交通事故慰謝料はいくら?通院日数をもとに計算|早見表

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

交通事故の入通院慰謝料は、「通院日数」と「通院期間(治療期間)」のどちらを基準にするかで金額が大きく変わるという大きな特徴があります。

たとえば、自賠責保険では自賠責基準を用いて、「日額4,300円 × “実通院日数の2倍”または”通院期間”の少ない方」で計算されるため、仕事や家庭の事情で通院が思うようにできないと、本来より低い慰謝料になってしまうケースが少なくありません。

一方で、弁護士基準(裁判基準)は、裁判例に基づいたもっとも高額な基準であり、原則として 「通院期間」を中心に評価するため、週1〜2回の通院でも適正な慰謝料が認められやすいという強みがあります。

このように、どの基準で計算するかによって受け取れる慰謝料が数十万円以上変わることもあるため、正しい計算方法を理解しておくことは非常に重要です。

このページでは、被害者の方々が交通事故の慰謝料で損しないために、慰謝料の計算方法についてご説明いたします。

提示された慰謝料が妥当なのか知りたい、自分の通院日数だといくらもらえるの?という方は、ぜひ参考にしてください。

交通事故の慰謝料は通院日数でどう変わる?計算の仕組み

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3つがありますが、通院日数が慰謝料に影響するのは、入通院慰謝料のみです。

慰謝料の計算には、大きく分けて3つの基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)がありますが、「通院日数」の少なさが直接的な減額につながりやすいのは「自賠責基準」です。

 

自賠責基準の計算の仕組み|実通院日数が少ないと金額が下がる

自賠責基準での入通院慰謝料の計算方法は、以下の計算式で計算します。

1日4300円 × 対象日数 = 入通院慰謝料

対象となる日数については、以下の2つの日数の内、少ない方の日数です。

  1. ① 治療期間の日数
  2. ② 実際に通院した日数の2倍の日数

例えば、3ヶ月のうち40日実際に病院に通院した場合は、①と②の日数は以下の日数になりますので、②の80日が対象日数になります。

具体例 3ヶ月のうち40日実際に病院に通院した場合

  1. ① 90日(3ヶ月)
  2. ② 40日 × 2 = 80日

この場合の入通院慰謝料金額は、

4300円 × 80日 = 34万4000円 となります。

これと比較して、実通院日数が20日の場合には、対象日数は40日となり、入通院慰謝料は17万2000円となります。

具体例 実通院日数が20日の場合

4300円 ✕ 40日 = 17万2000円

つまり、この場合、通院日数が40日から20日に減ると、自賠責基準での入通院視野量は半額になってしまうことになります。

このように、自賠責基準の場合、実通院日数によって入通院慰謝料の金額は大きな影響を受けます。

 

弁護士基準は原則「通院期間」で計算される

弁護士基準の場合は、通院期間で入通院慰謝料を計算します。

具体的には、以下の金額になります。

通院期間 慰謝料額
1ヶ月 19万円
2ヶ月 32万円
3ヶ月 53万円
4ヶ月 67万円
5ヶ月 79万円
6ヶ月 89万円

このように、弁護士基準の場合は、通院期間で計算します。

しかし、通院頻度が少ない場合には、実通院日数の3倍(骨折等の重症の場合は3.5倍)を通院期間として修正されることがあります。

例えば、10日に1回程度の頻度で6ヶ月通院して、合計20回通院したとします。

具体例 10日に1回程度の頻度で6ヶ月通院して、合計20回通院した場合

この場合、ケガの内容や治療の経過を踏まえて、通院頻度が少ないと判断される場合、

20日 × 3 = 60日を通院期間として慰謝料金額が計算されることがあります。

1ヶ月は30日としてカウントするので、この場合、2ヶ月の通院期間として32万円の慰謝料と判断される可能性があります。

どの程度で通院頻度が少ないと判断されるのか、明確な基準はありませんが、週2回程度通院していれば、こうした修正がされる可能性は低いと考えます。

 

【比較】同じ「6ヶ月通院」でも基準によって金額が大きく違う

以下の表は、弁護士基準と自賠責基準で慰謝料を比較した表です。

  • 表Aは、通院期間の日数の半分以上通院した場合の金額です。
  • 表Bは、通院期間の3分の1(週2〜3)程度通院した場合の金額です。

弁護士基準では、金額は変わりませんが、自賠責基準では通院日数によって慰謝料の金額は大きく変化します。

なお、自賠責基準では、治療費や入通院慰謝料などの傷害部分について、120万円という上限額があります。

したがって、表Aで180日通院した場合、すでに治療費で70万円かかっている場合には、120万円 – 70万円 = 50万円までしか入通院慰謝料は出ません。

 

