交通事故慰謝料は1日8600円(旧8400円)?相場と計算方法

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

交通事故慰謝料について質問です。

通院1日4300円の慰謝料が出る場合と1日8600円の慰謝料が出る場合があると聞きましたが、どちらが正しいですか?

弁護士の回答

1日4300円というのは自賠責保険基準の慰謝料の金額です。

1日8600円の慰謝料は、自賠責保険基準での慰謝料計算方法の過程で生まれた誤解です。

 

なぜ慰謝料が1日8600円(旧8400円)という誤解が生まれたか

慰謝料が1日8600円という誤解が生まれたのは、慰謝料の自賠責基準の計算方法に原因があります。

自賠責保険基準での慰謝料の計算式は以下のとおりです。

計算式 対象日数 × 4300円 = 慰謝料金額

この式の「対象日数」の確定方法に誤解の原因があります。

この対象日数は、実通院日数の2倍の日数と通院期間の日数の少ない方の日数となります。

例えば、実通院日数40日、通院期間120日の場合、

実通院日数40日 × 2 = 80日 < 120日

となるため、80日が対象日数となります。

したがって、この場合の計算式は以下のようになります。

40日 × 2 × 4300円 = 34万4000円

この計算式について、先に4300円の部分に2倍して計算しておくと、

40日 × 8600円という計算式になり、あたかも慰謝料が1日8600円であるかのように見えてしまいます。

慰謝料が一日8600円というのはこうした誤解によるものです。

 

弁護士基準での慰謝料

これまでの説明は、自賠責保険基準での慰謝料の話です。

慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準の他に任意保険基準、弁護士基準という基準があります。

任意保険基準は、各保険会社が独自に運用している基準です。

弁護士基準は、弁護士が交渉の際に用いる基準です。

この基準は、裁判になった場合に裁判所が用いる基準でもあるため裁判基準ともいわれており、最も高い基準です。

例えば、上記の実通院日数40日、通院期間120日の場合で弁護士基準を計算すると67万円になります。

この例を前提にすると、自賠責保険基準と弁護士基準とでは2倍弱の差があるのです。

弁護士基準について詳しく確認されたい場合には、こちらをご覧ください

 

 

保険会社の提示額の計算が1日8600円となっていた場合に注意すべき点とは?

保険会社の提示で1日8600円という記載がある場合には、自賠責保険基準で賠償の提示を行っているということです。

この場合、相手方の賠償提示を鵜呑みにすることなく、専門の弁護士に相談して適切な賠償額を把握しましょう。

慰謝料の支払い対象期間

傷害慰謝料の計算は、事故日から治療終了日(症状固定日)までの期間で計算されます。

治療中の注意点としては、症状が継続しており、医師から通院を指示されている場合には、長い間隔を空けずに治療を継続することです。

1ヶ月間治療が空いてしまうと、それ以降の治療は事故と関係のない治療として治療費の支払いを受けることができない可能性があります。

もちろん、骨折などで医師から経過観察として治療期間を空ける指示がある場合は、問題ありませんが、そういった指示がないのに、自分の判断で治療期間を空けるのは危険です。

治療期間としてみてもらえなくなり、結果として適切な慰謝料が回収できなくなってしまう可能性があります。

 

 

慰謝料請求をうまく進めるポイント

保険会社の提示を精査すること

治療が終了すると、保険会社から賠償額の提示があります。

その提示が適切なものであるかを精査する必要があります。

弁護士基準(裁判基準)で計算した慰謝料の金額と提示された金額を比較してみましょう。

その差が大きい場合には、弁護士基準の金額を保険会社に示して少しでも金額の差が小さくなるよう交渉すべきです。

弁護士基準で提示しても保険会社は、その基準は弁護士に依頼しないと適用できないといったことを言ってくる可能性はありますが、それでも交渉の材料の一つにはなりますので、弁護士基準で計算した金額を示すことは無駄ではないと思います。

また、過失割合についても注意深く確認しましょう。

過失割合は、賠償の全額に関係してくるため、割合が少しでも違えば賠償額が大きく変わることもよくあります。

 

弁護士に相談・依頼すること

弁護士が保険会社と慰謝料の交渉をする場合には、弁護士基準を前提に交渉します。

また、専門の弁護士であれば、慰謝料だけでなく損害全体を見て、適切な賠償を求めていきますので、被害者個人で交渉するよりも賠償額総額が高くなる可能性が高いです。

もちろん弁護士費用がかかりますので、依頼にあたっては弁護士費用と増額の見込みを見極める必要があります。

ただ、弁護士費用特約に加入されている場合には、弁護士費用特約により弁護士費用を賄うことができます。

したがって、この場合には、弁護士に交渉を依頼されることをお勧めします。

 

まとめ

・慰謝料1日8600円というのは、自賠責保険基準で慰謝料を計算する過程を誤解したことで生まれたものである
・自賠責保険基準は、慰謝料の基準の中で最も低い基準で、弁護士基準が最も高い金額である
・適切な慰謝料の支払いを受けるには、医師の指示に従って、継続して通院することが大切である

 

 

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