交通事故の高次脳機能障害とは?症状・後遺障害認定|弁護士が解説

交通事故によって脳に強い衝撃を受けると、外見からは分かりにくい記憶障害や注意障害、性格の変化といった「高次脳機能障害」を発症することがあります。
この障害は「見えない障害」と表現されることが多く、周囲に辛さが伝わりにくく、ご家族だけで抱え込んで孤立してしまいがちです。
また、今後の治療費や生活費を確保するためには、複雑な医学的証拠を揃えて適切な「後遺障害等級」を獲得しなければなりませんが、専門知識のない個人での対応には限界があります。
そのため、適正な損害賠償金(示談金)を受け取るためには、法律の専門家である弁護士のサポートが欠かせません。
この記事では、高次脳機能障害の代表的な症状や後遺障害等級の認定基準、賠償金の相場、弁護士に依頼するメリットなどについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。
交通事故の高次脳機能障害とは?
そもそも高次脳機能障害とは?
高次脳機能障害とは、事故や病気などによって脳が肉体的なダメージを負った結果、記憶、注意、判断能力、感情のコントロールといった人間に不可欠な認知機能に支障が生じる状態をいいます。

人間の脳は、目や耳から入ってきた情報を単に処理するだけでなく、過去の経験や知識と結びつけて理解し、状況に応じた適切な計画を立てて行動に移すという複雑なネットワーク機能(高次脳機能)を持っています。
このネットワークが損傷すると、手足が動かないといった分かりやすい身体的麻痺がなくても、日常生活や社会生活に重大な困難をきたすようになります。
高次脳機能障害を負うと、後で詳しく解説するように、「今朝の食事の内容を忘れてしまう(記憶障害)」、「1つのことに集中できずミスを連発する(注意障害)」、「物事を順序立てて実行できない(遂行機能障害)」といった症状が現れます。
些細なことで激昂したり、人が変わったように幼稚になったりする「社会的行動障害(人格・性格の変化)」も典型例です。
さらに、高次脳機能障害によってご家族が苦しむ要因は、その障害の「見えにくさ」にあります。
身体的な障害が軽い場合、外見からは至って健康そうに見えるため、周囲の第三者からは「不真面目な人」や「やる気がない人」、「礼儀がなっていない人」などと誤解されやすく、本人やご家族が孤立してしまうケースが少なくありません。
また、脳の損傷そのものの影響により、本人自身に「障害がある」という自覚(病識)が欠如していることも多く、ご家族の精神的・肉体的負担が非常に大きくなりやすい障害と言えます。
なぜ交通事故で高次脳機能障害が起こるのか?
高次脳機能障害が起こる原因には、大きく分けて次の3つがあります。
- 脳血管障害による脳の損傷
- 頭部外傷による脳の損傷
- 脳腫瘍・低酸素脳症・ウイルス性脳炎など
症例として一般的に多いのは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった「脳血管障害による脳の損傷」です。
脳の血管が詰まったり破れたりすると、血液が運ぶはずの酸素や栄養が脳細胞に行き渡らなくなり、短時間で細胞が壊死して神経ネットワークが断絶してしまいます。
また、溺水や心肺停止、一酸化炭素中毒などによって脳が酸欠状態になる「低酸素脳症」や、ウイルスが脳に侵入して炎症を起こす「ウイルス性脳炎」、腫瘍の増大やその治療によって脳がダメージを受ける「脳腫瘍」なども原因となります。
これらに対し、交通事故によって高次脳機能障害が発生するメカニズムは「頭部外傷による脳の損傷(外傷性脳損傷)」に分類されます。
交通事故による衝撃により、頭部が車体や地面に強く打ち付けられると、脳の内部には急激な回転加速度や揺れが生じます。
人間の脳は「大脳」「小脳」「脳幹」に分かれており、豆腐のように柔らかい組織が頭蓋骨の中に収まっています。
強い衝撃を受けると、脳が硬い頭蓋骨の骨面に激突し、特に人間の理性や記憶を司る「前頭葉」や「側頭葉」が局所的に削られるように傷つきます(脳挫傷)。
さらに、交通事故特有の恐ろしいメカニズムとして「びまん性軸索(じくさく)損傷」があります。
これは、急激な加減速や回転のエネルギーによって、脳全体の神経線維(軸索)が一斉に引き裂かれたり、目に見えないレベルでねじ切られたりする損傷です。
この場合、CTやMRIといった一般的な画像検査では、はっきりとした出血(急性硬膜下血腫や脳内出血など)が見られないにもかかわらず、脳のネットワークが広範囲にわたって寸断されているため、事故後に重篤な高次脳機能障害を引き起こす原因となります。
高次脳機能障害の代表的な症状とは?