表A 通院期間の半分以上通院した場合の表

通院期間 弁護士基準 自賠責基準
180日 89万円 77万4000円

 

表B 通院期間の4分の1(週1〜2)程度通院した場合の表

通院期間 弁護士基準 自賠責基準
180日 89万円 46万4400円
(実通院54日)

 

 

交通事故慰謝料には3つの基準がある

交通事故慰謝料の算定基準には大きく分けて3つの基準があります。

交通事故慰謝料の算定基準

 

自賠責基準

自賠責基準とは、自賠責保険が定める慰謝料の計算方法です。

自賠責保険とは、道路を車で走行するにあたって必ず加入しなければならない保険です。

この自賠責保険があることによって、加害者が下記で説明する任意保険に加入していなかったとしても被害者は最低限の補償を受けることができます。

 

任意保険基準

任意保険基準とは、任意保険会社が会社内部で決めた慰謝料の計算方法です。

任意保険とは、自賠責保険による最低補償ではカバーできない金額を補償する保険です(そのため、「上乗せ保険」と言われています。)。

上乗せ保険のイメージ

任意保険基準は、任意保険会社が内部で定めた基準であるため、公に公開されているものではありません。

任意保険基準は、既にご説明をした自賠責基準を上回る賠償水準となります。

一方で、下記で説明する弁護士基準(裁判基準)と比較すると賠償水準が低くなる場合があります。

この場合、任意保険基準で示談をした場合、弁護士基準(裁判基準)で示談するよりも獲得できる金額が下がってしまいます。

 

弁護士基準(裁判基準)

弁護士基準(裁判基準)とは、仮に裁判となった場合に、裁判官が慰謝料の計算をする際に利用する計算方法です。

弁護士基準(裁判基準)は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」といいます。)という書籍に掲載されています。

上記、自賠責基準と任意保険基準と比較すると一番高い賠償水準です。

被害者の方々が弁護士に加害者側との交渉を依頼することによって、基本的に弁護士基準(裁判基準)に基づいて示談金が計算されます。

なお、弁護士基準(裁判基準)について1点注意すべきポイントがあります。

それは、裁判基準という名前の通り、裁判基準で計算される慰謝料の金額は、あくまで裁判となった際に認められる金額をいいます。

そのため、被害者の方々が弁護士に依頼した上で相手方の保険会社と交渉となった場合には、裁判基準よりある程度減額された金額を獲得することになります。

これは、弁護士と相手方保険会社との裁判外における交渉によるものだからです。

したがって、弁護士基準(裁判基準)の金額がそのまま全額もらえるわけではないことには注意が必要です。

もっとも、弁護士が保険会社と弁護士基準(裁判基準)で交渉する場合と、被害者の方々がご自身で相手方の保険会社と交渉をする場合と比較した時に、獲得できる慰謝料が高額になるのは弁護士が保険会社と交渉した場合です。

そのため、慰謝料の増額という点で、被害者の方々がご自身で交渉するよりも弁護士に依頼することにメリットがあります。

 

 

【早見表】1〜6ヶ月の通院期間ごとの慰謝料相場(むちうち・骨折別)

入通院慰謝料とは、交通事故による怪我のために通院や入院をしなければならなかったことに対する慰謝料のことをいいます。

そのため、交通事故で怪我をしていたとしても、入院・通院がない場合には、原則として入通院慰謝料を請求することはできません。

また、入通院慰謝料には、脱臼・骨折等がある場合とそれ以外の場合とでは基準とする算定基準が異なります。

入通院慰謝料の算定にあたっては、別表Ⅰと別表Ⅱという2つの基準表が用意されています。

 

むちうち等の軽傷の場合の慰謝料早見表

以下の表は、むちうち等の軽症の場合で1〜6ヶ月通院した場合の慰謝料金額を弁護士基準と自賠責基準に分けて整理したものです。

表Aは通院期間の半分以上通院した場合、表Bは通院期間の4分の1(週1〜2)程度通院した場合の表になります。

 

表A 通院期間の半分以上通院した場合の表

通院期間 弁護士基準 自賠責基準
30日 19万円 12万9000円
60日 32万円 25万8000円
90日 53万円 38万7000円
120日 67万円 51万6000円
150日 79万円 64万5000円
180日 89万円 77万4000円

 

