後遺障害認定はデメリットなし!社会的影響への誤解と最適な申請方法

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)


後遺障害の認定デメリットは?

後遺障害認定を受けること自体にデメリットはありません。

むしろ、正当な補償(慰謝料や逸失利益)を受けるためには不可欠な手続きです。

認定を受けた事実が外部に公表されたり、就職や生命保険の加入において不利に働いたりすることはないため、安心してください。

ただし、認定に向けた手続きの進め方によっては、示談金の受け取り時期や最終的な賠償額に差が出るなど、知っておくべき注意点が存在します。

この記事では、多くの方が抱く社会的影響への誤解を解き、認定のために知っておくべきポイントを後遺障害にくわしい弁護士が解説します。

後遺障害認定を受けることにデメリットはない

後遺障害認定を受けることにデメリットはありません。

後遺障害の認定を受けることのデメリットは、ほとんどありません。

むしろ後遺障害認定を受けることによって後遺障害等級に応じた金額をもらうことができ、賠償金の増額に繋がります。

事故に遭った後、通院を続けていたにもかかわらず完治しないことにより、生活や仕事に支障が出るような症状が残ってしまった場合は、後遺障害の認定を受けた方がいいです。

 

後遺障害認定とは?後遺症との違いと重要性

後遺障害認定とは、事故により残った後遺症が、自賠責保険の基準で定められた等級に認定されることをいいます。

後遺症は、事故により何らかの症状が残った場合の全般的な状態を指しますが、後遺障害は、後遺症が自賠責保険の等級に該当する場合のことをいいます。

つまり、後遺症の一部が後遺障害として認められるというイメージです。

後遺障害等級に認定された場合には、以下で説明する後遺障害慰謝料と逸失利益を請求することができます。

したがって、賠償額も大幅に高額になるため、後遺障害認定を受けることは適切な補償を受けるために重要です。

 

認定を受けることで得られる2つの大きなメリット

後遺障害認定を受けた場合には、以下の後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求することができます。

 

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、事故により後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料です。

1級〜14級まで定められており、等級に応じて110万円〜2800万円の慰謝料の目安が決まっています。

 

後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、後遺障害によって働きづらくなり、将来、収入が減ってしまうことに対する補償です。

後遺障害逸失利益は、数十万円〜数千万円にもなり、最も高額になる賠償項目の一つです。

 

 

後遺障害認定による社会的影響はある?よくある誤解と真実

①就職や転職、今の仕事へのデメリットはある?

後遺障害認定を受けていること自体で、就職や転職、仕事にデメリットは生じません。

就職活動にあたって、後遺障害認定を受けていることを申告する必要はありません。

会社が後遺障害認定を受けているかどうか調べることもできません。

 

②家族や周囲にバレることはない?

後遺障害認定を受けたことは、自分で周囲に言わない限りはバレることはありません。

一般の第三者が、後遺障害認定を受けたかどうか調べることはできないので、安心して手続きを進めて大丈夫です。

 

③生命保険に入りづらくなる?または更新できない?

後遺障害認定を受けたこと自体で、生命保険に入りづらくなったり、更新できないということは基本的にはありません。

もっとも、交通事故により何らかの後遺症が残った場合、生命保険の加入にあたって、後遺症が残っている事実は申告する必要があります。

そのため、生命保険の審査が厳しくなり、結果、加入できないことも考えられます。

しかし、それは後遺障害認定を受けていない場合も同じです。

後遺障害認定を受けていない場合には、生命保険にも入りづらくなり、かつ、後遺障害の補償も受け取れないという状況になってしまうのです。

したがって、少なくとも適切な補償を受けるために、後遺障害認定は受けたほうがいいです。

 

④障害者手帳を持つことになる?

