損害賠償とは?請求の流れや金額の決め方を解説

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

損害賠償とは、交通事故などの不法行為や代金を支払わないなどの契約違反(債務不履行)によって他人に損害を与えてしまった場合に、その損害を償うためにお金を支払うことです。

損害賠償は、生じてしまった被害の回復のために支払われるものですので、適切な損害賠償を受けることは、被害者の方にとって、生活を立て直して今後も維持していくために、大変重要なことになります。

今回は、損害賠償の意味、慰謝料・損失補償との違い、損害賠償の種類や範囲などについて解説し、損害賠償の算定方法、請求方法、請求する際の注意点などについてもご紹介していきます。

損害賠償とは

損害賠償請求とは

損害賠償とは、不法行為又は債務不履行(契約上の義務を履行しないこと)によって他人に損害を与えた場合に、その損害を償うために金銭を支払うことです。

損害賠償は、他人の行為などによって被害を受けた場合に、その被害を回復させるために支払われます。

そのため、適切な損害賠償を受けることは、被害者の方にとって、生活を立て直し、今後も維持していくために、大変重要なことになります。

しかし、何も知らずに損害賠償を請求してみても、どのように話を進めればよいのか、自分の立場や主張を理解してもらうにはどうすればよいのか、損害賠償額はいくらぐらいが妥当なのか、話し合いで解決できない場合にはどうすればよいのか、など、様々な疑問や問題が生じてきます。

ここからは、損害賠償に際して生じることの多い疑問などについて解説していきます。

 

損害賠償と慰謝料との違い

損害賠償は、不法行為又は債務不履行によって生じた損害全体に対する賠償のことをいいます。

一方、慰謝料は、不法行為又は債務不履行によって生じた損害の中でも、被害者が被った精神的苦痛を償うために支払われる金銭のことを指します。

つまり、慰謝料は、下図のように、損害賠償に含まれる一項目ということになります。

慰謝料と損害賠償の関係図損害賠償と慰謝料の関係については、以下のページもご覧ください。

 

損害賠償と損失補償の違い

損失補償とは、国・地方自治体等が適法に行った行為の結果、個人が財産的損失を被った場合に、国・地方自治体等がその損失を補填することです。

つまり、損失補償は、適法な行為によって損失が発生した場合に支払われます。

損失補償に当たるものとしては、道路建設のための土地収用などがあります。

損失補償の根拠は、憲法29条3項にあります。

根拠条文

憲法
第29条③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

出典:日本国憲法 | e-Gov法令検索

他方、損害賠償は、違法な行為があったのでなければ、法律上、支払い義務は発生しません。

このように、行為が適法であっても支払い義務が発生するか否かが、損失補償と損害賠償の違いになります。

 

 

損害賠償には2種類がある

損害賠償は、原因によって、次の2つの種類に分けられます。

  • 債務不履行に基づく損害賠償
  • 不法行為に基づく損害賠償

債務不履行に基づく損害賠償は、契約違反によって生じた損害の賠償を請求するものです。

不法行為に基づく損害賠償は、故意・過失によって人にケガを負わせたり、人の財産を毀損したような場合に行う損害賠償請求です。

以下、それぞれについて説明します。

 

 

不法行為に基づく損害賠償

不法行為に基づく損害賠償は、故意・過失によって人にケガを負わせたり、人の財産を毀損したような場合に行う損害賠償請求です。

主な例としては、以下が考えられます。

  • 交通事故で車が壊されたりケガをしたりした
  • 他人から殴られた
  • 不倫をされた
  • インターネットで誹謗中傷された など

不法行為の損害賠償請求ができるのは以下の条件を満たした場合です。

  1. 故意あるいは過失があること
  2. 他人の権利・利益の侵害があること
  3. 損害の発生
  4. 故意・過失による行為と損害の因果関係があること

 

①契約の締結

債務不履行に基づく損害賠償請求は、契約の存在が前提となります。

契約は、口頭でも成立しますが、口頭だと契約の存在が証明できないリスクがありますので、大切な契約は必ず契約書を作成することが重要です。

 