注意障害
注意障害とは、物事に集中したり、一つの作業に意識を向け続けたりすることが困難になる状態をいいます。
脳の処理能力が低下しやすく、複数の情報が同時にあるとパニックに陥りやすいのも特徴です。
- 些細なことで気が散りやすく、ケアレスミスや忘れ物が増える
- ぼーっとしている時間が増え、相手の会話のスピードについていけない
- 二つの作業を同時に行うと混乱し、長時間の作業が続けられない
記憶障害
記憶障害とは、新しい出来事を覚えたり、過去の記憶を保持して必要な時に思い起こしたりする能力が損なわれる状態です。
事故前の記憶はあっても、事故後の日常的な記憶が抜け落ちやすくなります。
- 少し前に自分が話した内容や、人から指示された約束事をすぐに忘れる
- 同じ質問を何度も繰り返し、物の置き場所が分からなくなる
- 作業を途中で遮断されると、直前まで何をしていたか思い出せない
失語症
失語症とは、脳の言語中枢が損傷し、言葉を「聴く・話す・読む・書く」というコミュニケーション全般に支障が出る状態です。
喉や舌の麻痺ではなく、脳が言葉の意味を処理できなくなります。
- 相手の話している言葉の意味が理解できず、質問に正しく答えられない
- 伝えたい言葉がうまく浮かばず、たどたどしい話し方になる
- 文字の読み書きが難しくなり、簡単な数字の計算もできなくなる
遂行機能障害
遂行機能障害とは、目的を持って物事を計画し、順序立てて実行していく能力が低下する状態です。
物事の優先順位がつけられず、不測の事態に臨機応変な対応ができなくなります。
- 仕事や家事などの段取りが立てられず、行き当たりばったりの行動になる
- 他人に指示を細かく出してもらわないと、自発的に次の行動に移れない
- 約束の時間に遅れることが増え、家計や金銭の管理が困難になる
半側空間無視
半側空間無視とは、視力そのものには全く問題がないにもかかわらず、脳の損傷と反対側(主に左側)の空間にある情報や物体を、認識・自覚できなくなる障害です。
- 左側にある障害物や人に気づかないため、歩行中に何度もぶつかる
- 食事の際、お皿の左半分に盛られたおかずだけを残してしまう
- 無意識のうちに顔や視線が常に右側ばかりを向いている
社会的行動障害
社会的行動障害とは、感情のコントロールや社会的なマナーを守るための自己抑制が難しくなる状態です。
性格が急変したように見えるため、家族が最も困惑しやすい症状です。
- 些細なことでイライラし、大声で怒鳴ったり暴力を振るったりする
- 周囲の状況に配慮できず、自分の欲求を優先する自己中心的な言動をとる
- 急に意欲を失ってふさぎ込み、自宅から全く外出しなくなる
病識の欠如
病識の欠如とは、自分自身に記憶の低下や性格の変化といった「障害があること」を正しく認識・自覚できなくなる状態です。
脳の認知機能自体が傷ついているために起こります。
- 重大な症状があるにもかかわらず、自分は以前と何も変わらないと言い張る
- 仕事や日常生活でミスを連発しても、他人のせいにしたり言い訳をしたりする
- 周囲がいくら配慮やリハビリを勧めても、必要性を頑なに拒絶する
失認症
失認症とは、視覚や聴覚、触覚といった感覚そのものは正常であるにもかかわらず、それが「何であるか」を脳が正しく識別・認知できなくなる障害をいいます。
- 目の前にある鉛筆を見ても何だか分からないが、触ると鉛筆だと理解できる
- 電話や踏切の音は聞こえているのに、それが何の音なのか判別できない
- 家族や親しい知人の顔を見ても、誰であるのか個人を識別できない
地誌的障害
地誌的障害とは、空間や地理的な位置関係を把握できなくなる状態です。
見慣れた風景を脳が認識できなくなったり、方向感覚が失われたりすることで発生します。
- 長年暮らしてきた馴染みのある近所のはずなのに、道に迷ってしまう
- 自分の家を目の前に見ても自分の家だと認識できず、通り過ぎてしまう
- 地図の上下左右や目的地との位置関係が分からず、新しい道が覚えられない
交通事故での高次脳機能障害に対する解決の道筋
適正な賠償金を得るために「後遺障害認定」を受ける
交通事故で高次脳機能障害を負った場合、被害者の方の今後の治療費や将来にわたる介護費用、そして精神的苦痛に対する適正な慰謝料を獲得するためには、自賠責保険における「後遺障害等級の認定」を受けることが必要です。
この認定が得られない限り、相手方の保険会社から後遺障害を前提とした後遺障害慰謝料や将来の逸失利益などの賠償金が支払われることは原則としてありません。
しかし、高次脳機能障害は身体的な麻痺を伴わないことも多く、その認定手続きは複雑で専門性が高いという特徴があります。
適正な等級認定を勝ち取るためには、まず交通事故直後の救急搬送時から現在に至るまでの「カルテ(診療録)」を必ず確保し、初診時の意識障害の程度や推移を客観的に証明しなければなりません。
