遺留分侵害額(減殺)請求とは|請求の手順をわかりやすく解説


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


遺留分(いりゅうぶん)とは、亡くなった方(法律では「被相続人」(ひそうぞくにん)といいます。)が遺した相続財産のうち、一定の相続人に確保される持分割合のことです。

遺留分侵害額請求は、この遺留分の金額に満たない財産しか相続できなかった(遺留分が侵害された)ときに、足りない金額(遺留分を侵害された金額)をお金で支払うよう求めることです。

以前は似た制度として、「遺留分減殺(げんさい)請求」という制度がありました。

しかし、平成30年に成立した改正法(令和元年7月1日施行)により廃止されました。

そして、現在の「遺留分侵害額請求」の制度が始まったのです。

この記事でわかること

  • 遺留分侵害額請求とはどんな制度?
  • 侵害額の計算方法はどうなっているの?
  • 以前の遺留分減殺請求とどう違う?
  • 実際に遺留分侵害額請求をするときの手順は?

遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求権

身近な人が亡くなったとき、考えなければならないのが相続の問題です。

なにごともなく話し合いが進み、みんなが納得できる遺産分割ができれば何よりです。

しかし、そうはいかない場合もあります。

なかには、亡くなった方(被相続人)が遺言を遺していたけれど、その内容に納得できない、という方もいるでしょう。

たとえば、遺言で「財産は全て妻に相続させる。」とされていたら、子どもは遺産を全くもらえません。

子の中には、「納得できない!」と考える方もおられるでしょう。

一部の人に遺産を多く譲るという内容の遺言などによって十分な遺産をもらえなくなった人が主張できるのが、遺留分です。

遺留分は、相続財産のうち一定の相続人に確保された持分割合です。

遺留分侵害額請求権は、この遺留分を侵害されたときに、侵害された金額分だけお金を支払うように請求することができる権利のことです。

 

【根拠条文】

民法
(遺留分侵害額の請求)
第千四十六条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

引用元:民法|電子政府の窓口

遺留分侵害額請求の権利者

遺留分侵害額請求の権利者は

  1. ① 遺留分権利者
  2. ② その承継人(遺留分を譲り受けた人)

遺留分侵害額請求権があるのは、遺留分を有する遺留分権利者と遺留分を譲り受けた人(承継人といいます。)です。

遺留分権利者

遺留分権利者は、相続人となった人のうちの、

  1. ① 配偶者
  2. ② 子又は子の代襲相続人(孫など)
  3. ③ 直系尊属(親、祖父母など)

に当たる方です。

兄弟姉妹やおい・めいは遺留分権利者ではありません。

承継人

遺留分を譲り受けた人も、遺留分侵害額請求ができます。

遺留分を遺言や相続で受け継いだ人だけでなく、贈与や売買などで手に入れた人も承継人になります。

 

遺留分侵害額請求ができるのはどんな場合?

対象となる相手方

受遺者
遺言で遺産を受け取った人(受遺者)は、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
受贈者
被相続人から贈与を受けた人(受贈者)も、遺留分侵害額請求を受ける場合があります。

受贈者については、相続人かどうかで、遺留分侵害額請求を受ける条件に違いがあります。

受贈者が相続人以外の場合

相続人でない人が被相続人から次の①、②のいずれかに当たる贈与を受けた場合、遺留分を侵害していれば、遺留分侵害額請求の対象になります(民法1047条1項柱書の第2かっこ書)。

  1. ① 相続開始(被相続人の死亡)前の1年間にした贈与(民法1044条1項前段)
  2. ② 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与(相続の1年前よりも昔にされたものも含む。)
    (民法1044条1項後段)

 

受贈者が相続人の場合

贈与を受けたのが相続人の一人である場合は、次の両方の条件を満たす贈与があった場合に、遺留分侵害額請求の対象になります。(民法1044条3項、1項)

  1. ① 特別受益に該当する贈与(婚姻又は養子縁組のため、生計の資本として受けた贈与)
  2. ② 相続開始前の10年間にされた贈与

このように、相続人が贈与を受けた場合、その贈与が、相続開始前の10年間になされた特別受益に当たる贈与である場合に限り、その相続人に対して遺留分侵害額請求が可能となるのです。

ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与については、相続の10年前よりも昔にされたものであっても、遺留分侵害額請求の対象になります。

 

負担があった場合や安い価格での売買などは?

