高次脳機能障害の4大症状は?家族の対応と後遺障害

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士


高次脳機能障害の4大症状として、以下のものがあります。

  • 記憶障害:新しいことを記憶する、記憶を保持する、覚えたことを引き出すといったことができない
  • 注意障害:集中する、注意を持続するといったことが難しくなる
  • 遂行機能障害:自分で計画を立てて行動することが難しくなる、結果を見て行動を修正することが難しくなる
  • 社会的行動障害:感情のコントロールや行動の抑制などが難しくなる

この他にも、異常に疲れやすくなったり(易疲労)、左側に存在する空間を認識しづらくなったり(半側空間無視)、日常的に何気なく行ってきた目的のある動作や、道具の正しい操作ができなくなってしまったり(失行症)などの症状があらわれる場合もあります。

この記事では、高次脳機能障害が持つ4大症状の具体的な特徴や家族の適切な対応、そして適正な損害賠償金を獲得するためのポイントなどについて、弁護士がわかりやすく解説していきます。

高次脳機能障害の4大症状とは?

高次脳機能障害の4大症状

記憶障害

「記憶障害」とは、目の前で起きた出来事や新しい知識を脳に留め、必要なときに思い出すという一連の機能が損なわれる障害です

多くの場合、事故前の古い記憶は保たれていますが、事故以後の新しい出来事を覚えることが著しく困難になります。

記憶障害は、単なる「物忘れ」とは異なり、脳の器質的損傷に起因するものです。

そのため、メモを取る習慣をつけるなどの工夫をしても、作業を一時的に中断しただけで「直前まで何をしていたか」を完全に忘れてしまうなど、周囲のサポートなしには生活が成り立たないケースが多々見られます。

 

注意障害

「注意障害」とは、物事に集中する、特定の対象に意識を向け続ける、あるいは複数の事象に同時に気を配るといった「注意のコントロール機能」が著しく低下する症状です

外見的には「常にぼんやりしている」、「やる気がない」ように誤解されやすいですが、これも脳の損傷によって生じる重大な障害です。

具体的な症状としては、以下のような傾向が顕著に現れます。

集中力が持続しない 根気が続かず、デスクワークや軽作業であっても短時間で息切れしてしまい、作業の手が止まってしまいます。
周囲の刺激に極めて気が散りやすい 近くで他人が話している声や外の物音が耳に入ると、そちらに気を取られてしまい、自分の作業を継続できなくなります。
ミスが増え危険を察知できない 注意力の散漫さから、仕事での書類の記入漏れや計算ミス、日常の忘れ物が劇的に増えます。また、歩行中や運転中に周囲の危険を予測・察知して回避する行動が困難になるため、二次的な事故のリスクも高まります。
複数タスクの同時処理ができない 2つのことを同時に行おうとすると脳がパニックを起こします。特に職場などで複数の指示を同時に受けると、何から手をつけてよいか混乱してしまいます。

注意障害を抱えると、会話の輪についていくことも難しくなり、家族や同僚の言葉を自分に向けられたものと勘違いして聞き入ってしまうなど、コミュニケーション面でも摩擦が生じやすくなります。

 

遂行機能障害

「遂行機能障害(すいこうきのうしょうがい)」とは、物事のゴールを見据えて、自ら論理的な計画を立て、順序よく実行していくことができなくなる障害です

指示された単一の行動をその場で一つずつこなすことは可能であっても、それらを組み合わせて全体像を把握し、要領よく進める「段取り」の能力が失われてしまいます。

主な症状例は以下の通りです。

計画立案と目標設定の困難 自分でスケジュールを管理したり、仕事の手順を組み立てたりすることができません。具体的な指示がないと、次に何をすべきかが分からず、立ち尽くしてしまいます。
臨機応変な対応の喪失 予期せぬトラブルや予定の変更といった「変化」に対応できず、フリーズしてしまいます。一つの方法に過度にこだわってしまい、状況に合わせた行動の修正ができません。
無計画な行動と金銭管理の破綻 行動の帰結を予測する前に衝動的に動いてしまうため、約束の時間に遅れたり、行き当たりばったりの行動が目立ちます。

