タクシー事故|事故率や乗客となったときの対応

走行距離あたりのタクシー事故率は、普通乗用車の事故率よりも高くなっています。
乗客としてタクシーに乗車中に交通事故に巻き込まれた場合、慰謝料を含む示談金の請求先は、以下のとおりです。
- 乗車していたタクシーの過失が100%である事故:タクシー会社(またはタクシー共済)
- 事故相手の過失が100%である事故:相手方の保険会社
- タクシーと相手車両の双方に過失がある場合:タクシー会社(タクシー共済)と相手方の保険会社の双方に請求できる
この記事では、タクシー事故の発生状況や、タクシー事故の慰謝料の請求先、タクシー事故の示談金の相場、タクシー事故の対処法や注意点などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。
目次
タクシー事故の発生状況
タクシーの事故率は普通車よりも高い!?
国土交通省が公表した統計データによると、令和5(2023)年中に全国で発生したタクシー交通事故の件数は8447件です。
一方、令和5年中に全国で発生した自家用車の交通事故の件数は、28万4324件であるため、これと比べるとタクシー事故は少ないように思えます。
しかし、走行距離1億キロあたりの自家用車の事故件数が39.4件であるのに対し、走行距離1億キロあたりのタクシーの事故件数(実車時)は68.7件と高くなっており、普通車の1.7倍以上となっています。

そして、走行距離1億キロあたりのタクシーの交通事故は、バスやトラックなど他の業態の事故件数よりも圧倒的に多くなっています。
さらに、タクシー事故の件数は、空車時の事故件数(6351件)が、実車時の事故件数(2096件)の3倍以上となっています。
このように、タクシー事故が自家用車や他業態の事故よりも多く、それが「空車時」に多くなっていることから、いわゆる「流し」というタクシー事業特有の事業形態に起因していると考えられています。
「流しのタクシー」とは、営業区域内を走行しながら空車で客を探し、歩道から手を挙げて合図した乗客を乗せる営業方法のことです。
このように、タクシーの一般的な営業形態がタクシー事故が多い原因のひとつと考えられています。
タクシー事故の確率が多い都道府県ランキング
交通事故総合分析センターが公表している、令和5年におけるタクシーの運輸支局別の出合い頭事故件数の多い上位5つの地域は、以下のとおりです。
- 1位:東京(394件)
- 2位:大阪(244件)
- 3位:福岡(140件)
- 4位:兵庫(86件)
- 5位:札幌(83件)
関東地方(600件)の事故が圧倒的に多くなっており、次いで近畿地方(371件)、九州(202件)と続きます。
タクシー事故の傾向や特徴
タクシーの交通事故件数は、近年減少傾向でしたが、令和4(2022)年から増加傾向にあります。
令和5(2023)年は前年と比べて、タクシー事故の総件数、軽傷事故件数、重傷事故件数、死亡事故件数のいずれも増加しています。
令和5年のタクシー事故の総件数は8447件で、そのうち軽傷事故は7835件(92.7%)、重傷事故は576件(68.1%)、死亡事故は36件(0.4%)となっています。
令和5年のタクシー事故のうち、同乗者の死傷事故件数は、以下のとおりです。
- 軽傷件数:956件
- 重傷件数:60件
- 死亡件数:1件
タクシーの事故は会社が責任を負う?慰謝料は誰に請求?
