要です。
追突事故で被害者が損しないために知っておくべき5つのポイント
追突事故に遭った場合には、次のポイントを踏まえて適切な補償を受けることが大切です。
- ① 原則として、被害者の過失割合は0%
- ② 示談交渉は自分で行うか、弁護士に依頼する必要がある
- ③ 痛みがある場合には、必ず病院に行く
- ④ 後遺障害に認定されることもある
- ⑤ 示談する場合には、弁護士に示談内容を見てもらう
追突事故の過失割合 被害者は原則0%

追突事故は、車を駐停車していたところに後方から衝突される事故です。
駐停車しているところに、後方から追突されるので、被害者としては事故を避けようがなく、何の落ち度もありません。
したがって、原則として、追突された被害者の過失割合は0%です。
もっとも、駐車禁止場所に駐車している場合や、前方の視認状況が悪い中でハザードを灯さずに駐車しているような場合には、過失割合が修正され10〜20%の過失が生じる場合もあります。
ただし、単に、信号停車あるいは前方が渋滞していて停車している時に追突された事故であれば、ほとんどの場合、被害者の過失は0%と考えていいでしょう。
万一、保険会社が被害者の過失を主張してきた場合には、その理由をよく聞いて弁護士に相談されることをお勧めします。
加入している保険会社に交渉してもらえない

自動車保険には、示談代行サービスがついており、被害者に代わって相手保険会社や加害者と交渉してくれるサービスがあります。
しかし、追突事故で過失割合が10 :0の場合には、この示談代行サービスを利用することはできず、被害者が全ての交渉を行わなければなりません。
被害者に過失が少しでもあれば、被害者の保険会社も賠償金を支払わなければならない可能性があり、利害関係があるため、加害者側と交渉できるのですが、被害者の過失が0%の場合には、利害関係が全くないので交渉することができないのです。
したがって、被害者は、車の修理代等の賠償について自分で交渉しなければなりません。
車の損害賠償は、車の時価額の問題や、買換諸費用、評価損の問題など専門的な知識が必要となるため、弁護士に依頼することも検討すべきでしょう。
自動車保険に弁護士費用特約が付いている場合には、弁護士費用を一切負担なく、弁護士に依頼できる場合もあるため、自分の保険に弁護士費用特約がないか確認されてください。
痛みがあれば必ず病院に行く

追突事故に遭って、体に痛みがあっても、すぐに治ると考え、病院に行かない被害者の方もいます。
痛みがすぐに完治すればいいのですが、なかなか治らなかったときが大変です。
時間が経過してから、やっぱり痛みがあるから病院へ行くと保険会社に言っても、時間の経過を理由に治療費を支払ってくれない可能性があります。
したがって、追突事故に遭って痛みがあれば、すぐに病院を受診しましょう。
病院に行くべき理由はもう1つあります。
交通事故の傷害慰謝料の算定方法は、病院への通院期間・日数で算出されます。
したがって、1度も病院に行っていない場合には、傷害慰謝料は請求できないと思ってください。
仕事が忙しくて、痛みに耐えながら仕事をしたという場合でも慰謝料は出ません。くれぐれも気を付けてください。
整骨院に通院される場合もあると思いますが、最初は病院を受診されることをお勧めします。
後遺障害に認定される可能性がある

追突事故で、骨折や脱臼、半月板損傷、肩腱板損傷などの重傷を負った場合はもちろんのこと、むちうち、捻挫等の場合にも後遺障害に認定される可能性があります。
むちうちや捻挫で認定される可能性がある等級は14級9号です。
14級9号の認定は、治療期間・頻度、治療内容、症状の一貫性・連続性、事故規模・態様、画像所見の有無、神経学的検査の結果などの考慮要素を総合考慮して判断されることになります。
特に、通院期間や通院頻度は重要な考慮要素となるため、医師の指示に従って、しっかり治療すべきです。
すぐにご自身の慰謝料、休業損害、逸失利益の概算額を知りたいという方は、以下のページをご覧ください。
示談する場合には、弁護士に示談内容を見てもらう
治療が終了した後、あるいは、治療を終了して後遺障害の結果が出た後に保険会社から示談金の提示がなされます。
保険会社は、早く示談してもらうために、提示内容が妥当であるかのように説明するでしょう。
しかし、それを鵜呑みにしてはいけません。
保険会社も営利会社なので、出来る限り賠償金を抑えたいのが心情です。
したがって、最初の提示で妥当な金額を提示してくる可能性は極めて低いでしょう。
例えば、慰謝料の算定基準は、①自賠責保険基準、②任意保険会社基準、③裁判基準の3つの基準があり、①<②<③の順番で金額が高くなります。