また、お財布にあるお金の計画的な使い方ができなくなり、金銭管理が非常に難しくなります。

周囲から見ると「怠けている」、「やる気がない」と見えがちですが、本人にとっては「どう動けばいいのか脳が導き出せない」苦しい状態にあります。

具体的な手順を細かく指示されないと、何一つ完了できなくなるのが特徴です。

 

社会的行動障害

「社会的行動障害」とは、感情のコントロールや社会的なルールの遵守、適切な対人関係の構築などができなくなり、人格や行動の様式がガラリと変わってしまう症状です

典型的な症状として以下が挙げられます。

 

感情コントロールの喪失と豹変

些細なことで激しくイライラし、大声で怒鳴ったり、暴力を振るったり、暴言を吐いたりします。

いわゆる「キレやすい」状態になり、喜怒哀楽の振れ幅が極端になります。

 

自発性の著しい低下

感情が爆発する一方で、自分から行動を起こす意欲(気力)が完全に失われ、指示されないと一日中何もしないという極端な状態に陥ることもあります。

 

欲求の抑制困難と子供っぽさ

自己中心的になり、他人の感情を察した行動ができなくなります。自分の欲求を我慢できず、言動が子供っぽくなったり、お金を際限なく使ってしまったり、時には窃盗などの反社会的行動に走ってしまうケースすらあります。

 

強いこだわり

特定の物事や習慣、自分のルールに過剰にこだわり、融通が一切利かなくなります。

以上のような社会的行動障害は、家族や友人、職場の人間関係を急激に悪化させます。

本人は自分の異常を客観的に自覚(病識)できないことが多く、周囲とのトラブルを繰り返して社会的に孤立してしまうケースが非常に多いという深刻な側面を持っています。

 

 

高次脳機能障害のその他の症状

易疲労(いひろう)

「易疲労(いひろう)」とは、身体的・精神的な負荷に対して異常に疲れやすくなってしまう症状です

脳のエネルギー代謝や情報処理の効率が低下するために起こり、外見からはその疲労度が伝わりにくいのが特徴です。

具体的には、常に強い眠気に襲われたり、長時間のデスクワークや正しい姿勢での着座を維持できなくなったりします。

 

半側空間無視

「半側空間無視(はんそくくうかんむし)」とは、視力自体には問題がないにもかかわらず、大脳の損傷とは反対側の空間(多くの場合は右脳の損傷による「左側」)に存在する情報や対象物を、脳が認識できなくなってしまう障害です

左側にある障害物や壁、歩行者に全く気づかずにぶつかってしまったり、左側から話しかけられても無視してしまったりします。

食事の際にも、お皿の左半分にある料理だけを残してしまう「食べ残し」がよく見られます。

 

失語症(しつごしょう)

「失語症(しつごしょう)」とは、言葉を操る脳の言語中枢が損傷されることにより、「聞く・話す・読む・書く・計算する」という言語コミュニケーション全般の機能に重い支障が生じる障害です

具体的には、相手の話している言葉の意味が理解できなくなったり、伝えたい言葉や物の名前が思い浮かばずたどたどしい話し方になったりします。

 

病識の欠如(びょうしきのけつじょ)

「病識の欠如(びょうしきのけつじょ)」とは、自分自身に認知障害や行動障害などの後遺症があることを、客観的に認識・自覚できない状態を指します

本人は、自分に障害がないかのように振る舞ったり、できないことを「できる」と言い張ったりします。

そのため、現状の能力では極めて危険であるにもかかわらず、事故前と同じように職場の第一線に復帰しようとしたり、無理に自動車の運転を再開しようとしたりして、重大なトラブルや二次事故のリスクを引き起こしてしまう可能性があります。

 

失行症(しっこうしょう)