②相手が債務を履行しないこと

相手が契約に定めた義務を果たさないことが必要です。

例えば、売買契約を締結して代金は先払いしているのに、商品を引き渡さないような場合です。

 

③損害が発生すること

契約に違反したことによって損害が発生することが必要です。

何の損害も生じていない場合には、損害賠償請求をすることはできません。

 

④相手の債務不履行と損害の因果関係

相手が契約の義務を果たさなかったことが原因で生じた損害である必要があります。

単に「関係がある」というだけでは無制限に損害が拡大するため、因果関係が認められる範囲は相当な範囲に限られます。

 

 

損害賠償でどこまで請求できる?

不法行為に基づく損害賠償の範囲

不法行為に基づく損害賠償の対象となる範囲は、不法行為と「因果関係」がある損害となります。

ただ、単に「関係がある」というだけでは、予想できないようなつながりで結果が生じた損害も賠償の範囲に含まれてしまい、加害者に過大な責任が生じてしまう可能性があります。

そこで、不法行為によってその損害が発生することが、社会通念上相当と認められる範囲に限り賠償が認められています。

 

債務不履行に基づく損害賠償の範囲

債務不履行に基づく損害賠償の対象となる損害は以下の損害です。

  • 通常生ずべき損害
  • 当事者が予見すべきであった特別の事情による損害
  • 通常生ずべき損害

通常生ずべき損害に該当するかどうかは、社会通念に照らして判断されます。

その契約の類型、契約内容、当事者の属性などを踏まえて、通常生じる損害であるかどうかを判断されます。

  • 当事者が予見すべきであった特別の事情による損害

通常生ずる損害ではなく、特別な事情によって生じた損害は賠償の範囲外です。

しかし、その特別な事情について、当事者が予見できた場合には損害として認められます。

 

 

損害賠償を検討すべき具体例

損害賠償が問題となる具体例としては、次のようなものが挙げられます。

損害賠償を検討すべき具体例

 

交通事故

具体例 Aが自動車を運転していたところ、後ろから走ってきたBの運転する車が、Bの前方不注意により、Aが運転する自動車に追突した。

上記のような交通事故の場合、Aは、Bに対し、損害賠償を請求することができます。

交通事故の場合、加害者と被害者の間には通常契約関係はありませんので、不法行為に基づく損害賠償を請求することになります。

損害賠償の範囲に含まれる項目としては、車の修理費用、ケガの治療費、慰謝料、後遺障害が残った場合や被害者が死亡した場合の逸失利益、ケガの治療のために仕事を休んだ期間の休業損害などがあります。

下記の交通事故賠償金計算シミュレーターでは、被害者の方の年齢、事故前の収入、入通院期間、後遺障害等級などを入力するだけで、慰謝料、逸失利益、治療費の目安をご覧いただくことができます。

ぜひご活用ください。

 

労災(労働災害)

具体例 A社に勤務する従業員Bが、仕事中に事故に遭い、ケガをした。

このように仕事中に起きた事故のことを「労災」(労働災害)といいます。

労災被害に遭った場合、会社側に過失があれば、従業員は、会社に対し、損害賠償を請求することができます。

この場合には、不法行為に基づく損害賠償と債務不履行に基づく損害賠償の双方が成立します。

他に労災となるものとしては、

  • 仕事中の交通事故でケガをした
  • 作業中に機械に指が挟まれてケガをした
  • 悪質なハラスメントで精神疾患を発症した
  • 過重労働により自殺に追い込まれた

といったケースがあります。

なお、労災の場合、労災保険も請求することができます。

労災保険は、会社側に過失がない場合でも、請求することができます。

 

