賃金センサスとは?平均賃金の計算方法や見方【最新令和7年】

執筆者:弁護士 宮崎晃 (弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士)


最新版!賃金センサスとは

賃金センサスとは、政府が毎年発表する「賃金構造基本統計調査」の結果をもとに算出した、1年間の平均収入のことをいいます。

2026年3月24日に発表された最新データ(令和7年/2025年賃金センサス)における全年齢の平均賃金は、5,455,600円となっています(男女計・学歴計・全年齢の平均額)。

賃金センサスは、交通事故の損害賠償や離婚の養育費算定において、「収入の根拠」として使われる極めて重要な資料です。

当事務所では、法律実務家の方はもちろん、一般の方にもすぐに活用いただけるよう、最新データを反映しています。

計算式や年齢別の詳細データも解説していますので、ぜひお役立てください。

賃金センサスとは?

賃金センサスとは

賃金センサスとは、政府が毎年発表する「賃金構造基本統計調査」の結果をもとに、平均収入をまとめた資料をいいます。

最新(2026年3月24日に発表された2025年の賃金センサス)の賃金センサスは、5,455,600円となっています(男女計・学歴計・全年齢の平均額)。

参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」

 

賃金センサスの目的

賃金センサス(賃金構造基本統計調査)は、「日本人の賃金の実態」を明らかにするために、国が毎年実施している統計調査です。

 

【具体的にわかること】

  • 年齢、性別、学歴ごとの平均年収
  • 雇用形態、就業形態、職種、勤続年数ごとの賃金の違い

この調査結果は、国の最低賃金の決定や労災保険・養育費の算定など、様々な公的な場面で活用されています。

中でも交通事故の実務においては、主婦や学生など「給与明細がない方」でも、この統計データ(平均賃金)を基準にすることで、公平な損害賠償額を計算できるという非常に重要な役割を持っています。

 

「賃金センサス」と「平均賃金」との違い

「賃金センサス」と似た言葉として、「平均賃金」があります。

法律用語としての平均賃金とは、直近3か月間に支払われた給料額をもとにして、その従業員の1日当たりの賃金を計算したものです。

この平均賃金は、労務管理の様々な場面で必要となります。

例えば、有給休暇取得時の賃金、休業手当、解雇予告手当、その他の補償金などの金額を決めるための基準になります。

これに対して、賃金センサスは、全労働者の一年間の平均収入であり、厳密には定義が異なります。

しかし、日常用語として、「賃金センサス」と「平均賃金」は同じ意味で使われています。

そこで、このページでは、両者を特に区別せずに解説しています。

 

 

令和7年(2025年)賃金センサス(賃金構造基本統計調査)

下表は、2026年3月24日に発表された2025年(令和7年)の賃金センサスをまとめたものです。

交通事故の賠償金の算定や養育費の算定など、皆さまにとって重要なデータ(全労働者の平均賃金、学歴別・男女別の平均賃金、年齢別・男女別の平均賃金)をピックアップしています。

 

全労働者の平均賃金

全労働者の平均収入をまとめた表は次のとおりです。

【全労働者の平均】 (単位:円)
男女計・学歴計・全年齢の平均額 5,455,600

 

学歴別・男女別の平均賃金

学歴ごとの平均収入をさらに男女別にした表は次のとおりです。

【学歴別・男女別】 (単位:円)
年齢 男性 女性
全学歴 6,107,000 4,370,700
中卒 4,699,100 3,280,900
高卒 5,257,000 3,640,200
専門学校卒 5,412,100 4,347,500
高専・短大卒 6,247,600 4,604,200
大学卒 7,101,600 5,186,500
大学院卒 9,136,500 7,062,600
不明 4,833,800 3,510,900

 

年齢別・男女別の平均賃金

年齢ごとの平均収入をさらに男女別にした表は次のとおりです。

【年齢別・男女別】 (単位:円)
年齢 男性 女性
全年齢 6,107,000 4,370,700
〜19歳 2,957,100 2,682,000
20〜24 3,746,300 3,470,400
25〜29 4,739,600 4,163,300
30〜34 5,514,000 4,362,300
35〜39 6,143,600 4,485,300
40〜44 6,643,000 4,695,800
45〜49 6,969,600 4,728,500
50〜54 7,263,900 4,752,700
55〜59 7,332,800 4,731,600
60〜64 5,592,100 4,000,600
65〜69 4,307,900 3,332,400
70歳〜 3,718,800 3,056,600

引用:賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口

 

 

賃金センサスの見方

上表は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」のデータを使用して作成したものです。

このデータの量は膨大であり、かつ、データを見ても、賃金センサスという言葉は記載されていません。

賃金センサスの具体的な作成の手順は以下のとおりです。

 

賃金センサスの作成手順

「産業大分類」から「第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」(産業計・産業別)を使用

参考:賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業大分類|政府統計の総合窓口

 

全労働者の平均

区分「企業規模計(10人以上)」において「男女計・学歴計」の項目の数値を抽出し、以下の計算式で算出

計算式
きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額

賃金センサス「全労働者の平均」の作成手順

 

学歴別・男女別

区分「企業規模計(10人以上)」において男性と女性それぞれのそれぞれの学歴計、中学卒、高校卒、専門学校卒、高専・短大卒、大学卒、大学院卒、不明の項の数値を抽出し、上記と同じ計算式で算出

賃金センサス「学歴別・男女別」の作成手順

 

年齢別・男女別

区分「企業規模計(10人以上)」において男性と女性それぞれの学歴計、各年齢の項の数値を抽出し、上記と同じ計算式で算出

賃金センサス「年齢別・男女別」の作成手順

 