さらに、脳の損傷を明確に示すCTやMRIなどの「画像所見」を揃えるとともに、脳神経外科や精神科などの専門医による診察と検査を行う必要があります。
加えて、高次脳機能障害特有の重要なステップとして、ご家族が作成する「日常生活状況報告書」の提出が挙げられます。
これは、外見からは分かりにくい記憶障害や感情の起伏、問題行動など、日々の生活で起きている具体的な変化を詳細に伝えるための書類です。
このように、医師の医学的所見とご家族による生活実態の報告を緻密に組み合わせることで、適正な等級認定への道が開かれます。
本人の判断能力が低下している場合の「成年後見人」
高次脳機能障害の症状が重く、記憶障害や遂行機能障害、あるいは重度の社会的行動障害などによってご本人の判断能力が失われてしまっている場合、ご本人自身で保険会社と示談交渉を進めたり、賠償金の契約を交わしたりすることは法律上できなくなります。
また、将来受け取る高額な賠償金や財産を適切に管理・運用していくことも困難です。
このようなケースにおける法律上の解決策として、「成年後見制度」の活用が不可欠となります。
成年後見制度とは、家庭裁判所に申し立てを行うことで、判断能力が不十分なご本人に代わって財産管理や契約行為を行う「成年後見人」を選任する仕組みです。
一般的に、高次脳機能障害で後遺障害等級が3級以上に該当するような重篤なケースでは、示談手続きを開始する前にこの成年後見人の選任を検討する必要性が高くなります。
もし成年後見人を立てずに示談を進めてしまうと、その示談契約自体が後から無効になってしまうリスクがあるためです。
ご家族にとっては、日々の献身的な介護や看病に加え、家庭裁判所への複雑な申立て手続きを行うことは大きな精神的・時間的負担となります。
当事務所の弁護士にご依頼いただければ、後遺障害の申請手続きと並行して、成年後見人の選任申立て手続きもトータルでサポートすることが可能です。
法律の専門家が介入することで、ご家族の負担を劇的に軽減し、ご本人の権利と将来の財産を健全に守る体制を安心して整えることができます。
高次脳機能障害の後遺障害等級
交通事故による高次脳機能障害は、脳の損傷度合いや現れる症状が多岐にわたるため、自賠責保険では「介護の必要性」や「就労・労働能力への影響度」をベースに、1級から9級までの明確な後遺障害等級が設けられています。
各等級の具体的な認定基準と補足的な考え方は、以下の通りです。
| 後遺障害等級 | 内容 | 補足的な考え方 |
|---|---|---|
| 別表1 1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの | 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回りの動作に全面的な介護を要するもの |
| 別表1 2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの | 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや監視を欠かすことができないもの |
| 別表2 3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの | 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの |
| 別表2 5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 単純な繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を維持できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの |
| 別表2 7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの | 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの |
| 別表2 9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの | 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業能力などに問題があるもの |
等級は、損害賠償額(慰謝料)の決定に決定的な影響を与えます。
常に介護が必要な1級と、就労制限が残る9級とでは、認められる「後遺障害慰謝料」の相場だけで数千万円単位の格差が生じます。
さらに、等級が上がれば(数字が小さくなれば)、将来得られるはずだった収入の補償である「逸失利益(いっしつりえき)」の算出割合(労働能力喪失率)が大きくなるだけでなく、1級や2級などの上位等級になれば、将来にわたる莫大な「将来介護費」が認められるようになります。
高次脳機能障害の損害賠償額の相場はいくら?