タクシー乗車中に事故に遭った場合
タクシー事故における慰謝料を含む示談金を誰に請求すべきかは、あなたがどのような立場で事故に遭ったかによって大きく異なります。
まず、乗客としてタクシーに乗車中に交通事故に巻き込まれた場合、損害賠償請求をする相手は、事故の原因を作った過失のある車両の運転者や、その車両の運行供用者となります。
以下で解説するように、事故の過失割合によって具体的な請求先は異なります。
なお、タクシーに乗車中の非接触事故の場合、乗客が運転を妨害するなど例外的な事情がない限り、乗客であるあなた(被害者)は、基本的に過失相殺の対象とはなりません。
乗車していたタクシーに全過失がある場合
あなたが乗車するタクシーの運転手の過失割合が100%の事故の場合、慰謝料などの損害賠償請求先は、「タクシー会社」または「タクシー共済」となります。
タクシーの過失が100%になる事故として、タクシー側の赤信号無視や著しい速度超過、センターライン越えなどが挙げられます。
運転手がタクシー会社に所属する場合には、交渉の窓口や資力(支払い能力)の観点から、タクシー会社に請求することが一般的です。
タクシー会社は、タクシー事故に対して、「運行供与者責任」や「使用者責任」を負っています。
運行供用者責任とは、自社のためにタクシーの運行を管理し、それによって利益を得ているタクシー会社が、運行中に生じた人損について賠償責任を負うことです(自動車損害賠償保障法第3条)。
これに対して、使用者責任は、運転手を雇用するタクシー会社が業務中の事故によって生じた人損・物損を賠償する民法上の責任です。
そして、タクシー会社は、自賠責保険に加え、「タクシー共済」というタクシー事業者間の相互扶助を目的とした一種の任意保険に加入していることが一般的です。
そのため、実質的な交渉相手はタクシー共済となるケースが多いといえます。
事故相手(他車両)に全過失がある場合
タクシーが事故を起こした相手車両の過失が100%の場合、相手車両の運転手または事故相手が加入している保険会社に対して、損害賠償を請求することになります。
過失割合が10対0となる交通事故として、信号待ちで停車中のタクシーに、相手車両が後方から追突した場合や、相手車両がセンターラインを超えてタクシーに衝突した場合などが挙げられます。
このような交通事故の場合、あなたが乗車していたタクシー側には過失がないため、タクシー会社(またはタクシー共済)に請求することはできません。
交渉相手は、事故相手が加入している任意保険会社となるのが一般的です。
乗車していたタクシーと相手車両の双方に過失がある場合
双方の車両に過失が認められる場合、タクシー側(タクシー会社またはタクシー共済)と事故の相手側(相手車両の保険会社)の双方に対して、損害賠償請求を行うことができます。
被害者であるあなたは、双方の過失割合に基づいて請求することも、どちらか一方に全額を請求することもできます。
どちらか一方に全額請求した場合でも、最終的には各自の過失割合に応じて、タクシー側と事故相手側で精算されることになります。
そのため、被害者がその後の精算を気にする必要はありません。
このような場合、被害者は手続きがスムーズな方を選んで交渉を進めることができます。
タクシーと事故を起こした場合
あなたが歩行中やご自身の運転する車に乗車中にタクシーと接触・衝突し、怪我を負った場合、請求相手は基本的にタクシー会社やタクシー共済となるのが一般的です。
直接事故を起こしたタクシー運転手は不法行為責任を負いますが、タクシー会社は、運行供用者責任や使用者責任を負うことになります。
タクシー運転手がタクシー会社に所属している場合には、タクシー共済または任意保険への加入が義務付けられているため、請求先は、タクシー共済や任意保険会社となることが一般的です。
個人タクシーの運転手も、共済団体に加入していることが多いため、タクシーとの事故ではタクシー共済に請求するケースが多いでしょう。
タクシー事故の慰謝料・示談金の相場
タクシー事故の被害者は、タクシー会社や相手車両の保険会社などの加害者側から賠償金を支払ってもらうことができます。
慰謝料を含めたすべての損害に関して、当事者で話し合って合意した賠償金の総額が、「示談金」となります。
この示談金は、単なる慰謝料だけでなく、事故によって生じたあらゆる損害を填補するために支払われるものであり、具体的な内訳は以下のとおりです。
精神的損害(慰謝料)
慰謝料とは、交通事故によって被害者が受けた精神的な苦痛を補償するために支払われる賠償金です。
慰謝料については交通事故の内容に応じて、「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」、「後遺傷害慰謝料」、「死亡慰謝料」の3種類に分けることができます。
