自転車で歩行者と軽い接触|警察に連絡せず逃げたらどうなる?

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

自転車で歩行者と軽い接触|警察に連絡せず逃げたらどうなる?自転車は「軽車両」であるため、歩行者と接触した場合は、「交通事故」として扱われる可能性が高くなります。

たとえ、「軽い接触」であったとしても、歩行者に負傷や物損が生じていれば、自転車運転者には救護義務と警察への報告義務が発生します。

この義務を怠り、現場を立ち去る行為はひき逃げや当て逃げに該当し、刑事責任(拘禁刑・罰金)、行政責任(免許停止など)、民事責任(損害賠償)という3つの重い法的責任を問われることになります。

そのため、自転車で歩行者と接触した場合には、法的義務を遵守して、適切な流れで対応することが求められます。

この記事では、自転車で歩行者と軽く接触して立ち去ったらどうなるのか、警察への報告義務がある場合とない場合、警察に連絡せずに逃げた場合の法的責任などについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。

自転車で歩行者と軽く接触したときに立ち去ったらどうなる?

自転車運転者が警察へ報告義務があるケース

自転車は、道路交通法上、「軽車両」に分類される車両の1つです(道路交通法第2条第1項第11号イ)。

自転車の運転中に交通事故(人身事故または物損事故)を起こした場合、自動車の事故と同じように、道路交通法に基づく義務を負うことになります。

そして、自転車の利用者に課されている重要な義務として、救護措置義務と警察への報告義務があります。

これらの義務を怠って現場を立ち去る行為は、人身事故であれば「ひき逃げ」、物損事故であれば「当て逃げ」として扱われ、重大な法的責任を問われる可能性があります。

道路交通法は、交通事故が発生した場合、車両等の運転者に対して、負傷者の救護措置を講じるとともに、「当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度」などを警察官に報告することを義務付けています(道路交通法第72条1項)。

「交通事故」とは、「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」のことを指します(道路交通法第67条2項)。

したがって、自転車運転者(加害者・被害者問わず)が警察への報告義務を負うのは、以下のいずれかの状況に該当する場合です。

  • 負傷者がいる場合(人身事故):歩行者にけがを負わせてしまった場合
  • 物損がある場合(物損事故):歩行者の所持品(スマートフォン、衣服、バッグなど)や、設置物(ガードレールなど)に損害を与えてしまった場合

たとえ、自転車が歩行者に「軽く接触しただけ」だったとしても、歩行者が転倒などにより軽微な擦り傷を負っていたり、スマートフォンを落として画面にひびが入ったりした場合には、道交法における「人の傷害」または「物の損壊」に該当するため、警察に報告する義務が発生します。

歩行者がその場で「大丈夫」と答えたとしても、後から痛みが出たり物損が発覚したりするケースも少なくありません。

後に被害届が出された場合、現場を立ち去っていると「ひき逃げ」として扱われるリスクがあるため、少しでも被害の可能性がある場合は報告が必要です。

 

歩行者の方が悪いケースは報告義務がある?

自転車と歩行者の接触事故において、たとえば、歩行者の飛び出しなど歩行者側の過失が大きいと考えられる状況であったとしても、報告義務が免除されることはありません。

なぜなら、道路交通法第72条は、事故の原因や過失の割合に関係なく、「交通事故があったとき」に運転者が講じるべき措置として、救護義務と報告義務を定めているからです。

過失割合の判断は当事者間の話し合いや裁判所が行うべきものであり、運転者自身がその場で判断して報告を怠ることは許されません。

なお、横断歩道のない交差点における歩行者と自転車の事故における基本的な過失割合は「自転車:歩行者 = 85%:15%」とされており、一般的に自転車の事故に対する責任が大きくなります。

そのうえで、以下のような事情がある場合には、歩行者に不利な事情として、基本過失割合が修正される可能性があります。

  • 横断禁止の規制がある場合:歩行者の過失割合 + 5〜10%
  • 自転車が来る直前直後に横断する・途中で立ち止まる、後退する:歩行者の過失割合 + 10%

以下の記事では、自転車と歩行者の過失割合や、過失割合の基準について詳しく解説しておりますので、参考にされてください。

 

歩行者がぶつかってきたケースは報告義務がある?