表B 通院期間の4分の1(週1〜2)程度通院した場合の表

通院期間 弁護士基準 自賠責基準
30日 19万円 8万6000円
(実通院10日)
60日 32万円 15万4800円
(実通院18日)
90日 53万円 23万2200円
(実通院27日)
120日 67万円 30万9600円
(実通院36日)
150日 79万円 38万7000円
(実通院45日)
180日 89万円 46万4400円
(実通院54日)

 

骨折等の重傷の場合の慰謝料早見表

以下の表は、骨折などの重症を負った場合で1〜6ヶ月通院した場合の慰謝料金額を弁護士基準と自賠責基準に分けて整理したものです。

表Aは通院期間の半分以上通院した場合、表Bは通院期間の4分の1(週1〜2)程度通院した場合の表になります。

入院した場合、弁護士基準では入院のほうが慰謝料金額が高くなるため、下記金額よりも金額は上がります。

 

表A 通院期間の半分以上通院した場合の表

通院期間 弁護士基準 自賠責基準
30日 28万円 12万9000円
60日 52万円 25万8000円
90日 73万円 38万7000円
120日 90万円 51万6000円
150日 105万円 64万5000円
180日 116万円 77万4000円

 

表B 通院期間の4分の1(週1〜2)程度通院した場合の表

通院期間 弁護士基準 自賠責基準
30日 28万円 8万6000円

(実通院10日)

60日 52万円 15万4800円
(実通院18日)
90日 73万円 23万2200円
(実通院27日)
120日 90万円 30万9600円
(実通院36日)
150日 105万円 38万7000円
(実通院45日)
180日 116万円 46万4400円
(実通院54日)

 

 

交通事故慰謝料を自動計算機で簡単に計算!

交通事故慰謝料のうち、入通院慰謝料・死亡慰謝料については、交通事故の被害に遭われた方々によってケースバイケースです。

また、インターネット上の入通院慰謝料・死亡慰謝料の計算方法を知ることができたとしても、実際自分の慰謝料がどのくらいになるのかははっきりしない場合が多いかと思われます。

そこで、ご自身の賠償金の概算額を今すぐ知りたいという方は、この自動計算機をご活用ください。

入通院慰謝料・死亡慰謝料については下記計算シミュレーターにより計算することができます。

なお、下記計算シミュレーターでは、入通院慰謝料・死亡慰謝料だけでなく、休業損害・逸失利益についても計算できますので併せてご活用ください。自動計算ツール

 

 

交通事故慰謝料で損をしないためのポイント・注意点

交通事故慰謝料で損をしないためのポイントは以下の5つです。

交通事故慰謝料で損をしないためのポイント

 

①整形外科・整骨院にコンスタントに通院する

交通事故慰謝料のうち、入通院慰謝料については入院・通院期間と密接に関係します。

そのため、整形外科・整骨院にコンスタントに通院することは、お怪我を治すだけでなく、通院慰謝料との関係でも重要となります。

したがって、少なくとも相手方保険会社が一括対応をしている期間については整形外科あるいは整骨院に通院するようにしましょう。

もっとも、注意すべき点としては、整形外科にほとんど通院せず、整骨院がメインとなっている場合には、相手方保険会社より治療の必要性を否定され、通院期間として扱わない場合があることには注意が必要です。

そこで、整形外科を軸として通院することをお勧めいたします。

 

②事故発生から近い時期にレントゲンを撮影する

既にご説明した通り、入通院慰謝料には、脱臼・骨折等の場合とむちうち・打撲等の場合とで算定基準が異なります。

そこで、事故発生から近い時期にレントゲンを撮影し、脱臼・骨折等がないかを確認しましょう。

もし、事故発生から離れた時期にレントゲンを撮影した結果、脱臼・骨折等が発覚したとしても交通事故と関係のないものとして慰謝料算定で考慮されない可能性があります。

そのため、事故発生から近い時期にレントゲンを撮影しておくことは現在のお体の状況を把握するだけでなく慰謝料との関係でも重要なポイントになります。

 

③1ヶ月以上の通院空白は治療終了のリスクがある

入通院慰謝料の計算は、入院・通院期間を基礎として計算されます。

仮に、1ヶ月間の間治療しない期間が生まれてしまうと、それ以降の治療は事故とは関係のない治療として慰謝料の対象期間に入らない可能性があります。

なお、骨折等により主治医から経過観察として治療期間を空けるように指示がある場合には、治療期間に空白があったとしても問題はありません。

したがって、ご自身で通院すべきか否かについて判断をせずに主治医に相談しましょう。

このように入通院慰謝料と入院・通院期間は密接に関係しています。

 

