【自動計算機付】株式の相続税のポイント|弁護士・税理士が解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


株式の相続は、遺産相続の中で、もっともわかりにくいテーマの一つです。

株式の相続をスムーズに行うためには、相続法に関する知識と税務に関する知識が必要となります。

ここでは、弁護士と税理士の2つの資格を持つ専門家が株式の計算方法や相続対策について、わかりやすく解説いたします。

 

 

株式とは

株式とは、株式会社の構成員(株主)としての地位や権利のことを言います。

株主の権利とは、会社から配当を受ける権利や株主総会で議決に参加する権利があります。

 

 

株式は遺産相続の対象?

株式会社の株主がお亡くなりになった場合、その株式も預貯金や不動産と同様に、遺産相続の対象となります。

なお、相続人が複数いる場合、株式は相続によって法定相続分に応じて当然分割されるわけでなく、遺産分割が終わるまでは、準共有(※注)の状態になります。

※注:準共有とは所有権以外の財産権を複数のものが共同して持つことを言います。

 

【具体例】

A株式会社の株式を100株保有していた父がなくなり、妻と子供二人が相続をしたとします。

妻の法定相続分は2分の1、子供の法定相続分はそれぞれ4分の1です。

このとき、当然分割されるのであれば、妻は50株、子供たちはそれぞれ25株を相続することとなりますが、そうではなく、100株全部について、妻、子供たちが準共有している状態となるのです。

株主としての権利を行使する場合、持ち分の価格の過半数をもって1名を権利行使者として指定しなければなりません。相続人の対立があると権利行使が難航することが予想されます。

【対策】

準共有の状態を早く解消するために、遺産分割協議を行う必要があります。

また、生前であれば、このような事態を回避するために、遺言で株式を誰かに集中させることを検討しましょう。


 

 

株式の評価

株式の相続税の計算は、まず、対象となる株式の価値を評価する必要があります。

株式の評価は、大別すると次の3つの区分になります。

  1. ① 上場株式
  2. ② 気配相場等のある株式
  3. ③ 取引相場のない株式

以下、それぞれについて解説します。

①上場株式はどう評価する?

上場株式の評価については、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する次の価格のうち最も低い価額で評価します。

  • 課税時期の最終価格
  • 課税時期の属する月の毎日の最終価格の平均額
  • 課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の平均額
  • 課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の平均額
負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引のときの評価

負担付贈与または個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の終値だけで評価します。

 

②気配相場等のある株式はどう評価する?

気配相場等のある株式とは、日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄そして公開途上にある株式をいいます。

気配相場等のある株式の評価は、上場株式とほぼ同じです。

 

③非上場株式はどう評価する?

会社の規模などにしたがって評価します。

具体的には、下表のように、会社の規模によって、大会社、中会社、小会社に区分します。

また、評価方式は、原則的評価方式と特例的な評価方式が定められています。

原則的評価方式 大会社 類似業種比準方式
中会社 類似業種比準方式と純資産価額方式
小会社 純資産価額方式
特例的評価方式 大会社、中会社、小会社 配当還元方式

支配権のある株主の株式については、原則的評価方式により、少数株主など会社支配権のない株主の株式については特例的評価方式により、評価します。

また、特定の評価会社(※注)の場合、原則として純資産価額方式となります。

※注:特定の評価会社とは、その会社の総資産に占める株式あるいは土地の価額の保有割合が一定以上の場合をいいます。

非上場株式の評価は、専門的な知識が必要となりますので、詳しくは相続専門の税理士等にご相談ください。

 

 

株式の相続税はいくら?

上記で評価した株式は、預貯金等の他の相続財産と合算して、相続税を計算します。

具体的には、次の計算式となります。

ステップ1 相続税の対象となる財産を把握する

まず、「相続税の対象となる財産」を算出します。

 

ステップ2 相続税の課税価格を計算

次に、上記の「相続税の対象となる財産」から借金などの負債と葬式費用を控除して、相続税の課税価格を算出します。

ステップ3 課税遺産総額を計算

そして、「相続税の課税価格」から基礎控除を行い、「課税遺産総額」を算出します。

ステップ4 相続税の総額を計算

相続人ごとに、法定相続分で分割したものと仮定して、相続税額を算出し、それを合算して相続税の総額を算出します。

税率と控除額は下記の早見表を参照

相続税早見表(平成27年1月1日以降の相続)

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

 

ステップ5 各人の実際の相続税を計算

「相続税の総額」を各人が実際に遺産を取得する割合で按分することにより算出します。

そして、「配偶者の税額軽減の特例」等、税額控除が該当する場合には差し引きます。

相続税の自動計算機

相続税の計算は、上記のように複雑です。

当事務所は、相続税の自動計算シミュレーターをホームページ上に掲載しております。

相続税の概算を素早く知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

 

 

株で相続税対策ができる?

上記の相続税の計算によって課税の対象となる場合は、次の方法で節税を検討できます。

①暦年贈与の非課税枠を活用する

贈与税は、年間110万円まで課税されません。

例えば、毎年110万円ずつ10年間贈与すると、1100万円非課税で贈与ができます。

子供や孫など、受贈者が複数の場合、上記の人数分まで非課税となります。

②贈与のタイミングを検討する

例えば、株式の株価が今後上昇していくことが予想される場合、早めに贈与することで、相続税の節税ができます。

また、早めの贈与によって、将来、配当が生じた場合も、その配当金に贈与税が課税されないため、節税の効果が期待できます。

③自社株の評価が下がったときに譲渡する

会社経営者の場合、自社株の評価が下がったときに、後継者に対し、当該株式を贈与、または、譲渡すると、節税につながります。

 

 

親の株を相続して相続税を払えないとき

株式の評価額が高い場合、その株式を発行会社や第三者に売却して現金に変えるという方法が考えられます。

ただし、非上場会社の場合、第三者への売却は譲渡制限があるケースが多いため、事前の確認が必要です。

また、相続税をすぐに支払うことができない場合、延納制度の利用を検討しましょう。

延納が認められると、最大20年程度まで分割での納付が可能となります。

さらに、現金が乏しい場合は不動産や株式の物納という方法もあります。

 

 

株式の相続の注意点

①株主名簿の名義書換が必要

株主が株主権を行使するには、株式会社の名簿に株主として記載されている必要があります。

したがって、たとえ相続人が一人であるとしても、株主権を行使するには株式を相続するだけでは足りず、遺産分割協議を経たうえで、株式会社に対し、株主名簿の名義書換を求める必要があります。

名義書換により初めて、会社の株主として様々な権利を行使することができるのです。

 

②相続人が複数の場合は権利行使者を決めなければならない

相続人が複数である場合には、株式について遺産分割協議を行う必要がありますが、遺産分割協議が成立するまでは多数決により相続人の一人を権利行使者と定め、権利行使者が代表して株主権を行使することになります。

遺産分割協議が成立した後は、相続人が一人である場合と同じく、株主名簿の名義書換の手続を行うことで、株主として認められ、権利を行使することが可能になります。

 

 

まとめ

以上、株式の相続税のポイントについて詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

株式は、遺産の中でも評価方法が難しく、相続税の計算も大変です。

また、株式の相続を円滑に行うためには、遺産分割協議が必要となります。

相続発生前であれば、遺言の検討もされたほうが良いでしょう。

そして、節税対策は、早めに行うことで効果を発揮できます。

そのため、素人判断ではなく、相続問題に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

この記事が相続問題に直面されている方にとってお役に立てれば幸いです。

 

 

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