高次脳機能障害の平均余命と寿命|家族の不安と対策

高次脳機能障害とは、「頭部外傷や脳血管障害などの原因により脳に損傷をきたした結果、言語、記憶、注意、遂行機能、社会的行動といった認知機能や精神機能に障害が生じた状態」を指します。
具体的には、新しいことが覚えられない(記憶障害)、集中力が続かない(注意障害)、感情のコントロールができず怒りっぽくなる(社会的行動障害)といった症状が代表例です。
高次脳機能障害そのものが直接の原因となって人間の寿命を縮めるという医学的根拠は存在していません。
しかし一方で、障害の重症度やそれに伴う身体状況の変化によっては、間接的に余命へ影響を及ぼすリスクが存在するのも事実です。
この記事では、高次脳機能障害を負った場合の平均寿命の考え方や、余命が賠償金に与える影響、保険会社が余命短縮の主張をしてきた場合の対処法などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。
目次
高次脳機能障害で平均余命(寿命)は短くなるのか?

高次脳機能障害そのものが寿命を縮めるわけではない
結論からお伝えすると、高次脳機能障害そのものが直接の原因となって人間の寿命を縮めるという医学的根拠は存在していません。
しかし一方で、障害の重症度やそれに伴う身体状況の変化によっては、間接的に余命へ影響を及ぼすリスクが存在するのも事実です。
そもそも高次脳機能障害とは、「頭部外傷や脳血管障害などの原因により脳に損傷をきたした結果、言語、記憶、注意、遂行機能、社会的行動といった認知機能や精神機能に障害が生じた状態」を指します。
具体的には、新しいことが覚えられない(記憶障害)、集中力が続かない(注意障害)、感情のコントロールができず怒りっぽくなる(社会的行動障害)といった症状が代表例です。
ここで重要なのは、脳の認知機能を司る部分の障害(高次脳機能障害自体)が、心臓や肺といった生命維持に直結する臓器の寿命を直接的に縮めるわけではないということです。
たとえば、記憶障害や性格変化の症状が重く残ったとしても、身体が健康でご自身で動ける状態であれば、生命そのものの危険に直結することは通常ありません。
そのため、加害者側の保険会社から「高次脳機能障害だから平均余命は短いはずだ」といった主張がなされたとしても、そのような主張には医学的にも法的にも合理性がないと言えます。
ご家族が高次脳機能障害を負ったという場合、まずは「病気によって、すぐに命に関わるわけではない」という点を正しくご理解いただくことが大切でしょう。
重度障害(寝たきり等)による合併症リスクについて
高次脳機能障害そのものが直接寿命を縮めるわけではない一方で、交通事故による脳の損傷が著しく激しく、四肢の麻痺や寝たきり状態、意識障害などの重度の身体的障害を併発している場合には、注意が必要です。
このような場合、日常生活の活動量が極端に低下すること(廃用症候群)により、二次的な合併症リスクが急激に高まり、結果として余命に影響を及ぼす(生存期間が短くなる)可能性があります。
注意すべき代表的な合併症リスクとして、以下のようなものが挙げられます。
脳の損傷によって食べ物や唾液をうまく飲み込めない「嚥下障害(えんげしょうがい)」が生じると、気管に細菌が入り込み、命に関わる重篤な肺炎を引き起こしやすくなります。
胃ろうなどの人工栄養を余儀なくされている場合でも、口腔内の唾液が肺に垂れ込むことで発症するリスクがあります。
自力で寝返りが打てない寝たきりの状態が続くと、皮膚が圧迫されて褥瘡(じょくそう:床ずれ)ができ、そこから細菌が侵入して敗血症などの全身感染症を引き起こすことがあります。
また、尿道カテーテルを留置している場合は、尿路感染症のリスクもあります。
絶対安静の状態で筋肉を使わずにいると、わずか1週間で10%〜15%もの筋力が低下すると言われています。
これに伴い、心肺機能や内臓機能も徐々に低下し、身体全体の免疫力や抵抗力が著しく損なわれてしまいます。
このように、余命に影響を与える真の原因は「高次脳機能障害」そのものではなく、それに付随する「重度の身体的麻痺や寝たきり状態による二次的な合併症」であることを知っておく必要があります。
【統計データ】高次脳機能障害の平均余命
高次脳機能障害を抱えた方の平均余命はどのように捉えられているのでしょうか。
高次脳機能障害だからといって一律に余命が短縮するわけではありません。
しかし、過去の統計データ(東京都福祉保健局の推計資料など)によると、高次脳機能障害を抱える方の平均余命は、病気や障害のない健常者の平均余命(厚生労働省「簡易生命表」に基づく数値)と比較して、数値上は短い傾向にあることが報告されています。
