交通事故解決までの流れ|被害者が押さえるべきポイントは?

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

交通事故発生から最終的な解決までには、いくつかの段階があります。

それぞれの段階で、悩ましい問題が生じることがあるため、判断に迷われたら専門の弁護士に相談すべきでしょう。

この記事では、交通事故を解決するまでに被害者が押さえておくべきポイントを段階に分けて解説しています。

この記事でわかること

  • 交通事故解決までの流れ
  • 事故発生から解決までに押さえておくべきポイント
  • 弁護士に依頼するタイミング

交通事故発生から解決までの流れ

交通事故が発生してから、最終的に解決するに至るまでには、以下のような段階を経ることになります。

交通事故が発生して、体に痛みがある場合には、速やかに病院に行く必要があります。

病院に行って、必要があれば治療を継続することになります。

治療を一定期間継続して治癒すれば治療は終了です。そのまま示談交渉へ進むことになります。

しかし、治療を継続しても痛みや体の動かしづらさが治らない場合には、症状固定として後遺障害の申請をすることになります。

後遺障害が確定した後は、示談交渉に入ることになります。

示談交渉では、保険会社と賠償金の金額を交渉します。

示談交渉で解決に至らない場合には、訴訟提起をして裁判にて決着をつけることになります。

交通事故解決までには、こうした経過を経ることになります。

それぞれの段階で悩ましい問題があるため、弁護士に依頼するか、あるいは、相談しながら進めることをお勧めします。

 

 

事故発生時のポイント

交通事故に巻き込まれたら、以下の6つのポイントを留意してください。

  1. ① 相手方の情報を確認する
  2. ② 警察に連絡して交通事故の届出をする
  3. ③ 事故状況の証拠を収集する
  4. ④ 保険会社に連絡をする
  5. ⑤ 速やかに病院で治療を受け、診断書を書いてもらう
  6. ⑥ 弁護士にこれからのことを相談する

 

 

治療中に注意すべきポイント

まずは治療に専念

交通事故にあってケガをした場合、まずは治療に専念しましょう。

事故後は、ケガは治るのか、仕事は続けられるのかなど、不安な気持ちになると思います。

また、相手方の保険会社から頻繁にくる連絡にも対応しなければなりません。

しかしながら、被害者の方にできることは、まずは治療に専念することです。

弁護士に依頼すると、保険会社とのやり取りは弁護士が行うことになるため、被害者の方に直接保険会社から連絡が来ることはなくなります。

保険会社からの連絡がストレスになるような場合には弁護士に依頼することも検討されてください。

 

主治医に症状を明確に伝える

症状固定の時期や後遺障害の申請にあたっては、主治医の先生の意見書や後遺障害診断書が重要な資料となります。

また、保険会社が治療費を支払っている場合、病院は、毎月、主治医の作成した診断書や診療報酬明細書といった書類を保険会社に提出しています。こうした書類も重要な資料となります。

診断書や診療報酬明細書に、症状を適切に記載してもらうように、主治医の先生の問診時には、痛いところや痛みの内容(例えば、しびれなのか、うずきなのか等)を漏れなく話すようにしましょう。

主治医に症状を言いづらいという方もいらっしゃると思いますが、その場合、弁護士から主治医の先生へ文書をお送りすることも可能です。

 

休業損害は治療中でも請求可能

休業損害は、治療が終了した後の示談交渉のときに請求することもできますが、治療中の段階でも請求することができます。

毎月の生活費が減ってストレスにならないよう、治療中でも休業損害を請求された方がいいでしょう。

 

治療費や通院のためのタクシー代等を立て替えた場合には領収書を保管

交通事故に関連する支出があった場合には、その領収書は保管しておくべきです。

最終的に保険会社に支払ってもらえなかったとしても、領収書がないとそもそも、交渉にすらならない可能性があるからです。

通院のためのタクシー代などは、領収書がないと利用日や金額の証明ができないため保険会社はまず支払ってくれません。

 

 

症状固定時期に押さえておくべきポイント

症状固定の判断は慎重に

症状固定とは、治療を一定期間継続したうえで、これ以上治療を行っても症状の改善が見られない時点をいいます。

よく保険会社から「事故から〇か月たつので、症状固定です。」ということを言われますが、多くの場合、この傷病であれば、一般的にはこのくらいの治療期間だろうという推測に基づいて判断されています。

