後遺障害が複数あるとき等級はどうなる?併合と相当の違いを解説

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)


後遺障害が複数あるとき等級はどうなる?併合と相当の違いを解説

交通事故で複数の後遺症(後遺障害)の種類が認められた場合、最も重い等級を基準に1〜3段階繰り上げる「併合」ルールが適用されます 。

併合のルールで等級が上がり、賠償額(慰謝料など)が大幅に増額されます。

この記事では、後遺症の種類ごとの分類方法や、自分の等級が何級繰り上がるのか、具体的な計算ルールを弁護士が詳しく解説します。

後遺症の種類を分ける「障害グループ」とは?

障害認定基準では、身体部位・障害態様によって、グループ分けがなされています。

このグループ分けは、自賠責保険後遺障害等級表の「障害系列」に従って分類されています。

下肢の運動障害は、右足と左足とで別の系列になり、右には26、左には30と異なる系列番号を付けられています。

この系列番号が異なることから、右足の機能障害と左足の機能障害は別々の障害グループに分類されます。

 

 

複数の後遺症害等級がある場合の計算方法

今回の相談者は右足に1つ、左足に2つの怪我が交通事故による後遺障害として残存しました。

以下の3段階に分けて解説いたします。

  1. ① 後遺症の種類をグループ(系列)に分ける
  2. ② 同じグループの等級をまとめる(相当)
  3. ③ 異なるグループを合算する(併合)

 

①後遺症の種類をグループ(系列)に分ける

今回の事例の場合は、右膝と左膝・左足首の2つの障害のグループに分かれます。

①グループに分ける

 

②同じグループの等級をまとめる(相当)

今回の事例の場合、右足の障害グループは右膝の障害1つしかないので、等級は12級のままです。

②同じ障害のグループの等級をまとめる

一方、左膝と左足首の等級はそれぞれ12級です。

そこで左足の障害グループの等級をまとめます。

等級をまとめる際は、以下のルールに従います。

障害の組み合わせ 等級の繰り上げルール
5級以上が2つ以上 最も重い方の等級を 3階級 繰り上げる
8級以上が2つ以上 最も重い方の等級を 2階級 繰り上げる
13級以上が2つ以上 最も重い方の等級を 1階級 繰り上げる

今回の事例の場合、左足の等級は最も重い等級が12級、次に重い等級も12級です。

「1~13級までの後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を1つ繰り上げる」というルールを当てはめると、等級が1つ繰り上がり、11級になります。

後遺障害の評価としては、「11級相当」と評価されることになります。

②同じ障害のグループの等級をまとめる

 

③異なるグループを合算する(併合)

次に異なるグループに分類されている右足の障害等級と左足の障害等級をまとめます。

今回の事例の場合、右足の障害グループの等級は12級、左足の障害グループの等級は「11級相当」でした。

ここでも、「1~13級までの後遺障害が2つ以上ある場合は、最も重い等級を1つ繰り上げる」というルールを当てはめます。

そうすると、左足の障害グループの等級の方が、右足のよりも重いので、11級を1つ繰り上げ、10級とします。

異なるグループの障害等級をまとめて評価したものですので、後遺障害の評価としては「併合10級」と評価されます。

グループに分類されている右足の障害等級と左足の障害等級をまとめる

 

 

後遺障害が複数あるケースについてのQ&A

14級が2つある場合、併合されますか?

14級が2つあると「併合14級」となります。

「併合」はされるのですが、等級は上がりません。

したがって、14級はいくつあっても14級なので、慰謝料額が増額されるということは原則ありません。

ただし、14級が複数あることは、1つの場合と比べて、それだけ精神的苦痛を多く被っているので、慰謝料の増額事由などで主張することは考えられます。

 

全く別の部位(頭と足など)の怪我は合算されますか?

全く別の部位について、後遺障害認定された場合には、併合されます。

例えば、頭について、12級に認定され、足について10級が認定された場合には、併合11級ということになります。

 

併合されると慰謝料はどれくらい増えますか?

併合されることによって、等級は上がりますので、その分、後遺障害慰謝料の金額は上がります。

例えば、10級と12級の場合、最も重い10級の後遺障害慰謝料は550万円ですが、併合して9級となるため、後遺障害慰謝料は690万円に増額されます。

 

 

まとめ

後遺障害が複数あり併合が問題になるようなケースでは、賠償額も高額になり、損害の計算方法が複雑になることが多いです。

また、後遺障害等級が重く賠償額が高くなるケースでは、保険会社の用いる任意保険基準と弁護士基準(裁判基準)の金額の差額も大きくなります。

したがって、併合が問題になるようなケースでは、弁護士に依頼を検討すべきですし、少なくとも一度は相談されることをお勧めします。

当事務所では、交通事故を日常的に取り扱う弁護士が、相談から事件処理まで全て対応しています。

来所での相談はもちろん、電話相談、オンライン相談で全国対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

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