会社法改正の概要

社外取締役の奨励等について、今年改正された会社法が来年春に施行される見込みです。会社実務に与える影響は小さくないと思われますので、ご紹介いたします。

平成26年改正のうちで、社外取締役に関する改正は、おおむね次の4点です。

社外取締役の奨励等について、今年改正された会社法が来年春に施行される見込みです。会社実務に与える影響は小さくないと思われますので、ご紹介いたします。

平成26年改正のうちで、社外取締役に関する改正は、おおむね次の4点です。

 

 

① 社外取締役の設置の奨励

② 社外取締役の資格要件の改正(社外監査役の資格要件も改正)

③ 「監査等委員会設置会社」制度の新設

④ 責任限定契約の対象者の拡大

改正の大きなテーマは、コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革であり、とりわけ社外取締役の任用促進を目的とした社外取締役の設置の事実上の強制が話題になっています。

そこで、本稿では、②から④については簡単に紹介し、①について詳しく説明したいと思います。

 

②から④の改正内容

②は、社外取締役の資格要件を強化し、親会社等の取締役・執行役・使用人等でないことと、近親者でないことが資格要件に追加されました。

③は、取締役会と会計監査人を置く株式会社は、定款で定めることにより監査等委員会設置会社となることを選択できるようになりました。

④は、社外者だけでなく非業務執行役員のすべてについて責任限定契約を締結できることとなりました。

 

①の改正の内容

平成26年改正は、形式上は社外取締役の設置を強制するところまではしないものの、社外取締役の設置を強く推奨することとしています。

すなわち、一定規模の大きな会社で、社外取締役を置いていない場合(注)には、取締役は、株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならなくなりました。

また、省令の改正により「相当でない理由」は、個々の会社の各事業年度における事情に応じて記載しなければならず、社外監査役が二人以上いることのみをもって「相当でない理由」とすることはできないと示されています。さらに、株主総会の参考書類においても、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を説明しなければならなくなります。

このような点から、社外取締役の設置は「推奨」というより、「事実上の強制」ともいえるでしょう。

注:事業年度の末日において公開会社かつ大会社で金融商品取引法上の有価証券報告書提出会社である株式会社が、監査役会設置会社であり、社外取締役を置いていない場合

 

社外取締役の設置の背景

比較的規模が大きな会社では、以前から「社外監査役」の導入が進んでいました。

常勤監査役には、社内で長年勤務してきた者が就任し、弁護士は社外監査役に起用されて、これをサポートする役割が定着している企業も多く、社外監査役の業務については、比較的イメージしやすいと思います。

それでは、今回、改正によって設置を推奨されている「社外取締役」にはどのような役割が期待されているのでしょうか。

アベノミクスで想定されているコーポレート・ガバナンス改革では、「企業が変わる~稼ぐ力の強化」として、コーポレート・ガバナンスの強化が第一の課題とされています。そこでは社外取締役の積極的な活用を、各企業の経営戦略の進化に結びつけていくことが求められています。すなわち、日本企業の売上高利益率(ROS)、稼ぐ力をいかにして伸ばしていくのか、その施策をモニタリングするシステムを構築することが改革の中心課題であり、取締役会の機能もまさに、社長の業績評価にあると指摘されています。

そして、社外取締役に期待されている役割としては、社内の取締役に対しては経営監視を促し、業績を上げることのできない社長、社内資源の有効活用に消極的な社長に対して、取締役会の議決権行使を通じて人事権を行使する役割が期待されています。このような社外取締役には、弁護士が就任することが予想されます。

弁護士を社外役員とする意義

弁護士が社外取締役、社外監査役などの社外役員となることには、どのような意味があるのでしょうか。

 

①不祥事の防止
まず、弁護士が社外監査役などの社外役員になることの意義としては、不祥事の防止があげられます。

実際に、比較的大きな会社では、取締役の職務執行の適法性を監視・検証する立場にある社外監査役には、法令に精通した専門家として弁護士が就任するケースが多い状況です。

弁護士以外の役員は、通常、取締役会としての監督機能を果たすこと、監視義務を尽くすこと、会社と取締役との利益相談問題などについて、専門的知見を持っていないことがほとんどです。

そこで、弁護士たる社外役員が内部統制の構築、監視義務など、取締役会の監督機能を充実させるための環境整備を行なうニーズがあります。

②株主の安心感
株主は、経営者による事業計画どおりに企業の収益が向上するかどうかに強く関心をもっています。そして、その判断の前提として監査の信頼性を求めています。この監査の信頼性を支える体制に弁護士が社外監査役、社外取締役として関与することにより、株主の安心感が生まれ、ひいては企業価値の向上につながります。

③有事における被害の最小限化
社内において、紛争などが発生した場合、被害を最小限化するために、弁護士が社外役員に就任しておくことは有益です。

弁護士は、本業として紛争解決を使命としており、有事における対処への専門知識とノウハウを有しています。また、弁護士資格を有する者が社外役員として在籍しているということは、無用な法的紛争をあらかじめ回避し、マスコミにも騒がれず、企業価値の毀損を防ぐことにも寄与できます。

以上のように、今回の会社法改正によって、弁護士に期待される役割は、ますます増加しているといえます。弁護士としても、社外役員として日本企業の持続的成長に寄与する機会が増えることは喜ばしいことです。

しかし、このような業務には、より高度な専門的知識やノウハウが必要です。従来どおりの「幅広くなんでもやる」というスタンスでは、このような業務には到底対応できなくなるため、企業法務を手がける弁護士は、これまで以上に専門特化が必要となってくるでしょう。

 

 

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