半月板損傷で後遺障害が認められ、700万円以上の補償を受けた事例
※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。
受傷部位 | 右膝(半月板損傷) |
等級 | 12級13号(右膝痛) |
ご依頼後取得した金額 |
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約700万円 |
損害項目 | 弁護士介入後 |
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傷害慰謝料 | 139万円(裁判基準 通院9か月) |
後遺障害慰謝料 | 290万円(裁判基準) |
後遺障害逸失利益 | 370万円(裁判基準 喪失期間10年間 喪失率14%) |
結果 | 700万円(過失10%減額後) |
交通事故から約2か月後に「右膝内側半月板損傷」が判明したZさん
Zさんは、駐車場に車を止めて、歩いてお店に向かって歩いていたところ、前方不注意でZさんの存在に気づくのが遅れた車に右側からひかれる交通事故にあいました。
この事故で、Zさんは腰と右膝痛の症状がでました。
病院では当初痛みのあった腰と右膝のレントゲンを撮影しましたが、骨には以上がなく、打撲と診断されていました。
しばらく自宅近くの病院に通院を継続していましたが、一向に痛みが引かなかったため、主治医から紹介状をもらって膝のMRI検査を受けました。
この時点で事故から約2か月が経過していました。
このときのMRI検査で、「右膝内側半月板損傷」が判明し、初めて右膝痛の原因が明らかになりました。
ロッキングの症状(膝を動かせなくなる状態のこと)が起こっていないこともあり、医師からは手術ではなく保存療法での治療を選択されました。
7か月ほど治療をしたところで、保険会社から「そろそろ治療を打ち切って後遺障害の手続に進んではどうか」と連絡があったため、Zさんは弁護士に相談することにしました。
半月板損傷とは
膝関節には、関節の動きを滑らかにし、クッションの役目を果たす半月板という組織があります。
半月板損傷とは、膝を曲げた状態で膝関節に強く回旋する力が加わり(膝関節をひねった様な状態)、その半月板の一部が脛骨と大腿骨の間に挟まることで発生する怪我です。
半月板は軟部組織のため、レントゲンではなくMRI検査で判明するのが通常です。
弁護士が後遺障害診断書を提示し交渉、示談へ
弁護士は、受任後すぐにこれまでの診断書、明細書を取り寄せて、Zさんの症状経過を確認しました。
確認したところ、半月板損傷がわかるまでの間も事故当初から一貫して「右膝痛あり」と言及されていたため、因果関係を認められる可能性は十分にあると考えられました。
そこで、弁護士は主治医に後遺障害診断書の記載をお願いしました。
その際、画像所見以外に半月板損傷の検査とされる「マクマレー・テスト」の実施もお願いして実施してもらいました。
テストの結果も陽性でしたので、その旨を診断書に記載してもらい申請しました。
その結果、右膝痛は事故による半月板損傷が原因であるとの理由で12級13号の認定を受けました。
認定後、保険会社との最終的な示談交渉を行いました。
賠償額が大きくなるため回答に時間がかかったものの、裁判基準どおりの提示を示談の段階で獲得することができ、治療費を除いて 700万円以上の補償をZさんは受けました。
事故との因果関係について
交通事故に遭い何らかの症状が出た場合に、その症状と事故との因果関係が問題となることがあります。
例えば、その症状は、事故によって引き起こされたものではなく、元々存在した傷病(既往症)であると医師が診断したり、相手方が主張してくるケースです。
事故との因果関係が争われる場合は、事故前の通院歴、事故当初から一貫して痛みを訴えているか(カルテ等のチェック)、事故態様や事故規模などを踏まえて適切な主張をしなければなりません。
適切な主張をするためには、まずは専門家である弁護士にご相談するのが良いかと思います。
マクマレー・テストとは
仰向けで膝を最大限曲げ、膝から足首にかけての部分に回旋ストレスを加えながら膝を伸ばしていく検査方法です。
半月板に異常があれば、激痛や膝から異常音(グキグキという音等)が発生します。
その他の半月板損傷の検査方法として、グリンディング・テストというものがあります。
グリンディング・テストは、うつぶせの状態で膝を90度に曲げ、踵を下に押しつけながら回す検査方法です。
半月板に異常があれば、強い痛みを感じます。
後遺障害の認定には画像所見が極めて重要です
痛み(疼痛)について、後遺障害の認定では「局部に神経症状を残すもの」という14級9号と「局部に頑固な神経症状を残すもの」という12級13号の2つの項目があります。
両者の違いの1つは、医学的に症状を証明できるかどうかに関して、画像所見が極めて重要になります。
すなわち、今回のZさんのように右膝痛の原因が半月板の損傷であるという所見があるかどうかが認定結果に大きく影響します。
Zさんも14級の認定では 300万円程度の補償しか受けられませんでしたので、適切な補償を受けるためには、後遺障害の認定が重要であるというのがこの事例からもわかります。