【計算機付】寄与分の計算方法とは?|弁護士がわかりやすく解説

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

 

寄与分は、相続人間の公平を図るための制度です。

しかし、計算方法が複雑なため、多くの方は実際にどのようにしたらいいのか、わからないご状況です。

ここでは、寄与分の計算方法について、弁護士と税理士の資格を持つ執筆者が詳しく解説いたします。

 

寄与分とは

寄与分とは、相続人や親族の中に、亡くなった方の財産の維持又は増加について特別の貢献をした人がいる場合、他の相続人との公平を図るために、その増加をさせた相続人等に対して、相続分以上の財産を取得させる制度です。

合わせて読みたい
寄与分の制度について

 

 

寄与分の自動計算シミュレーター

寄与分の計算は一般の方が自分で計算するのは大変です。

下記は、当事務所が制作した寄与分の概算をシミュレーションできる計算機です。

ご入力いただければ、概算が算出可能ですので、ご参考にされてください。

 

STEP1

被相続人(亡くなった方)に関して、以下の項目にご入力ください。

配偶者
配偶者以外の相続人

寄与分の計算については、お気軽に弁護士にご相談ください!
ご予約は24時間365日ご予約受け付けております。

必ずお読みください
(免責事項)

この自動計算機は、簡易迅速に寄与分がある場合の相続する金額を計算することを目的としているため、正確ではありません。

また、この自動計算には下記のような問題点があります。

そのため、あくまで参考程度にとどめて、正確な金額については寄与分に精通した弁護士にご相談されるようにしてください。

1.遺産の額や寄与分の金額が正確ではない可能性がある

相続においては、遺産の範囲を調査し、かつ、適切に評価しなければなりません。

特に遺産に不動産や株式がある場合、評価が難しく専門家の意見が重要となります。

また、寄与分の金額も争いとなる可能性があります。

2.例外的な事案や個別事情を考慮していません

例えば、遺贈がある場合、特別受益がある場合、遺言がある場合などの諸事情は考慮しておりません。

3.自動計算を利用されたことにより生じた不利益な結果や損害などについては、一切責任を負いかねますので予めご了承ください。

当事務所には、相続問題に注力する弁護士と税理士のみで構成される相続対策チームがあり、相続問題に直面されている方々を強力にサポートしています。

遠方の方については、LINEなどを利用したオンライン相談も可能です。

相続問題でお困りの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

無料相談の流れはこちらから

 

 

寄与分の計算方法

相続分に寄与分を反映させる方法は下記の手順のとおりです。

① まず、遺産から寄与分をいったん控除してみなし遺産を算出する

② 次に、①を法定相続分に従い分配する

③ そして、寄与が認められる相続人の相続分に寄与分を上乗せする

 

具体的な計算例

長男CがAの生前、事業を手伝っており、資産形成に1000万円分の貢献をしている場合

具体例① 預貯金が 5000万円の場合

遺産:Aの預貯金 5000万円

相続人:配偶者B及び子C・D

長男CがAの生前、事業を手伝っており、Aの資産形成に1000万円分の貢献をしている


計算① 相続財産から寄与分を差し引く

みなし遺産 5000万円(遺産)- 1000万円(寄与分)= 4000万円

計算② 法定相続分にしたがい計算する

法定相続分は、配偶者が2分の1、子供が2分の1となります。

子供が2人なので、2分の1の半分ずつ、すなわち、1人あたり4分の1となります。

相続分について、詳しくはこちらのページをご覧ください。

B:配偶者      4000万円 × 1/2 = 2000万円
C:長男(事業に従事)4000万円 × 1/4 = 1000万円
D:次男       4000万円 × 1/4 = 1000万円

計算③ 長男の寄与分を加える

1000万円 + 1000万円(寄与分)= 2000万円


以上の通り、それぞれの具体的相続分は、配偶者2000万円、長男(事業に従事)2000万円、次男1000万円となります。

 

 

寄与分の金額について争いがある場合

上記の計算式は、寄与分の金額を1000万円としていました。

しかし、寄与分の金額自体に争いがあるケースもあります。

このような場合どのようにして算定するのかが問題となります。

この問題について、寄与行為の類型に分けて解説いたします。

 

療養看護の場合の計算

療養看護型については、職業看護人を雇いその費用を負担した場合にはその実費が寄与分として算定されます。

職業看護人を雇わず相続人が自ら行った場合には、看護人を雇えばどのくらいの費用が掛かったかが基準となりますので、付添人の日当額 × 療養監護日数 × 裁量的割合により算定されます。

 

家業従事型

「被相続人の事業に関する労務の提供」に関する寄与行為は、家業従事型と呼ばれています。

この行為が特別の寄与と言えるためには、原則として無償で家業に従事することが必要と考えられています。

少なくとも標準的な報酬や給与を受け取っていた場合には、これを理由に寄与分は認められません。

家業従事型は、さらに従業員タイプと経営者タイプに分けられます。

従業員タイプでの寄与分の算定方法

相続開始時に寄与相続人が通常得るであろう年間給付額 × (1 - 生活控除割合) × 寄与年数 - 現実に得た給付額 となります。

経営者タイプの寄与分の算定方法

寄与相続人の通常得るであろう年間報酬額 + 利益配分額 - 現実に得た給付となります。

 

出資型

「被相続人の事業に関する・・・財産上の給付」は、出資型の寄与行為と呼ばれています。

これもさらに出資の類型が財産取得のための資金援助か、単なる金銭提供か、不動産などの提供か、など類型ごとに寄与分の算定方法が異なります。

 

扶養していた場合の計算

相続人が被相続人を生活費全般の面倒を見たために、被相続人が費用の支出を免れ、相続財産の維持に寄与した場合、扶養型の寄与分が認められます。

扶養型の寄与分の算定方法は、負担扶養料 × 寄与期間 ×(1 - 扶養義務のある寄与相続人の法定相続分割合)

 

 

寄与分に時効はある?

寄与分には時効はありません。寄与分は、公平な遺産分割のための制度であるところ、遺産分割自体に期間の制限がないからです。

もっとも、寄与行為が昔の場合、その立証ができない可能性が生じるなどの問題が考えられます。

 

 

特別寄与料の計算方法

相続法の改正によって特別寄与料という制度が創設されました。

特別寄与料とは、被相続人(亡くなった方)に対して、介護などの労務を無償で提供していた親族が相続人に対して、その寄与の程度に応じて請求できる金額のことをいいます。

この特別寄与料を請求できるのは、相続人以外の親族です。

相続人には、寄与分の主張が認められているので、特別寄与料を請求する必要がありません。

特別寄与料の場合も、寄与分の場合も、その算定については、まずは協議によって決めることとされています。

また、協議が整わない場合は「寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して」算定するものと定められています(民法904条の第2項、1050条第3項)。

合わせて読みたい
特別寄与料について

 

 

まとめ

以上、寄与分の計算について詳しく解説しましたがいかがだったでしょうか。

寄与分の算定方法は、寄与行為ごとに細かく分けられており、とても複雑です。

また、自動計算シミュレーターは、遺言がある場合、遺贈がある場合、特別受益がある場合、その他個別の諸事情を考慮しておりません。

寄与分とはどのようなものなのか、どれほど認められるのか、など寄与分に関するお悩みをお持ちの方は、相続問題に精通した専門家にご相談されることをお勧めいたします。

この記事が相続問題に直面されている方にとってお役に立てれば幸いです。

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寄与分について

 

 

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