道路外出入車と直進車の事故は10対0になる?過失割合を解説

道路外出入車と直進車の事故の基本過失割合は90対10ですが、直進車側に全く落ち度がないケースなどでは10対0になる可能性があります。
具体的には、直進車の至近距離で相手が飛び出してきた場合や、相手側に重大な過失がある場合です。
この記事では、10対0が認められる具体的な条件や修正要素、納得のいく過失割合を勝ち取るためのポイントを弁護士が詳しく解説します。
※本文中の交通事故図は別冊判例タイムズ38民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版(東京地裁民事交通訴訟研究会編)を参考にしています。
道路外出入車とは

道路外出入車とは、駐車場やガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどの道路外施設への出入り、荷物の搬入のために、道路から道路外へ出たり、道路外から道路に進入したりする車両のことです。
主には、道路外から右折または左折で道路に進入するとき、道路から道路外へ右折するときに、道路を走っている車や対向車と衝突してしまう形で交通事故が起こります。
道路外出入車の過失が大きい理由
道路外の駐車場やガソリンスタンド・コンビニエンスストアなどの施設や場所に出入りするための右折や左折は、Uターンや横断と同じく交通の流れに逆らう運転操作となります。
そのため、道路から路外に出入りする場合には、直進車をはじめとする他の交通を妨げないように配慮すべき注意義務があるため、直進車より過失が大きくなります。
道路交通法25条の2がその根拠条文になります。
道路直進車の過失
他方で、道路を直進していた車両に全く落ち度がないかというと、そうではありません。
通常、路外の出入りをする車はウインカーをあげて合図をしたり、道路の脇で車の流れが途絶えるまで停止していたりしています。
そのため、道路を直進していた車両から、道路外から出てくる車両や道路外へ出ていく車両に注意することは基本的には可能であると考えられます。
したがって、道路を直進していた車についても、交通事故に対する過失が認められることになるのが原則です。
基本過失割合
このような、道路外を出入りする車両との交通事故についての基本の過失割合は、以下のとおり設定されています。
自動車同士の交通事故
直進自動車と道路外から右折または左折で進入する自動車との事故

| A:直進車 | B:路外車 | |
|---|---|---|
| 直進車と路外から右折または左折で進入する車両との事故 | 10 | 90 |
| 直進車と路外から左折で進入する車両との事故 | 10 | 90 |
以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。
-
直進車の過失に加算される修正要素
- 路外車の頭を出しての待機
- 路外車の既右左折とみられる場合、直進車の15㎞/h以上の速度違反
- 直進車の30㎞/h以上の速度違反
- 直進車の著しい過失
- 直進車の重過失など
-
直進車の過失に減算される修正要素
- 路外車の徐行なし
- 幹線道路
- 路外車の合図なし
- 路外車の著しい過失・重過失
直進車と路外へ出るために右折する車両との事故

| A:直進車 | B:右折車 | |
|---|---|---|
| 基本過失割合 | 10 | 90 |
以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。
-
直進車の過失に加算される修正要素
- 既右左折
- 直進車のゼブラゾーン走行
- 直進車の15㎞/h以上の速度違反
- 直進車の30㎞/h以上の速度違反
- 直進車の著しい過失
- 直進車の重過失など
-
直進車の過失に減算される修正要素
- 右折車の徐行なし
- 幹線道路
- 右折車の合図なし
- 右折車の著しい過失・重過失
単車(二輪車)と四輪車の交通事故
直進バイクと路外から右左折で進入する自動車との事故

| 直進車 (バイク) |
路外車 (自動車) |
|
|---|---|---|
| 基本過失割合 | 10 | 90 |
以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。
-
直進車の過失に加算される修正要素
- 路外車の頭を出しての待機
- 既に進入(左方から直進してきたバイク※のみ)
- 直進車の15㎞/h以上の速度違反
- 直進車の30㎞/h以上の速度違反
- 直進車の著しい過失
- 直進車の重過失など
-
直進車の過失に減算される修正要素
- 路外車の徐行なし
- 幹線道路
- 路外車の著しい過失・重過失
直進自動車と路外から右左折で進入するバイクとの事故

| 直進車 (自動車) |
路外車 (バイク) |
|
|---|---|---|
| 基本過失割合 | 30 | 70 |
以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。
-
直進車の過失に加算される修正要素
- 路外車の徐行なし
- 幹線道路
- 路外車の合図なし
- 路外車の著しい過失・重過失
-
直進車の過失に減算される修正要素
- 路外車の頭を出しての待機
- 路外車の既右左折
- 直進車の15㎞/h以上の速度違反
- 直進車の30㎞/h以上の速度違反
- 直進車の著しい過失・重過失など
道路外出入車との交通事故のポイント
道路外を出入りする車両との交通事故では、双方の過失割合が問題となります。
そこで、過失割合の示談交渉を円滑に進めるために気をつけておくべきポイントを解説します。
客観的な証拠を残しておく
交通事故で過失割合が問題になるケースでは、往々にして、互いの言い分のみが一人歩きして紛争が長期化するということになってしまいます。
したがって、過失割合の交渉を行う前提として、客観的な証拠を残しておくということが重要です。
主なものをご紹介しておきます。
- ドライブレコーダー
→衝突直前の相手の急な飛び出しや、こちらに回避の余地がなかったことを映像で直接証明できます。 - 防犯カメラの映像
→コンビニなどの映像から、事故全体を俯瞰して「相手の一方的な過失」を客観的に裏付けられます。 - 車両の損傷写真
→損傷の位置や程度から、衝突時の角度や速度を分析し、相手の無理な進入を特定する手がかりになります。 - 警察の実況見分調書
→警察が作成した公的な書類として、事故当時の正確な現場状況や当事者の主張を証明する強い根拠になります。 - 目撃者の証言
→利害関係のない第三者の声は、自分に落ち度がなかったことを客観的に補強する非常に有力な証拠となります。
防犯カメラの映像は、コンビニなどでは駐車場の前に設置していることが多いですが、順次上書きをしているため、データが消えてしまっていることもあります。
したがって、交通事故にあった場合には、できれば早めにコンビニにお願いして、データを保管しておいてもらう必要があります。
また、目撃者の証言は、同乗者といった当事者に関係する者ではなく、たまたまその場を歩いていた人のような純粋な第三者であれば、客観性が高くなります。
こうした証拠が後になって必要となることもありますので、交通事故当初は争いはなさそうだからと思っていても、念のためチェックしておくことが大切です。