同様に、歩行者が自転車にぶつかってきたという状況でも、その接触によって歩行者に負傷や物損が発生していれば、自転車運転者には警察への報告義務が発生します。

重要なのは、「誰が悪いか」ではなく、「けが人や壊れた物が発生したか」という事実です。

なお、自転車と歩行者の過失割合や、過失割合の基準については、以下の記事を参考にされてください。

 

歩行者とかすっただけのケースは報告義務がある?

「かすっただけ」と主張することで、被害者の救護義務や警察への報告義務が免除されるわけではありません。

自転車の運転者が、被害者の外見に変化がなく「かすっただけ」と思っていても、その接触によって歩行者が軽微な擦過傷を負っていたり、ショックで持病が悪化したり、あるいは所持品に損傷が生じている可能性は否定できません。

そのため、主観的には「かすっただけ」であっても、歩行者に少しでも異変がないかを確認することが大切です。

 

自転車運転者が警察へ報告義務がないケース

歩行者の怪我がなく、物損もないケース

警察への報告義務が生じるのは、前述の通り、人身または物損という「被害の事実」が発生した場合に限られます。

したがって、自転車と歩行者の軽い接触において、その場で当事者双方の確認により、歩行者に明らかにケガがなく、かつ所持品などにも一切の損壊(物損)がないことが確実に確認できた場合は、道路交通法に規定される「人の死傷」や「物の損壊」が発生していないといえます。

したがって、自転車が歩行者を「かすめただけ」のような限定的なケースでは、交通事故が発生したとは言えないため、警察への報告義務は発生しないと考えられます。

 

警察に報告せず逃げた場合の3つの責任

上記のとおり、警察への報告義務があるにもかかわらず、救護措置を怠り、現場を立ち去る行為は、人身事故であればひき逃げ、物損事故であれば当て逃げに該当します。

警察への報告義務を怠って現場から逃げた場合、自転車運転者には以下の3つの責任に問われる可能性があります。

警察に報告せず逃げた場合の3つの責任

 

刑事上の責任 |罰金や拘禁刑

自転車事故によって歩行者に負傷を負わせたにもかかわらず、救護義務や警察への報告義務を怠って逃げた場合、刑事上の責任が問われる可能性があります。

刑事責任として、警察や検察による捜査の対象となり、検察官に起訴された場合には刑事裁判によって拘禁刑や罰金といった刑罰が科せられることになります。

まず、道路交通法に基づく警察への報告義務を怠った場合、道路交通法違反の罪として、「3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金」が科される可能性があります(道路交通法第119条1項19号)。

これに加え、負傷者がいるにもかかわらず救護せずに逃げた場合は、救護義務違反(ひき逃げ)として、「5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という非常に重い刑罰の対象となります(道路交通法第117条1項)。

さらに、事故を起こした際の運転態様が悪質である場合や、歩行者に重篤な傷害を負わせた場合は、刑法上の罪に問われる可能性も生じます。

例えば、前方をよく見ていなかったことによる不注意で被害者にけがを負わせた場合には「過失致傷罪」が、信号無視や酒酔い運転といった重大な不注意(重過失)によって人身事故を起こした場合には、「重過失致死傷罪」などに問われる可能性があります。

自転車運転中の事故であっても、運転中のながらスマホや、酒酔い運転、信号無視などは「重過失」と判断される可能性があります。

過失傷害罪が成立した場合は、「30万円以下の罰金または科料」が、重過失傷害罪が成立した場合は、「5年以下の拘禁刑もしくは禁錮または100万円以下の罰金」が科されることになります。

このように、自転車事故を報告せずにその場から立ち去り、被害者が後に被害を訴え、事故が発覚すると、重い刑事罰を伴う「ひき逃げ」として立件されるリスクがあることを認識しておくべきです。

刑事罰を科された場合は前科がつき、その後の社会生活にも影響を及ぼすことになります。

 

行政上の責任 |免許停止や講習受講

自転車事故を起こして現場から逃げた場合、行政上の責任が問われる可能性があります。

自転車には運転免許制度がないため、行政処分は自動車事故ほど単純ではありませんが、救護義務違反・報告義務違反は、行政処分の対象となります。

まず、自動車や原動機付自転車の運転免許を保有している人が自転車でひき逃げなどの悪質な事故を起こし、救護義務や報告義務を怠った場合、その行為は自動車運転免許が停止される可能性があります。