「失行症(しっこうしょう)」とは、手足の筋力や感覚に麻痺(身体的な問題)はないにもかかわらず、日常的に何気なく行ってきた目的のある動作や、道具の正しい操作ができなくなってしまう症状です

具体的には、ハサミや箸といった馴染みのある道具を目の前にしても使い方が分からなくなったり、歯ブラシを渡されても髪をとかすような動きをしてしまったりします。

また、衣類の上下・左右・裏表の認識が狂い、服を正しく着用できない「着衣失行」もよく見られます。

 

失認症(しつにんしょう)

「失認症(しつにんしょう)」とは、視覚、聴覚、触覚などの五感(感覚器)自体は正常に機能しているにもかかわらず、それらの感覚を通じて捉えた対象物が「何であるか」を脳が正しく認識・識別できなくなる障害です

たとえば、親しい家族や知人の顔をじっと見つめても誰だか判別できない「相貌失認(そうぼうしつにん)」があります。

この場合、顔を見ただけでは分かりませんが、相手が声を出す(聴覚情報が入る)と即座に誰であるかを理解できるという特徴があります。

また、目の前にある時計やコップという物を見てもそれが何であるか理解できず、実際に手で触る(触覚情報が入る)ことで初めてその名称や用途を理解できる、といった症状も現れます。

 

地誌的障害(ちしてきしょうがい)

「地誌的障害(ちしてきしょうがい)」とは、空間における位置関係の把握や、地理的な記憶の再現ができなくなる障害です

いわゆる極端な「方向音痴」のように見えますが、脳の空間認知能力の損傷によって生じる病的な症状です。

たとえば、何十年も住み続けている見慣れた自宅の周辺や、かつて毎日通っていた通勤経路であるにもかかわらず、途中で道に迷ってしまい目的地にたどり着けなくなります。

また、自宅の簡易的な地図を描くことができなくなったり、今自分がどこにいるのか、どちらの方角を向いているのかが完全に分からなくなったりします。

 

見当識障害(けんとうしきしょうがい)

「見当識障害(けんとうしきしょうがい)」とは、自分が置かれている現在の「時間」、「場所」、「人間関係」といった、周囲の状況を正しく認識する能力が喪失・低下してしまう障害です

障害の進行によって認識が失われる順番があり、一般的にはまず「時間」の感覚から狂い始めます。

現在の年・月・日はもちろん、季節の感覚や、今が朝なのか夜なのかの区別がつかなくなります。

次いで「場所」の認識が薄れ、自分が今病院にいるのか自宅にいるのかが分からなくなります。

最悪の場合、目の前にいる介護者が誰であるかという「人間関係(人物)」の認識まで崩れてしまいます。

 

 

そもそも高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、交通事故や労災事故などで頭部に外傷を負ったことで、認知障害、行動障害、人格変化などが起きる障害です

経験した知識や記憶を関連づけて理解し説明する、計画を立てて行動する、新しいことを記憶する、その場にあった適切な行動をするといった脳の機能に障害が生じてしまうのです。

高次脳機能障害は、脳の内部の問題であり、外観上は健康に見えます。

したがって、他人から見ると、外見上いたって健康そうな人が社会的な行動をとっていないように見え誤解されることがあります。

 

 

高次脳機能障害の原因とは?

脳卒中(脳血管障害)

高次脳機能障害を引き起こす代表的な原因疾患が脳卒中(脳血管障害)です。

これには、脳の血管が詰まって脳細胞が壊死する「脳梗塞」、脳の深い部分の血管が破れて出血する「脳出血」、脳の表面の血管にできた動脈瘤が破裂する「くも膜下出血」の3つのタイプがあります。

