世界と比較する日本の離婚
去年(平成29年)は、不倫報道や離婚報道がよく取り上げられていました。
今回は、世界の国々と比較した日本の離婚についてみていこうと思います。
世界と比較した日本の離婚率
厚生労働省は、2024年における日本の離婚の割合(千分率、つまり人口1000人あたり何人が離婚しているか)は、約1.52人と発表しました。
この数字だけを見ると、意外に少ないのでは?という印象を受けるのではないでしょうか。
離婚率自体は減少傾向にありますが、婚姻率や人口そのものも減少しているので、一概にはなんとも言えません。
アメリカの場合は人口千人当たり約2.4人が離婚しています。
なお、アメリカの場合は州ごとに離婚率が異なるため、場所によって離婚に対するイメージも異なるものと考えられます。
その他、主な先進国の離婚割合は以下のとおりです。
アメリカ | 2.4 |
フランス | 1.93 |
韓国 | 1.8 |
イギリス | 1.69 |
ドイツ | 1.63 |
日本 | 1.52 |
イタリア | 1.41 |
出典:厚生労働省|令和6年(2024) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
こう見てみると、日本は、先進国中では下位の方にランク付けされ、比較的離婚割合は少ないことがわかります。
また、イタリアが圧倒的に離婚率が低いことに驚きです。
韓国及びヨーロッパ諸国はあまり変わらない数値になっています。
離婚となるとテレビや雑誌で大きく報道されますが、日本の離婚の割合は世界に比べるとまだまだ低いというのが実情です。
日本における離婚までの婚姻期間
国連は、夫婦が離婚に至るまで、どれくらいの期間婚姻関係にあったのかも調査しています。
日本の場合、20年以上が21.1%と最も多く、4年間が5.1%と最も少なくなっています。
1年未満 | 5.3% |
1年 | 6.9% |
2年 | 6.5% |
3年 | 5.7% |
4年 | 5.1% |
5~9年 | 18.5% |
10~14年 | 13.2% |
15~19年 | 10.7% |
20年以上 | 21.1% |
回答なし | 6.9% |
出典:25. Divorces and percentage distribution by duration of marriage, latest available year: 2013 – 2022
「5~9年間」は4年間の合算の数字なので一概には言えませんが、そのあたりから割合も減少傾向にあるので、婚姻期間10年が、少し安心してもよい(=離婚の心配はないといえる)ひとつの目安なのかもしれません。
しかし一方で、20年以上同居していた方の離婚割合は最も多く、年代としては40代~50代といった層が該当するでしょう。
お子さんがいればすでに成人しており、そのタイミングで婚姻関係を解消しようと考える方が多いのかもしれません。
一方、お隣の韓国では、20年以上同居していた方の離婚が36.7%と圧倒的に多くなっています。
いわゆる熟年離婚といわれる方が多くなっているのかもしれません。
離婚成立のための手続き
日本では、話し合いがうまくできれば、双方署名の上離婚届を提出すれば、離婚することができます。
ただ、この離婚制度は世界的にいえば珍しい方です。
海外では、必ず裁判手続きをしなければ、法的な離婚成立を認めてくれない国の方が圧倒的に多いです。
極端な例では、フィリピンでは、離婚そのものが制度上認められていません(もっとも、実質的に離婚と同様の手続自体はあります。ただし、日本の制度に比べるとはるかに離婚は難しいし、大変です。)。
日本における離婚理由
離婚理由として挙げられることの多くが、経済的理由、不貞、性格の不一致です。
法的な観点からは、不貞はそれだけで法律上の離婚原因(民法770条1項1号)となります。
経済的理由や性格の不一致については、それによってどのように婚姻関係が破綻したといえるのか考える必要があります(法律上は「婚姻を継続し難い重大な事由」といえるかが問題となります。)。
多くの場合、重要になるのは別居期間です。
婚姻関係が破綻したと判断するにあたり、どれくらいの別居期間を要するかについてはケースバイケースです。
ただし、婚姻期間が短い場合は、必要となる別居期間も短く判断される傾向にあります。
また、別居期間が短かったとしても、「離婚が不可能」ということではありません。
協議を行い、条件面についてしっかりと話し合いをすれば、別居期間が短いとしても、離婚できる可能性はぐっと上がります。
離婚するということ
ここまで、他国との比較で日本の離婚の状況を見てきました。
もっとも、他国の状況がこうだからといって日本の制度がよい悪いといったことではありません。
どこの人であろうと、離婚するときは離婚します。
ただ、どうせ離婚するのであれば、納得のいく形で合意をすることが理想です。
日本ではまだまだ離婚そのものに対する後ろめたさがあると思いますが、我慢しすぎて自分がつぶれてしまう婚姻関係であれば、それを継続するメリットとは一体どこにあるのでしょうか。
他国を見ていると、離婚そのものに過度な後ろめたさを感じる必要はないのではないかと思います。
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