遺書とは?遺言書との違いや無効にならない書き方


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

遺書とは? 遺言書との違いや無効にならない書き方

遺書とは、自分の死後に読んでもらうために、主に家族や大切な人に向けて残すメッセージです。

遺書は、自分の思いなどを書き残すもので、法的な効力はありません。

形式についても、全くの自由となっています。

そのため、遺書は、手紙などの書面だけでなく、動画や音声によって作成されることもあります。

同じく死後に読まれることを想定して作成するものに、遺言書があります。

一般的には、「遺書」と「遺言書」という用語は、同じ意味で使われていることもあります。

しかし、両者は、法律上では別のものとして使い分けられています。

法律上では、遺言書は、遺産の分割方法や遺贈についての意思表示をするために作成される書面で、遺書と違い法的効力があります。

また、遺言書の形式については、法律上のルールがあります。

これに従って遺言書を作成しないと、遺言書は無効になってしまいます。

今回の記事では、遺書の意味や目的、内容、遺書と遺言書の違い、遺書や遺言書を書くケース、遺言書の要件、作成の際の注意点などについて解説し、遺書と遺言書の書き方・例文などもご紹介していきます。

遺書とは?

遺書とは

 

遺書の意味

遺書とは、人生の最後を意識し、主に家族や大切な人に向けて書く手紙・メッセージなどです。

多くの場合、遺書は、手紙などの書面で残されます。

しかし、遺書に決まった形式はなく、動画や音声でメッセージを残す方もおられます。

 

遺書の目的

遺書には、次のような目的があります。

 

メッセージを残す

多くの場合、遺書は、残った家族や大切な人に向けてメッセージを残すために書かれます。

【例】

  • 感謝の気持ち・愛情
  • 謝罪や和解をしたいという思い
  • 励ましの言葉

 

自分の思いを知ってもらう

自分自身の思いを知ってもらうことを目的に遺書を書く場合もあります。

【例】

  • 自分の人生を振り返っての思い
  • 死にゆくことに対する思い

 

お願いしたいことを伝える

自分が死んだ後のことでお願いしたいことを伝えるために、遺書を書く場合もあります。

【例】

  • 自分の葬儀、埋葬に関する希望
  • 残される家族の介護や世話に関する希望
  • 捨てるなど、処分してほしい物に関する希望 など

 

遺書にはどんな内容を書くの?

遺書には、遺書を作成する目的に応じて、次のような内容を書きます。

 

家族など大切な人へのメッセージ

遺書に書く内容の代表的なものとしては、家族など大切な人へのメッセージがあります。

多くの場合、感謝の気持ちや愛情を伝える言葉を書きます。

ほかにも、自分の人生観などを伝え、大切にしてほしいことをメッセージとして残す方もおられます。

【例】

  • 今までありがとう。愛しています。
  • あなたがいたおかげで、楽しい人生でした。感謝しています。
  • 献身的に介護してくれてありがとう。
  • 仕事には誠意をもって取り組んでください
  • 温かい家族があってこその幸せです。家族は大事にしてください。
  • これからも幸せに生きてください

 

自分の思い

遺書には、人生を振り返っての自分の思いを書くこともあります。

【例】

  • 満足できる人生でした
  • 海あり山ありの人生でしたが、無事にここまで来れて安堵しています
  • 天職に巡り合えて幸せでした
  • 家族に支えられた人生でした

 

死後のことについてのお願い

遺書には、自分の死後のことについてのお願いが書かれていることもあります(ただし、遺書に書かれたことには、後でご説明するとおり、原則として法的拘束力はありません。)。

代表的なものとしては、自分の葬儀、埋葬に関する希望があります。

【例】

  • 葬儀は○○寺でしてほしい
  • お墓は○○寺にしてほしい
  • 樹木葬にしてほしい
  • 遺影はアルバムの○頁目のものにしてほしい

ほかに、遺族が処分に困る可能性がある物の処分方法について書くこともあります。

【例】

  • パソコン内のデータは、○○のファイル以外削除してほしい(必要に応じて、パスワードとIDも記載する)
  • 地元にある墓は、自分の死後は管理する人がいなくなるので、都合の良い場所に移転してほしい
  • 代々伝わっている文書、陶磁器などは、分散しないように管理してほしい
  • 自分の蔵書は図書館に寄贈してほしい
  • 借家は、今の賃借人が退去したら取り壊した方が良いと思う