以下は、発症年齢ごとの高次脳機能障害者と健常者の平均余命を比較した統計データの一覧表です。
| 年齢 | 高次脳機能障害者の平均余命 | 健常者の平均余命 |
|---|---|---|
| 5歳 | 53.26年 | 76.29年 |
| 15歳 | 46.16年 | 66.36年 |
| 25歳 | 39.08年 | 56.58年 |
| 35歳 | 32.17年 | 46.85年 |
| 45歳 | 24.22年 | 37.26年 |
| 55歳 | 15.78年 | 28.01年 |
| 65歳 | 8.41年 | 19.47年 |
| 75歳 | 3.89年 | 12.08年 |
※健常者の平均余命は2024年「簡易生命表」に基づいています。
| 年齢 | 高次脳機能障害者の平均余命 | 健常者の平均余命 |
|---|---|---|
| 5歳 | 61.78年 | 82.34年 |
| 15歳 | 54.05年 | 72.41年 |
| 25歳 | 46.37年 | 62.58年 |
| 35歳 | 38.84年 | 52.76年 |
| 45歳 | 30.15年 | 43.03年 |
| 55歳 | 20.76年 | 33.54年 |
| 65歳 | 10.98年 | 24.38年 |
| 75歳 | 4.46年 | 15.75年 |
※健常者の平均余命は2024年「簡易生命表」に基づいています。
余命が「賠償金」に与える重大な影響とは
将来介護費は「平均余命」を基準に計算される
交通事故などによって引き起こされる高次脳機能障害は、被害者ご本人の生活を一変させるだけでなく、ご家族の経済的な未来にも重い影を落とします。
特に、被害者の「余命(寿命)」がどのくらいと判断されるかは、加害者側から支払われる損害賠償金の総額を左右する極めて重要な要素となります。
高次脳機能障害によって重度の後遺障害(自賠責保険の1級や2級など)が残り、生涯にわたって他者の介助や見守りが必要となった場合、重要となる賠償項目が「将来介護費」です。
これは、将来にわたって生じる介護費用を、示談や裁判のタイミングで一括して受け取るためのものです。
そして、将来介護費を算定するためには、以下の計算式が用いられます。
このような数式からも明らかなように、金銭の算定基礎となる「期間」は、症状が固定した時点における被害者の「平均余命」が基準となります。
国の公的データである厚生労働省の「簡易生命表」に基づき、その年齢の人が平均してあと何年生きられるかという期待値(余命)をそのまま介護が必要な期間として当てはめるのが原則です。
介護日額の目安は、誰が介護を担うかによって異なります。
ご家族が対応する「近親者介護」の場合は1日あたり8,000円〜9,000円程度が裁判実務上の目安とされ、身体的負担の重さによって増減します。
また、看護師やヘルパーに依頼する「職業介護」や「施設介護」では実費全額の請求が原則です。
これらを組み合わせ、親が元気なうちは近親者介護、高齢化してからは職業介護へ移行するといった複合的なプランで算定することも一般的です。
ここで、将来の利息分をあらかじめ差し引く「中間利息控除」を行うための「ライプニッツ係数」を掛け合わせて総額を算出します。
例えば、40歳の男性(平均余命約42年)で近親者介護(日額8,000円)が認められた場合、年間約292万円に42年分の係数23.7949(法定利率年3%の場合)を乗じるため、将来介護費だけで約6,948万円という極めて高額な賠償金となります。
もし、加害者側の保険会社から「高次脳機能障害だから余命が短い」として、この基準となる平均余命期間を不当に短く削られてしまうと、数千万円単位で賠償金が目減りしてしまうことになります。
ご家族のこれからの生活を守るためにも、平均余命通りの期間を認めさせることが重要となります。
逸失利益における労働可能期間との関係
余命が賠償金に直結するもう一つの重要な項目が、後遺障害による「逸失利益(いっしつりえき)」です。
逸失利益とは、交通事故に遭わなければ将来にわたって得られたはずの予想収入(減収への補償)のことを指します。
高次脳機能障害の逸失利益は、以下の計算式で算出されます。
「後遺障害逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」
基礎収入は原則として事故前年の年収(学生や若年労働者の場合は平均賃金である「賃金センサス」)を用い、重度の高次脳機能障害(1〜3級)であれば、本来の労働能力を100%失ったもの(労働能力喪失率100%)として計算します。
