脳卒中の後遺症|症状や対処法

脳卒中になると、
- うまく話せない
- 手足が動かしにくい
- 飲み込みづらい
といった、さまざまな後遺症が残ることがあります。
これらの後遺症は、日常生活に大きな影響を与えるため、交通事故との因果関係が認められた場合は、賠償金が高額になることも少なくありません。
そのため、どのような後遺症が起こり得るのか、また適切な賠償を受けるために何を確認すべきかを理解しておくことが重要です。
この記事では、脳卒中の後遺症の種類や特徴、注意すべき点について、交通事故・後遺障害に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。
交通事故や労災事故などで適切な補償を受けるための知識として、ぜひ参考にしてください。
目次
交通事故後に脳卒中を発症することはある?
脳卒中とは?
脳卒中とは、脳動脈の一部が詰まったり、破れたりする症状のことをいいます。
一言に脳卒中といっても、脳の血管に障害が起きた状態によって病名が異なってきます。
脳卒中は大きく分けて、血管が詰まるタイプ(虚血性脳卒中と言います。)と破れるタイプ(出血性脳卒中と言います。)に分類されます。
脳の血管が詰まることが原因の場合は脳梗塞といいます。
脳の中で脳の血管が破れて出血した場合は脳出血といい、脳の表面の大きな血管にできた瘤(こぶ:脳動脈瘤)が破裂して、くも膜の下に出血した場合をくも膜下出血と言います。

脳卒中の後遺症にはどんな種類がある?
代表的な後遺症
脳卒中の後遺症は、脳卒中によって脳の細胞がダメージを負うことによって発症し、体の麻痺や感覚の障害が後遺症として現れます。
脳卒中の後遺症には、下記の症状があげられます。
| 運動障害 | 片側の身体の一部(通常は手や足)が麻痺したり、動かしにくくなることがあります。 また、歩行時にバランスを取ることが難しくなったり、倒れやすいと感じることがあります。 |
|---|---|
| 目の障害 | 視野が狭くなったり、物が二重に見えたりすることがあります。 |
| 嚥下障害 | 飲み込む際の窒息感や食べ物を飲み込みにくくなることがあります。 |
| 構音障害 | 呂律が回りにくくなったり、言葉の発音が変化し、元の発音とは異なる音が出ることがあります。 |
| 高次脳機能障害 | 高次脳機能障害の症状としては、大きく分けて認知障害(記憶・記名力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害など)、行動障害(周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、自分の行動を抑制できないなど)、人格変化(自発的に物事に取り組めなくなるなど)の症状があります。 |
高次脳機能障害について詳しくは以下のページを御覧ください。
特に注意が必要な危険な症状
脳卒中は、再発することがあります。
再発の予兆として、以下のような症状が出ることがあります。
- 片方の腕に力が入らない、しびれる
- 片側の顔が下る、ゆがむ
- ろれつが回らない、言葉が出てこない
- 相手の言うことが理解できないなどの症状が出ることがあります。
こうした症状が出た場合には、脳卒中が再発する可能性があります。
自覚症状がある場合や、他人から上記のような様子の変化を指摘された場合には、速やかに病院を受診することが大切です。
交通事故との因果関係はどう判断される?
脳卒中と交通事故の因果関係は、交通事故が原因で脳卒中を発症したと言えるかどうかを検討することになります。
しかし、脳卒中は、脳の血管が内側から破れたり、詰まったりする病気です。
交通事故で頭を打って発症する脳出血(くも膜下出血、硬膜下血腫など)とは区別されます。
したがって、交通事故が原因で脳卒中になるということは非常に稀なケースということになります。
例えば、交通事故が原因で興奮状態となり、血圧が急上昇して脳出血を発症したような場合であれば、事故が原因で脳卒中の脳出血が発症したということもできます。
しかし、事故から一定期間を経過していたり、持病で高血圧を持っているようなケースでは、本当に事故が原因で脳卒中になったのか証明がとても難しいです。
こうしたケースの因果関係の証明は、医師にも意見を聞くなどして証拠を集めないと証明することは非常に難しいでしょう。
脳卒中の後遺症は後遺障害等級に認定される?
上記したように、純粋な脳卒中と交通事故との因果関係が認められることは稀であるといえます。
しかし、医学的な証拠をもって因果関係を証明できた場合には、その後遺症について後遺障害が認定されることもあるでしょう。
以下では、脳卒中と交通事故の因果関係が認められるケースを前提にして解説しています。
等級認定される代表的な症状
等級認定される場合の症状としては、高次脳機能障害の症状、身体的麻痺の症状が考えられます。
高次脳機能障害の症状
高次脳機能障害の症状としては、以下のような症状があります。
- 気が散りやすい、ぼんやりしている
- 覚える、思い出すことが難しくなる
- 計画的に物事を進めることが難しくなる
- 怒りっぽくなる、イライラすることが増える
- 言葉を聞いても理解できない、上手く話せない、読み書きができなくなる
- 着替え、歯磨きなどができなくなる
- 見聞きしたり触ったりしたものが何だかわからない
- 左右どちらかの側を認識しづらくなる
高次脳機能障害の症状について詳しくは以下の記事をご覧ください。
身体的麻痺の症状
脳の損傷した場所によって、体が麻痺して動かせなくなることがあります。
片麻痺(かたまひ)とは、 体の左右どちらかが動かなくなることです。
単麻痺は、手足のうち一ヵ所だけが麻痺する状態のことです。
認定されにくいケースの特徴
CTやMRIに異常が見られない
後遺障害等級に認定されるには、症状の原因となっている体の異常な状態を客観的に証明する必要があります。
その証明のために重要なのが、脳のCTやMRIの画像です。
高次脳機能障害や身体的な麻痺が生じる場合、事故後に脳が異常な状態(脳出血や脳梗塞など)があることが必要です。
事故後に撮影したCTやMRIに全く異常が見られないような場合には、仮に、何らかの症状があったとしても、後遺障害等級に認定されるのは難しいでしょう。
事故から時間が経過した後、脳出血や脳梗塞を発症している
後遺障害等級に認定されるには、交通事故と脳出血や脳梗塞の因果関係が認められなければなりません。
事故直後に症状が発症している場合には、事故との関係性は主張しやすいですが、事故から時間が経過すればするほど因果関係が希薄になっていきます。
時間が経過すると、事故以外の原因で脳出血や脳梗塞を発症したのではないか?と考えられるためです。
特に脳梗塞は生活習慣が原因であることが多いため、ただでさえ因果関係の証明が困難な中、時間の経過によりさらに証明が難しくなります。
脳卒中の後遺症を弁護士に相談・依頼するメリット