保険会社が、最初に提示してくる基準は、①あるいは②のいずれかであり、裁判基準で提示してくることはまずありません。
保険会社が提示している金額が、いずれの基準で算定されたものなのか判断するのは難しいため、保険会社から賠償の提示があった場合には、弁護士に提示内容を見てもらうことをお勧めします。
追突事故の被害を弁護士に相談・依頼するメリット
以下では、追突事故の被害を弁護士に相談・依頼するメリットについて説明します。
- 賠償金の増額が期待できる
- 窓口を全て弁護士に任せて保険会社とのやり取りから解放される
- 後遺障害認定のサポートが受けられる
追突事故の被害者が弁護士に依頼する最大のメリットは、受け取れる賠償金(示談金)が増額する可能性が高まる点です。
保険会社が提示する金額は低額な自社基準ですが、弁護士が介入することで最も高額な「弁護士基準(裁判基準)」での増額交渉が可能になります。
また、煩わしい保険会社とのやり取りをすべて弁護士に任せられる点もメリットです。
事故対応の窓口が弁護士一本になるため、相手方との厳しい交渉による精神的ストレスや対応の手間から解放され、安心して怪我の治療に専念できます。
さらに、適切な後遺障害等級の認定サポートなど、法律の専門家ならではの多角的な支援を受けられるのもメリットです。
追突事故被害における当事務所の解決事例
【非該当から14級へ】弁護士の交渉で賠償金300万円を獲得した追突事故の事例
追突事故で首を負傷したZさんの事例です。
初期から弁護士が徹底サポートしました。
最初の申請は非該当でしたが、弁護士がカルテや自費治療の領収書を精査して異議申立てを行い、見事、後遺障害14級9号を獲得することができました。
示談交渉では弁護士が弁護士基準(裁判基準)の満額回収を強く主張しました。
その結果、休業損害や逸失利益を含む300万円の賠償金を得て解決しました。
【代行車の追突】弁護士の被害者請求で14級認定、賠償金345万円を獲得した事例
代行運転中の自車に追突され、首の痛みが残ってしまったQさんの事例です。
弁護士費用特約がない状態から、弁護士が全面サポートしました。
相手方保険会社任せにせず、弁護士が医師と連携して的確な後遺障害診断書を作成。
他覚的所見がない中でも、無事に後遺障害14級9号が認定されました。
弁護士は、保険会社の初期提示額に妥協せず、粘り強くさらなる増額を交渉しました。
後遺障害慰謝料や逸失利益を含め、弁護士基準(裁判基準)である総額345万円での解決を実現しました。
弁護士が交渉に入ることで、本来受け取るべき適正な補償を勝ち取れる可能性があります。
一人で悩まず、まずはご相談ください。
追突事故についてのQ&A

追突事故で罰金なしのケースがある?
追突事故を起こしても、相手方の車両を損傷しただけの物損事故であれば、罰金などの刑罰が科されることはありません。また、被害者がケガをした場合でも、被害者のケガが軽いむちうちなどの軽傷である場合や、加害者に大きな落ち度(飲酒運転、危険運転、スマートフォンを操作しながらの運転など)があったわけではない場合、加害者に刑事罰までは科されないこともあります。

追突事故で点数が引かれないケースがある?
追突事故を起こしても、損害が物損のみでケガをした人がいなければ、点数を引かれることはありません。追突事故の被害者も、原則的には点数を引かれることはありません。
追突事故の場合、原則として追突された被害者には過失がないものとされるからです。
ただ、追突事故であっても、「被害者にも過失があった」とされ、加害者もケガをしているようであれば、点数を引かれる可能性があります。
まとめ
今回の記事では、追突事故の発生件数、原因、予防法、追突事故が起こった場合の対処法、過失割合などについて解説しました。
追突事故は、交通事故の中でも発生数の多い事故類型です。
追突事故を起こすことのないよう、車間距離を十分に取る、ブレーキをかけるときに後方に注意するなど、十分に注意しましょう。
また、追突事故の被害に遭ってしまった場合、被害者に過失がないことが多いです。
そのような場合には、被害者は、保険会社の示談交渉サービスを使うことができません。
しかし、被害者の方がご自身で交通事故への対応を行おうとすると、大きな負担がかかります。
追突事故で被害に遭った場合には、治療や生活の立て直しに集中するためにも、なるべく早いうちに交通事故に強い弁護士にご相談されることをお勧めします。
当事務所でも、交通事故に関する問題を集中的に取り扱う人身障害部を設け、追突事故により被害を受けた方のご相談に対応しております。
オンライン、お電話での全国からのご相談もお受けしております。
お困りの方はぜひ一度、当事務所までお気軽にご連絡ください。