残される家族の介護や世話、家族の今後についてのお願いや思いを書くこともあります。

【例】

  • 子どもたちのことをよろしく頼む
  • 残される夫(妻)の介護を頼む
  • 自分のことは気にせず、再婚して幸せになってほしい
  • (子の配偶者に向けて)子のことをよろしく頼む

 

【ワンポイント】遺書でのお願いには法的効力はない

注意が必要なのは、遺書に書いたお願いは、法的効果をもつわけではないことです。

たとえば、「妻(夫)の介護は長女にお願いしたい」などと書いたとしても、長女には、介護を引き受ける義務は生じません。

遺書に、「自宅は妻に相続させてほしい」などと遺産分割の方法について書いてあるケースもあります。

しかしこれも、後にご説明する遺言書としての要件を満たしていれば別ですが、そうでなければ、法律上の効果はありません。

上で挙げたパソコンデータの処分、遠方の墓地の扱い、蔵書の寄付などのような、財産等の処分に関する希望も同様です。

もちろん、遺族が亡くなった方の意思を尊重し、遺書の内容に沿うように遺産分割などを進めてくれることもあります。

しかし、それは確実なことではありませんし、法的に強制することもできません。

遺産の分割方法や寄付したい遺産に関しては、法的効力のある遺言書を作成することをおすすめします。

なお、法的効力はないといっても、亡くなった方が書き残したことは遺族に大きな影響を与える可能性があります。

そのため、遺書にお願いしたいことを書き記すときは、依頼を受けた側にとって負担になりすぎないかに十分配慮しましょう。

 

 

遺書と遺言書の違いは?

遺書と遺言書は、ほぼ同じ意味で使われることもあります。

しかし、法律的な観点からは、遺書と遺言書は別のものとして区別されます。

遺書は、家族や大切な人へのメッセージを伝える私的な文書です。

その内容は、「今までありがとう」「これからも元気で」など、自分の気持ちを伝えるものが主となります。

こうした遺書には法的な効力はありません。

遺書の形式も、法律で定められたものはなく自由です。

終活をする中で、エンディングノートに遺書を書く方もいます。

一方、遺言書は、自分の死後に財産をどのように分けるかに関する法律的な効果についての意思表示を記した法的な文書です。

【例】

  • 「甲土地は長男に相続させる」
  • 「自宅は妻に相続させる」
  • 「乙銀行丙支店の預金は孫に遺贈する」 など

遺言書は、遺書と違い、法的効力を有するものとなっています。

遺言書については、法律によって形式に関するルールが定められており、これにしたがって作成しないと無効になってしまいます。

遺言書がある場合は、遺言をした人(遺言者)が亡くなった後、家庭裁判所で検認の手続を受ける必要もあります(ただし、検認を受けなかったからといって、遺言書が無効になるわけではありません。一方、遺書は、検認を受ける必要はありません。)。

遺言書のうち、次のものについては、検認を受ける必要はありません。

  • 法務局の自筆証書遺言保管制度を利用しているもの
  • 公正証書遺言

なお、遺言書の付言事項として、遺書と同じように、遺族へのメッセージなどを記載することも可能になっています。

遺書と遺言書の違いをまとめると、以下のようになります。

遺言書 遺書
  • 自分の財産を死後にどのように処分するかなどについての意思表示をするもの
  • 法律上の効力がある
  • 形式に関するルールが法律で定められている
  • 家庭裁判所で検認の手続を受ける必要がある(法務局の自筆証書遺言保管制度を利用している場合と公正証書遺言の場合を除く)

※付言事項で残された人へのメッセージなどを記載することも可能

  • 自分の思いやメッセージを残すもの
  • 法律上の効力はない
  • 形式は自由
  • 検認を受ける必要はない

 

 

遺言書の要件

遺言書が有効なものと認められるには、法律上定められた要件を満たす必要があります。

要件は、遺言書の方式ごとに定められています。

ここでは、作成されることの多い自筆証書遺言と公正証書遺言の要件について見ていきます。

 