交通事故により高次脳機能障害の後遺障害が残った場合、被害者の方やご家族が受け取れる損害賠償額(示談金)全体の相場は、数千万円から場合によっては1億円を大きく超える高額なケースまで幅広く存在します。
高次脳機能障害では、肉体的な怪我に対する補償だけでなく、将来の人生や生活の激変をカバーするための「特有の賠償項目」が重なるため、最終的な賠償総額が非常に大きくなる傾向があります。
主に問題となる代表的な項目は以下の4つです。
後遺障害慰謝料・近親者慰謝料
後遺障害が残ったことによる精神的苦痛への補償です。
また、1級や2級といった特に重篤なケースでは、看病や介護に直面するご両親や配偶者、お子様などに対しても、ご家族固有の「近親者慰謝料」が認められることがあります。
後遺障害逸失利益
障害によって労働能力が低下し、将来得られるはずだった生涯年収が減少したことに対する損失補償です。
高次脳機能障害の賠償金において、大きな割合を占めることが少なくありません。
将来介護費
常時または随時の介護を要すると認められた場合、平均余命までの期間に必要な介護費用が支給されます。
親族が介護する場合は1日あたり8,000円が目安となり、施設やプロに依頼する場合はその実額が補償対象となります。
自宅改装費・車両購入費
バリアフリー化のためのリフォーム費用や、車椅子対応車への買い替え費用なども必要不可欠な損害として請求できます。
賠償額算出の3つの算定基準
そして、賠償額を算出する際には「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判所基準)」の3つの算定基準が存在しますが、どの基準を用いるかで金額に大きな格差が生じます。
最も高額な基準である「弁護士基準」と、最も低額な基準である「自賠責保険基準」を適用した場合の後遺障害慰謝料の相場は以下のとおりです。
後遺障害慰謝料の相場| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 1級1号 | 1,150万円(1,650万円) | 2,800万円 |
| 2級1号 | 998万円(1,203万円) | 2,370万円 |
| 3級3号 | 861万円 | 1,990万円 |
| 5級2号 | 618万円 | 1,400万円 |
| 7級4号 | 419万円 | 1,000万円 |
| 9級10号 | 249万円 | 690万円 |
※( )内は「介護を要する後遺障害」の場合の金額です。
例えば、最も軽度とされる9級が認定された場合、最低限の補償である自賠責保険の基準では「慰謝料」が249万円に留まりますが、弁護士基準であれば慰謝料だけで690万円となり、これに数千万円規模の「逸失利益」が上乗せされます。
さらに、逸失利益の具体的な計算例をご紹介いたします。
たとえば、年収500万円の40歳男性が、事故により後遺障害1級(喪失率100%、67歳までの27年間分としてライプニッツ係数14.6430を適用)に認定された場合、逸失利益だけで「7,321万5,000円(= 500万円 × 100% × 14.6430)」となります。
ここに後遺障害慰謝料2,800万円を加算するだけで、すでに1億121万5,000円となり、さらに将来介護費なども加わることになります。
ただし、加害者側の保険会社は、弁護士が介入しない限り、自社の手元から支出を抑えるために独自の低い「任意保険会社基準」でのみ提示をしてきます。
ご家族だけで示談に応じてしまうと、本来受け取るべき正当な金額から数千万円単位で下回るおそれがあるため、交通事故の損害賠償に精通した弁護士に依頼して、最も高額かつ適切な「弁護士基準」での交渉を行うことが重要です。
高次脳機能障害の交通事故トラブルを弁護士に依頼するメリット

複雑な手続きの代行と慰謝料増額
高次脳機能障害は、手足の骨折などの身体的な怪我とは異なり、脳の内部の損傷であるため、後遺障害の証明手続きが極めて複雑です。
