エネ夫とは?〜真のエネミーは配偶者?〜【弁護士が解説】

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  保有資格 / 弁護士・入国管理局申請取次者・3級ファイナンシャルプランナー

エネ夫とは、妻の味方をせずに、反対に妻を苦しめる敵となってしまう夫のことをいいます。

 

エネ夫とは

エネ夫(「えねお」と読みます。)という言葉をご存じでしょうか。

これは、妻の味方をせずに、反対に妻を苦しめる敵となってしまう夫のことをいいます。

英語の「エネミー(enemy:敵)」と「夫」を合わせた造語です。

近年、日本も欧米のように離婚する夫婦が増加しており、夫婦の関係が問題となっている状況下で登場してきた言葉です。

まだ聞き慣れない方が多いと思いますが、当事務所では離婚を専門に扱っていることから、このエネ夫に悩まれている女性の相談をよく受けております。

ここでは、まず、エネ夫の特徴を上げて、次に具体例と対応方法をご紹介いたします。

 

 

エネ夫の10の特徴

夫のことでお悩みの方の中には、エネ夫に該当するのかよくわからないという方も多いかと思います。

以下、典型的なエネ夫の特徴をあげますので、該当するかチェックされてみてください。

エネ夫のチェックリスト

上記は一例であり、どれかに該当するからと言って、直ちに離婚した方がいいということではありません。

しかし、複数該当するようであれば、夫婦関係の修復を含めた今後の対応について、離婚専門の弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 

 

エネ夫の具体例

姑と一緒になって妻を攻撃するエネ夫

Aさんは5年前に夫と結婚し、3年前に子どもが生まれました。Aさん夫婦は、夫の実家で母(姑)と生活していました。

もともと姑は、Aさんに対して優しくは接してくれなかったのですが、子どもが生まれてからは、Aさんを邪魔者扱いし、最近では、子どもに自分のことを「ともちゃん」(姑の下の名前)で呼ばせ、Aさんを排除してまるで自分が母親であるかのような行動を取るようになりました。

そこで、Aさんは、夫に何度も相談しましたが、夫は聞いてくれませんでした。

それどころか、Aさんが夫に姑の悪口を言うと、夫は激高し、Aさんに暴言を浴びせました。

また、最近では、夫は姑と一緒になって、Aさんのことを馬鹿にしたり、人格を否定するような発言を行うようになりました。

 

十分な生活費を渡さないエネ夫

Bさんは、夫と10年前に結婚し、2人の子どもがいました。

夫は会社経営者であり、年収は1500万円ほどもありました。

しかし、夫は、Bさんに家計を任せず、預貯金等の財産も隠していました。

子ども達が習いごとをするようになり、食費や教育費等の生活費として、毎月15万円ほどが必要となりました。

そこで、Bさんは、夫に1か月の生活費を15万円にしてほしいと頼みました。ところが、夫はこれまでどおり、毎月12万円しか渡さないと返答しました。

それどころか、夫はBさんに対して、金銭管理が悪い、などと言って非難し、さらに、Bさんが財産を隠していると疑い、Bさんの預貯金口座をすべて開示するように求めてきました。

Bさんは、仕方なく、自分の両親から生活費の援助をしてもらいました。

 

ママ友をほめて、妻の悪口を言う夫

Cさんは、8年前に夫と結婚し、幼稚園に通う子どもがいました。Cさんは、同じ幼稚園に通う子どもを持つ友達(ママ友)が複数人いました。

ある日、ママ友の誘いで、休みの日にお互いの家族全員でバーベキューをしました。

そのとき、夫は、テキパキ動くママ友のことをほめちぎりました。

そして、それ以来、夫は、妻に対して、度々ママ友のことをほめて、妻のことを馬鹿にするようになりました。

Cさんは、このような夫の言動に深く傷つき、離婚を考えるようになりました。

 