自筆証書遺言の要件

自筆証書遺言は、遺言者自身の手で書く遺言です。

自筆証書遺言では、以下の部分を自分の手で自書し、押印することが要件となっています(民法968条1項)。

  • 全文(財産目録以外)
  • 作成した日付
  • 氏名

自筆証書遺言はあくまで自分の手で書く必要があります。

そのため、以下のような方法で作成すると、無効になってしまいます。

  • パソコンで作成する(財産目録を除く)
  • 代筆してもらう
  • 誰かに手を添えてもらって書く など

自筆証書遺言の記載を変更・訂正する場合も、以下の全ての要件を満たす必要があります(同条3項)。

  • 遺言者が、変更・訂正のある場所を指示する
  • 変更・訂正したことを付記して署名する
  • 変更・訂正した場所に印鑑を押す

なお、以前は財産目録も含めた全文を手書きで自書する必要がありました。

しかし、法改正により、自筆証書と一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録は、パソコンを使うなど自書以外の方法で作成することが認められるようになりました(同条2項)。

この場合、遺言者は、その目録のページごとに(自書によらない記載が両面にある場合は、その両面に)署名し、押印することが必要です。

 

公正証書遺言の要件

公正証書遺言は、公証人が作成する公正証書による遺言です。

公正証書遺言をするには、次の要件を満たす必要があります(民法969条)。

  • 証人2人以上に立ち会ってもらう
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する
  • 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる
  • 遺言者と証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自遺言書に署名・押印する
  • 公証人が、遺言書が法律上の方式に従って作ったものである旨を付記して、署名・押印する

ただ、実際には、これらの要件については、法律の専門家である公証人が確認してくれます。

そのため、公正証書遺言をする場合は、遺言をする本人は、特に形式面に注意を払う必要はありません。

一方、遺言の内容までは、公証人は確認してくれません。

公正証書遺言をする場合も、遺言の内容が適切かつ有効かについて、あらかじめ弁護士に確認しておくことをおすすめします。

 

 

遺書を書くケース

遺書を書くケースには、次のようなものがあります。

 

残された人にメッセージやお願いを残したいケース

遺書を書くのは、残される家族や大切な人にメッセージやお願いを残したい場合が多いです。

たとえば次のような場合に、遺書が書かれています。

【例】

  • 顔を合わせて感謝や愛情を伝えるのは難しい
  • 周りの人に対する感謝の気持ちや愛情、自分の死後も家族同士助け合ってもらいたいとの思いを、形に残る方法で伝えたい
  • 自分が生きている間には処分が難しい財産(遠方の墓、賃借人がいる借家など)の扱いに関する希望やアドバイスを伝えておきたい
  • 子どもに、人生に対する心構えや心がけてほしいこと、大切にしてほしいことを伝えたい

 

死などに向き合ってみて思ったことを書き残したいケース

自分の死や衰えに向き合ったときに感じたことを書き残したい場合にも、遺書を書くことがあります。

【例】

  • 余命を宣告されてからの心境を書き記したい
  • 闘病中に感じたことを書き残したい

結局のところ、遺書は、自分の気持ちや考えを死後にも残しておきたい場合に書かれています。

上に挙げたものに限らず、自分の気持ちを形にしておきたい、誰かに伝えておきたい、というときには、遺書を書くことを考えてみましょう。

 

 

遺言書を書くケース

遺言書を書くケースには、次のようなものがあります。

遺言書を書く主なケース

 

