自筆証書遺言とは?書き方やメリット・デメリットを解説


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

自筆証書遺言とは、遺言者(遺言を作成する人のことをいいます。)が全文を手書きで作成する遺言のことをいいます。

この記事では、自筆証書遺言が有効となるための要件や作り方、自筆証書遺言の効力、他の遺言との違い、自筆証書遺言のメリット・デメリットなどについて、相続に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

自筆証書遺言とは?

遺言には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言などいくつかの種類があります。

自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文を手書きで作成する遺言のことをいいます。

【根拠条文】

民法968条1項
自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

引用元:民法|e-Gov法令検索

 

自筆証書遺言の要件

自筆証書遺言が有効となるためには、民法968条1項が定める次の4つの要件を守る必要があり、要件を1つでも満たさない場合には無効となります。

 変更(訂正)に関する要件

また、民法968条3項は、自筆証書遺言の変更(訂正)方法について次の4つの要件を定めており、これらの要件を満たさない変更(訂正)は無効です(状況によっては遺言自体が無効となる場合もあります)。

ア 訂正(変更)の場所を指示して、訂正(変更)した旨を付記すること

イ 訂正(変更)を付記した箇所に署名すること

ウ 変更(訂正)した箇所に印鑑を押すこと

エ 上記ア〜ウが遺言者自身によって行われること

 

自筆証書遺言の効力

自筆証書遺言に記載した内容のすべてに効力(法的効力)が認められるわけではなく、効力(法的効力)の認められるものと認められないものがあります。

遺言の効力(法的効力)とは、遺言に記載することによって誰かに権利や義務を発生させる力のことをいいます(さらに、発生した権利や義務は裁判などを通じて強制的に実現することができます)。

遺言に記載した内容のうち、法的効力が認められるものを「法定遺言事項(ほうていゆいごんじこう)」といいます。

これに対し、法的効力が認められないものを「付言事項(ふげんじこう)」といいます。

法定遺言事項

遺言に記載することで法的効力が認められる事項(法定遺言事項)には、次のようなものがあります。

  • 【相続人等】に関するもの
    ・相続人の廃除、廃除の取消し(民法893条、894条)
    ・非嫡出子の認知(民法781条2項)
    ・未成年後見人、未成年後見監督人の指定(民法839条、848条)
  • 【遺産の分配等】に関するもの
    ・相続分の指定(民法902条)
    ・遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止(民法908条)
    ・遺贈(民法964条)
    ・特別受益の持ち戻し免除(民法903条3項)
    ・相続人の担保責任の指定(民法914条)
    ・遺留分侵害額の負担割合の指定(民法1047条1項2号ただし書)
    ・祭祀主宰者の指定(民法897条1項ただし書)
    ・生命保険受取人の指定、変更(保険法44条)
  • 【遺言の執行】に関するもの
    ・遺言執行者の指定または指定の委託(民法1006条1項)

付言事項

付言事項には法的効力がないため、相続人等が付言事項にしたがわない場合には、強制的にその内容を実現することはできません。

しかし、付言事項を上手に活用して遺言者の考えや気持ちを相続人に伝えることで、相続人同士のトラブルを回避するのに役立つ場合があります。

例えば、以下のような内容を付言事項として記載することが考えられます。

遺産の分配や遺贈に関する説明
一部の相続人に多く(少なく)遺産を与える場合や遺産を遺贈する(相続人以外の者に遺産を与えることをいいます。)場合には、そのような方法で遺産を与える理由をわかりやすく具体的に記載します。
遺留分の請求に関するお願い
やむをえず一部の相続人の遺留分(いりゅうぶん:一定範囲の相続人について法律で保障された遺産の最低限の取り分のことです。)を侵害せざるをえない場合には、その理由を具体的に記載したうえで、相続人に遺留分の請求をしないでほしいというお願いを記載します。
葬儀に関する希望・お願い
葬儀の方法などについて強い希望がある場合には、その具体的な希望やお願い(例えば、家族のみで簡素に行ってほしいなど)を記載します。
家族等に向けた感謝の気持ち
家族や特にお世話になった人に対する感謝の気持ちを記載します。
他方で、相続人への不満などのマイナスな付言事項は記載しないことをおすすめします。
マイナスな事柄を遺言に記載することで、相続人同士のトラブルの引き金となるケースが少なくないためです。
なお、遺言で相続人の廃除を行う場合(法定遺言事項)には、遺言者に対する相続人の非行行為(侮辱や虐待など)を具体的に記載する必要がありますが、このような例外的な場合を除いて、遺言にはマイナスな内容を記載しないのが無難です。