贈与に負担がついていた場合、負担の価額を控除した額の範囲で、遺留分侵害額を負担します(1045条1項)。

負担付きの贈与とは、たとえば、家(5000万円相当)を贈与する代わりに、贈与を受けた人が残りの住宅ローン(1000万円)を負担する、といったようなものです。

この場合、贈与を受けた受贈者は、

家の価額(5000万円) ― 負担の価額(1000万円) = 4000万円

の限度で、遺留分侵害額を負担します。

不相当な対価でなされた売買等は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたものに限り、その対価を負担の価額とする負担付贈与とみなされます(1045条2項)。

たとえば、被相続人が3000万円相当の家を500万円で売却した場合、買主と被相続人が遺留分権利者に損害を加えることを知って売買をしたのであれば、この売買は負担付贈与とみなされます。

そうすると、買主は、

家の価額(3000万円) ― 対価(500万円) = 2500万円

の限度で、遺留分侵害額を負担することになります。

受遺者・受贈者が相続人の一人である場合

相続人が遺留分侵害額請求の相手方となる場合、その相続人もまた遺留分を有している場合があります。

この相手方の遺留分を考慮せずに遺留分侵害額請求を認めると、今度は相手方の遺留分が侵害されてしまうことがあります。

そこで、遺留分侵害額請求を受ける相手方が相続人である場合、その相続人は、贈与の価額から自らの遺留分を控除した額を限度として、遺留分侵害額について責任を負うこととされています。(民法1047条1項柱書の第3括弧書)

こうすることにより、相手方の遺留分を保護しているのです。

遺留分侵害額請求の順番

受遺者や受贈者が複数いる場合、遺留分侵害額請求を受ける順番は、法律で次のように決められています。(民法1047条1項1~3号)

  1. ① 受贈者と受遺者が両方いる場合は、受遺者が先に負担します。
  2. ② 受遺者が複数いるとき、又は同時になされた贈与による受贈者が複数あるときは、受け取った財産の価額の割合に応じて負担します。
    (ただし、遺言でこれと異なる意思表示がされていた場合は、それに従います。)
  3. ③ ②以外の場合で、受贈者が複数あるときは、時系列順で、より後で贈与を受けた人から順番に負担していきます。

上記をまとめると下表のとおりとなります。

状況  負担の順番
①受贈者と受遺者が両方いる場合 受遺者が先に負担
②受遺者が複数、又は同時になされた贈与による受贈者が複数ある場合 財産の価額の割合に応じて負担
③受贈者が複数の場合 時系列順で、より後で贈与を受けた人から負担

遺留分侵害額請求の具体例

実際にどのような場合に遺留分侵害額請求できるのか、具体例を見てみましょう。

なお、各相続人の個別的遺留分や遺留分の計算方法の詳細については、後の「遺留分の計算~早見表付き」の項か、又は、こちらをご覧ください。

① 遺贈があった場合


亡Aさんには、妻Bと子Cがいました。

Aさんの遺産は3000万円相当でした。

ところが、Aさんには愛人Eがいました。

Aさんは、遺言で、愛人Eに財産全部を遺贈してしまいました。

そのため、妻Bと子Cは全く相続財産をもらえなくなりました。

 

