071277.jpgのサムネール画像

中小企業の経営者の場合、その個人資産の大部分が自社株式や事業用資産です。 万一、現経営者が高齢化や病気等によって判断能力が低下した場合、これらの資産の譲渡(売買や贈与等)の効力が問題となります。 」 そのため事業承継を円滑に行うためには、現経営者が元気なうちに、資産を計画的に引き継いでいく必要があります。 資産を引き継ぐ方法としては、①売買、②生前贈与、③遺言、④死因贈与などがあります。 ここではこれらの方法のポイントについてご紹介いたします。

 

 

①売買

売買によって資産の承継を考えた場合、問題となるのは、まず、後継者が買い取りの資金を準備できるかと言うことです。

また、資産の評価を適切に行うことも重要です。

すなわち、親族間の売買では、時価よりも低い価格で資産を譲渡することが往々にしてあります。このような場合、時価と実際の価格との差額について贈与と評価される可能性があり、その場合、遺留分の問題が発生します。したがって、時価算定については、第三者の専門家に鑑定を依頼するなどして適切な対価を決定することがポイントとなります。

なお、遺留分について、くわしくはこちらをごらんください。

 

②生前贈与

生前贈与によって資産を承継させる場合、まず気にしなければならないのは、遺留分による制約です。

万一、相続開始後、遺留分権利者から遺留分侵害額請求を行使されると、経営者が思い描いていたとおりに資産の承継が進まなくなります。

遺留分について、くわしくはこちらをごらんください。

遺留分による紛争を防止する方法については、こちらからどうぞ。

また、生前贈与でポイントとなるのは、経営者が元気なうちに、計画的に実施するということです。

この点、経営者の方の中には、元気なうちに贈与を行うことに対して、抵抗を感じる方が少なくありません。

しかし、現経営者の方が突然不慮の事故や病気等による亡くなることも考えられます。また、高齢等により判断能力が低下した場合、事後の対応が困難となります。

一度にすべての資産を譲渡する必要はなく、贈与契約の時点で、一定の条件を設けたり、段階的に権利を移転させたりする等の方法を取ることで、経営者の方の不安もなく、円滑な事業承継が可能となります。

 

③遺言

自社株式や事業用資産を後継者に相続させる旨又は遺贈する旨の遺言を作成し、経営者の死亡時に後継者にこれらを取得させる方法です。

遺言には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

それぞれの特徴についてはこちらからどうぞ。

遺言についても、生前贈与と同様に遺留分による制約に注意が必要です。

遺留分について、くわしくはこちらをごらんください。

遺留分による紛争を防止する方法については、こちらからどうぞ。

 

【生前贈与と遺言】

遺言の場合、経営者はいつでも遺言の撤回ができるので、経営者にとっては使い勝手が良いといえます。しかし、反面、生前贈与の場合に比べて、後継者の地位が不安定となります。 いずれを選択すべきかについては事業承継に詳しい弁護士へご相談ください。

●遺言執行者の指定 遺言の場合、遺言内容の実現を確実にするため、遺言執行者を指定しておくことが重要です。 また、利害関係者を遺言執行者とすることはなるべく避け、弁護士等専門知識を有する第三者を指定 しておく方が望ましいといえます。

 

④死因贈与

死因贈与とは、贈与者の死亡を原因として効力を生じるという内容の条件付贈与契約です。

死因贈与も遺言と同じく、現経営者が死亡するまでは効力を生じないため、それまでは変更や撤回が可能です。したがって、他方では後継者の地位が不安定となります。

 

【遺贈との違い】

遺贈(遺言による贈与)は遺言者が一方的に行う意思表示であるのに対して、死因贈与は、贈与者と受贈者の意思表示の合致によって成立する契約であるという違いがあります。

また、「遺贈」は、遺言によってなされるため、遺言書の作成が必要になりますが、「死因贈与」は、必ずしも書面によって行う必要がありません(しかし、実際には書面を作成しておかないとトラブルの原因となりますので、書面を作成しておく方が望ましいです。)。

次に、贈与の効力を撤回したいとき、「遺贈」は書面によって撤回しますが、「死因贈与」は必ずしも書面によって撤回する必要がありません(もっとも、撤回が制限される場合があります。)。

「遺贈」は、遺言という原則として後継者に公開されないものによってなされるので、贈与の内容を知られたくない場合などに使用されます。これに対し、「死因贈与」は、契約によってなされるため、後継者に贈与の内容を知らせるメリットがある場合などに使用されます。

なお、死因贈与についても、生前贈与と同様に遺留分による制約に注意が必要です。

遺留分について、くわしくはこちらをごらんください。

遺留分による紛争を防止する方法については、こちらからどうぞ。

 



事業承継についてもっとお知りになりたい方はこちら

●事業承継とは
●事業承継の方法
●経営を引き継ぐ方法
●資産の引き継ぎ
●親族以外への事業承継~役員や従業員への承継方法~
●中小企業のM&Aによる事業承継
●事業承継についてのQ&A




企業の方への法律相談



顧問弁護士へのリンク