道路交通法は、公安委員会が危険な運転を行った者に対して、30日以上6月を超えない範囲で免許の効力の停止を行うことができると定めています。

そのため、自転車の運転であっても、その態様が「危険性」を帯びていると公安委員会が判断した場合には、保有する自動車免許が停止される事態に発展するリスクがあります。

また、免許の有無にかかわらず、14歳以上の自転車運転者が、信号無視、一時不停止、酒酔い運転などの一定の危険行為を3年以内に2回以上行って摘発された場合、公安委員会から自転車運転者講習の受講を命じられます。

この講習受講命令に違反した場合、5万円以下の罰金が科されます。

事故を起こして逃げた人が、信号無視やながら運転などの危険行為をしていた場合には、この講習の対象者となる可能性があります。

 

民事上の責任 |損害賠償責任

刑事・行政上の責任とは別に、事故の加害者には、被害者に対して民法上の不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)が生じます。

交通事故の加害者は、警察への報告の有無や刑事罰の適用とは無関係に、被害者が受けたすべての損害を金銭で償う責任を負います。

そして、加害者が事故直後に適切な対応をとらなかったことで、被害者のケガの状況が悪化したり、後遺症が残ってしまったりした場合には、最終的に加害者が賠償すべき損害額が大きくなることになります。

自転車事故の被害者に支払うべき賠償金の内訳は、以下のように、被害者が受けた損害に応じて多岐にわたります。

  • 治療費:診察費、手術費、入院費、薬剤費、リハビリテーション費用など、完治までに要した全ての費用
  • 休業損害:事故が原因で働けなかったことで、本来であれば得られたはずの給与や収入の減少分
  • 物損:破損した衣服、スマートフォン、メガネ、自転車などの修理費または時価額
  • 後遺症逸失利益:交通事故に遭ったことで後遺症が残った結果、労働能力が喪失・減退したことで将来にわたり得られるはずであった収入を損害とするもの
  • 慰謝料:被害者が受けた精神的な苦痛を補償するために支払われる賠償金

特に、事故の態様が救護義務違反(ひき逃げ)や報告義務違反(当て逃げ)であるとして悪質性が高いとみなされると、慰謝料が増額される可能性もあります。

警察に報告せず現場から逃げたという事実は、加害者の対応として非常に不誠実なものであるため、被害者の精神的苦痛も大きいと評価される可能性があるからです。

さらに、被害者が弁護士に依頼して賠償請求してくるケースでは、弁護士基準(裁判基準)が適用されるため、慰謝料が高額になる可能性もあります。

 

 

自転車・歩行者の軽い接触事故で被害があった場合の流れ

自転車と歩行者との接触事故が発生し、歩行者側に負傷などの被害が生じた場合、解決までのプロセスは、以下のフロー図のような流れになります。

自転車・歩行者の軽い接触事故で 被害があった場合の流れ

以下、それぞれの段階について、詳しく解説していきます。

 

①警察に通報し、被害者を救護する

自転車事故が発生した場合、その場で直ちに車両の運転を停止し、負傷者を救護するとともに、警察官に事故を報告する義務があります(道路交通法第72条第1項)。

「軽い接触」であったと思われても、まずは歩行者の容態を最優先で確認し、意識の有無や出血、痛みの部位などを把握してください。

必要に応じて119番で救急車を要請し、二次被害を避けるため安全な場所へ誘導するなど、人命尊重の措置を講じなければなりません。

救護義務を怠ることは、ひき逃げとして重い刑事罰に問われる可能性があります。

また、救護措置と並行して、110番に通報し、事故の発生日時・場所、負傷者の状況、物損の有無などを報告してください。

警察が現場に来ることで、事故状況を客観的に記録した実況見分調書や交通事故証明書が作成されます。

これらは、後の保険金請求や損害賠償請求において、事故の発生を証明し、過失割合を判断する上で不可欠な重要資料となります。

警察への報告は義務であり、「かすっただけ」と自己判断で省略することは厳禁です。

 