そして、この計算において期間の役割を果たすのが「労働能力喪失期間」です。
裁判実務では、労働ができる期間を原則として「原則18歳(または大学卒業時)から67歳まで」と定めています。
つまり、事故時の年齢から67歳に達するまでの年数が労働能力喪失期間となり、その期間に応じたライプニッツ係数を掛け合わせて計算します。
例えば、若年層や働き盛りの年代で重度の障害を負った場合、本来失われた数十年分の収入を補償しなければならないため、数千万円から1億円を超えるような極めて大きな賠償額になります。
ここでも、「余命短縮の主張」がなされることが多々あります。
これは、加害者側から「被害者は重度の障害により、そもそも67歳まで生存している可能性が低い(平均余命がそれ以前に尽きる)」といった、生存期間そのものの短縮を理由に労働可能期間の短縮を主張されるケースです。
生存していることが前提の労働期間ですから、余命そのものを短く認定されてしまえば、将来の収入補償である逸失利益も同時に大きく減額されてしまう危険が生じます。
このように、平均余命や生存期間の判断は、将来介護費のみならず、就労の補償である逸失利益の基盤をも揺るがす重大な影響力を持っています。
【注意】保険会社が「余命短縮」を主張してくる可能性
なぜ加害者側は「余命が短い」と主張するのか?
加害者側の保険会社が、被害者の「余命が短い」と主張してくる理由は、支払うべき損害賠償金の総額、とりわけ高額になりうる将来介護費や逸失利益を抑え込みたいためです。
高次脳機能障害のなかでも重篤なケースでは、呼吸器の感染症や褥瘡(床ずれ)による感染症といった深刻な合併症のリスクが健常者より高まることは否定できません。
保険会社によっては、医学的な事実や一部の古い統計データを都合よく引き合いに出し、「通常の人と同じようには生きられない」、「余命はあと5年/10年が妥当だ」といった極端な主張をしてくる可能性もあります。
このような保険会社の主張を安易に飲んでしまうと、本来被害者が受け取るべき補償が激減してしまいます。
高額な介護費用が受け取れなくなってしまうと、被害者ご本人の不利益のみならず、看病を続けるご家族の経済的破綻にもつながります。
保険会社は、自社の賠償金の負担を減らすために、法律や医療の知識が乏しい被害者ご家族に対して余命短縮を主張してくるというシビアな実態があることを認識しておいてください。
保険会社の主張に対する法的な反論方法
示談交渉の現場で保険会社から「長く生きられないのだから、介護費の期間も短くなる」と主張されたとしても、そのような独自の基準や提案を鵜呑みにして安易に合意書にサインしてはいけません。
被害者側としては、原則として「厚生労働省が公表する簡易生命表に基づく平均寿命(平均余命)を全期間認めるべきである」という立場を、一貫して主張する必要があります。
まず、過去の古いデータではなく、現代の医療技術に基づき、適切な介護環境さえ整っていれば健常者と同様に生きられる可能性が十分にあることを主張することが重要です。
また、被害者の状態を日々診察している主治医の医学的見解も重要です。
医師から「現在の全身状態は極めて安定しており、直ちに余命が短縮すると言える医学的根拠はない」といった旨の意見書があれば、客観的な証拠として示すことができます。
交通事故に強い弁護士に相談したうえで専門的な反論体制を構築すれば、保険会社の主張を退けられる可能性が高まるでしょう。
過去の判例から見る裁判所の判断基準
実際の裁判において、裁判所は高次脳機能障害や遷延性意識障害を抱えた被害者の余命について、どのような判断を下しているのでしょうか。
近年の裁判実務における基本的な考え方は、「個別の事案において、具体的な医学的・客観的証拠がない限り、加害者側による安易な余命短縮の主張は認めず、原則として簡易生命表通りの平均余命を適用する」というものです。
過去には、遷延性意識障害の被害者について余命を短期間に制限するような古い最高裁判決が存在したため、損害保険会社は今でもその前例を盾に交渉してくることがあります。
しかし、近年の下級審裁判例では、被害者側の徹底した立証によってその前例を覆すような画期的な判決も多く出されています。
ただし、注意しなければならないのは、すべての事案で自動的に平均余命が認められるわけではないという点です。
過去には、すでに重篤な感染症を頻発しているなど、生存の危機に関わる具体的な医学的証拠を加害者側に立証され、例外的に余命制限が認められてしまった減額事例も存在します。