妻Bと子Cは遺留分権利者ですので、それぞれ遺留分があります。

BとCの遺留分の金額は以下のとおりです。

妻B:3000万円 × 1/4(個別的遺留分) = 750万円

子C:3000万円 × 1/4(個別的遺留分) = 750万円

上のような場合には、妻Bと子Cは、全財産を譲り受けた愛人Eに対し、それぞれ750万円ずつ遺留分侵害額請求をすることができます。

② 一部の相続人に遺産を多く遺す遺言があった場合


亡Aには、子C,Dがいました。

相続財産は4000万円相当でした。

亡Aは、「子Cに全財産を相続させる」との遺言を残していました。

そのため、子Dは全く相続財産をもらえなくなりました。

子Dは遺留分権利者であり、遺留分を有しています。

子Dの遺留分の金額は

4000万円 × 1/4(個別的遺留分) = 1000万円

です。

上のような場合、子Dは、子Cに対し、遺留分侵害額請求をして1000万円の支払を求めることができます。

③ 多額の生前贈与があった場合

亡Aには、妻B、子Cがいました。

Aの財産は、もともと4000万円相当ありました。

ところが、Aは、亡くなる5か月前に、ずっと音信不通だった弟Fに再会できたことに感動し、財産のうち3400万円を弟Fに贈与してしまいました。

このことにより、Aの財産は、亡くなるときには600万円になっていました。

そのため、妻Bと子Cの相続分は、それぞれ300万円ずつにしかなりませんでした。

妻Bと子Cは遺留分権利者です。

ここで、それぞれの遺留分を計算してみましょう。

亡Aが亡くなる1年前までに贈与された財産は、遺留分を算定する基礎となる財産に含まれます。

そのため、亡Aの相続について、遺留分を算定する基礎となる財産は、相続財産600万円に贈与された3400万円を加えた4000万円となります。

つまり、妻Bと子Cは、それぞれ以下の金額の遺留分を有しています。

妻B:4000万円 × 1/4(個別的遺留分) = 1000万円

子C:4000万円 × 1/4(個別的遺留分) = 1000万円

しかし、実際には、妻Bと子Cは300万円ずつしか相続できなかったのです。

つまり、妻Bと子Cの遺留分は、それぞれ

1000万円 ― 300万円 = 700万円

ずつ侵害されているということになります。

上のような場合、妻B、子Cは、弟Fに対し、遺留分侵害額請求をして、それぞれ700万円の支払を求めることができます。

 

 

遺留分侵害額の計算方法

計算式

遺留分侵害額の計算方法は、民法1046条2項に定められています。

これを計算式にすると、以下のようになります。


遺留分の計算~早見表付き

遺留分は、以下の計算式で求めます。

早見表

各相続人の個別的遺留分は、下の表のとおりです。

誰が相続人となるかの組み合わせによって、遺留分が変わることがあるので、注意してください。

相続人 個別的遺留分
配偶者 直系尊属
配偶者のみ 1/2
配偶者と子 1/4 1/4
子のみ 1/2
配偶者と直系尊属 1/3 1/6
直系尊属のみ 1/3
配偶者と兄弟姉妹 1/2
*兄弟姉妹にはなし

子や直系尊属が複数いるときは、子、直系尊属の遺留分をその人数で割ったものが、1人分の遺留分となります。

具体例 子3人のみが相続人の場合

1人分の遺留分 1/2 ÷ 3 = 1/6

遺留分の計算について、詳しくはこちらをご覧ください。

具体例

具体的な例をもとに、遺留分侵害額を計算してみましょう。

 

具体例
亡Aには、妻Bと子Cがいました。
亡Aの遺産は4000万円でした。
特別受益・生前贈与・負債はありません。「妻Bに3600万円を相続させる」との亡Aの遺言があったため、各相続人の相続分は以下のとおりとなりました。
妻B:3600万円
子C:400万円

上の事例で、子Cの遺留分侵害額を計算してみます。

相続人として配偶者と子がいる場合、子の個別的遺留分は1/4なので、子Cの遺留分は

4000万円 × 1/4(個別的遺留分) = 1000万円

です。

今回のケースでは、Cは遺贈も贈与も受けておらず、相続債務の負担もないので、上記の遺留分の額から相続分に応じて取得できる額(400万円)を控除することで遺留分侵害額が求められます。

そうすると、遺留分侵害額は、

1000万円 ― 400万円 = 600万円

となります。

つまり、子Cは、妻Bに対し、遺留分侵害額請求をして600万円の支払いを求めることができるのです。

 

現実に遺留分の問題が起こった場合

先ほどの事例はごく単純なものですが、実際の事案では、

  • 贈与や遺贈が複数ある場合
  • 遺留分権利者も贈与などを受けている場合
  • 贈与や遺贈されたものの価額を算定しなければならない場合
  • 贈与や遺贈が遺留分侵害額請求の対象となるかはっきりしない場合
  • 被相続人に負債があった場合

など、複雑かつ専門的な問題が絡んでくる場合が多々あります。

そのため、遺留分侵害額請求を検討される際には、相続に詳しい弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