適正な等級認定を得るためには、事故直後の詳細なカルテの分析や、脳の専門的な画像検査の選定、さらには主治医に対して医学的なアプローチを踏まえた診断書の作成依頼を行う必要があります。
これら専門性の高い医学的証拠の収集や医師との連携を、知識のないご家族だけで行うのは困難を極めます。
交通事故を専門とする弁護士に依頼することで、これらの一連の手続きをすべて代行させることができ、看病や介護に追われるご家族の精神的・肉体的負担を劇的に軽減することが可能です。
さらに、後遺障害の認定が下りた後の示談交渉においても、弁護士の介入は決定的なメリットをもたらします。
加害者側の保険会社は、弁護士がついていない段階では、自社に都合の良い「自賠責保険基準」や「任意保険会社基準」をベースにした低い金額しか提示してきません。
しかし、弁護士が窓口となって交渉を行うことで、過去の裁判例に基づいた最も高額な「弁護士基準(裁判基準)」を前提に示談を進めることができます。
特に高次脳機能障害の事案では、この算定基準の差が数百万円から数千万円単位の大幅な賠償金増額に直結するため、弁護士への依頼は必要不可欠と言えます。
弁護士費用特約の活用で費用の不安を解消
ご自身やご家族が加入している自動車保険や火災保険に「弁護士費用特約」が付帯されていれば、保険会社が最大300万円までの弁護士費用(着手金や報酬金、実費など)を被害者の方に代わって直接支払ってくれます。
実際、多くの場合、ご家族の自己負担額を0円に抑えて弁護士へ依頼することができます。
また、この特約を使用しても保険の等級が下がることはなく、翌年の保険料が上がる心配もありません。
万が一、弁護士費用特約がついていない場合であっても、弁護士が事前に丁寧な見通しをお伝えします。
デイライト法律事務所では、事前の試算によって弁護士費用が保険会社からの増額分を上回る(費用倒れになる)おそれがある場合には、必ずあらかじめその旨を正直にお伝えしますので、安心してご相談いただけます。
当事務所では、交通事故に関する初回の法律相談を「無料」で承っております。
大切なご家族が交通事故に遭い、以前と様子が変わってしまったとお悩みの方は、示談書にサインをしてしまう前に、まずは一度お気軽に当事務所までお問い合わせください。
高次脳機能障害の解決事例
高次脳機能障害で9級が認定された事例
これは、犬の散歩中に自動車にはねられ、脳挫傷や多発頭蓋骨骨折などの重症を負った高齢のBさんの事例です。
事故後、お金の管理ができなくなるなど身の回りの変化が生じたため、ご家族が今後の生活を心配して当事務所に相談されました。
弁護士はカルテの分析や医師への意見書作成依頼を進めるとともに、ご家族へのヒアリングをもとに事故前後の変化を書面化して申請しました。
結果、高次脳機能障害で「9級」、外貌醜状で「7級」が認められ、併合6級の認定を受けました。
示談交渉では、通院時の駐車場代領収書などを証拠として提出し、争点となった付添費用を認めさせ、総額1400万円の適切な賠償金を獲得しました。
事故で高次脳機能障害の後遺症を負った学生が1億円の賠償を得た事例
これは、自転車で交差点を進行中に自動車と衝突し、多発脳挫傷や頭蓋骨骨折の重篤な怪我を負った学生Uちゃんの事例です。
10ヶ月以上の入院生活を経て退院したものの、車椅子生活を余儀なくされ、感情のコントロールが難しくなるなど生活が一変しました。
後遺障害申請により高次脳機能障害として「別表第1の2級1号」が認定された段階で、ご両親が示談交渉を弁護士に依頼されました。
弁護士は将来の生活を見据え、介護のための自宅改装費や将来介護費、さらに裁判基準による逸失利益や近親者慰謝料を厳格に算出しました。
20%の過失相殺が行われたものの、自賠責保険を除いて1億円という高額な賠償金を確保しました。
交通事故による高次脳機能障害についてのQ&A

交通事故の後遺障害としての高次脳機能障害は病気とどう区別されますか?
