昨年、民法の大幅改正がなされ消滅時効制度が大きく変わりました。

変更点等につきまして弁護士が解説いたします。

 

債権消滅時効期間の統一

六法全書旧法では、職業別の細かい区分に基づき、1年~3年の短期消滅時効制度を設けていました。

しかし、このような短期消滅時効制度を設ける合理的理由はないことから、新法では短期消滅時効制度が廃止されました。

また、商法は、商行為によって生じた債権について5年間の消滅時効期間を定めていましたが(旧商法522条)、この商事消滅時効も廃止されています。

したがって、民法改正後、債権の消滅時効期間は、原則として以下に述べる期間に統一されることになりました。

 

債権の原則的な消滅時効期間

新法において、債権の消滅時効は、以下のいずれか早い方とされました(民法166条1項)。

債権の消滅時効期間(いずれか早い方)

①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間(主観的起算点)

②権利を行使することが出来る時から10年間(客観的起算点)

①は、今回の改正で新たに導入され、②は旧法と同じ規律になります。

契約上の債権については、債権者が権利を行使することができる時に権利の行使可能性を認識しているのが通常であり、主観的起算点と客観的起算点は一致することが多いです。

そのため、契約上の債権については、実質的に時効が10年間から5年間に短縮されたと見ることができるでしょう。

 

例外的な消滅時効期間

新法は、債権者保護の観点から、以下の例外的な消滅時効期間を定めています(民法724条)。

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間(いずれか早い方)

①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間(主観的起算点)

②不法行為の時から20年間(客観的起算点)

新法では、不法行為による損害賠償請求権の20年間という期間が除斥期間ではなく時効期間であることを明示しています。

生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間(いずれか早い方)

①5年間(主観的起算点)

②20年間(客観的起算点)

新法では、生命・身体という法益の重要性から債権者の権利行使機会を確保する必要性が高いとして、債務不履行による生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の客観的起算点からの時効期間を10年間から20年間に長期化しました(民法167条)。

また、不法行為による生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の主観的起算点からの時効期間を3年間から5年間に長期化しました(民法724条の2)。

この改正により、生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については、債務不履行による場合と不法行為による場合とで消滅時効期間に差異がなくなりました。

定期金債権の消滅時効期間(いずれか早い方)

①債権者が定期金の債権から生じる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使することができることを知った時から10年間(主観的起算点)

②①の各債権を行使することができる時から20年間(客観的起算点)

定期金債権の消滅時効期間は、主観的起算点、客観的起算点とも原則的な消滅時効期間の2倍となっています(民法168条)。

 

新法の施行はいつから?

弁護士小野佳奈子新法は、平成32年1月1日か4月1日から施行される見通しです。

そして、新法が施行された後、新法施行後に発生した債権については新法が適用されますが、施行前には生じた債権については新法が適用されず従前の定めに従うことになります。

 

迷ったら弁護士に相談を!

債権法改正により時効に関する定めはかなり簡易化されたと思います。

しかしながら、施行前後では旧法・新法のどちらが適用されるのか判断に迷う場合もあるでしょうし、時効の更新(時効の中断)や時効の完成猶予(時効の停止)といった概念もあり、法律家でないと判断が難しい場合もあります。

そのため、時効に関しご不安のある方は、是非一度弁護士にご相談下さい。

 

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