つまり、裁判所で平均余命の主張が認められるためには、個別の症状やリハビリの回復過程、身体的麻痺の有無などを精緻に見極め、説得力のある法的主張を構築できる専門的なノウハウが不可欠となります。
したがって、保険会社から余命短縮を迫られた段階で、速やかに交通事故と高次脳機能障害に詳しい弁護士へ相談のうえ、対処することが重要となるのです。
将来の安心を守るため弁護士ができること

適正な後遺障害等級の認定サポート
高次脳機能障害による適切な損害賠償額を勝ち取るためには、適切な後遺障害等級の認定を受けることが絶対条件となります。
後遺障害等級の認定は、提出する後遺障害診断書や検査結果、証拠書類の充実度によって結果が大きく左右されます。
しかし、治療を担う医師はけがを治す医療の専門家であり、必ずしも賠償請求における後遺障害の緻密な認定基準に精通しているわけではありません。
そのため、医師が作成した診断書の記載内容に不備があったり、必要な検査データが不足していたりすると、実際の重篤な症状よりも軽い等級に評価されてしまうという可能性もあります。
交通事故に強い弁護士であれば、高次脳機能障害の認定実務に精通しているため、適切な等級認定を得るために本当に必要な検査項目や、診断書に盛り込むべき具体的な症状の記述方法について、医師と円滑に連携しながら的確なアドバイスを提供できます。
医療記録やリハビリ経過の徹底的な収集・分析を行い、損害保険料率算出機構(損保料率機構)に対して漏れのない完璧な「被害者請求」の手続きを遂行できるのは、弁護士ならではの大きな専門性です。
すでに不当に低い認定結果が出てしまっているケースでも、専門的見地から異議申立てを行い、妥当な等級への逆転を目指すサポートも可能です。
煩雑な交渉を任せ、介護に専念できる環境作り
重度の障害を負ったご家族のケアをしながら、加害者側の保険会社と直接やりとりを続けることは、想像を絶する精神的ストレスを伴います。
保険会社の担当者は平日の日中に連絡をいれてくるため、仕事や家事、日々の看病に追われるご家族がその都度対応を迫られるのは時間的にも非常に困難です。
さらに、担当者から浴びせられる専門的で難解な説明や、「長く生きられない」といった言葉は、ご家族の心を深く傷つけ、ストレスを増大させる一方です。
弁護士に対応を依頼して、弁護士が受任通知を送付すれば、保険会社との交渉窓口はすべて弁護士事務所に一本化されます。
すべての交渉や事務手続きを弁護士が一手に引き受けるため、ご家族は手続き的なストレスから解放されます。
これにより、ご家族は最も大切な「被害者ご本人の介護やリハビリへの付き添い、家族としての寄り添い」にすべての時間と労力を注ぎ、穏やかな環境を取り戻すことができます。
さらに、弁護士が介入することで、保険会社が利用する低額な「自賠責基準」や「任意保険基準」ではなく、最も高額な「弁護士基準(裁判基準)」をベースにした交渉が可能になるため、最終的な獲得賠償額が数百万円から数千万円単位で増額される可能性が飛躍的に高まります。
当事務所では、高次脳機能障害を抱える被害者ご家族を全力で支えるため、初回の法律相談を無料で承っております。
弁護士費用特約が利用できる場合は、自己負担なしでご依頼いただくことも可能です。
「保険会社の言うことに納得がいかない」、「これからの介護費用が不安で眠れない」とお悩みの方は、まずは一人で抱え込まず、私たちの無料相談へお気軽にお問い合わせください。
将来の安心を守るための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。
高次脳機能障害と余命についてのQ&A

保険会社から「余命はあと10年」と言われました。受け入れるべきですか?
保険会社から余命を主張されたとしても、安易に受け入れてはいけません。独断で同意書にサインをしないよう強く警告いたします。
加害者側の損害保険会社が「重篤な障害を負った被害者は短命である」として、余命を10年や20年といった短い期間に制限して提示してくるのは、支払う賠償金の総額(特に高額な将来介護費)を大幅に削減したいからです。
近年の裁判実務では、具体的な医学的証拠がない限り、加害者側による一方的な余命短縮の主張は認められず、原則として「厚生労働省の簡易生命表に基づく平均余命」がそのまま適用される傾向にあります。
主治医による「全身状態は安定しており、直ちに余命が短縮する根拠はない」といった旨の意見書や、具体的な介護状況の報告書、類似の有利な判例を揃えて的確に反論することが不可欠となります。
数千万円単位の介護費を削られないようにするためにも、まずは交通事故に強い弁護士へ早急に相談するようにしてください。

将来介護費の受け取り方は一時金以外にもありますか?