医療過誤

具体例 Aは、病院で外科手術を受けたところ、執刀医の過失により失敗し、死亡してしまった。

上記のように、医師の過失により医療行為が失敗に終わり、患者に被害が生じた場合、医療過誤となります。

医療過誤の場合、診療契約の債務不履行に基づく損害賠償請求と、不法行為に基づく損害賠償請求のいずれでも請求可能です。

医療ミスについて損害賠償を請求する場合には、医師の過失を立証するために専門文献を調べたり、カルテや検査結果の内容を整理したり、必要に応じて協力してくれる医師を探し、意見を聴いたりする必要があります。

こうしたことに十分に対応するには、医療ミス問題に精通した弁護士のサポートを得ることが大変重要です。

医療ミス問題で損害賠償請求することをお考えの方は、以下のページをご覧ください。

 

離婚時の慰謝料請求

具体例 妻Aは、夫Bが不貞行為やDVをしたため、離婚することになった。

離婚の場合、双方に不法行為がなく離婚に至った場合(性格の不一致など)には、損害賠償義務は発生しません。

しかし、不貞行為やDVなどの不法行為があった場合には、不法行為に基づく損害賠償が発生します。

不貞行為の場合には慰謝料、DVの場合にはケガ等の治療費、後遺症が残った場合の逸失利益、休業損害、慰謝料などを損害賠償として請求できます。

あわせて読みたい
離婚に関するサポート

 

債務不履行

具体例 Aは、Bからマンションの一室を賃借していたが、賃料が支払えず、壁に傷もつけてしまった。

このような場合、Aには、賃貸借契約上の賃料支払い義務と善管注意義務(部屋の明け渡しまで善良な管理者の注意をもって部屋を保存しておく義務。民法400条)の債務不履行があります。

壁を傷つけてしまった善管注意義務違反については、通常、修理費を損害賠償として請求します。

賃料の支払いが遅れたことについては、遅延損害金を損害賠償請求することになります。

(支払いが遅れている金額) × (遅延損害金の利率) ÷ 365日 × (支払いが遅れた日数)

で計算します。

遅延損害金については、以下のページで詳しく解説しています。

 

会社の契約違反

具体例 A社がB社に建物の塗装作業の仕事を委託したが、B社の不手際により契約で決まった納期に間に合わせることができなかった。

上記の場合、A社B社は塗装作業の請負契約を締結しています。

B社の不手際(過失)で契約で定められた納期に間に合わなかったことは契約違反となるため、納期に間に合わなかったことが原因で金銭的な損害が生じた場合には、A社はB社に債務不履行の損害賠償請求をすることができます。                                                                                                                                 

 

その他の損害賠償

上記に挙げたほかにも、損害賠償には、

  • 使用者責任(従業員が不法行為を行った場合、雇用主も不法行為責任を負うというもの)
  • 工作物責任(土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があって他人に被害が生じたときに、工作物の占有者又は所有者が責任を負うというもの)
  • 動物占有者の責任(動物が他人に損害を加えた場合に動物の占有者が責任を負うというもの)

などをはじめ、様々なものがあります。

 

 

損害賠償の請求金額は決め方とは?

不法行為の場合

不法行為による損害賠償の額は、生じた損害を一項目ずつ取り上げて金銭に換算し、それらを全て合計して算出します。

人身損害については、以下のような損害項目が考えられます。

  • ケガの治療費・入院費
  • 事故による精神的苦痛(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)
  • 通院交通費
  • ケガの治療のために仕事を休まざるを得なくなったことによる減収(休業損害)
  • 後遺障害・死亡により得られなくなった将来的な収入(逸失利益)
  • 葬祭費用(死亡事故の場合)
  • 弁護士費用 など

これらの各項目を全て金銭的に評価し、それらを合算して損害賠償額を決めます。

物的損害の場合は、その物の修理費用、車両の場合は評価損などが考えられます。

 

債務不履行の場合

債務不履行の損害賠償の場合は、通常生ずべき損害を検討して金額を算出します。

また、当事者が予見すべきであった特別の事情による損害についても検討し、金額を算出します。

 

示談交渉

示談交渉は、当事者同士で話し合い、損害賠償金額や支払条件等を合意によって定める方法です。

示談交渉で決着することができれば、裁判をする場合に比べて、労力や費用、時間をかけずに解決することができます。

 