詳しくは、こちら(遺産相続を弁護士に相談すべき5つの理由)をご覧ください。

当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士、税理士等で構成されるチームであり、遺留分に関するご相談にも対応しています。

当事務所へのご相談の流れについては以下のページをご覧ください。

合わせて読みたい
ご相談の流れ

当サイトには、手軽に遺留分の概算ができる「遺留分計算シミュレーター」もございます。

こちらもどうぞご活用ください。

 

遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求の違い|法改正のポイント

いつから遺留分侵害額請求に変わったのか

令和元年7月1日より前に死亡した人の相続→遺留分減殺請求(旧法)

令和元年7月1日以後(同日を含む。)に死亡した人の相続→遺留分侵害額請求(新法)

 

以前は、遺留分を取り戻す方法として「遺留分減殺請求」という制度がありました。

しかし、この制度は、平成30年に成立した改正法(令和元年7月1日施行)により廃止されました。

そして、この改正法により、新しく、「遺留分侵害額請求」の制度が始まったのです。

令和元年7月1日より前に亡くなった方の相続では、旧制度である「遺留分減殺請求」をすることとなります。

同日以降(令和元年7月1日を含みます。)に亡くなった方の相続では、新しくなった「遺留分侵害額請求」をすることとなります。

遺留分侵害額請求に関する法改正のポイント

「財産そのものの取返し」ではなく「金銭による解決」に

法改正前の遺留分減殺請求は、遺留分を侵害する遺言や贈与の効果を失効させる、という制度でした。

その結果、遺言や贈与の対象となった物そのもの(不動産、株式など)に対する権利(所有権など)が、遺留分権利者に戻されていました。

しかし、この制度だと、対象となった物が遺留分権利者と受贈者又は受遺者の共有になってしまう、ということが多く生じました。

共有になってしまうと、その物を利用したり処分したりするために互いの合意が必要、ということになってしまい、多くの支障が生じます。

こうした現状を改善するため、遺留分減殺請求の制度が廃止され、新しく遺留分侵害額請求の制度が設けられました。

遺留分侵害額請求では、遺留分を侵害する遺言や贈与の効果は消滅することはありません

そのため、遺言などで受遺者などに譲られた財産そのものを取り返すことはできなくなりました。

代わりに、遺留分権利者には、遺留分を侵害された分に当たる金額を金銭で支払うよう求める権利が与えられたのです。

相続人に対する贈与について

法改正前の「遺留分減殺請求」では、相続人に対する贈与で特別受益に当たるものは、時期を問わずに遺留分算定のための財産の価額に含まれ、遺留分減殺の対象となるとされてきました。

しかし、法改正後の「遺留分侵害額請求」では、特別受益であっても、相続開始前10年以内にされたもののみが遺留分算定のための財産の価額に含まれることとなりました(民法1044条3項)。

そのため、相続開始前10年よりも前になされた贈与は、遺留分を考えるに当たっては考慮されないこととなりました。

ただし、被相続人と受贈者がいずれも遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与の場合は、10年より前の贈与であっても、遺留分を算定するための財産の価額に含まれます。

相続債務があった場合

遺留分侵害額請求を受けた受遺者又は受贈者が、遺留分権利者が承継する相続債務(被相続人の借金など)を消滅させる行為(弁済、免責的債務引受など)をすることがあります。

そのような場合は、受遺者又は受贈者が遺留分権利者に対して意思表示をすれば、消滅した債務の額の限度で、遺留分侵害額に係る債務を消滅させることができるようになりました。

支払期限の猶予がある

受遺者・受贈者でも、不動産など金銭以外のものを受け取った場合、遺留分侵害額請求を受けてもすぐには現金を用意できないことがあります。

そのような場合には、受遺者や受贈者は、裁判所に請求して、遺留分侵害額に係る債務の支払について一定の猶予期間をもらうことができます(民法1047条5項)。

 

 

遺留分侵害額請求の手順

遺留分侵害額請求の手順

  1. ①遺留分侵害額請求権の行使
  2. ② 事者間での話し合い・調停・訴訟

遺留分侵害額請求権の行使

遺留分侵害額請求をする場合、まずは、遺留分侵害額請求権の行使をします。

実際に遺留分の侵害に関する問題が生じた場合、まずは、相続人、受遺者、受贈者の間で話し合うことになるでしょう。

その中で、遺留分侵害額請求権の行使をする、といった内容の話をすることもあると思います。

しかし、遺留分侵害額請求権の行使は、内容証明郵便によってする方が良いです。

口頭や内容証明郵便以外の手紙などで伝えただけでは、後に相手方との間で「遺留分侵害額請求権を行使したかどうか」について争いになったとき、証拠が用意できない可能性があります。