脳卒中を発症すると、血管が破綻した部位や血流が途絶えた領域の脳細胞が急速に破壊されます。

その結果、一命を取り留めたとしても、言語や記憶、注意力を司る神経ネットワークが分断され、高次脳機能障害として後遺症が残ることになります。

脳卒中では片側の手足が動かなくなる運動麻痺を伴うケースも多く見られますが、外見からは麻痺が分かりにくい軽微な病変であっても、脳の重要な拠点が損傷されれば深刻な認知・行動障害が現れます。

脳卒中の原因である高血圧や、糖尿病などの生活習慣病を日頃から予防・治療しておくことが発症リスクを抑える鍵となります。

 

交通事故や労働災害などによる頭部外傷

交通事故や労働災害(労災)における転落・転倒などによって、頭部に強力な外力が加わることで脳が傷つくことを「脳外傷(頭部外傷)」と呼びます。

強い衝撃を受けると、頭蓋骨の内部で脳が激しく揺さぶられ、骨の内壁に衝突して脳の組織が崩れて出血する「脳挫傷(のうざしょう)」を引き起こします。

さらに、衝突した部位の真反対の脳組織まで傷つく「コントラクー外傷」や、脳の広い範囲で神経線維が引きちぎられる「びまん性軸索損傷」が発生することもあり、これらが複数の症状が重なり合う複雑な高次脳機能障害の原因となります。

脳外傷において注意すべきなのは、受傷直後には目立った異常が見られず「軽いたんこぶや打撲」だと思い込んでいたとしても、数時間から数日経って頭蓋内での出血(脳挫傷性血腫)がじわじわと拡大し、脳を圧迫して初めて重大な意識障害や運動麻痺、認知障害が顕在化するケースがある点です。

 

脳炎・低酸素脳症

「脳炎」や「低酸素脳症」など内科的な要因によって脳全体が広範なダメージを負うことで高次脳機能障害が発症するケースがあります。

「脳炎」とは、ウイルスや細菌などの病原体が脳内に侵入して激しい炎症を起こす「感染性脳炎」や、自分自身の免疫システムが誤って脳組織を攻撃してしまう「自己免疫性脳炎」を指します。

なかでも単純ヘルペスウイルスによる脳炎は、治癒した後も記憶障害をはじめとする重い高次脳機能障害を過半数の方に残すことが知られており、速やかな抗ウイルス薬治療が欠かせません。頭痛や発熱、意識障害や異常な言動が主な初期兆候です。

一方、「低酸素脳症」は、心停止や呼吸不全、溺水などにより、脳への酸素供給が一時的に完全に途絶えることで発生します。

脳は体の中で最も酸素消費量が多く、わずか数分間でも酸素が不足すると、記憶を司る海馬などの非常にデリケートな部位から優先的に広範囲の脳細胞が死滅してしまいます。

これらの疾患は脳全体に影響が及びやすいため、記憶障害や社会的行動障害といった複数の症状が重篤な形で残るケースが少なくありません。

 

 

症状に応じた後遺障害等級認定と適正な損害賠償

なぜ後遺障害等級の認定が重要なのか

後遺障害の認定とは、交通事故で怪我をした方が、治療しても事故前の身体の状態に戻らず、後遺症が残ってしまったことを、自賠責保険から認めてもらうことをいいます

後遺障害は、その症状の重さに応じて、等級が定められています。

後遺障害等級には、一番重い1級〜14級まであり、後遺障害逸失利益や後遺障害慰謝料は、認定される等級に応じて金額が異なってきます。

高次脳機能障害は、手足の骨折や切断とは異なり、目に見えない「精神・神経系統」の障害です。

そのため、医学的証拠に基づいてこれらの条件をクリアし、適切な等級を獲得しなければ、本来受け取るべき数千万円単位の賠償金が受け取れなくなってしまうリスクがあるのです。

 

高次脳機能障害で認定される可能性のある等級

高次脳機能障害において、自賠責保険や裁判所で認定される可能性のある後遺障害等級は、主に以下の6つの区分に分かれています。

これらは労災保険の基準に準じ、認知障害や行動障害が、一般就労や日常生活の維持にどれほど深刻な制限を与えているかという実態に即して総合的に審査されます。

 