 

自筆証書遺言と他との違い

遺言にはいくつかの種類があります。

自筆証書遺言のほかには、主なものとして秘密証書遺言と公正証書遺言があります。

また、自筆証書遺言については令和2年(2020)から自筆証書遺言の保管制度(自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度のことです。)が開始されており、この保管制度を利用する場合としない場合とではいくつかの違いがあります。

次の表は、自筆証書遺言と他の遺言との違いをまとめたものです(自筆証書遺言の保管制度を利用する場合との違いもあわせて記載しています)。

自筆証書遺言 秘密証書遺言 公正証書遺言
筆者 遺言者 原則遺言者(代筆も可能) 公証人
遺言者による自署の要否 全文の自署が必要 不要(署名は自署が必要) 不要(署名は原則自署が必要だが、代替手段あり
証人の要否 不要 必要(2人以上) 必要(2人以上)
封印の要否 不要 必要 不要
役所等での手続き 不要(保管制度利用の場合は法務局での手続きが必要) 公証役場での手続きが必要 公証役場での手続きが必要(ただし出張依頼も可能)
保管場所 自分で保管(保管制度利用の場合は法務局で保管) 自分で保管 公証役場で保管
検認 必要(保管制度利用の場合は不要) 必要 不要
費用(※) かからない(保管制度利用の場合は3900円) 手数料:1万1000円
証人の費用:1人あたり7000円〜1万5000円程度
手数料:遺産の金額に応じた費用
証人の費用:1人あたり7000円〜1万5000円程度

※遺言の作成について弁護士に相談する場合や、遺言の保管を金融機関や弁護士等に依頼する場合(自筆証書遺言・秘密証書遺言)には、上記以外に別途費用がかかります。

秘密証書遺言との違い

秘密証書遺言とは、遺言に封印をしてその内容を秘密にしたうえで公証役場へ持って行き、封筒の中に遺言が入っていること(遺言の存在)を公証人と証人に証明してもらう遺言のことをいいます。

自筆証書遺言(保管制度を利用しない場合)と秘密証書遺言は、いずれも遺言の内容を秘密にすることができる点、遺言者が保管場所を自由に決められる点、検認の手続きが必要である点などにおいて、共通しています。

その一方で、両者は以下の3つの点で大きく異なります。

  1. ① 自筆の要否
    秘密証書遺言の場合には全文の自筆は不要であり、パソコンで作成したり他人に代筆を依頼したりすることができます(署名のみ自筆する必要があります)。
  2. ② 封印の要否
    秘密証書遺言の場合には内容を秘密にすることが重視されるため封印(封筒に入れてとじ、とじ目に印鑑を押すことをいいます。)をする必要がありますが、自筆証書遺言の場合は不要です。
  3. ③ 公的な手続きの要否
    秘密証書遺言の場合には、封印した遺言書を公証役場に持っていき、証人2人以上と公証人の面前で封筒の中に自分の遺言書が入っていることや、その作成者(代筆を依頼した場合には代筆者)が誰であるのかを告げる必要がありますが、自筆証書遺言の場合にはこのような手続きを行う必要はありません。
    また、秘密証書遺言の場合には、役所での手続きにかかる手数料(1万1000円)や証人を依頼するための費用(1人あたり7000円〜1万5000円程度)がかかりますが、自筆証書遺言の場合は費用をかけずに作成することもできます。