後遺障害認定は、障害者手帳が交付される身体障害の認定とは全く異なるものです。

障害者手帳が交付される身体障害は、行政の福祉サービスの助成を受けるためのもので、各自治体が認定します。

確かに、後遺障害が重い場合には、行政のサービスを受けるために、身体障害の申請をして認定を受けることもありますが、両者は全く別の制度です。

後遺障害認定を受けたことで、身体障害者として認定されるわけではありません。

 

 

後遺障害認定を受ける前に知っておくべき4つの注意点

①症状固定後は治療費や休業損害の支払いが終了する

後遺障害認定を受けるのは、症状固定になった後になります。

症状固定とは、交通事故による症状は残っているけれども、医学的にすぐには治らず、症状が一進一退の状態のことをいいます。

症状固定になった場合には、それ以降の治療費や休業損害は支払われなくなります。

したがって、治療の必要性がありそうな場合には、症状固定時期については医師と相談して慎重に決める必要があります。

 

②示談金の受け取りが数ヶ月遅くなる

後遺障害認定を受けるには、後遺障害申請をする必要があります。

後遺障害申請には、書類の準備と申請してからの審査で数ヶ月かかります。

したがって、後遺障害申請をしない場合と比べて数カ月程度、示談金を受け取るのが遅くなります。

ただし、後遺障害認定を受けるかどうかで、示談金は大幅に変わるため、後遺症が残っている場合には、後遺障害申請を検討すべきです。

 

③準備不足だと非該当で労力が無駄になるリスクがある

後遺障害申請をしても「非該当」となり、後遺障害に認定されないことも、たくさんあります。

後遺障害認定を受けることは、相当にハードルが高いのです。

したがって、適切な認定を受けるためには、適切な後遺障害診断書を医師に作成してもらい、後遺障害の存在を示す証拠を準備することが大切です。

十分な準備をしないまま申請すると、適切な認定が受けられず、時間だけ費やしてしまう事になりかねません。

 

④申請方法によっては適切な認定を受けられない可能性がある

申請方法は、事前認定と被害者請求の2つがあります。

後述する「後遺障害認定で後悔しないための最適な申請方法」で詳細は説明しますが、保険会社に申請を任せる事前認定の場合、有利な証拠を提出してもらえず、適切な認定を受けることができない可能性があります。

事前認定、被害者請求のいずれで申請するかは、事前に検討すべきですが、お勧めは以下で説明するとおり、被害者請求です。

 

 

後遺障害認定で後悔しないための最適な申請方法

後遺障害の認定方法は2種類!「事前認定と被害者請求」

2つの申請方法「事前認定」と「被害者請求」の違い

事前認定は、相手保険会社が後遺障害申請を行う申請方法です。

被害者請求は、被害者側で資料を集めて申請をする方法です。

事前認定と被害者請求の違い
申請方法 事前認定 被害者請求
資料を集める人 保険会社 被害者・被害者の弁護士
申請をする人 保険会社 被害者・被害者の弁護士
賠償金の受け取り時期 示談の後 認定時点で自賠責保険から賠償金の一部の支払いがある
手続きの透明性 低い 高い

 

保険会社に任せる「事前認定」で後悔する理由

事前認定を選択した場合、以下の懸念点があります。

  • 申請した提出書類の中身が確認できない(透明性が低い)
  • 必須書類以外に認定に有利となる証拠を追加できない
  • 賠償金の受け取りが示談の後になる

提出資料の透明性が低いため、もし認定されなかった場合に、「どうして認定されなかったのか?」という疑問が生じ、被害者としては納得感に欠ける結末になることがあります。

 

自分で行う「被害者請求」の限界と負担

被害者自身で、被害者請求を行うことで、提出書類の透明性が確保でき、結果について、一定の納得感は得られます。

もっとも、被害者請求は、認定に有利となる証拠を提出できるメリットがありますが、何が有利で何が不利になるのか被害者自身で判断することは難しいです。

また、自分で後遺障害申請に必要な書類を集め、必要書類を作成するのは労力がかかります。

このように、被害者請求には一定の知識と労力が必要となります。

 

弁護士による「被害者請求」が最適な理由

弁護士に交通事故事件を依頼した場合には、弁護士が被害者請求で後遺障害申請をしてくれます(事務所によって異なることもありますので事前に確認は必要です)。

弁護士は、事案に応じて、認定に有利になると考えられる資料があれば、その資料も追加して後遺障害申請を行います。

また、資料の収集も弁護士が行うので、被害者に労力はかかりません。

さらに、被害者が弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用も負担なく弁護士に被害者請求を依頼することができます(事務所により異なることもあります)。