「一括払い(一時金)」のほかに「定期金賠償」という毎月定額で受け取る方法があります。示談成立時に将来の介護費用を他の賠償金とまとめて一括で受け取る方法です。
万が一、被害者の方が平均余命より早く亡くなってしまった場合でも、すでに受け取った介護費を返還する必要がない点がメリットです。
一方で、将来発生する利息分が事前に差し引かれる(中間利息控除)ため手元に入る総額が減る点や、想定される平均余命を超えて長生きした場合にはそれ以降の介護費が一切支給されないというデメリットがあります。
毎月、または毎年、定額の介護費を継続して受け取る方法です。
中間利息が控除されないため満額を受け取れる点や、被害者の方が平均余命を超えて長生きした場合でも生存している限り生涯にわたって介護費が支給され続けるため、長期の安心につながるメリットがあります。
ただし、加害者側の保険会社が万が一倒産した場合にはその後の支払いが途絶えるリスクがある点や、平均余命より早く亡くなった時点でその後の支払いがすべて打ち切られてしまうというデメリットがあります。

意識が戻らないと余命はどのくらいですか?
余命については、脳の損傷部位や程度、合併症の有無によって異なるため、一概に「生存期間」が決まっているわけではありません。交通事故による頭部外傷で激しい衝撃を受けると、脳挫傷や脳出血、神経線維が広範囲に断裂する「びまん性軸索損傷」などを引き起こし、重度の意識障害(意識不明)に陥ることがあります。
一般的に、意識不明の状態が6時間以内に回復すれば後遺症が残らないか軽度で済む可能性が高いとされています。
しかし、自力での移動や摂食、意思疎通が全くできない状態が3か月以上続くと「遷延性意識障害(いわゆる植物状態)」と定義され、そこからの意識回復は非常に困難となります。
この遷延性意識障害を負った場合でも、徹底した栄養管理や褥瘡(床ずれ)予防、呼吸器管理によって、健常者と変わらない期間を生きられるケースも数多く存在します。
したがって、意識が戻らない場合であっても、安易に短い生存期間を前提にすべきではなく、個別の状態を医学的に正しく評価することが重要となります。

高次脳機能障害の後遺症とは?
交通事故の強力な衝撃によって脳を損傷した結果、考える力、記憶力、感情のコントロール、判断力といった「人間らしい高度な脳の機能」に問題が生じます。主な症状は以下の4つの局面に分類されます。
新しい出来事や予定をどうしても覚えられない、今日が何月何日か分からない、自分が今どこにいるのか見失う、少し前に自分が話したことや行動した内容を完全に忘れてしまうといった症状です。
1つの物事に集中し続けることができず、常にぼんやりしてしまう、周囲の雑音に気を取られて作業が手につかない、同時に2つの作業を並行して行うことができないといった状態を指します。
物事の計画を立てて順序よく進めることができなくなる症状です。約束の時間を守れない、買い物の段取りが組めない、日常生活や仕事で同じ間違いを何度も繰り返してしまうといった支障が出ます。
感情の抑制が効かなくなり、ささいな不快感で突然激しい怒りを爆発させる、興奮して大声を出す、周囲の人の気持ちや状況をまったく理解できず一方的に振る舞うなど、人格が豹変したように見える深刻な症状です。
まとめ
高次脳機能障害は、交通事故等による頭部外傷が原因で発症することがあります。
被害者のご家族にとって「この障害によって平均余命は短くなってしまうのか」という疑問や不安は切実な問題です。
障害そのものが直接寿命を縮めるわけではありませんが、寝たきり状態に伴う合併症のリスクや、それに伴う将来介護費・逸失利益といった「損害賠償金の計算」には、余命の長さが極めて重大な影響を与えます。
少しでも賠償金を抑えようとする保険会社から、不当な「余命短縮の主張」を突きつけられた場合、医学的知見に基づいた正しい反論を行わなければ、将来の安心のための十分な資金を失いかねません。
適切な賠償金を受け取り、ご家族が安心して介護に専念できる環境を整えるためにも、まずは交通事故や高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
デイライトでは、交通事故を専門とし、後遺障害に詳しい弁護士がチームで被害者のサポートを全力で行っており、多くの被害者の相談に対応してきた実績もあります。
オンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。