公正証書遺言との違い

自筆証書遺言(保管制度を利用しない場合)と公正証書遺言は基本的に大きく異なります。

主な違いとして、以下の4つをあげることができます。

  1. ① 遺言の作成者
    自筆証書遺言は遺言者本人が作成するのに対し、公正証書遺言は公証人が作成します。
  2. ② 公的な手続の要否
    公正証書遺言の場合には、証人と公証人の面前で遺言の内容を伝え、公証人に遺言を作成してもらう必要がありますが、自筆証書遺言の場合にはこのような手続きは不要です。
    また、公正証書遺言の場合には、役所での手続きにかかる手数料(遺産の額によって異なり、遺産の額が1000万円〜1億円の場合には5万円〜10万円程度)や証人を依頼するための費用がかかりますが、自筆証書遺言の場合は費用をかけずに作成・保管することもできます。
  3. ③ 遺言の保管場所
    自筆証書の保管場所については遺言者が自由に決めることができる(自宅のタンスや金庫・金融機関の金庫での保管、法務局の保管制度の利用、弁護士への保管依頼など)のに対し、公正証書遺言の保管場所は公証役場と決められています。
  4. ④ 検認の要否
    自筆証書遺言の場合は検認を行う必要があるのに対して、公正証書遺言の場合は検認不要です。

 

 

自筆証書遺言のメリットとデメリット

他の遺言と比較した場合、自筆証書遺言には次のようなメリット・デメリットがあります。

なお、自筆証書遺言については自筆証書遺言保管制度を利用することができますが、ここでは保管制度を利用しない場合のメリット・デメリットを解説します。

メリット
  • 遺言者だけで作ることができる
  • 費用をかけずに作成できる
  • 内容を秘密にできる
デメリット
  • 形式の不備を理由に無効となるリスクがある
  • 書き換えや破棄・隠匿などのリスクがある
  • 発見されないリスクがある
  • 相続人等は検認の手続きが必要
  • 自署できない場合には利用できない

 

自筆証書遺言のメリット

遺言者だけで作ることができる

自筆証書遺言は遺言者だけで作ることができ、公証役場での手続きや証人の手配などを行う必要がありません。

また、使用する紙の大きさや書式に関する決まりもないため、他の遺言よりも手軽に作ることができます。

費用をかけずに作成できる

自筆証書遺言は遺言者だけで作ることができるため、費用をかけずに作成することができます。

内容を秘密にできる

自筆証書遺言は遺言者だけで作成できることから、その内容を誰にも知られずに作成することができます。

 

自筆証書遺言のデメリット

形式の不備を理由に無効となるリスクがある

自筆証書遺言は遺言者が1人で作成できる反面、誰かの目をとおしてチェックを受けるという機会がないため、形式の不備を理由に無効となるリスクがあります(実際に無効となるケースは少なくありません)。

書き換えや破棄・隠匿などのリスクがある

自筆証書遺言を自宅のタンスや金庫に保管する場合には、遺言の内容に利害関係をもつ相続人などが遺言書を持ち出して書き換え、あるいは遺言書を破棄・隠匿するなどのリスクがあります。

発見されないリスクがある

自筆証書遺言の保管場所を誰にも伝えないまま遺言者が亡くなってしまった場合、遺言が誰にも発見されず、遺言は存在しないものとして相続の手続きを進められるリスクがあります。

相続人等は検認の手続きが必要

自筆証書遺言の保管者や自筆証書遺言を発見した相続人は、自筆証書遺言について検認(けんにん)の手続き(家庭裁判所で遺言の内容を確認する手続きのことをいいます。)をする必要があります。

相続人等は必要書類をそろえて自筆証書遺言とともに家庭裁判所に提出する必要があり、相続人等が検認の手続きを怠った場合には5万円以下の過料に処せられます。

相続人等にとっては負担の大きい手続きであるといえます。

自署できない場合には作成できない

自筆証書遺言は遺言者本人が全文を手書きする必要があり、誰かに代筆を依頼したり、手を添えて補助してもらったり、パソコンで作成したりすることはできません。

また、音声や動画(ビデオ)による遺言も認められていません(無効です)。

そのため、遺言者の手が不自由な場合など、遺言者本人が自力で全文を手書きすることができないときは、自筆証書遺言を作成することができません。

 

 

自筆証書遺言のひな形 ・自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言のイメージをつかんでいただくために、まずは自筆証書遺言のひな形(サンプル)をご紹介します。

このひな形(サンプル)では、法定遺言事項と付言事項をそれぞれ別に記載していますが、遺言の内容を記載する場所に関する決まりはありません。

例えば、それぞれの法定遺言事項の下に、その内容について補足説明する付言事項を記載してもかまいません。

 

自筆証書遺言の作成方法

自筆証書遺言を作成する場合には、次のような手順で作成します。

財産を洗い出す(財産目録を作成する)