さらに、慰謝料の算定には、以下の3つの基準があります。
- 自賠責基準:自賠責保険が定める基準で、もっとも低い基準です。
- 任意保険基準:任意保険会社が独自に定めている基準で、自賠責基準より少し高額か、同程度の水準の基準です。
- 弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例に基づいて確立された基準で、3つの基準の中でもっとも高い基準です。
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料においては、自賠責基準と弁護士基準でその額が大きく異なることになるため注意が必要です。
具体的な慰謝料の相場については、以下のとおりです。
入通院慰謝料の相場(弁護士基準)
| 通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 | |
|---|---|---|---|
| むちうち等の軽傷の場合 | 骨折等の重症の場合 | ||
| 1か月 | 12万9000円 | 19万円 | 28万円 |
| 2か月 | 25万8000円 | 36万円 | 52万円 |
| 3か月 | 38万7000円 | 53万円 | 73万円 |
| 4か月 | 51万6000円 | 67万円 | 90万円 |
| 5か月 | 64万5000円 | 79万円 | 105万円 |
| 6か月 | 77万4000円 | 89万円 | 116万円 |
※自賠責基準は、治療期間日数の内半分以上を通院していることを前提としています。
自賠責基準は、治療費や入通院慰謝料、休業損害等の損害の補償は120万円が上限です。
後遺障害慰謝料の相場
後遺障害慰謝料は、認定された後遺障害等級によって金額が大きく変動します。
タクシー事故でむちうち症を負い、後遺症が残った場合、12級あるいは14級の後遺障害等級認定がなされる可能性があります。
後遺障害慰謝料については、以下の表のとおり、等級が重いほど慰謝料額は高くなります。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級 | 1150万円(1650万円) | 2800万円 |
| 2級 | 998万円(1203万円) | 2370万円 |
| 12級 | 94万円 | 290万円 |
| 14級 | 32万円 | 110万円 |
※( )内は「介護を要する後遺障害」の場合の金額です。
死亡慰謝料の相場
交通事故で被害者が亡くなった場合の死亡慰謝料の相場は以下のとおりです。
| 自賠責基準 | |
|---|---|
| 被害者の慰謝料 | 400万円 |
| + | |
| 請求権者 1名 | 550万円(750万円) |
| 請求権者 2名 | 650万円(850万円) |
| 請求権者 3名 | 750万円(950万円) |
※請求権者は、亡くなった方の父母、配偶者及び子です。( )の金額は請求権者に被扶養者がいる場合の金額です。
| 弁護士基準 | |
|---|---|
| 一家の支柱 | 2800万円 |
| 専業主婦・主夫・配偶者 | 2500万円 |
| 子ども、高齢者、その他 | 2000万円~2500万円 |
死亡慰謝料の算定については、自賠責基準では、被害者の家族内における立場に関わらず一定額となっていますが、弁護士基準では、被害者の家庭内における立場に応じて相場が異なります。
積極損害
「積極損害」とは、交通事故によって被害者が実際にお金を支払うことによって減少した財産のことです。
積極損害には、治療関係費や付添費用、将来介護費用、通院交通費・宿泊費、家屋や自動車の改造費などが含まれます。
また、事故により壊れた車両の修理費用(経済的全損の場合は買替差額・買替諸費用)などについても、損害賠償として請求することができます。
休業損害
休業損害とは、交通事故が原因で働けなかったことで、本来であれば得られたはずの給与や収入を損害とするものです。
休業損害は、「休業損害 = 1日あたりの賃金 × 休業日数(仕事を休んだ日数)」という計算式で算出されることになります。
逸失利益
逸失利益には、「後遺障害逸失利益」と「死亡逸失利益」の2種類があります。
後遺障害逸失とは、交通事故に遭ったことで後遺症が残った結果、労働能力が喪失・減退したことで将来にわたり得られるはずであった収入を損害とするものです。
これに対して、死亡逸失利益とは、交通事故によって被害者が死亡したことで将来にあたって得られなくなった収入を損害とするものです。
たとえば、事故時年齢が30歳、年収300万円で後遺障害等級12級を認定された場合、後遺障害逸失利益は約358万円が相場となります。
タクシーの示談金を計算ツールで簡単に算定!
