単身赴任の旦那が浮気-考えるべき離婚のポイント-

  
弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士  


 

 

ご相談内容

突然なご相談で、どのように離婚した方が自分にとっていいのか分からなくなりメールしました。

主人が自営業でデザイン事務所をしていまして、4年前より東京に単身にて上京いたしました。

2年ほど前から、海外旅行の回数が増え、特定の仕事関係の女性と交際している様子です。

東京に私と娘5才が来るのいやがるようになり、昨年の8月末に年末までに離婚してほしいと相手からいわれています。

理由は、お互いのためなど、意味不明です。

自営業のため私が、領収書の整理をしていますので買い物の履歴が分かっています。

今週末に東京の家の鍵を大家さんより取り寄せているので、家に行って証拠を写真におさめてこようと思っています。

会社の整理の仕方、離婚後の不安などがあり、今では精神科に通っている次第です。

こんなお恥ずかしい問題ですみませんが、なにかアドバイスはありませんでしょうか?

 

 

ご回答

メールでのご相談ありがとうございます。

離婚の条件面

離婚の際、考えるべきポイントとしては、以下があります。

  1. ① 親権
  2. ② 養育費
  3. ③ 面会交流
  4. ④ 財産分与
  5. ⑤ 慰謝料
  6. ⑥ 年金分割
  7. ⑦ 婚姻費用分担請求

以下、順を追って説明いたします。

 

① 親権について

お嬢さんが20歳未満であるので、親権者を決める必要があります。

どちらが親権者となるか合意できている場合は、合意で決まった方が親権者となりますが、仮に、双方が親権を主張され争いになった場合も、相談者様が親権を獲得できる可能性は高いと思われます。

なぜならば、親権者を決めるにあたっては、いずれの親が主にお子さんの面倒を見てきたかという点が重視されますが、相談者様の場合、お嬢さんの面倒を主にみてこられたのは、相談者様であるからです。

 

② 養育費について

相談者様が親権者となられた場合、お嬢様の養育費を決める必要があります。

双方の希望額の折り合いがつかない場合、現在のご主人の収入と、ご相談者様の収入を総合考慮して、適正な養育費額を定めることになります。

いただいたメールからは収入額が分からないため、正確な額をお示しすることはできませんが、適正額の早見表がございますので、よろしければご覧ください。

 

③ 面会交流について

離婚後、お嬢様を養育・監護していない方が、お嬢様に会いたいと希望した場合、面会交流の方法について決めることになります。

具体的には、お嬢様と会う頻度、場所、方法などについて取り決めます。

単身赴任で互いに住んでいる場所が遠方の場合、工夫が必要になります。

たとえば、直接会うことができない場合はテレビ電話を利用するなどです。

また、直接会っての面会交流を考える場合、交通費をどうするのかという問題もあります。

交通費は基本的に各自の負担です。会わせる側が、会いたい側の費用を負担する義務があるわけではありません。

日々の生活で交通費を捻出することができないことも多いと思いますので、無理のない範囲で話し合いを行う必要があります。

 

④ 財産分与について

結婚中に、相談者様とご主人が共同で築かれた財産(夫婦共有財産といいます)を、財産分与という形で分けることになります。

いただいたメールからは、どのような夫婦共有財産をお持ちなのか分かりませんが、一般的には、財産分与の対象としては、不動産、自動車、生命保険(解約返戻金が見込めるもの)のほか、家具なども含まれます。また、住宅ローンなどマイナスの財産についても、分与の対象となります。

夫婦間で財産を分ける場合、お互いの合意があれば、その取り分については自由に取り決めることができますが、一般的には、等しく2分の1で分けることとされています。

なお、会社の整理についてもお悩みでいらっしゃるようですが、会社の形態、相談者様が役員等になられているか等が不明ですので、本メールでお答えすることは難しいです。

具体的なご事情をお聞かせいただきますと、より的確な助言をさせていただくことができるかと存じます。

 

⑤ 慰謝料について

今回、ご相談者様は、ご主人の女性関係を疑っておられますが、仮に、不貞行為(ご主人が、ご相談者様以外の女性と性的関係を結ぶこと)があった場合、ご相談者様は、慰謝料を請求できます。

もっとも、ご主人に不貞行為を問いただしても、否定されることが想定されます。

その場合、ご相談者様側が不貞を証明しなければならないので、ご主人の不貞行為を示す客観的な証拠を集めることが必要になります。

今お持ちの領収書類は、女性もののプレゼントと思われるものや、ホテルに2人で宿泊したことを示すものがあれば、証拠の一部になりえますので、保管しておかれることをお勧めします。

また、今度、ご主人の暮らしている家に行かれるとのことですので、不貞をほのめかす手紙、写真、ホテルの明細、女性物の備品など、証拠となりそうなものが見つかれば、写真などに収めておいて下さい。

ご主人が不貞を認めた発言を録音しておかれるのもいいかもしれません。

また、ご主人との関係に悩まれて、心療内科に通われているとのことですので、この点についても、慰謝料を請求できる可能性はあります。

妥当な慰謝料額については、不貞の証拠等ご事情に即して判断することになりますが、裁判で認められることが多いのは、100万円~300万円といわれています。

 

⑥ 年金分割について

結婚期間中、ご主人が厚生年金を受給されていた期間がある場合には、年金分割をすることにより、将来もらえる年金額が増える場合があります。

年金分割については、最寄りの年金事務所に行って頂けると試算してもらうことができます。

なお、年金分割をするためには「年金分割のための情報通知書」というものを年金事務所から受領する必要があります。

この情報通知書の発行には時間を要する(長い場合は1ヶ月以上)ものですので、取得の際は早めに手続きをしておいた方がよいです。

 

⑦ 婚姻費用分担請求について

離婚が成立するまで、ご相談者様は、婚姻費用として生活費をご主人に請求することができます。

養育費は離婚後のお子さんの生活費にあたるものですが、婚姻費用は離婚前(婚姻期間中)に払ってもらう生活費ですので、ご相談者様の分も含まれます。

そのため、ご主人に請求できる金額は、養育費よりも婚姻費用の方が高くなります。

毎月もらえる金額は、ご主人の年収とご相談者様の年収により決めることになりますので、いただいたメールからは明らかでないご主人の年収等、詳しいご事情をお聞かせいただければ、具体的なご説明が可能となります。

 

 

離婚を迷われている場合

ご相談者様が離婚に合意しなかった場合、仮に裁判等になったとしても、すぐに離婚が認められる可能性は低いと思われます。

相手方の不貞が立証できた場合は、お嬢様が20歳になられるくらいまでは離婚は認められないでしょう。

もっとも、昨年8月末に離婚を切り出されたとのことですから、それ以降同居されていないとの事情は、離婚を前提とする別居期間としてみなされる可能性があります。

この離婚を前提とする別居期間が長くなればなるほど、婚姻関係がすでに形骸化しているとみなされ、離婚が認められやすくなります。

 

 

まとめ

いただいたメールだけでは事実関係が不明な点も多いため、一般論でしかお答えできないところもございます。

お時間がおありの際に、一度事務所にご相談に来ていただけますと、弁護士が十分にお話を伺ったうえでより的確な助言をさせていただきます。

ぜひご検討ください。

 

 

 

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