まずは、相続の対象となる財産を漏れなく洗い出すことが大切です。

不動産であれば登記簿謄本(全部事項証明書)、預貯金であれば通帳や預貯金の残高証明書、借金やローンであれば消費貸借契約書やローンの残高証明書などの書類を取得して確認するのがポイントです。

洗い出した財産は財産目録の形で一覧化し、自筆証書遺言に添付するのがおすすめです。

これによって遺言者自身が遺産の抜け漏れを確認することができ、また、相続人が相続手続きをスムーズに行うのにも役立ちます。

誰にどの遺産を相続させる(遺贈する)のかを決める

洗い出した財産のうち、どれを誰に相続させるか(遺贈するか)を決めます。

財産を相続させる方法(例えば、財産をそのまま相続させるのか、それとも財産を売却してその代金を相続させるのか、など)について指定したい場合には、その方法についてもあわせて考えておくとよいでしょう。

要件を満たす遺言を作成する

上で説明した自筆証書遺言の4つの要件(①遺言書の全文の自署、②作成日付の自署、③氏名の自署、④遺言者本人の押印)を満たすように遺言を作成します。

その際には、誰にどの遺産を相続させるのか(遺贈するのか)を明確に記載する必要があります(不明確な場合には無効となります)。

なお、自筆証書遺言の保管制度を利用する場合には、上記の4つの要件に加え、法務局の定めるルール(用紙のサイズや書式などの様式に関するルール)を守って作成する必要があります。

自筆証書遺言に記載する内容によっては、遺言が無効となるリスクや相続人同士のトラブルを招くリスクがあることから、遺言の作成について少しでも不安がある場合には、相続にくわしい弁護士に相談されることを強くおすすめします。

自筆証書遺言の保管場所を決める

自筆証書遺言が完成したら、その保管場所を決めます。

自宅の金庫やタンスでの保管には書き換えのリスクや紛失のリスクなどがあることから、金融機関の金庫への保管や弁護士等への保管依頼、保管制度の利用(法務局での保管)なども検討しましょう。

 

自動作成ツールで遺言書を簡単に作成!

ここまでは自筆証書遺言の作り方について解説をしてきましたが、一般の方が自筆証書遺言を独力で作成するのはなかなか大変です。

そこで、当事務所では、必要事項を入力するだけで簡単に遺言書のサンプルを作ることができる自動作成ツールを用意しました。

ぜひ自筆証書遺言の下書き作成にご活用ください。

 

 

自筆証書遺言がある相続手続きの流れ

自筆証書遺言がある場合の相続手続きは、次のような流れで行います(状況により、1〜4の手続きの順番は前後する場合があります。)

 

相続人の調査

遺言者の遺産を相続することができる人(相続人)の範囲や優先順位は、法律によって決められています。

そこで、まずは遺言者の親族関係を調査して、誰が相続人となるのかを確定します。

遺言者に隠し子や生き別れの家族などがいる場合もあることから、相続人の調査は戸籍謄本などを取得して慎重に行います。

 

遺産の調査

相続の対象となる遺産をすべて洗い出します(遺産の調査)。

自筆証書遺言に財産目録が添付されている場合には、この調査をスムーズに行うことができます。

遺産の調査は、自筆証書遺言に記載されていない財産がないかを確認するために必要なプロセスです。

また、プラスの遺産だけでなくマイナスの遺産(ローンや借金など)も含めて洗い出すことにより、そもそも遺産を相続すべきかどうかを判断するのに役立ちます。

自筆証書遺言に記載されていない遺産がある場合には、その遺産を誰が取得するのかについて相続人全員で話し合う必要があります(これを「遺産分割協議」といいます)。


相続の放棄・単純承認・限定承認

引用元:民法 | e-Gov法令検索

相続人は常にすべての遺産を相続しなければならないわけではなく(マイナスの遺産を含め、すべての遺産を相続することを「単純承認」といいます。)、相続を辞退すること(相続放棄)やプラスの財産がマイナスの財産を上回る限度でのみ相続すること(限定承認)もできます。

例えば、遺産の調査を行った結果、多額の借金があることが判明した場合などには、相続放棄や限定承認を検討します。

自筆証書遺言がある場合であっても、相続放棄や限定承認を行うことができます。

ただし、相続放棄または限定承認には期限があり、遺言者が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があります。