タクシー事故における示談金は、治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益など、多岐にわたる項目から構成されており、その計算には専門的な知識と複雑な計算を要します。
特に、最も高額な基準である「弁護士基準(裁判基準)」に基づく慰謝料や逸失利益の相場を自力で算出するのは困難です。
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乗車中タクシー事故に遭ったら?対処法
事故直後の対処法
タクシー事故が発生した場合には、まずはご自身の安全を確保し、負傷者の救護を行う必要があります。
事故で負傷した場合や負傷者がいる場合には直ちに救急車(119番)を手配し、救護を行う必要があります。
タクシーに乗車中に交通事故が発生した場合、事故の大小に関係なく、タクシーの運転手には警察に連絡する義務が課されています。
これは道路交通法上の義務であると同時に、公的な事故の証明書である「交通事故証明書」を入手するために不可欠な手続きです。
しかし、事故が発生したにもかかわらず、車両に目立った損傷や、乗客にケガがない場合、会社からの評価や今後のタクシー事業への影響を回避するため、警察への連絡を渋る可能性があります。
そのような場合には、ご自身で警察に連絡するようにしてください。
相手方から「警察は呼ばないで欲しい」とお願いされたとしても、将来的なトラブルの回避やスムーズな賠償請求をするためには、決して応じてはいけません。
さらに、現場では示談や弁償の話が出る可能性もありますが、その場では一切応じず、示談は全ての損害が確定した後に行う旨を明確に伝えておくことも重要です。
必ず医療機関で診断を受ける
タクシー事故に遭って体に痛みや違和感がある場合には、迅速に医療機関を受診するようにしてください。
一見すると外傷がなく、自覚症状が軽微であっても、事故のショックや興奮によって痛みに気づかないケースは少なくありません。
そのため、事故後速やかに整形外科など医療機関を受診しておくことが重要です。
この迅速な受診は、単に治療を開始するためだけでなく、法的な観点からも非常に重要となります。
事故から受診までの期間が長くなると、相手方の保険会社から「そのケガは事故とは無関係である」として因果関係を否定され、治療費や慰謝料の請求ができなくなるリスクがあります。
受診後は、必ず医師に「交通事故による負傷である」旨を伝えて診断書を作成してもらい、その後の警察への届出や保険会社との交渉に備える必要があります。
ケガがある場合は警察に人身事故として届け出る
身体に負傷が確認された場合は、警察に「人身事故」として届け出るか、すでに「物損事故」として処理されている場合は「人身事故」への切り替え手続きを行うことが不可欠です。
人身事故として処理された場合には、警察によって「実況見分調書」という公的かつ詳細な事故状況報告書が作成されることになります。
この調書は、後の示談交渉において、事故の態様や過失割合を立証するために非常に役に立つ資料となります。
人身事故への切り替えは、医師の診断書を警察署に提出することで行います。
タクシー事故の示談金請求の流れ
タクシー乗車中に事故が発生した場合、示談金を受け取って解決するまでのプロセスは、以下のフローのようになります。


負傷者の救護と警察への届け出
タクシーに乗車中に事故が発生したら、負傷者の救護(119番通報)を最優先とし、その後、直ちに警察(110番)に届け出ます。
これはタクシー運転手や事故の相手方車両の運転手の義務です。
あとから保険金を請求するのに重要となる交通事故証明書を発行してもらうためにも警察への届け出は不可欠であるため、事故の当事者が拒んだ場合には、ご自身で警察を呼ぶようにしてください。
そして、タクシー事故で負傷した場合には、「人身事故」として警察に届け出るか、物損事故として処理された場合でも速やかに人身事故への切り替え手続きを行うことになります。
人身事故の届け出によって作成される実況見分調書は、示談金請求において重要な資料となります。
事故の当事者の情報確認と保険会社への連絡
タクシー事故に遭遇した場合には、タクシー運転手や相手車両の運転手の情報を聴き取り、記録しておきましょう。