訴訟を提起する

訴訟を提起して裁判を起こすことでも、損害賠償を請求することができます。

裁判では、双方の主張立証を踏まえて裁判官が損害賠償額を算出します。

裁判では、決められた手続きに従って適切な主張・立証を提出し、裁判官に自分の主張を認めさせる必要があります。

こうした手続きには専門的な知識、経験が必要になるので、訴訟を起こす場合、弁護士に依頼することをお勧めします。

裁判の途中で和解をし、当事者間の合意によって解決することもできます。

この場合、裁判外での示談交渉とは違い、裁判官が間に立ちますので、裁判官に自分の主張が認められていれば、示談交渉よりも、法律的に適正な内容での和解ができる可能性が高くなります。

 

調停を利用する

調停(民事調停)を利用するのも、損害賠償を請求する方法の一つです。

民事調停は、裁判所に申し立てをすることで始まります。

民事調停委員という有識者が当事者の間に入り、それぞれの言い分を聞いて話し合いを行います。

民事調停委員が、間に入って双方の話を聞いてくれるので、当事者同士で話をするよりも解決できる可能性は高くなります。

ただし、調停は話し合いの手続きなので、相手方が話し合いに応じない場合には、解決は難しいです。

 

ADRを利用する

ADRは、裁判外紛争解決手続のことで、調停と同様、第三者に間に立ってもらい、当事者間で話し合いをするというものです。

ADRには、紛争の種類によって、医療ADR、交通事故ADRなどがあります。

ADR(調停型)を利用すれば、当事者だけでは解決が難しかった場合でも、第三者が介入することで、紛争を解決できる可能性があります。

ただ、ADRの場合も当事者同士の合意が成立しなければ、結局裁判を起こさなければなりません。

そのため、合意成立の見込みが相当程度ある場合でなければ、調停・ADRに費やした時間を無駄にしてしまいかねませんので、注意が必要です。

なお、ADRには仲裁型もあります。

仲裁型のADRであれば、当事者間で合意ができなくても、仲裁機関の判断によって問題を解決することができます。

ただし、仲裁を開始するには、当事者双方が仲裁を利用することについて合意する必要があります。

参考:法的トラブル解決には、「ADR(裁判外紛争解決手続)」 | 政府広報オンライン

 

 

損害賠償を請求されたらどうする?

損害賠償に強い弁護士に相談する

損害賠償請求をされた場合、その請求自体の妥当性、金額の妥当性を検討する必要があります。

そもそも、請求自体が荒唐無稽なものであれば、毅然と請求を拒否することになります。

また、請求金額が相場よりも高額になっているような場合では、正当な金額になるよう交渉する必要があります。

このような請求の妥当性、請求金額の妥当性の判断は法的判断になりますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

また、相談する弁護士は、その分野を専門的に取り扱っている弁護士がいいでしょう。

専門的に取り扱っている弁護士であれば、その分野の交渉のノウハウや知見が蓄積されているからです。

賠償金を支払えない場合

相手方の損害賠償請求が正当で金額も妥当である場合には、法的に支払う義務がありますが、金額が高額である場合には支払えないケースもあるでしょう。

こうした場合には、金額を減額してもらえないか交渉しましょう。

一般に、相手方としても裁判手続きまでせずに早期解決したい希望もあるため、支払えない事情を具体的に説明すれば減額してくれる可能性があります。

また、一括での支払いが難しい場合には、分割での支払いを提案することも考えられます。

支払えないからといって、請求を無視していると裁判手続きに移行するリスクがあります。

裁判になると、遅延損害金などが加算され、さらに大きな金額を請求される可能性もあるため、無視せず真摯に向き合うことが大切です。

 

 