 

自筆証書遺言の検認

自筆証書遺言の保管者や自筆証書を発見した相続人は、自筆証書遺言を家庭裁判所に持っていき、検認の手続きを行います。

検認の手続きは、遺言の書き換えや破棄・隠匿が行われることを防ぐとともに、相続人等に遺言の存在を知らせることを目的としています。

検認の手続きをしなかった場合や家庭裁判所での検認前に開封した場合には、5万円以下の過料に処せられます。

遺言者が亡くなったときは、すみやかに自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して検認を受けることが大切です。

 

遺言執行者の選任

遺言者は、自筆証書遺言で遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ:遺言の内容を実現する人のことをいいます。)を指定することができます(指定しないこともできます)。

遺言者が遺言執行者を指定していない場合には、必要に応じて、相続人側で遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し立てることができます。

遺言執行者を選任しない場合は、相続人全員が協力して遺言の内容を実現することとなります。

 

遺産の分配・相続に伴う各種手続き

相続人や受遺者(遺贈を受けた人のことをいいます。)は、取得した遺産について名義変更や相続税の申告などの各種手続きを行う必要があります。

これらの各種相続手続きにおいては、多くの場合、検認済みの自筆証書遺言の提出を求められます。

 

 

自筆証書遺言にかかる費用

作成にかかる費用

自筆証書遺言は自分で作成することができるため、基本的に作成の費用はかかりません(紙やペンを購入するための実費のみ)。

ただし、自筆証書遺言の作成について弁護士に相談し、あるいは下書きの作成を依頼する場合には、弁護士費用がかかります(弁護士費用はそれぞれの弁護士によって異なるため、各弁護士にお問い合わせください)。

保管にかかる費用

自筆証書遺言を自宅のタンスや金庫などに保管する場合、特に費用はかかりません。

ただし、自筆証書遺言を金融機関の金庫で保管してもらう場合、1年ごとに5000円〜7000円前後の費用がかかります。

また、保管を司法書士や弁護士に依頼することもでき、この場合には1年ごとに5000円〜1万円前後の費用がかります(各事務所によって金額は異なります)。

自筆証書遺言の保管制度を利用し、法務局で保管してもらう場合には、手数料として3900円を支払う必要があります。(収入印紙で納付します)。

 

 

自筆証書遺言の相談窓口

自筆証書遺言の作成に関する相談窓口としては、弁護士、司法書士、税理士、法務局(窓口)などさまざまなものがあることから、どの相談窓口を利用すべきかの判断に悩まれるかもしれません。

結論としては、相続にくわしい弁護士に相談されることを強くおすすめします。

以下の表は、自筆証書遺言の作成に関してそれぞれの相談窓口が行うことができる業務の範囲をまとめたものです。

この表からわかるように、弁護士以外の相談窓口が自筆証書遺言に関して行うことができる業務は非常に限定的です。

弁護士 司法書士 税理士 法務局
遺言書に関する一般的な説明
遺言書の保管 (※1)
遺言書の内容に関する相談
遺言書をめぐるトラブルの相談
相続登記
相続税の申告 (※2)

※1 自筆証書遺言の保管制度を利用する場合
※2 弁護士が税理士登録をした場合は相続税の申告業務も可能。

この表からわかるように、遺言書に関する一般的な説明(例えば、民法の定める要件に関する説明など)や遺言書の保管業務であれば、どの相談窓口であっても行うことができます。

しかし、遺産をめぐるトラブルを防ぐためには遺言書の内容をどのようにしたらよいか、あるいは遺言書をめぐる相続人同士のトラブルをどのように解決したらよいか、といった個別具体的な相談に対して法的なアドバイスを行うこと(これを「法律相談」といいます。)ができるのは弁護士のみです。

法律によって、法律相談業務を行うことができるのは基本的に弁護士のみであるとされており、弁護士以外の者が法律相談をすることは「非弁行為(ひべんこうい)」という違法行為にあたります。

なお、自筆証書遺言にもとづいて不動産を相続した場合の相続登記や相続した遺産に関する相続税の申告については、その道の専門家である司法書士や税理士に依頼することができます。

相続にくわしい弁護士であれば、こうした相続手続きに強い司法書士や税理士と連携している場合が多いため、自筆証書遺言の作成から保管、その後の遺言の執行までの流れを総合的に相談したいという場合には、弁護士に相談されるのがスムーズです。

弁護士にはそれぞれの専門分野があり、相続分野については高度の専門知識と経験が求められることから、弁護士の中でも相続にくわしい(力を入れている)弁護士に相談することが大切です。

 

 

自筆証書遺言についてのQ&A

自筆証書遺言で検認が不要な場合がある?