配偶者の死後の生活を守りたいケース

配偶者の一方が財産を多く所有している場合や、自宅が配偶者の一方の名義になっている場合、その配偶者が亡くなると、他方の配偶者が生活に困る可能性があります。

残された配偶者が遺産分割協議で十分な財産を相続できればよいのですが、そうなるとは限らないからです。

例① 夫が以下の財産を残して死亡した(相続人は、妻と子1人)場合

  • 自宅 2000万円相当
  • 預貯金 500万円
  • 株式 100万円相当

妻は、自宅に住み続けるために自宅を相続する(又は配偶者居住権を取得する)ことを希望した。

しかし、子は、自宅と株式を売却し、得られた代金と預貯金を半分ずつ相続することを主張した。

結局、妻は自宅に住み続けることを諦め、自宅を売却し、賃貸住宅に入居することになった。

そのため、賃料の支払などで妻の生活が圧迫されることとなり、不安な生活を送ることになってしまった。

例② 夫が以下の財産を残して死亡した(相続人は、妻と子1人)場合

  • 自宅 4000万円相当
  • 預貯金 2000万円

このケースで、妻は自宅を相続し、預貯金は子が相続することになった。

その後、妻は自分名義の預貯金をほとんど有していなかったので、年金のみで生活しなければならなくなり、生活が大変苦しくなった。

このようなことにならないよう、あらかじめ以下のような遺言書を作成することがあります。

【例】

  • 「自宅と預貯金○○円は妻に相続させる」
  • 「自宅は子に、預貯金は妻に相続させる。加えて、妻には配偶者居住権を遺贈する」など

※配偶者居住権とは、簡単にいえば、相続が発生したときに、配偶者が自宅の所有権を取得しなくとも、一定の要件のもと、自宅に住み続けることができる権利のことです。

こうした遺言があれば、残された配偶者に自宅(又は配偶者居住権)とある程度の預貯金を残すことができ、配偶者の老後の生活を安定させることができます。

なお、配偶者居住権については、以下のページで解説しています。

 

会社を後継者に引き継がせたいケース

会社の大株主兼経営者(オーナー社長)や個人事業主の場合、相続によって後継者に株式や事業用資産を引き継がせていくことが必要な場合があります。

そのような場合に遺言書を残していないと、想定していた後継者に確実に会社や事業を引き継ぐことができないおそれがあります。

そのため、会社や事業を後継者に引き継がせたい場合には、遺言を積極的に活用し、確実な事業承継ができるよう取り計らっていきます。

社長・経営者の相続などについては、以下のページもご覧ください。

 

相続人以外の人や団体に遺贈をしたいケース

相続人以外の人や団体に財産を譲りたい場合、遺言書によって遺贈をする必要があります。

【例】

  • 相続人とならない孫に遺産を譲りたい
  • 介護をしてくれた長男の妻に遺産を譲りたい
  • 内縁の妻・夫や事実上の養子・養親に遺産を譲りたい
  • 同性のパートナーに遺産を譲りたい
  • 遺産をNPO団体や母校に寄付したい

遺言書による遺贈がなければ、亡くなった人の財産は全て相続人に引き継がれますので、相続人以外の人には譲ることができなくなってしまいます。

遺贈については、以下のページで詳しく解説しています。

 

相続争いを予防したいケース

相続争いを予防したい場合にも、遺言書が活用されています。

遺言書がない場合、相続人たちは、お互いに話し合って遺産を分割していくことになります(遺産分割協議)。

そうなると、場合によっては、次のような争いが起こってしまいます。

  • 自宅を売却するかしないかでもめる
  • 着物・貴金属など思い入れのある物を誰がもらうかでもめる
  • 預貯金などの流動資産と不動産のどちらをもらうかでもめる
  • 取扱いの難しいもの(売却困難な山林、修理が必要で賃借人との関係も悪化している貸家など)をだれが引き継ぐかでもめる

こうした相続争いが起きないよう、遺言書で、あらかじめ遺産分割の方法を指定しておくことがあります。

 

一部の相続人に遺産を多く渡したいケース

遺言書は、以下のように、「一部の相続人に法定相続分を超えて遺産を残したい」という場合にも活用することができます。

【例】

  • 長女には持参金などですでに多額の財産を譲り渡したから、残りの遺産の大部分は長男と次女に譲りたい。
  • 長女は介護などを献身的にしてくれたが、次女は親に迷惑をかけるばかりで見舞いにも来ないので、長女に財産の大部分を譲りたい
  • 次男は定職に就ける当てがないので、次男に多めに遺産を残したい
  • 障害のある次女に多くの遺産を残したい

 

 