損害賠償請求に備えるためのポイント

損害賠償保険に加入する

損害賠償されたとしても、保険に加入しておけば保険金で支払いができ、金銭的な支出を回避することができます。

交通事故の場合であれば、自賠責保険は上限額があるので、任意保険にも加入しておくことが大切です。

自転車事故や日常生活の過失によって他人に損害を加えてしまった場合には個人賠償責任保険が有用です。

また、会社としては労災事故に備えて、使用者賠償責任保険などに加入しておくことも考えられます。

自分の仕事や特性によって、他人に損害を与える可能性があるのであれば、そうした場面で適用できる保険に加入しておくことが重要です。

 

会社の場合はリスクを回避できる契約書を作成する

言った言わないのトラブルを防ぐために契約書を作成することが重要です。

ただし、契約書を作成すればよいというわけではありません。

作成しても内容が不明確であれば、余計にトラブルになる可能性もあります。

したがって、双方合意に至った内容を明確に契約書に落とし込み、損害賠償請求の問題にならないよう工夫することが大切です。

損害賠償の範囲については、合意によって狭めたり広げたりすることも可能なので、弁護士に相談して自社に不利が生じなよう作成するようにしましょう。

 

 

損害賠償の3つの注意点

損害賠償額の相場を調べておく

損害賠償が問題となっている場合には、損害賠償額の相場を調べておくことが重要です。

自分自身で、損害賠償額についての目安を持っていないと、相手の言い分に引きずられるなど適切な示談交渉ができなくなってしまいます。

例えば、相手が相場よりも低い示談金額を提示してきているのに、それに気づかず、不利な金額で示談してしまうこともあり得ます(交通事故の示談交渉で、相手方に保険会社がついている場合には、特に注意が必要です)。

逆に、相手が適正な示談金額を提案しているにもかかわらず、「もっと多くの損害賠償が得られるはずだ」と思い込んで拒絶し、せっかくの示談の機会を逃してしまうことも考えられます。

損害賠償について検討する際には、損害賠償額の相場に注意するようにしましょう。

当事務所では、上でもご紹介したとおり、交通事故などでの人身損害について、必要事項を記入すれば自動的に慰謝料、休業損害、逸失利益を算定できる交通事故賠償金計算シミュレーターを設けています。

連絡先などの個人情報を入力する必要もなく、どなたでも無料でご利用いただけます。

ご関心がおありの方は、以下のリンクから、ぜひ一度、お気軽にお試しください。

慰謝料等の自動計算機

 

損害賠償請求には時効がある

損害賠償の請求を考えている場合は、時効に注意してください。

損害賠償請求権は、裁判を起こす、示談を成立させるなどの対応をしないままに以下の期間を経過してしまうと、時効により消滅してしまいます。

債務不履行に基づく損害賠償請求権 ①、②のいずれか短い期間

  1. ① 権利を行使できると知った時から5年
  2. ② 権利を行使できる時から20年
不法行為に基づく損害賠償請求権 ①、②のいずれか短い期間

  1. ① 損害及び加害者を知った時から3年(人の生命又は身体を害する不法行為の場合は5年)
  2. ② 不法行為の時から20年

そのため、時効成立までに示談ができない場合、時効の完成を防ぐため、損害賠償を請求する訴訟を提起するなどの措置を行う必要があります。

時効の完成が迫っている場合、素早く間違いのない対応をする必要があるため、弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故の保険金、損害賠償金の時効については、以下のページでも解説しています。

 

専門の弁護士に相談する

損害賠償についての問題が生じた場合には、損害賠償の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

損害賠償について検討する際には、上でもご説明したように、相場について調べたり、時効に気を付けたりする必要があります。

さらに、自分の立場を主張するための理論、それを裏付けるための証拠を準備し、適切に提出していく必要もあります。

示談交渉が決裂した場合や時効完成が迫っている場合には、訴訟を起こすことも検討することになります。

こうしたことについては、法律や法的手続きについての知識が必要になりますので、弁護士に相談して対応を進めた方が有利になります。

弁護士に相談・依頼するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 損害賠償責任の有無、損害賠償の相場についてアドバイスしてくれる
  • 必要な証拠、主張についてアドバイスしてくれる(依頼した場合は、準備もしてくれる)
  • 時効の成立時期を確認してくれる
  • 依頼した場合、相手方や保険会社、裁判所とのやり取りを任せることができる