高次脳機能障害の後遺障害等級一覧
後遺障害等級 後遺障害の内容 補足的な考え方
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体的動作には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや監視を欠かすことができないもの
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業能力などに問題があるもの

1級・2級の「要介護」に該当するか、3級以下の「就労への影響度」に該当するかで、判断のハードルや求められる生活実態報告の重要性も変わってきます。

 

高次脳機能障害の賠償金の相場

高次脳機能障害が残った場合には、「後遺障害慰謝料」や「後遺障害逸失利益(将来減収することへの補償)」を受け取ることができます。

さらに、重度の場合は「将来介護費」や「自宅改装費」などが加算されるため、最終的な総額は数千万円から1億円を超えることも珍しくありません。

ここで極めて重要なのは、賠償金の算定には以下の3つの基準があるということです。

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険会社基準
  • 弁護士基準

加害者側の保険会社が提示してくる金額(自賠責基準や任意保険会社基準)は、裁判所が認める「弁護士基準」に比べてかなり低額に抑えられています。

例として、精神的苦痛に対する対価である「後遺障害慰謝料」の基準別の相場(目安)を下表に示します。

後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準(裁判基準)
1級1号 1150万円(1650万円) 2800万円
2級1号 998万円(1203万円) 2370万円
3級3号 861万円 1990万円
5級2号 618万円 1400万円
7級4号 419万円 1000万円
9級10号 249万円 690万円

※( )内は、「介護を要する後遺障害」の場合の金額です。

 

 

高次脳機能障害で適正な等級を獲得するための3つのポイント

脳損傷の存在が画像で確認できること

高次脳機能障害として認められるためには、頭部への衝撃によって脳に器質的(物理的)な損傷を負ったと証明する必要があります。

これにはCTやMRIといった精細な画像検査結果が不可欠となります。

傷病名としては、脳組織が崩れて出血する脳挫傷や、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血のほか、脳の神経線維が広範囲に断裂するびまん性軸索損傷などが挙げられます。

事故直後の検査では微小な出血や損傷が見落とされるリスクもあるため、時間が経過して症状が顕在化した場合には、より精密な検査や特定の撮影法を追加し、脳の微細なダメージの痕跡を明確な客観的証拠として確実に残しておく必要があります。

 

事故直後に一定の意識障害があったこと

事故の直後に意識障害があったという事実は、脳に深刻なダメージが及んだことを示す強力な指標となります。

この意識障害の有無と程度を自賠責保険に証明しなければ、適正な等級認定は望めません。

これには、医師が作成する「頭部外傷後の意識障害についての所見」という専用の書面を用います。

年月日が分からない混乱状態や、呼びかけないと目を開けないといった一定期間の意識の混濁を、救急搬送時のカルテなどから法的に正しく紐解く作業が重要です。

 

高次脳機能障害の具体的症状が出ていること

さらに、「認知障害・行動障害・人格変化」が現実に残存していることを立証する必要があります。

これは神経心理学的検査の数値と、周囲の人間による客観的な報告書で証明します。

書面審査では、ご家族や同僚、学校の教師が作成する「日常生活状況報告書」が重要です。

「事故前と比べてどう変わったか」をエピソードを交えて具体的に陳述しなければなりません。

また、学生なら通知表の評定、社会人なら業務評価の低下や出勤実績の悪化など、事故を境にパフォーマンスが著しく低下した事実を示す実社会の資料を漏れなく収集し、提出することが等級を左右します。

 

 