自筆証書遺言の保管制度を利用する場合、検認は不要です。

上で説明したように、検認の制度は遺言の書き換えや破棄・隠匿などのリスクを防ぐことや、遺言の存在を相続人等に知らせることを目的としています。

保管制度を利用する場合には書き換え等のリスクがなく、また、遺言者が指定した相続人等がいる場合には、その者に対して遺言が保管されている旨の通知がなされることから、検認をする必要性がないのです。

自筆証書遺言を法務局で保管するデメリットとは?


自筆証書遺言の保管制度(自筆証書遺言を法務局で保管する制度)は、上で説明した自筆証書遺言のデメリットに対応するために作られた制度であり、保管制度を利用することで無効のリスクや書き換え・破棄・隠匿等のリスク・発見されないリスクを解消することができます。

他方で、自筆証書遺言の保管制度を利用するためには法務局での手続きを行う必要があることから、これにともなって以下のようなデメリットがあります。

遺言者本人が法務局に出向く必要がある
必ず遺言者本人が法務局へ出向く必要があり、手間と労力がかかります。
また、遺言者が動けない状態にあり法務局に出向くことができない場合は利用できません。
遺言書の様式等についてのルールがある
遺言書の様式等(用紙のサイズや書式など)についての細かいルールを守る必要があり、ルールを守らない場合には受け付けてもらえません。
氏名や住所等の変更があった場合に届出が必要
遺言者や相続人等の氏名や住所等に変更があった場合には届出を行う必要があり、手間と労力がかかります。
法務局の職員に遺言の内容を知られてしまう
保管制度を利用する場合には法務局の職員が遺言書の形式面をチェックするため、その際に遺言の内容を知られてしまうこととなります。
手数料がかかる
保管制度を利用する場合、1通あたり3900円の手数料がかかります。

自筆証書遺言はパソコンで作成できる?


自筆証書遺言の本文については、必ず遺言者が全文を手書きして作成する必要があり、パソコンで作成することはできません。

ただし、自筆証書遺言に財産目録を別紙として添付する場合、この財産目録についてはパソコンで作成することができます。

ただし、財産目録をパソコンで作成する場合には、民法968条2項の定める次のルールにしたがうことが必要です。

  1. ① 財産目録のすべてのページに署名をすること(財産目録をページの裏表に印刷する場合は、そのページの裏表のすべてに署名することが必要)
  2. ② ①の署名の横に印鑑を押すこと

※ 印鑑は、遺言書の作成に使用したのと同じもの(実印を使用したのであれば実印)を使用します。

まとめ

自筆証書遺言とは、遺言者が全文を手書きで作成する遺言のことです。

自筆証書遺言が有効となるためには法律の定める4つの要件を満たす必要があり、要件を満たさない場合には無効となります。

自筆証書遺言は一人で手軽に作成することができ、内容を秘密にすることができるなどのメリットがある反面、誰の目にも触れないため形式の不備を理由として無効になるケースが少なくありません。

また、遺言者が自筆証書遺言に記載した内容をきっかけに相続人同士のトラブルを招いてしまう場合もあります。

こうしたトラブルを避けるためにも、自筆証書遺言の作成については相続にくわしい弁護士に相談されることを強くおすすめします。

当事務所では、相続にくわしい弁護士で構成する相続対策専門チームを設置しています。

自筆証書の作成・保管、遺言の執行、自筆証書遺言によって取得した遺産の相続登記や相続税の申告など、自筆証書遺言に関するさまざまなご相談に対応させていただきます。

また、自筆証書遺言に関するご相談以外にも、相続人の調査や遺産の調査、遺言が残されていない場合の遺産分割協議、相続トラブルの解決、相続税の節税対策など、相続全般に関する幅広いご相談に対応することが可能です。

遠方の方にはオンラインでのご相談にも対応しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 


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