交通事故で頭蓋骨骨折。後遺障害や慰謝料・逸失利益の相場は?

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

交通事故で頭に衝撃を受けてしまい頭蓋骨が骨折してしまうことがあります。

頭蓋骨を骨折している場合には、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫、びまん性軸索損傷などの傷害が発生していることもあり、重篤な後遺障害が残ってしまう可能性があります。

この記事では、頭蓋骨を骨折した場合の後遺障害や慰謝料や逸失利益の相場について解説しています。

この記事でわかること

  • 頭蓋骨骨折した場合の後遺障害
  • 頭蓋骨骨折した場合の慰謝料の金額
  • 頭蓋骨骨折した場合の逸失利益の計算例

 

頭蓋骨骨折の後遺障害

高次脳機能障害

高次脳機能障害は、以下の要件を満たす場合に認定されます。

要件
  1. 脳挫傷や外傷性くも膜下出血などの頭部外傷があること
  2. 事故後、意識障害があること
  3. 記憶障害、注意障害、社会的行動傷害、注意障害などの症状が出ていること

頭蓋骨を骨折している場合には、脳挫傷やくも膜下出血などを併発していることがあり、高次脳機能障害が残存することがあります。

高次脳機能障害の認定基準と後遺障害慰謝料金額は以下のとおりです。

等級 認定基準 後遺障害慰謝料(裁判基準)
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 2800万円
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 2370万円
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 1990万円
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 1000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 690万円

参照元:後遺障害等級|一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構

 

視覚、聴覚、嗅覚、味覚の後遺障害

頭部には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚を司る神経があります。

頭蓋骨を骨折することでこうした神経が損傷し、視覚、聴覚、嗅覚、味覚に異常をきたす可能性があります。

 

醜状障害

頭蓋骨を骨折した場合、頭蓋骨の一部が欠損するなどの醜状障害が残存することがあります。

頭蓋骨骨折による醜状障害の等級と後遺障害慰謝料は以下のとおりです。

等級 認定基準 後遺障害慰謝料(裁判基準)
7級12号 頭部に手のひら大以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損 1000万円
12級14号 頭部に、鶏卵大以上の瘢痕、頭蓋骨の鶏卵大以上の欠損 290万円

参照元:後遺障害等級|一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構

 

 

頭蓋骨骨折の逸失利益

高次脳機能障害を発症した場合の逸失利益

逸失利益は、以下の計算方法で算出します。

逸失利益の計算式

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

ここでは、48歳、会社員、年収480万円の方が、高次脳機能障害により5級2号に認定された場合の逸失利益の具体的計算方法を説明します。

具体例 48歳、会社員、年収480万円の方が、5級2号に認定された場合

この場合、基礎収入は年収の480万円、労働能力喪失率は79%(5級の喪失率)、喪失期間は19年(67歳までの年数)でライプニッツ係数は14.3238となります。

480万円 × 79% × 14.3238 = 5431万5849円

上記の計算式のとおり、この場合の逸失利益は5431万5849円となります。

 

醜状障害の逸失利益の注意点

頭蓋骨を骨折したことで、頭蓋骨の一部が欠損した場合には、上記のとおり後遺障害に認定される可能性があります。

しかし、こうした醜状障害の場合、逸失利益は制限的にしか認められないことがあります。

逸失利益は、後遺障害により労働能力を喪失して減収してしまうことに対する賠償です。

醜状障害の場合には、傷痕等は残っているものの、身体能力や思考能力に影響はないと考えられ、労働能力の喪失もなく、逸失利益も生じないと考えられるのです。

保険会社は、こうした理屈に基づいて、逸失利益の賠償に消極的な提案をして来ることが多々あります。

こうした主張に対しては、醜状障害が残っていることで働きづらくなっている事情や、将来において、昇給や昇進に影響を与える可能性があることなどを具体的に説明し交渉する必要があります。

 

 

まとめ

頭蓋骨の骨折は、脳挫傷やくも膜下出血などを併発し生命が危ぶまれる可能性がある傷害です。

高次脳機能障害を発症した場合には、賠償額も高額になるため、適切な補償を得るために、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

 

後遺障害


 
賠償金の計算方法



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