①後遺障害等級の申請サポートが可能
後遺障害等級に認定されるには、脳卒中と交通事故の関係性を証明する必要がありますが、その因果関係を証明することは、とても難しいです。
もっとも、事案の中には因果関係を主張できうる事案もありえます。
そうした場合でも、交通事故と脳卒中を医学的観点から結びつける証拠を収集する必要があります。
さらにその証拠に基づき、事故が原因で脳卒中になったことを論理的に主張していかなければなりません。
こうした作業はとても大変で、高度の専門的な知識を要しますが、弁護士に依頼した場合には、弁護士が後遺障害の申請のサポートをします。
②医学的証拠の収集支援が可能
先ほど説明したように、弁護士に依頼した場合には、脳卒中と交通事故を結びつける証拠を弁護士が収集します。
例えば、病院のカルテなどの医療記録を取り寄せます。
また、そのカルテの内容を踏まえて、医師と面談したり、医療照会を行ったりします。
医療照会では、脳卒中と事故との関係性を結びつける事柄について確認する内容を医師に質問して回答してもらいます。
このように、医学的な証拠を弁護士において収集します。
③適切な後遺障害等級を獲得できる
弁護士が後遺障害申請をする場合には、申請に必須とされている書類だけでなく、認定に有利になる証拠も提出します。
脳卒中と交通事故の因果関係を示す証拠も添付して提出します。
例えば、カルテや医療照会の回答書、画像鑑定報告書、医師の意見書など医療記録なども提出します。
その結果、適切な後遺障害の結果を得ることが期待できます。
脳卒中の後遺症についてQ&A

脳卒中の後遺症が残る確率は?
脳卒中の後遺症が残る確率は、個人によって異なりますが、一般的には一度発症すると7割の人に何らかの後遺症が残るといわれております。くも膜下出血では、事前に頭痛を経験することがあるため、脳に違和感を感じた場合は、病院で検査を受けることをオススメします。
早期の治療と適切なリハビリテーションにより、後遺症の程度を軽減できる場合があります。

脳卒中の後遺症で失語症になる人はいますか?
脳卒中の後遺症で失語症になることはあります。失語症は、脳の特定の領域が損傷されることによって言語理解や発話能力に障害が生じる状態です。
脳卒中がこの言語の制御を担う領域にダメージを与えると、失語症が発生する可能性があります。
まとめ
脳卒中とは、脳動脈の一部が詰まったり、破れたりする症状のことをいいます。
脳の血管が詰まることが原因の場合は脳梗塞、脳の中で脳の血管が破れて出血した場合は脳出血、脳の表面の大きな血管にできた瘤(こぶ:脳動脈瘤)が破裂して、くも膜の下に出血した場合をくも膜下出血といいます。
脳卒中の後遺症は、脳卒中によって脳の細胞がダメージを負うことによって発症し、体の麻痺や感覚の障害や高次脳機能障害などが残存する可能性があります。
脳卒中と交通事故の因果関係を結びつけることは簡単ではありません。
弁護士に相談依頼して、見通しを立ててもらい、因果関係の証明の見込みがある場合には、弁護士に後遺障害申請を依頼することを検討すべきでしょう。
当法律事務所の人身障害部は、交通事故や労災事故に精通した弁護士のみで構成されており、後遺障害に悩む被害者を強力にサポートしています。
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