 

賃金センサスの動向

平均賃金は、全労働者、男性、女性を問わず、概ね上昇しています。

2020年については、減少に転じています。

これは新型コロナウィルスによって業績が悪化した企業が賃金カットや解雇を行ったことによるものだと考えられます。

2023年にはコロナ直前よりも高い水準となりました。

下のグラフを見ると、2024年、2025年については、過去と比較して、高い上昇率であることがわかります。

これは、近年のインフレによる物価高と大手企業を中心とする賃上げが背景にあるものと考えられます。

全労働者 男性 女性
2025 5,455,600 6,107,000 4,370,700
2024 5,269,900 5,908,100 4,194,400
2023 5,069,400 5,698,200 3,996,500
2022 4,965,700 5,549,100 3,943,500
2021 4,893,100 5,464,200 3,859,400
2020 4,872,900 5,459,500 3,819,200
2019 5,006,900 5,609,700 3,880,000
2018 4,972,000 5,584,500 3,826,300
2017 4,911,500 5,517,400 3,778,200
2016 4,898,600 5,494,300 3,762,300
2015 4,892,300 5,477,000 3,727,100

全労働者:男女計・学歴計・全年齢の平均額
男性:男性の学歴計・全年齢の平均額
女性:女性の学歴計・全年齢の平均額

賃金センサスの動向の折れ線グラフ

引用:賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口

 

 

賃金センサスの使い方・計算方法

ここでは、賃金センサスが使用されることが多い、休業損害や逸失利益の計算方法をご紹介します。

 

休業損害の計算(専業主婦/主夫)

休業損害とは、交通事故によって仕事を休まざるを得なくなり、収入が減ってしまう損害です。

休業損害は、次の計算式で計算されます。

日額 × 休業日数 = 休業損害

「日額」は、通常「事故前直近3ヶ月の給与」の総額を「稼働日数」で割って算出します。

給料がある会社員の場合、簡単に算出できますが、無収入の主婦(主夫)は算出できません。

この場合に賃金センサスを利用します。

すなわち、次の計算式により、専業主婦の「日額」を算出します。

賃金センサスの女子全年齢平均賃金 ÷ 365日

 

逸失利益の計算(後遺障害・死亡)

逸失利益(いっしつりえき)とは、仮に事故が起きなかった場合、将来得られたであろう収入のことです。

逸失利益には、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類があり、以下の数式で求められます。

後遺障害逸失利益の計算式
基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
死亡逸失利益の計算式
基礎収入 ×(1 – 生活費控除率)× 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

賃金センサスは、上記計算式の「基礎収入」において、使用されます。

会社員の場合は実際の給与が「基礎収入」となります。

給与がない専業主婦、学生、高齢者の方については、賃金センサスを当てはめて基礎収入を算定します。

 

 

令和6年(2024年)賃金センサス(賃金構造基本統計調査)

参考として、令和6年の賃金センサスもご紹介します。

【全労働者の平均】 (単位:円)
男女計・学歴計・全年齢の平均額 5,269,900

 

【学歴別・男女別】 (単位:円)
年齢 男性 女性
全学歴 5,908,100 4,194,400
中卒 4,573,900 3,221,300
高卒 5,118,300 3,534,900
専門学校卒 5,265,700 4,245,600
高専・短大卒 5,988,800 4,432,000
大学卒 6,835,500 4,951,500
大学院卒 8,848,100 6,913,100
不明 4,581,200 3,264,900

 

【年齢別・男女別】 (単位:円)
年齢 男性 女性
全年齢 5,908,100 4,194,400
〜19歳 2,845,800 2,528,600
20〜24 3,583,900 3,343,000
25〜29 4,537,500 3,981,600
30〜34 5,248,400 4,148,700
36〜39 5,897,800 4,334,500
40〜44 6,408,700 4,448,600
45〜49 6,837,700 4,629,200
50〜54 7,041,400 4,581,200
55〜59 7,242,100 4,508,600
60〜64 5,321,800 3,810,700
65〜69 4,162,800 3,246,800
70歳〜 3,554,000 3,195,500

 

 

賃金センサスについてのQ&A

ここでは、賃金センサスについて、疑問に感じられそうなことをQA形式でご紹介しています。

 

賃金センサスのデータと、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の「賃金」と数値が一致しないのはなぜですか?

賃金センサスは、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに、上記でお示しした計算式によって算出します。

他方で、同調査結果の概況で示されている「賃金」は定義が異なり、賃金センサスの意味ではありません。

すなわち、ここでいう「賃金」は、「きまって支給する現金給与額」のうち、残業代等(超過労働給与額)が含まれていません。

また、ボーナス等(年間賞与その他特別給与額)も含まれていません。

したがって、賃金センサスの数値とは一致しないのです。

賃金センサスは、厚生労働省のデータをもとに算出しますが、厚生労働省が概況で発表している賃金とは異なるので注意してください。

参考:令和7年賃金構造基本統計調査の概況4ページ|厚生労働省

 

 

まとめ

賃金センサスは、政府の調査の結果に基づく資料であり、日本の労働者がおかれている賃金の状況を理解するための資料です。

また、交通事故などの人身障害事案において、逸失利益や休業損害の算定にも活用されています。

賃金センサスの数字は毎年異なるため、専門家の方々は、常に最新の正確なデータを確認するようにされてください。

この記事が交通事故に遭われた方や専門家の方のお役に立てば幸いです。

 

 

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