遺書と遺言書の書き方・例文

自筆証書遺言書の書き方・例文

自筆証書遺言は、法律上の効果をもつものですので、意味が明確に読み取れるように記載することが大切です。

遺言書に書くことで大事なのは、主に以下の点です。

  1. ① 誰に譲るか
  2. ② 何を譲るか
  3. ③ どのようにして譲るか

遺言書では、これらの点について、明確に、誤解のないように書くことが大切です。

これらの点についての書き方を簡単にご紹介します。

 

①誰に譲るか

遺言書では、誰に財産を譲るかが明確になっていることが重要です。

相続人であっても、続柄や氏名だけでなく、生年月日も記載した方がよいです。

例 妻○○△△(●年●月●日生)

特に遺贈の場合は、氏名だけでなく、住所(できれば住民票上のもの)、生年月日も記載することが望ましいです。

例 □□○○(○○県○○市○○通り△―△―△。●年●月●日生)

 

②何を譲るか

遺言書では、何を譲るかについても誤解のないように記す必要があります。

不動産の場合は、登記事項証明書を見て、以下の事項を、表題部のとおりに書くようにしましょう。

  • 土地の場合

所在・地番・地目・地積

  • 建物の場合

所在・家屋番号・種類・構造・床面積

預貯金の場合は、名義人、銀行名、預金の種類(普通・定期など)、支店名、口座番号を記載します。

例 A銀行 普通 B支店 遺言者名義 口座番号○○

また、一つの財産を複数の相続人に譲る場合は、それぞれが取得する割合についても、忘れずに記載するようにしましょう。

 

③どのように譲るか

どのように財産を譲るのかについても、遺言書ではっきりと記載する必要があります。

【例】

  • 遺贈か相続か
  • 現物のまま譲るか売却して代金を分割するか など

 

自筆証書遺言の例文

自筆証書遺言(遺言書)の例文をご紹介します。

自筆証書遺言の例文

以下のページでも、自筆証書遺言(遺言書)のさまざまな文例・テンプレートをご提供しております。

どうぞご参考になさってください。

あわせて読みたい
遺言書の書き方・見本等

なお、自筆証書遺言は、手書きする必要がありますので、文字の書き方にも注意を払う必要があります。

何が書いてあるのか分からないような文字では、後日、相続人の間で読み方が分かれて争いになることもありますので、注意する必要があります。

きれいな字である必要はありませんが、はっきりと、読みやすく、丁寧に書くようにしましょう。

 

遺書の書き方・例文

遺書は、家族や大切な人への「最後の手紙」となります。

生前にお世話になったことへのお礼や愛情を、温かい言葉で伝えることが大切です。

思い出に残っていることなどを具体的に上げて、その時の気持ちや感謝の思いを加えることも、心に響くメッセージになるでしょう。

例:子どもが小学校に上がったときは、夫婦で喜び合い、とても幸せな気持ちになりました。

子どもにも、ここまで元気で思いやりのある優しい子に育ってくれてありがとう、と、感謝の気持ちでいっぱいになったものです。

気持ちを伝えるには、凝った装飾的な表現は不要です。

「あなたと一緒にいられて幸せでした」「これまでありがとう」など、シンプルで心のこもった表現で十分です。

気負い過ぎず、感謝の思いや愛情を言葉にしていきましょう。

一方、恨み言や不満を書いてしまうと、それが遺書として死後もずっと残ることになる上、もはやフォローや訂正をすることもできません。

残された方に対するマイナスの感情が読み取れる表現は、慎重に避けた方が良いとおもわれます。

また、遺書の中で子どもの一部にだけメッセージを残してしまうと、メッセージをもらえなかった子が傷つき、その後の兄弟仲にも影響するおそれがあります。

遺書を書くときには、そうした点にも配慮するようにしましょう。

 

知覧特攻平和会館に保存されている特攻隊の遺書

第二次世界大戦時に特攻隊に参加した方々も、多くの遺書を残しておられます。

知覧特攻平和会館では、保存されている特攻隊の方の遺書を閲覧することが可能です。

同会館のHPでも一部の遺書が公開されています。

特攻隊に参加した方々の遺書からは、若くして死地に赴くこととなった方々の切実な思いが感じられます。

参考:デジタルアーカイブ|知覧特特攻平和会館

遺書を書こうとお思いの方は、一度ご覧になってみると良いかもしれません。

 

 