そうすると、最終的に、遺留分侵害額請求権を行使した事実を立証することができなくなる可能性があるのです。

遺留分侵害額請求権の行使には、1年という厳しい期間制限があります。

そのため、遺留分侵害額請求権を行使した事実を立証することができないと分かった時点で請求権の行使をやり直そうとしても、もう手遅れになっている可能性が高いのです。

話し合いがスムーズに進みそうにない場合や、被相続人が亡くなってから1年の請求権行使の期限が迫っている場合は、後々遺留分侵害額請求権の行使をしたことを証明できるよう、日付と内容が証拠として残る内容証明郵便によって、遺留分侵害額請求権を行使する意思表示をすることを強くおすすめします。

内容証明郵便の書き方には、はっきりと遺留分侵害額請求権を行使することを書かなければならないなど専門的な知識が必要です。

一度、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

当事者間での話し合い

遺留分侵害額請求権を行使した後は、具体的な解決に向けて行動していきます。

解決方法の一つに、当事者間での話し合いがあります。

遺留分の回復のため、誰から誰に、どれだけの金額を、いつ支払うか、といった点について、当事者同士で話し合うのです。

当事者間での示談交渉であれば、裁判所を通さず、比較的少ない労力で短期間に問題解決できます。

しかし、あくまで当事者同士での話し合いとなるため、法律にのっとった適切な解決は保障されません。

また、相手方が交渉に応じない場合や決裂した場合には解決できません。

遺留分侵害額の請求調停

遺留分侵害額の請求調停は、家庭裁判所の調停で話し合い、当事者間の合意により解決する方法です。

参考:遺留分侵害額の請求調停 | 裁判所

当事者間での話し合いによる解決が難しい場合、裁判所の調停委員が間に入ってくれることで、解決できる場合もあります。

ただし、一般に調停手続は長い期間がかかり、裁判所に出向く必要もあるので相当な労力を要します。

なお、遺留分侵害額請求については、訴訟を提起する前に家庭裁判所での調停をする必要があります(調停前置主義といいます。家事手続法257条)。

訴訟(裁判)

調停で解決できなかった場合、次は、訴訟を提起して裁判をすることになります。

裁判では、最終的には裁判所が判決を下して、結論を出してくれます。

しかし、調停と同じく、一般に長期間を要します。

また、手続が複雑で、専門的知識が必要です。

詳しくは、以下のサイトを参照してください。

 

遺留分侵害額請求の注意点|時効・除斥期間

以下の①又は②のうち、より短い方の期間で消滅

①被相続人が亡くなったことと遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間
又は
②相続開始の時から10年

請求には時効がある

遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、相続の開始(被相続人が亡くなったこと)と遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効により消滅してしまいます。

かなり短い期間ですので、注意が必要です。

除斥期間

相続開始の時から10年経過したときも、遺留分侵害額請求権は消滅してしまいます。

 

【根拠条文】
民法
(遺留分侵害額請求権の期間の制限)
第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

引用元:民法|電子政府の窓口

 

まとめ

今回は、遺留分侵害額請求について、

  • 制度の内容
  • 遺留分侵害額請求の権利者及び相手方
  • 遺留分侵害額の計算方法
  • 以前にあった「遺留分減殺請求」との違い
  • 実際に遺留分侵害額請求をするときの手順
  • 時効等の期間

などの点を解説いたしました。

遺留分侵害額請求は、遺留分権利者に一定の財産を確保し、その生活を守るための重要な権利です。

しかし、遺留分の計算をするときなどに、複雑かつ専門的な知識が必要となってきます。

権利行使できる期間が短くもありますので、早めに、相続問題に精通した弁護士に相談されることをおすすめします。


[ 相続Q&A一覧に戻る ]

なぜ遺産相続のトラブルは弁護士に依頼すべき?

続きを読む

まずはご相談ください
初回相談無料