事故現場で聴き取っておくべき情報としては、以下のとおりです。
- 氏名、住所、電話番号
- タクシー会社の名称、連絡先
- 加入している保険会社またはタクシー共済の情報
- 車両の登録ナンバー、車種
- 勤務先 など
相手が情報提供を渋る場合は、警察官の立会いのもとで連絡先を交換することを求めましょう。
メモがない場合は、相手の名刺をもらう、身分証明書などを承諾を得て撮影させてもらうなどの工夫も有効です。
医療機関を受診して継続的な治療を受ける
事故による怪我の有無にかかわらず、事故後できるだけ早く医療機関を受診し、医師の診断を受けることが重要です。
これにより、事故と症状との因果関係を医学的に立証でき、後の治療費や慰謝料を含む賠償請求が可能になります。
医師の指示に従い、完治を目指して適切な治療を継続してください。
治療費については、保険会社が直接病院に支払う「一括対応」が行われることが一般的です。
治癒または症状固定
治療の結果、症状が完全に回復し、元の状態に戻った場合は「治癒」となり治療が終了します。
一方で、長期間の治療を継続しても症状の改善が見込めず、医学的にそれ以上治療を続けても効果がないと判断される状態を「症状固定」といいます。
示談交渉は、基本的にこの治癒または症状固定の時点をもって、損害の全容が確定した後に開始されます。
症状固定日以降の治療費は、原則として損害賠償の対象外となります。
後遺障害が残った場合は後遺障害等級認定を申請する
症状固定と判断された後、身体に疼痛や機能障害などの後遺症が残存した場合は、後遺障害等級認定を申請します。
この認定を受けることで、後遺症の程度に応じた後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益(将来得られるはずだった収入の補償)を請求する法的な基盤となります。
認定手続きには、主治医が作成した後遺障害診断書などの提出が必要となり、専門的な知識と経験が求められるため、弁護士のサポートを得るようにしてください。
示談交渉を開始する
治癒または後遺障害等級が確定した後、被害者側と加害者側(タクシー共済や保険会社など)との間で、損害賠償額を確定させるための示談交渉が開始されます。
交渉では、過失割合、慰謝料の算定基準、休業損害、逸失利益などの項目が争点となります。
保険会社が提示する賠償額は、通常、裁判所が認める弁護士基準(裁判基準)よりも低額な基準に基づいているため、安易に相手方の提案に応じてはいけません。
適正な賠償額を獲得するためには、弁護士を代理人として立て、弁護士基準に基づく請求を行うことが重要です。
話し合いでは解決できない場合は裁判
示談交渉で賠償額や過失割合について合意に至らない場合、被害者は裁判所に訴訟を提起し、法的な解決を図ることになります。
裁判では、提出された証拠に基づき審理が進められ、最終的に裁判官による判決が下されるか、または裁判所による和解勧告を受け入れ、裁判上の和解として解決に至ることになります。
裁判は時間を要しますが、第三者である裁判所が下す判断は、適正な賠償額を確保する最終的な手段となります。
示談金を受け取る
示談交渉での合意、または裁判上の和解・判決の確定により賠償額が確定した後、保険会社やタクシー共済から被害者に対し示談金(賠償金)が支払われます。
この支払いをもって、原則として事故に関する金銭的な債権債務関係は消滅し、事故の法的な解決が完了します。
示談書には、後日の紛争を避けるための清算条項が明記されることが一般的です。
タクシー事故の注意点
タクシー共済が強硬な交渉姿勢を見せる場合がある
多くのタクシー事業者が加入しているタクシー共済は、一般の任意保険会社とは異なり、タクシー運転手の相互扶助を主な目的として結成されています。
この組織の性質上、タクシー共済は交渉において、被害者ではなくタクシー運転手の利益を強く守ろうとする傾向があります。
そのため、「当方に過失はない」、「事故の態様からしてケガはあり得ない」といった、タクシー側に有利な、あるいは事実と異なる強硬な主張をしてくる可能性もあります。
被害者としては、こうした主張を安易に受け入れてしまうと、本来タクシー会社が負担すべき賠償金が支払われない可能性が生じます。
相手が強硬な主張をしてくる場合には、交通事故に強い弁護士に相談するようにしてください。