こうした理由から、被害者請求は弁護士に依頼することをお勧めします。

 

特に被害者請求での申請が望ましいケース

被害者請求での申請が望ましいケースとしては、以下のようなケースが考えられます。

  • むち打ちなど、画像(レントゲン、CT、MRIなど)上の異常が明確でないケース
  • 高次脳機能障害が疑われるケース
  • 加害者の保険会社に不信感があるケース

 

むち打ちなど、画像(レントゲン、CT、MRIなど)上の異常が明確でないケース

むち打ちなど、画像上、異常が明確でない場合には、14級9号の認定を目指すことになります。

14級9号は、事故規模・態様、症状の一貫性・連続性、治療の内容・頻度、治療期間、神経学的検査の結果、画像所見の有無などを総合考慮して判断されます。

したがって、事案に即して必要な証拠を集めて提出する必要があり、被害者請求が望ましいケースといえます。

 

高次脳機能障害が疑われるケース

高次脳機能障害は、通常の後遺障害申請とは異なる書類の添付が必要です。

具体的に後遺症の内容を説明することが重要であり、弁護士に依頼して被害者請求することが望ましいケースです。

 

加害者の保険会社に不信感があるケース

加害者の保険会社に不信感がある場合、後遺障害申請を任せてしまうと不安が継続することになりますし、結果への納得感も得られないでしょう。

 

 

後遺障害認定を弁護士に依頼するメリット:注意点を回避する最適な手段

適切な後遺障害認定が期待できる

弁護士は、認定に有利になる証拠がないか検討し、必要に応じて証拠を集めて後遺障害の申請を行います。

また、後遺障害認定の審査は、後遺障害診断書に基づいて判断されるため、後遺障害診断書の内容はとても重要ですが、弁護士は、事前に不備がないか精査します。

弁護士のこうした対応によって、適切な後遺障害認定が期待できるのです。

 

被害者請求の手間とリスクを解消できる

弁護士に依頼した場合には、資料の収集は全て弁護士が行います。

仕事や家事・育児があるなかで、自分で資料を集めるのは、本当に大変ですし、適切な認定に必要な書類を漏らしてしまう危険性もあります。

弁護士に申請を依頼した場合には、こうしたリスクを解消することができます。

 

認定後の交渉で適切な賠償金の獲得が期待できる

後遺障害認定を受けた後、保険会社と賠償金の交渉を行います。

被害者自身で交渉する場合には、自賠責保険基準、任意保険基準での交渉になり、不十分な補償になってしまうリスクがあります。

他方で、弁護士が交渉する場合には、最も高い基準である弁護士基準(裁判基準)で交渉するため、適切な賠償金を獲得できることが期待できます。

特に後遺障害等級に認定されている場合には、弁護士が交渉することで、保険会社の提示額から数倍の賠償金になることもあります。

 

 

後遺障害の認定についてのQ&A

後遺障害の診断書を書いてもらうことにデメリットはある?

後遺障害の診断書は、被害者が被った後遺障害の内容を医師が診断する書類であり、作成してもらうことで不利益などのデメリットは生じません。

しかし、後遺障害の診断書の記載内容が十分でないと、適切な後遺障害の等級認定がなされない可能性があり、その結果、十分な賠償金を得ることができなくなってしまうことがあります。

そのため、後遺障害の診断書については、交通事故にくわしい弁護士のサポートを受けながら作成することをお勧めいたします。

 

 

まとめ

以上ご説明した通り、後遺障害の認定を受けること自体にデメリットはありません。

もっとも、後遺障害の認定方法の選択によっては本来認定されるべき後遺障害等級が認定されず、適切な賠償金を受け取ることができないという結果になってしまうおそれがあります。

事前認定によるよりも被害者請求によるべき場合があることは既に述べた通りです。

当法律事務所の人身障害部は、交通事故に精通した弁護士のみで構成されており、後遺障害に悩む被害者を強力にサポートしています。

弁護士費用特約にご加入されている場合は、特殊な場合を除き弁護士費用は実質0円でご依頼いただけます。

LINEや電話相談を活用した全国対応も行っていますので、後遺障害診断書でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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