高次脳機能障害のサポートを弁護士に依頼するメリット

高次脳機能障害の解決を弁護士に依頼するメリットは、医学的知識に基づいた徹底的な立証により、適正な後遺障害等級の獲得が期待できる点です。

本障害の認定基準は極めて複雑であり、医師の診断書に漏れがあると実態より低い等級に認定されかねません。

弁護士は適切な心理検査の提案や医師へのアプローチを通じて、強固な証拠資料を揃えます。

すでに不当な結果が出ている場合でも、異議申し立てによる再起を図れます。

また、獲得した等級をもとに、最も高額な「弁護士基準(裁判所基準)」で示談交渉を行うため、保険会社提示額から数千万円規模の大幅な増額を勝ち取ることが可能です。

労災事故であれば、安全配慮義務違反を追及して会社側へ直接損害賠償を求めることもできます。

さらに、保険会社や会社との煩雑な交渉窓口をすべて弁護士に一任できるため、ご家族は不当な圧力や手続きのストレスから解放され、本人のケアに専念できます。

 

 

高次脳機能障害の4大症状についてのQ&A

高次脳機能障害のセルフチェックはできる?

高次脳機能障害は、脳の損傷によって客観的な判断力が低下するため、被害者ご本人が自分で異変に気づく「セルフチェック」は極めて困難です。

そのため、以下のような「ご家族から見たチェックリスト」を用いて異変を察知することが実質的なセルフチェックとなります。

  • 何度も同じ質問や説明を繰り返すようになった
  • 集中力が続かず、ミスや忘れ物が劇的に増えた
  • 段取りが悪くなり、指示されないと行動できなくなった
  • 些細なことで急に激しく怒り出すなど、性格が変わった
  • 以前に比べて異常に疲れやすく、寝てばかりいる

頭部外傷や脳血管障害のあとに上記のような変化が一つでも見られる場合は、高次脳機能障害の可能性がありますので、速やかに専門医を受診してください。

 

高次脳機能障害は時間が経てば治りますか?

現代医学において、一度激しく損傷してしまった脳の神経細胞そのものを完全に元の状態へ戻すことは不可能です。

そのため、事故前の状態に100%戻るという意味での「完治」は非常に難しいのが現実です。

しかし、時間が経っても全く治らないわけではありません。

脳には、残された正常な領域が傷ついた部分の役割を補おうとする「可塑性(かそせい)」という性質があります。

早期から適切なリハビリテーションを開始し、スマートフォンやメモ帳を使いこなすといった「代替手段」を習得していくことで、日常生活の自立度や社会復帰の可能性を大幅に高めることができます。

 

本人が「自分は正常だ」と言って病院に行きたがりません。どう対応すべきですか?

脳の認知機能の低下が原因で「自分に障害があること」を自覚できない「病識の欠如」という症状が頻繁に現れます。

本人は嘘をついているわけではなく、本当に「自分は正常だ」と信じ込んでいるため、頭ごなしに異常を指摘して説得しようとすると、激しい反発やトラブルを招きます。

対応としては、障害を認めさせるのではなく「頭を強く打ったから、今後のために念のため定期検診に行こう」、「不眠や頭痛の薬をもらいに行こう」など、本人が受け入れやすい別の理由を建前にして受診を促すのが鉄則です。

どうしても拒む場合は、事前にご家族だけで医療機関や弁護士に相談し、介入の手立てを講じてください。

 

 

まとめ

高次脳機能障害は、記憶や注意力の低下、感情コントロールの喪失などによって日常生活や社会生活に深刻な支障をきたす障害です。

目に見えない障害だからこそ、適切な後遺障害等級を獲得するためには、画像検査による立証や事故直後の意識障害の証明、日常生活の精緻な記録といった専門的なアプローチが欠かせません。

加害者側の保険会社から提示される低額な示談金に妥協せず、正当な「弁護士基準」での賠償金を受け取るためにも、まずはお一人で悩まずに交通事故や労災問題に強い弁護士事務所へお気軽にご相談ください。

当法律事務所の人身障害部は、交通事故に精通した弁護士のみで構成されており、事故の被害者を強力にサポートしています。

弁護士費用特約にご加入されている場合は、特殊な場合を除き弁護士費用は実質0円でご依頼いただけます。

LINEや電話相談を活用した全国対応も行っていますので、交通事故でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

 

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