エネ夫を夫に持つ方の5つの対応方法

エネ夫を夫に持つ女性の方は、その対応に苦慮されています。

ここでは、エネ夫への対応方法について解説いたします。

①話し合う

エネ夫の言動がそれほど酷くないようであれば、離婚を選択するのではなく、まずは、話し合ってみるべきです。

その場合、自分が夫のどのような言動に対してショックを受けたのかを率直に話されてください。

その際、夫の言動については、「できるだけ具体的」に伝えてください

男性は、はっきりと言わないとなかなかわかってくれません。

 

②夫婦関係の修復カウンセリングを受けてみる

自分たちだけで修復が難しい場合、第三者に間に入ってもらう方法もあります。

悪化した夫婦関係を修復したい場合、専門のカウンセリングを受けて見られると良いでしょう。

ただ、カウンセラーについては個人の技量に左右されるため、まったく役に立たなかったというケースもあるようです。

また、夫婦カウンセラーは弁護士ではないため、法律相談はできません。
(弁護士以外が法律相談を行うと非弁行為として罰せられます。)

そのため、あくまで修復の助言のみと考えてください。

なお、離婚を専門に扱う弁護士の中には、離婚の法律相談以外にも、夫婦関係修復のためのカウンセリングを提供している方もいます。

法律相談も一緒に行いたい場合は、そのような弁護士に相談されると良いでしょう。

 

③エネ夫と離婚した場合にどうなるかを検討する

エネ夫の言動が酷く、相手が改善してくれない場合、毎日の生活はとてもお辛いと思います。

夫婦関係を修復できない状況の場合、離婚もやむを得ないでしょう。

ただ、離婚すると生活状況が一変します。

そのため、離婚によって何がどう変わるのかを見極めてから動くべきです。

例えば、親権はどうなるのか、養育費の金額、財産分与はどうなるのか、慰謝料の有無と金額、面会交流などの離婚条件を検討する必要があります。

また、離婚後の公的扶助なども知っておくと、不安が解消されるでしょう。

 

④別居を検討する

すぐに離婚できない状況の場合、相手としばらくの間、別居するという選択肢が考えられます。

別居のメリットは、エネ夫と離れることで、冷静になって気持ちを整理することができることにあります。

別居する場合はその期間中の生活費の問題があります。

しかし、妻の方が夫よりも収入が少ない場合、夫に対して、別居中の生活費(これを「婚姻費用」といいます。)を請求することができます。

したがって、まずは婚姻費用の適正額を調べてみることをお勧めいたします。

 

⑤モラハラの被害が大きい場合はすぐに手を打つ

夫がエネ夫の特徴に複数当てはまる事案では、あなたはモラハラ被害を受けている可能性があります。

モラハラとは言葉による暴力のことであり、エネ夫の特徴とも重なります。

モラハラ加害者であるエネ夫は、決して自分の言動が悪いとは考えません。

モラハラ被害者の方は、加害者から責め続けられることで、精神的・肉体的に疲れ果て、最悪の場合、生命の危険もあります。

このような場合、すぐに別居して加害者と物理的距離を保つなどの手をうつ必要があります。

 

エネ夫へ仕返ししても良い?

エネ夫を夫に持つ女性の方からは、相手に仕返しをしてやりたいとのご相談もあります。

仕返しをすることで、気持ちが晴れるように感じるからだと思います。

しかし、エネ夫が取った行動と同じようなことをしても、問題は解決しないでしょう。

むしろ、相手も感情的になり、泥沼状態となることが懸念されます。

お辛いご状況とは思われますが、冷静になって、上記の5つの対応を検討されることをお勧めいたします。

 

まとめ

以上、エネ夫の特徴、具体例、対応方法について、詳しく解説しましたが、いかがだったでしょうか。

エネ夫を夫に持つ方は、生活に苦慮されていると思います。

夫がエネ夫の特徴に該当する場合、生活をよりよくするために、修復や離婚の方向に向けて具体的に動いていかなければなりません。

もし、離婚するとなると、生活環境が一変するため、不安を抱えている方が多いかと思います。

しかし、どのように変わるのかを事前に理解し、一つ一つ対応することで不安は払拭できます。

もし、不安に感じるようであれば、離婚専門の弁護士にご相談されてみてください。

この記事がエネ夫との問題でお困りの方にとってお役に立てれば幸いです。

 

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