②被害者の連絡先・自分の保険の確認

警察の到着を待つ間や現場検証の際に、必ず被害者である相手方の正確な情報を交換しておく必要があります。

これは、後の損害賠償に関する連絡、被害者からの治療費の支払いや示談交渉に対応するためです。

交換すべき情報は、相手方の氏名、住所、電話番号です。

さらに、加害者はご自身または家族が加入している保険の内容を確認してください。

自転車事故で使えるのは、「個人賠償責任保険」です。

これは、日常生活で他人に怪我をさせたり、物を壊したりした場合の損害賠償金を補償するもので、自転車事故の加害者となった場合には非常に重要となります。

個人賠償責任保険は、自動車保険や、火災保険や住宅総合保険、傷害保険(自転車保険を含む)、クレジットカードに付帯される保険の特約として付帯されていることが多いため、ご自身だけでなくご家族が加入している保険を含めて確認してください。

この特約に加入していれば、保険会社が被害者への賠償金を負担してくれるだけでなく、多くの場合、示談交渉の代行サービスも利用できるため、加害者本人の精神的・時間的負担を大きく軽減できます。

 

③治癒または症状固定

被害者が病院で治療をうけ、治癒または症状固定に至った段階で、次のステップへ進むことになります。

まず、治療の結果、事故による怪我の症状が完全に回復し、元の健康な状態に戻った場合を「治癒」といいます。

治癒をもって治療は終了し、この時点までの治療費、休業損害、入通院慰謝料などを算定することになります。

これに対して、長期間の治療を継続しても、痛みや痺れ、可動域の制限などの症状が一進一退となり、それ以上治療を続けても医学的に症状の改善が見込めない状態を「症状固定」といいます。

症状固定の判断は、基本的に主治医の医学的意見に基づいて行われます。

さらに、症状固定後の治療費は、原則として損害賠償の対象外となるため、症状固定の時期については、当事者双方に非常に重要となります。

 

④示談交渉

被害者の怪我が治癒したか、または症状固定となった後、加害者が加入している保険会社または加害者本人と被害者側との間で、最終的な損害賠償額を決定するための示談交渉が開始されます。

加害者側の保険会社(または本人)は、治療費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害の賠償金などの合計額を提示してきます。

示談交渉では、以下の点が争点となることが一般的です。

  • 事故に対する加害者と被害者それぞれの過失割合
  • 慰謝料や休業損害の金額など賠償項目の妥当性
  • 後遺障害の有無と等級

被害者側が弁護士に依頼した場合、弁護士はより高額な弁護士基準で賠償額を算定し、交渉を代行します。

示談が成立した場合は、示談書を作成し、これに基づいて賠償金が支払われます。

 

⑤裁判

示談交渉において、賠償金額や過失割合などで双方の意見が対立し、合意に至らなかった場合は、裁判による解決を検討することになります。

裁判では、裁判所に訴状を提出し、双方の主張や提出された証拠(実況見分調書、診断書、カルテなど)に基づいて審理が進められます。

裁判の途中で、裁判所から双方に和解を勧告され、双方が受け入れれば裁判上の和解として解決に至ることも少なくありません。

和解が成立しない場合は、最終的に裁判官が判決を下し、賠償額や過失割合が確定します。

裁判は示談交渉に比べて解決までに長期間を要し、費用もかかるというデメリットがありますが、第三者である裁判所に適正な賠償額を判断してもらうことができます。

 

⑥加害者が被害者に示談金を支払い解決

示談交渉での合意、または裁判上の和解・判決の確定により、最終的な賠償額が確定します。

加害者側から被害者に対して示談金(賠償金)が支払われ、事故の法的な解決は完了となります。

加害者が個人賠償責任保険などの保険に加入している場合は、保険会社から直接被害者に支払われることが一般的です。

加害者が保険に加入していない場合は、加害者本人が示談金全額を支払う必要があります。

示談書や和解書には、その後に新たな請求は行わない旨の清算条項が記載されることが一般的です。

そのため、この最終的な支払いをもって、原則として事故に関する金銭的な債権債務関係は消滅することになります。

 

 