交通事故による高次脳機能障害は、加齢による認知症や既存の病気と明確に区別されます。大きな違いは「症状の進行性」にあります。
アルツハイマー病などの認知症は時間経過とともに徐々に悪化しますが、事故の外傷に起因する高次脳機能障害は進行せず、リハビリ等で回復傾向を示す特徴があります。
ただし、高齢者の場合は認知症やせん妄と症状が酷似しているため、事故との因果関係を疑われがちです。
適切な法的補償を受けるためには、事故直後の意識障害の有無や脳画像(CT・MRI)のデータをもとに、外部衝撃による器質的損傷であることを専門医に的確に診断してもらうことが極めて重要になります。

交通事故から時間が経って症状が出た場合でも認定されますか?
事故直後は目立った症状がなくても、社会復帰や日常生活の場で後から微細な変化に気づくケースは少なくありません。特に一人暮らしの方や軽度の方、脳の発達過程にある子どもは周囲も気づきにくく、発覚が遅れがちです。
数年後に気づいた場合でも後遺障害に認定される可能性はありますが、事故との因果関係を証明するハードルが高くなります。
時間が経つほど「別の原因」を疑われるため、少しでも物忘れや人格変化などの違和感を覚えたら、すぐに医療機関を受診してください。
また、事故当時のカルテや検査結果、日頃の家族の観察記録を初期から残しておくことが大切です。

知恵袋やブログの情報を鵜呑みにしない方がよい理由は?
ネット上の知恵袋や個人の闘病ブログには多くの体験談があり参考になりますが、情報を鵜呑みにするのは危険です。高次脳機能障害は、脳挫傷やくも膜下出血といった負傷の原因や、脳の損傷部位(前頭葉など)によって現れる症状が1人ひとり全く異なります。
また、被害者の年齢や事故状況によって過失割合や法的な対処法も変わるため、他人の成功・失敗談を自分にそのまま当てはめることはできません。
医療や法的措置は、生活や健康に重大な影響を与える領域であるため、自己判断で手続きを進めず、必ず医師や弁護士などの専門家に直接相談してください。

交通事故で高次脳機能障害になるのはどんな場合ですか?
高次脳機能障害は、交通事故による強い外部衝撃で頭部に「外傷性脳損傷」を負った場合に発症します。具体的には、衝撃で脳の実質が傷つく「脳挫傷」、頭蓋骨骨折などに伴い脳の表面に血が溜まる「急性硬膜外血腫」や「くも膜下出血」などが挙げられます。
また、事故の激しい回転やねじれの負荷によって、脳の神経細胞のネットワーク(軸索)が広範囲に引き千切られる「びまん性軸索損傷」も典型的な原因です。
これらの損傷により脳の機能に障害が残り、事故を境に記憶力や注意力が低下したり、怒りっぽくなったりする人格変化(うつ状態や感情失禁)を併発します。
まとめ
高次脳機能障害は、被害者ご本人だけでなく、生活が一変してしまうご家族にとっても精神的・肉体的に非常に負担の大きい障害です。
加害者側の保険会社から提示される示談金は、最低限の基準であることが多く、知識がないままサインをしてしまうと、将来に必要な介護費用や逸失利益を十分に受け取れず後悔することになりかねません。
だからこそ、示談交渉が本格化する前に交通事故トラブルの実務に精通した弁護士へ相談し、最も高額な「弁護士基準」での解決を目指すことが大切です。
デイライトでは、交通事故を専門とし、後遺障害に詳しい弁護士がチームで被害者のサポートを全力で行っており、多くの被害者の相談に対応してきた実績もあります。
オンラインでの相談も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。




