頚髄損傷とはどのような怪我ですか。後遺障害に該当しますか?

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)




頚髄損傷(けいずいそんしょう)とは、外力によって背骨である頚椎(首の骨)の中にある頚髄が損傷することで発症する傷病です。

後遺障害は1級1号から12級13号までに該当する可能性があります。

頚髄不全損傷で後遺障害等級が認められた事例はこちらをご覧ください。

頚髄損傷とは

頚髄損傷(けいずいそんしょう)とは、外力によって背骨である頚椎(首の骨)の中にある頚髄が損傷することで発症する傷病です。

交通事故によって首に大きなエネルギーが加わった場合や、高所から転落して首を強く打ちつけた場合に頚髄を損傷することがあります。

頚髄を損傷すると、神経が麻痺するため身体が動かなくなったり、感覚がなくなったりします。

麻痺の程度は、損傷した頚髄の場所と損傷の程度によって変わってきます。

軽度の頚髄損傷の場合、装具をつける、家屋を改造する、車いすを使用するといったことで日常生活を送ることができます。

しかし、重度の頚髄損傷の場合、日常生活の全てにおいて介助が必要となり、自宅での生活は困難になる可能性があります。

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麻痺の分類

医学的には、麻痺の程度によって完全麻痺と不全麻痺とに分けられます。

完全麻痺
脊髄の機能が完全に壊れた状態で、感覚(冷たい、熱い、痛いなど)や運動機能(体を動かす機能)が完全に消失した状態。
不全麻痺
脊髄の一部が損傷して一部の機能を消失した状態で、感覚や運動機能に低下はありますが、部分的に残存している状態。

 

 

損傷高位別の特徴

頚節は最上位(脳に最も近い部分)をC1、最下位(脳から最も遠い部分)をC8と言います。

C1~3頚節の損傷

最上位の頚節から3番目までの頚節が損傷した場合は死亡に至ることがあります。

幸い一命をとりとめても、日常生活を自立して生活することはできず、全介助が必要となる可能性が高いです。

C4頚節の損傷

4番目の頚節が損傷した場合、四肢の完全麻痺と、胸郭の運動障害による呼吸障害が発生する可能性があります。

C4を損傷した場合にも全介助となる可能性があります。

C5~8頚節以下の損傷

四肢麻痺を残し、装具や補助具、車いすを利用する必要が出てきます。

※上記の特徴はあくまで目安です。

 

 

後遺障害等級

頚髄を損傷した場合の後遺障害等級は以下のとおりです。

別表第1
第1級1号
せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
  1. 高度の四肢麻痺が認められるもの
  2. 高度の対麻痺が認められるもの
  3. 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用弁・更衣等について常時介護を要するもの
  4. 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用弁・更衣等について常時介護を要するもの
別表第1
第2級1号
せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について、随時介護を要するもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
  1. 中等度の四肢麻痺が認められるもの
  2. 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用弁・更衣等について随時介護を要するもの
  3. 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用弁・更衣等について随時介護を要するもの
別表第2
第3級3号
生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、せき髄症状のために労務に服することができないもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
  1. 軽度の四肢麻痺が認められるもの
  2. 中等度の対麻痺が認められるもの
別表第2
第5級2号
せき髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
  1. 軽度の対麻痺が認められるもの
  2. 一下肢の高度の単麻痺が認められるもの
別表第2
第7級4号
せき髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
一下肢の中等度の単麻痺が認められるもの
別表第2
第9級10号
通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
一下肢の軽度の単麻痺が認められるものが該当します。
別表第2
第12級13号
通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、多少の障害を残すもの
具体的には、以下のような場合に該当します。
  1. 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの
  2. 運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

以上の等級を確認するにあたって、麻痺の種類や程度について説明します。

麻痺の種類

  • 四肢麻痺」…両方の上肢と下肢が麻痺している状態。
  • 単麻痺」…上肢又は下肢の一肢が麻痺している状態。
  • 対麻痺」…両方の上肢または両方の下肢が麻痺している状態。

 

麻痺の程度

「高度」の麻痺「中等度」の麻痺「軽度」の麻痺
上肢
  • 完全硬直又はこれに近いもの
  • 三大関節(肩、肘、手)及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動できないもの又はこれに近い状態
  • 随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの

下肢
  • 完全硬直又はこれに近いもの
  • 三大関節(股、膝、足)のいずれも自動運動によっては稼働させることができないもの又はこれに近い状態
  • 示威運動の顕著な障害により一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
上肢
  • 障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500g)を持ち上げることができないもの
  • 障害を残した一上肢では、文字を書くことができないもの

下肢
  • 障害を残した下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの
  • 障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であること
上肢
  • 障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの

下肢
  • 日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの
  • 障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの

 

 

後遺傷害慰謝料と労働能力喪失率

頚髄損傷した場合の後遺傷害慰謝料と労働能力喪失率は下表のとおりです。

等級 後遺障害慰謝料額 労働能力喪失率
1級 2800万円 100%
2級 2370万円 100%
3級 1990万円 100%
5級 1400万円 79%
7級 1000万円 56%
9級 690万円 35%
12級 290万円 14%

参照:別表Ⅰ 労働能力喪失率表|労働省労働基準局長通達(昭和32年7月2日基発第551号)
※上表の数字は目安であり絶対的なものではありません。

 

 

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