遺言書の下書きを自動作成ツールで作成

遺言書を作成する際には、法律上のルールに沿って作成する、どの預貯金・不動産などを指しているか分かるように記載するなど、様々な注意すべき点があります。

そこで、当事務所では、遺言書の下書きを自動作成する「遺言書自動作成ツール」をご提供しております。

このツールを使えば、遺言書の形式や基本的な書き方、預貯金や不動産の表示方法などを簡単にご確認いただくことができます。

ただし、この自動作成ツールは、遺留分や相続税、例外的な事案や個別事情を考慮したものとはなっておりません。

この自動作成ツールで出力された遺言書の文案は、あくまで下書きとして参考程度にご利用ください。

 

 

遺言書が無効とならないためのポイント

判断能力があるうちに遺言書を作成する

有効な遺言書を作成するためには、判断能力があるうちに遺言書を作成することがとても大切です。

認知症などによって判断能力が衰えてしまうと、遺言書を作成しても、無効になってしまう可能性があります。

そのようなことにならないためにも、「まだ元気だから遺言書など必要ない」と考えず、判断力のあるうちに遺言書の作成を済ませておきましょう。

なお、認知症と診断されても、症状の程度や内容によっては、有効な遺言書を作れる場合もあります。

 

判断能力があったことを示す証拠を準備する

遺言書作成時の判断能力が争われた場合に備えて、遺言書を作成した当時に十分な判断能力があったことを示せるような証拠を準備しておきましょう。

証拠となり得るものとしては、次のようなものがあります。

  • 診断書
  • 介護認定審査の結果
  • 遺言者の様子や言動についての日記・日誌・動画
  • 遺言者自身の日記
  • 遺言書を作成しているときの様子(自分の判断で作成できているか、受け答えはしっかりできているかなど)を示す証人や動画

こうした証拠があれば、遺言書作成当時の判断能力を争うことが難しくなります。

そうすれば、遺言書が無効になるリスクを下げることができますし、相続争いが起こる可能性も下げることができます。

 

公正証書遺言を利用する

遺言が無効にならないようにするためには、公正証書遺言を利用することが考えられます。

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成しますので、形式の間違いによって無効になるリスクはほとんどありません。

判断能力についても、公証人が遺言者の状態を確認しますし、作成状況を確認する証人もいます。

そのため、自筆証書の場合よりは、判断能力を争われることは少なくなります。

ただし、公証人は、遺言書の内容の妥当性、有効性についてまでは確認してくれません。

遺言書の内容については、後にご説明するとおり、弁護士に相談して確認してもらうことが必要です。

また、公正証書遺言を作成した場合でも、遺言当時の判断能力が争われる可能性がないわけではありません。

公正証書遺言をする場合でも、判断能力に関する証拠も準備しておいた方が安心です。

 

遺留分の侵害に気を付ける

遺言書を作成する際は、遺留分を侵害される相続人が出ないかに気をつけることが大切です。

遺留分を侵害する遺言書は、法律的に「無効」となるわけではありません。

しかし、遺留分を侵害された相続人がいると、遺留分侵害額請求が行われることで、遺言書で目指した内容が一部実現できなくなる可能性があります。

遺言書を作成する際は、遺留分の侵害が起こらないよう注意しましょう。

ただ、そうはいっても、現金・預貯金・株式などの流動資産が少ない場合、自宅などを引き継ぐ相続人以外の遺留分を確保することが難しいこともあります。

その場合には、次のような対応を検討しておきましょう。

  • 生前に家族でよく話し合っておく
  • 遺言書の付言事項で遺留分を侵害される相続人への配慮を示す

ほかにも、遺留分を侵害される相続人に対して特別受益に当たる生前贈与をしている場合は、それに関する証拠を揃えておくことも効果があります。

特別受益とされる生前贈与には、次のようなものがあります。

  • 新居の建築資金
  • 住宅購入資金
  • 結婚資金(持参金など)

特別受益に当たる生前贈与があると、その分が遺産の先渡しとして計算されます。

これにより、特別受益を受けた相続人は、すでに遺産の一部をもらっていると評価され、遺留分の額が下がるので、遺留分侵害が起こりにくくなります。

特別受益については、以下のページで詳しく解説しています。

 