しかし、症状固定の時期はあくまで個別の事案に応じて決定されるべきものです。

また、症状固定の判断は医学的判断になるため、保険会社の一方的な判断で決まるものではありません。

症状固定時期の判断にあたっては、被害者の症状の経過を最も把握している主治医の見解が尊重されるべきです。

症状固定を巡って裁判になれば、最終的には裁判官が決定することになりますが、裁判官も主治医の意見は参考にします。

したがって、保険会社から治療の打ち切りを打診されても、それを鵜呑みにせず、主治医に相談しましょう。

主治医にどのように相談すればいいか分からない場合には、専門の弁護士に相談すれば、状況に応じた助言をもらえるでしょう。

また、症状固定時期が不適切な場合には、その時期について弁護士が保険会社と交渉することも可能です。

 

 

後遺障害申請のポイント

後遺障害診断書の重要性

後遺障害申請にあたっては、後遺障害診断書の内容が重要です。

後遺障害の審査は、後遺障害診断書を基に審査されます。

つまり、後遺障害診断書に記載されていない症状は審査されません。

したがって、後遺障害診断書に症状の漏れがないか、しっかりと確認すべきです。

最も記載漏れが多いのは可動域検査の結果です。

骨折や脱臼によって関節の可動域が制限生じることがありますが、後遺障害診断書に可動域検査の結果が記載されていない場合には、可動域の制限について審査がされませんので十分に注意が必要です。

 

認定に有利な証拠を添付する

後遺障害申請の方法には、被害者請求と事前認定の2つの種類があります。

事前認定は、保険会社が全て申請手続きを行なってくれる方法です。

被害者請求は、被害者あるいは被害者に依頼された弁護士が後遺障害申請をする方法です。

被害者請求の方法で申請する場合には、最低限必要な資料に加えて、プラスαで認定に有利となる資料も添付することができます。

後遺障害申請の段階で、どこまで資料を添付するかは事案によって異なりますが、物損資料、カルテ、陳述書、画像鑑定報告書、実況見分調書などを添付することもあります。

 

 

示談交渉のポイント

示談交渉の流れ

弁護士に依頼していない場合では、治療終了後、あるいは、後遺障害等級が確定した後、保険会社から賠償額の提示があります。

この提示に対して、被害者としての言い分を保険会社に伝え金額について交渉していくことになります。

弁護士に依頼している場合には、治療終了後、あるいは、後遺障害等級が確定した後、弁護士が損害の計算をして、保険会社に対し賠償額の提示を行います。

この提示に対して、保険会社が回答し、その回答に対して弁護士がさらに意見を述べるといった流れで進んでいきます。

いずれのケースでも、賠償金の金額に折り合いがつけば合意して示談交渉は終了となります。

 

保険会社の賠償提示を鵜呑みにしない

保険会社が最初に提示してくる賠償内容は、一般的な相場を下回っていることがほとんどです。提示金額の根拠についても、抽象的な記載にとどまり、根拠がよく分からないことがよくあります。

よく分からないまま、言われるがままに示談してしまうのではなく、どの部分が不十分な提示なのかしっかり検証して交渉すべきでしょう。

自分で判断がつかない場合には、専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 

裁判のポイント

加害者や保険会社と示談交渉を進めても納得のいく賠償額の提示がなければ、適切な賠償を受けるべく裁判をすることになります。

裁判は、弁護士に依頼せず、被害者が自分で行うことも可能です。

しかし、裁判となれば、加害者側にも弁護士がつきます。

裁判では、高度に専門的な知識が必要となるため、被害者が単独で加害者側の弁護士と渡り合うのは難しいでしょう。

したがって、裁判を行う場合には、弁護士に依頼された方がいいでしょう。

裁判と聞くと、「大変そう」、「めんどくさそう」というイメージがおありだと思いますが、弁護士に依頼している場合、裁判所に提出する書類は、全て弁護士が作成します。

また、裁判への出頭も弁護士が行いますので、被害者の方は、当事者尋問や和解の局面といった一定の場合にだけ、弁護士と一緒に期日に参加していただくことで足り、毎回裁判所に足を運ぶ必要はありません。

 

 

弁護士に依頼すべきタイミング

交通事故にあったらできるだけ早く専門の弁護士に相談すべきです。

交通事故被害者のほとんどの方は、事故後の流れや保険会社がどのようなアプローチをしているかご存知ありません。

問題が顕在化する前に弁護士がアドバイスすることで、とれる対応も選択肢が複数あることが多く、逆にトラブルになってからでは「時すでに遅し。」ということもあるからです。

全体の流れを早期に把握してトラブルを事前に防止するためにも、できる限り早い段階でご相談されることをおすすめします。

 

 

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