④すぐに示談をしない

被害者の方々がご自身で相手方保険会社とやりとりをしている場合、やりとりの最後に相手方保険会社から賠償提示案が示されます。

この賠償提示案は、基本的に任意保険基準により算定された慰謝料等になります。

そのため、被害者の方々の過失割合が高い場合を除いて弁護士基準(裁判基準)よりも低い金額である可能性が高いです。

もし、相手方保険会社から提案された賠償案をそのまま受け入れ、示談をしてしまうと後々覆したいと思ったとしても基本的に覆りません。

したがって、ご自身で相手方保険会社とやりとりをする場合であってもすぐに示談をしない方が良いでしょう。

相手方保険会社から賠償案が送られてきた場合には、一度交通事故を専門とする弁護士に相談することをお勧めいたします。

弊所では、LINEで簡単に相手方保険会社の賠償案が適正な金額であるのかを弁護士が診断するサービスを無料で提供しておりますのでぜひご活用ください。

 

⑤交通事故を専門とする弁護士に相談する

交通事故慰謝料の算定基準として弁護士基準(裁判基準)を使って計算するためには、弁護士を利用する必要があります。

そこで、交通事故に遭ってしまった場合には、一度交通事故を専門とする弁護士に相談することをお勧めします。

その際に、被害者の方々のご自身の保険に「弁護士費用特約」がついているかを確認しておくとよりスムーズに弁護士に依頼することができます。

弁護士費用特約とは、保険契約の特約で弁護士費用を保険会社が負担するというものです。

弁護士費用特約の詳細につきましては、下記のページをご覧ください。

あわせて読みたい
弁護士費用

 

 

交通事故慰謝料の計算と通院日数についてのQ&A

通院日数1日の慰謝料はいくらですか?

自賠責基準であれば1日4,300円です。

弁護士基準では、明確に1日◯円という基準はありません。

被害者の方々の中には、通院1日8600円の慰謝料が出ると思われている方が一定数いらっしゃいます。

これは、自賠責基準の慰謝料の対象日数の考え方が原因と思われます。

自賠責基準の慰謝料の対象日数は、以下のいずれか少ない方の日数になります。

  1. ① 通院期間の日数
  2. ② 実通院日数の2倍の日数

②の日数を採用する場合、「4300円 × 2 × ◯日」といった計算になるため、あたかも8600円が慰謝料と勘違いしてしまうのです。

 

事故で1ヶ月通院したらいくら慰謝料がもらえる?

各算定基準に応じて計算方法が異なります。

自賠責基準の場合

自賠責基準の場合、1ヶ月通院した場合の金額は、下記の計算式の通りです。

計算式 4300円 × 30日(1ヶ月)= 12万9000円

※15回以上通院したことを前提にしています。

 

弁護士基準(裁判基準)の場合

弁護士基準(裁判基準)の場合、脱臼・骨折等がある場合(別表Ⅰ)とない場合(別表Ⅱ)で異なります。

別表Ⅰの場合 通院1ヶ月あたり28万円
別表Ⅱの場合 通院1ヶ月あたり19万円

通院2ヶ月以降の慰謝料については下記のページをご覧ください。

 

 

まとめ

以上の通り、交通事故の慰謝料は通院日数が影響することについて解説いたしました。

基本的に、入通院慰謝料は、入院・通院期間に応じて計算されます。

また、既にご説明した通り、入通院慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、どの賠償基準で計算するかによって金額が大きく変わってきます。

加えて、弁護士基準(裁判基準)の中でも、賠償基準として別表Ⅰと別表Ⅱがあり、どちらの賠償基準を使うかによっても金額が大きく変わります。
そこで、交通事故の慰謝料で損をしない方法としては、まず交通事故を専門とする弁護士に一度相談することです。

弁護士と相談する中で被害者の方々にとって適正な慰謝料がいくらなのかを確認した方が良いでしょう。

その中で、弁護士に依頼して弁護士基準(裁判基準)によって計算した方が良いのか、ご自身の症状が別表Ⅰ・別表Ⅱのいずれに該当するのかについてした方が良いでしょう。

交通事故専門の弁護士に相談するメリットは慰謝料増額だけではありません。

交通事故によって発生した怪我の治療は被害者の方々にとって最優先事項です。

そこで、被害者の方々が治療に集中できるように相手方保険会社との交渉について弁護士がサポートいたします。

当法律事務所には、交通事故を専門とする弁護士が多数所属しております。

LINE等のオンライン相談や電話相談を準備しておりますので、交通事故全般についてお困りの方は、お気軽にご相談ください。

あわせて読みたい
無料相談の流れ

 

 

慰謝料


 
賠償金の計算方法

なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

続きを読む