法務局の自筆証書遺言保管制度を活用する

令和2年(2020年)7月から、自筆証書遺言保管制度がスタートしました。

この制度では、自筆証書遺言を法務局で預かってもらうことができます。

そのため、相続人などによる遺言書の改ざんが疑われて遺言書が無効となるリスクや、相続人に遺言書を破棄・隠匿されたりするリスクがなくなります。

また、法務局では、遺言書を預かる際に、形式に不備がないかもチェックしてくれますので、形式的なミスによって遺言書が無効になるリスクも減らすことができます。

ただし、法務局では、遺言書の内容が適切かつ有効かについては確認してくれませんし、遺言書作成当時の判断能力についても確認してくれません。

遺言書の内容については弁護士に相談しましょう。

遺言書作成当時の判断能力については、診断書などの証拠を揃えておくようにしましょう。

 

相続に強い弁護士に相談する

遺言書を作成する際は、相続に強い弁護士に相談し、内容・形式についてアドバイスしてもらうことをおすすめします。

遺言書について弁護士に相談すると、次のようなメリットが得られます。

  • 遺言者の希望を聞いて、遺言書の文案を作成してくれる
  • 作成した自筆証書遺言が適切かつ有効なものか、形式面・内容面の両方にわたって確認してもらえる
  • 遺言者が希望している内容が遺言書に正確に反映されているか確認してくれる
  • 遺言しようとしている内容がトラブルを引き起こしかねないものとなっていないか確認してくれる
  • 遺留分の侵害が起こらないか確認してくれる
  • どのような遺言書にすればトラブルが起こりにくいかアドバイスしてくれる
  • 遺言者が望む方向性を実現する方法を具体的にアドバイスしてくれる
  • 公正証書遺言を作成する際の証人を手配してくれる(弁護士自身、法律事務所の事務員など)
  • 遺言書の保管を依頼できる

相続に強い弁護士に相談することのメリットについては、以下のページもご参照ください。

 

 

遺書についてのQ&A

遺言は「ゆいごん」「いごん」のどちらが正しい?

法律用語としては、「いごん」が正式な読み方となっています。

しかし、日常的には「ゆいごん」と読まれており、こちらも正しい読み方です。

法律用語として用いる場合でも、「ゆいごん」と読んで間違いとされることはないと思われます。

自分の気持ちをどうやって遺書に表現するの?

遺書は、自分らしい言葉で書き残すようにしましょう。

飾った表現や凝った表現は必要ありません。

感謝の気持ちなども、「ありがとう」「感謝している」「楽しかった」など、シンプルな言葉で表せば十分です。

より鮮明に自分の気持ちを伝えたいと思う場合は、遺書を読む人との思い出や日常生活のことなどを具体的に書き、その時の思いを交えて記すと、さらに気持ちが伝わりやすくなります。

例:子どもが不登校だった時は、あなたも心配なはずなのに、そのようなそぶりは見せずに一緒に子どもを見守ってくれましたね。そのことには、今でも感謝しています。

 

 

まとめ

今回は、遺書について解説し、遺書と遺言書の違い、遺言書の作成方法などについても取り上げました。

遺書は、死んだ後に自分の考えや気持ちを伝えて残すために書かれています。

遺書には法的な効力はありませんが、残された方々にとっては、とても大切なものとなります。

一方、遺言書は、遺産の分割方法や遺贈について書かれるもので、法的効力があります。

遺言書を作成するには、法律に定められた形式を守らなければいけない、遺留分を侵害しないように気を付けなければならない、内容が明確になるように書かなければならないなど、様々なポイントがあります。

こうしたポイントを押さえておかないと、せっかく遺言書を作成したのに無効になった、遺言書の有効性が争われて紛争になってしまった、などということになりかねません。

そのようなことにならないためにも、遺言書を作成する際は、相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所でも、相続問題を集中的に取り扱う相続対策チームを設け、遺言書に関する問題を含め、相続についてのご相談全般に広く対応しております。

オンラインや電話による全国からのご相談にも対応しております。

遺言書や相続に関することで、分からないことや不安なことがおありの方は、ぜひ一度、当事務所まで、お気軽にご相談ください。

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