相続人ではなくても寄与分は受けられるの?


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA


花一定の要件のもと、親族であれば特別寄与料の請求が可能となります。

民法上、寄与分を受けられる権利者は基本的には相続人に限定されています。

遺産分割は、遺産を共同相続人間でその相続分に従って分配することですから、もともと相続人以外の人が遺産分割の手続に参加することを予定していません。

もし、寄与者が手続に参加することになると、相続人は寄与者が存在するか否かを調査しなければならず、煩雑になってしまいます。

また、元来、相続人でない他人が遺産の維持又は増加につき特別に寄与しているときは、被相続人が生前その他人に何らかの補償を与えているのが普通です。

仮に、補償が予定されていない場合、その「他人」は「寄与分」ではなく「不当利得返還請求権」として相続人らに請求していくことになります。

では、相続人以外の「他人」による寄与分を、ある相続人の寄与に含めて評価することができるでしょうか。

判例 相続人の寄与分として、相続人の妻による、被相続人の入院中の看護やその余の13年の長期間にわたる介護を含められるかが問題となった裁判例
車椅子
被相続人:X
相続人:A
相続人の妻:B


Bの介護を、Aの履行補助者としての行為とみて、同居の親族の扶養義務の範囲を超えて相続財産の維持に貢献したと評価できるとし、Aの寄与分とすることが認められた決定があります。

【東京高決平成22年9月13日】

ほかにも、次のような場合には、相続人の配偶者、子の寄与行為が相続人の寄与行為として認められる余地があります。

  • 相続人の子が、相続人とともに被相続人の家業に無報酬で従事し、財産の維持形成に特別な貢献をしたような場合
  • 会社員である相続人に代わって、その配偶者が家業である農業に無報酬で従事し、財産の維持形成に特別な貢献をしたような場合
  • 単身赴任中に相続人に代わって、その配偶者と子が交代で重度の認知正となった被相続人の介護を不眠不休に近い状態で行い、財産を維持(財産の減少を防止)した場合

しかし、このようなケースにおいて、仮に、寄与行為を行った子や配偶者が相続人よりも先に死亡した場合、相続人が存在しないことから、子や配偶者は寄与分を主張できなくなってしまいます。

このような問題に対応するため、相続人以外の被相続人の親族について、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度(特別の寄与)が創設されました(2019年7月1日施行)。

これによって、被相続人の親族についても、特別寄与料の支払いを請求できることとなっています。

寄与分の要件・請求方法等について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

 

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