自転車で歩行者に軽く接触した場合の慰謝料

自転車事故によって歩行者に傷害を負わせた場合、加害者側は、治療費や休業損害などの実費に加え、被害者の精神的・肉体的苦痛を償うための慰謝料を支払う法的義務を負います。

交通事故の慰謝料には、以下の3つの種類があります。

  • 入通院慰謝料(傷害慰謝料):怪我の治療のために病院に入院または通院したことに対する精神的苦痛への補償
  • 後遺障害慰謝料:治療を尽くしても症状が改善せず、後遺症が残ってしまったことに対する補償
  • 死亡慰謝料:事故により被害者が亡くなったことに対する補償

慰謝料の金額を算定する基準には、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「弁護士基準(裁判基準)」の3つがあり、このうち弁護士基準(裁判基準)が、過去の裁判例に基づいて算定されているため、高額な基準になります。

交通事故慰謝料の3つの基準

例えば、「軽い接触」により軽傷で通院治療した場合の入通院慰謝料の弁護士基準における相場は、以下のとおりです。

通院期間 弁護士基準による入通院慰謝料
1か月 19万円
2か月 36万円
3か月 53万円
4か月 67万円
5か月 79万円
6か月 89万円

以上はあくまで目安ですが、自転車事故で数か月の通院を要するケガを負わせた場合には、入通院慰謝料だけで数十万円に及ぶ可能性があります

なお、以下の記事で、自転車事故の賠償金の相場、内容、計算方法、算定基準、自転車事故の賠償金についてのポイントなどについて詳しく解説しておりますので、ぜひ参考にされてください。

 

 

自転車・歩行者の軽い接触事故についてのQ&A

自転車で歩行者と接触したが、「大丈夫」と言われた場合に立ち去っていい?

被害者がケガをしたり、所持品が壊れたりしている場合には、「大丈夫」と言われてもそのまま立ち去ってはいけません。

このような場合には、交通事故に該当するため、自転車の利用者は、被害者を救護し、警察に事故を報告する義務があります。

たとえ、被害者が「大丈夫」と言っていたとしても、数時間後や翌日になって、むちうちや打撲などの症状が遅れて現れるケースは多々あります。

また、スマートフォンの内部損傷などの物損が生じている可能性も否定できません。

被害が後から発覚し、被害届が出された場合、道路交通法違反の対象となる可能性があるため注意が必要です。

 

歩行者とかすっただけで謝罪しても報告義務がある?

自転車が被害者を「かすっただけ」のケースでは、警察への報告義務が発生しない可能性もあります。

警察への報告義務が発生するのは、「人の死傷」または「物の損壊」が生じた事故の場合に限られます。

そのため、歩行者とかすっただけで、明らかにこれらが発生していない場合には、警察への報告義務はありません。

しかし、先述のとおり、外見上被害者に変化がない場合であっても、後に体に異変が生じたり、所持品に損傷が発覚したりする可能性は常に存在します。

したがって、被害者にケガや物損の可能性がある場合には、事後の法的リスクを回避するためにも、警察に報告することが望ましいといえます。

被害者に対して謝罪をすることは重要ですが、これによって法的な義務の履行が免除されるわけではありません。

 

 

まとめ

自転車は「軽車両」であり、歩行者との接触は「交通事故」として扱われる可能性が高いです。

たとえ、「軽い接触」であっても、歩行者に負傷や物損が生じていれば、自転車運転者には救護義務と警察への報告義務が発生します。

この義務を怠り、現場を立ち去る行為はひき逃げや当て逃げに該当し、刑事責任(拘禁刑・罰金)、行政責任(免許停止など)、民事責任(損害賠償)という3つの重い法的責任を問われることになります。

事故発生時は、歩行者が「大丈夫」と言っても安易に立ち去らず、必ず警察へ連絡し、自身の加入する「個人賠償責任保険」を確認することが、後の高額な賠償リスクや刑事責任を回避するために重要となります。

被害者からの賠償請求や刑事事件への対応は、専門家である弁護士に相談してください。

当事務所でも、交通事故の損害賠償に関する対応を行う交通事故チーム、刑事事件に対応する刑事弁護チームを設け、事故の加害者からのご相談に幅広く対応しています。

電話やオンラインでのご相談もお受けしております。

お困りの方はぜひ一度、当事務所までお気軽にご相談ください。

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