「物損事故扱い」の要請には応じない
事故に遭った際、タクシー側から「人身事故にしないでほしい」・「物損事故(物件事故)扱いにしてほしい」とお願いされることがあります。
これは、人身事故扱いになることでタクシー運転手が行政処分(免許停止・点数加算)を受けるのを避けたい、あるいは慰謝料や治療費といった人身損害の賠償責任を回避したいというタクシー側の都合によるものです。
しかし、被害者が身体的な痛みや違和感を少しでも感じている場合、これに応じてはいけません。
物件事故扱いになると、警察による詳細な実況見分調書が作成されず、正確な事故状況がわからず過失割合や示談交渉において不利になる可能性があります。
タクシー事故でケガをした場合には、必ず警察に人身事故として届け出るようにしてください。
タクシー事故で被害者が損をしないポイント
交通事故に強い弁護士に相談する
タクシー事故で被害者が不利益を被ることを避けるためには、交通事故案件に強い弁護士に早期に相談するようにしてください。
特に、タクシー共済が強硬な主張をしてくる場合や提案された示談案に納得できない場合には、弁護士に相談すべきです。
まず、弁護士は、過去の裁判例に基づく弁護士基準(裁判基準)を用いて交渉するため、保険会社やタクシー共済が提示する基準よりも高額な基準が適用される結果、最終的な賠償金が大幅に増額する可能性が高まります。
また、弁護士が代理人として交渉を全て代行するため、被害者は煩雑な手続きやストレスの多い交渉から解放され、治療に専念できます。
さらに、タクシー共済の不当な主張への適切な反論や、後遺障害等級認定手続きにおける医学的・法的なサポートを受けることができ、法的な権利を最大限に守ることが可能となります。
そして、ご自身の加入している保険の弁護士費用特約が利用できる場合は、費用を気にすることなく、この専門的なサービスを受けることが可能です。
タクシー事故のよくあるQ&A


タクシー事故がめんどくさいのはなぜですか?


タクシー共済は、複数のタクシー事業者が相互扶助を目的として結成した組織であり、その運営方針として、被害者への賠償額の支出を抑え、タクシー会社や運転手の利益を保護しようとする可能性があります。
そのため、一般の保険会社よりも低い水準の賠償額を提示したり、タクシー側に有利な過失割合を強硬に主張したりするなど、交渉姿勢が硬直化しやすい傾向にあります。


タクシーとの事故で損害を被ったらどうしたらいいですか?


そして、タクシー運転手およびタクシー共済の連絡先などの情報を聴き取り、その後の示談交渉は、保険会社やタクシー共済が対応することが一般的です。
タクシーとの事故で物損が生じた場合にも、相手方に請求することができます。


個人タクシーの事故責任は?


個人タクシーであっても、任意保険またはタクシー共済に加入していることがほとんどです。
タクシー運転手は事故に責任を負いますが、示談交渉については、個人タクシーの運転手が加入している保険会社やタクシー共済が対応することが一般的です。
まとめ
走行距離あたりのタクシー事故率は、普通乗用車の事故率よりも高くなっています。
タクシー事故に遭った場合、すぐに警察に届け出を行い、速やかに医療機関を受診することが重要です。
乗客としてタクシーに乗車中に交通事故に巻き込まれた場合、慰謝料を含む示談金を請求する相手は、以下のとおりです。
- 乗車していたタクシーの過失が100%である事故:タクシー会社またはタクシー共済
- 事故相手の過失が100%である事故:相手方の保険会社
- タクシーと相手車両の双方に過失がある場合:タクシー会社(タクシー共済)と相手方の保険会社の両方
タクシー共済や相手の保険会社との交渉が難航する場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談してください。
当事務所は、交通事故をはじめとする人身障害に特化した部を編成し、交通事故被害者に対して強力にサポートを行います。
また、当事務所は、オフィスでの対面での相談はもちろん、ZoomやLine、FaceTimeを使用したオンライン相談にも対応し、全国どこからでもご相談が可能です。
交通事故の事案に関しましては、初回相談無料ですので、ぜひ一度ご相談いただければ幸いです。