さらに、交通事故の場合は、弁護士に示談交渉を任せれば、被害者にとって最も有利な弁護士基準で算定した損害賠償額を基礎として交渉を進めることができるというメリットもあります。

弁護士基準での算定額と相手方の保険会社が提案してくる示談金額の間には数倍の開きがある場合もあるといったケースもあり、弁護士に依頼すると、示談交渉が有利になることが多くなっています。

交通事故問題を弁護士に依頼するメリット、弁護士を選ぶ際のポイントについては、以下のページをご覧ください。

 

 

損害賠償についてのQ&A

損害賠償を請求されて払わないとどうなる?

損害賠償を請求されたのに支払いをしないでいると、

  • 裁判を起こす
  • 調停・ADRを申し立てる

といった法的手段を取られる可能性があります。

裁判、調停などでは、損害賠償の支払義務の有無、内容が具体的に決定されます。

そうした手続きで損害賠償義務があることが明らかにされたにもかかわらず、なお支払いをせずにいると、今度は、差し押さえが行われる可能性があります。

差し押さえは、損害賠償の支払義務者(債務者)の財産に対し、差し押さえの対象となるもの(家、土地、貴金属、預貯金、給料など)を指定して行われます。

家、土地などの不動産、貴金属などの動産が差し押さえられた場合、まず、債務者がそれらを勝手に処分することを禁止されます。

そして、差し押さえをした者(債権者)が、手続きに従ってこれらを売却し、お金に換えて、損害賠償として受け取ります。

預貯金、給料などの債権が差し押さえられた場合、債務者は、預貯金の払戻しや給料の受取りを制限されます。

そして、その預貯金、給料が債権者に支払われ、損害賠償の支払に充てられます。

 

損害賠償請求が認められないケースは?

損害賠償が認められないケースとしては、上記で説明した要件を満たさないような場合です。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 交通事故の発生は回避不可能で加害者に過失が認められない
  • 過失行為はあるが、損害は全く別原因で発生している
  • 損害が何も発生していない
  • 会社は実施すべき安全配慮の措置を講じており債務不履行の事実はない

こうした場合には、損害賠償請求は認められないことになります。

 

損害賠償の相場はいくらですか?


損害賠償の相場はケースバイケースですが、交通事故の場合、裁判例の集積などを踏まえた相場があります。

交通事故の相場については下記のシミュレーターを利用して概算を計算することができますので、ご活用ください。

 

 

まとめ

今回の記事では、損害賠償の意味、損害賠償が発生するケース、損害賠償の算定方法、請求方法、請求する際の注意点などについて解説しました。

損害賠償は、被害者の方にとって、被害を回復させ、生活を立て直すための大切なものです。

特に交通事故の人身事故で後遺障害や死亡という結果が生じた場合のように、不法行為等により収入が減少することとなった場合には、損害賠償は、今後の自分や家族の生活を支えるための大変重要なものになります。

適切かつ妥当な損害賠償を受けるためにも、損害賠償を請求する場合は、損害賠償に関する専門家である弁護士にご相談ください。

示談交渉の段階から弁護士に相談・依頼することで、より有利かつ適切な損害賠償を、よりスムーズに獲得することが可能になる場合が多くあります。

また、損害賠償請求を受けている方も、相手方の要求が過大でないかについては確認する必要がありますし、法律的に適切な示談案を提示することで、よりスムーズに示談を成立させることができるようになる可能性が高くなりますので、一度、弁護士に相談してみることをお勧めします。

当事務所でも、交通事故、医療ミス、契約違反などの幅広い分野についての損害賠償に関するサポートを行っております。

電話、オンラインによる全国からのご相談もお受けしております。

お困りの方は、ぜひ一度、当事務所までご相談ください。

あわせて読みたい
無料相談の流れ

 

 

賠償金


 
賠償金の計算方法

なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

続きを読む